固有性を求めて

固有性を求めて、普遍的価値を生み出す

設計者の社会的役割

何時、どのような時代にあっても、建築(住宅)にしか提示できない、社会を豊かにする独自の社会的役割があるはずと考えています。その中で私たち設計者のなすべきは、個々人と社会を豊かにする固有の空間価値(の可能性)を、建築設計という視点からひとつでも多く見つけ(創り)出し、提示することであると思っています。私たち設計者にしかできないことはまだ沢山あると感じています。

多様な固有性のもたらすもの

個々の業務での役割は、依頼された建物の個別的条件に応えて、最善の有り様を提案することにあります。結果提案されるものは個別的条件に忠実になればなるほど固有な回答になります。何時の時代でも自然界や社会では多様な固有性が豊かさを生み出し、あらゆるものを相互に生き生きとさせます。多様性によって個々も輝き、生活も充実し、望ましい文明や文化を作り上げていきます。生産効率を求める現代の経済社会にあっては、その固有性は必ずしも求められてはいません。そのような社会にあっても私たちは敢えて、個々の固有性を大事にした建築をつくりたいと思っています。

豊かさをもたらす固有性とは

真に固有な建築は、決して住む人や設計者の恣意性によるものではなく、そこでの状況に即したある必然性が備わっていてこそ、社会を豊かにする力が発揮されると思われます。その必然性も、そこに住む人と場所性だけではなく、それを創ることに関わった施工者とそれらを調整統合する設計者にまで、すべてにとって必然と感じさせるものでなければ力強いものにはなりません。そしてその必然性を丹念に手繰って行こうとすると、どうしても一般社会が抱える構造的な問題に行き当たります。その社会性までをも考えられた固有な建築とそこに創られた空間は、その社会と時代を写し取り、普遍的価値を生むものと信じて励んでおります。このような一人一人、異なる人が、異なる場所に住まう、固有な住宅は、他所の個別的で多様な生活を許容し、お互い刺激しあい、より多様化した価値を生み出し、そこに住む人や社会をより豊かにしていくと確信しています。