月: 2009年3月

“見る”と”観る”

永平寺の枝垂桜、見る
栄福寺の枝垂桜、見る

?六義園(東京都文京区本駒込)の枝垂桜が人気のようです。

私も千葉で栄福寺の早咲きの枝垂桜をみてきました。夕方だったせいか華やかさより優美さが際立っていました。今年最初の寸暇の花見です。ただ見とれてきました。

自動車メーカーのホンダの創始者、本田宗一郎氏がものづくりで、”見る”のでなく”観る”ことの大事さを説いています。建築も同じかもしれません。

最近何度か住宅を案内する機会がありました。見る方は自分の敷地や家族条件等が同じものを見たいと思われるようです。確かに同じ条件のほうが参考になるのでしょう。でもその場合”見ている”かぎり、それがかなり似ていないと、自分とは合わないという印象を覚えることが多いのではないでしょうか。自分の条件が似ていると、自分のケースに合っているかいないかの確認作業になってしまい、”観れ”なくなりがちです。他所での、自分に合ったもの探しはありえず、それはないものねだりになりかねないからです。

私たちも仕事柄、機会があれば他人が設計した住宅や建築をよくみます。最初は素直に”見て”いますがいつの間にか”観て”います。一瞬見て、ちょっとでも新鮮な何かがあれば、すぐ、なぜ?となって観てしまいます。それは美しい場合も逆の場合もとにかくあれ?という印象を覚えるとすぐ”なぜ”となるのです。職業柄自分の中に建築は通常このような場合はこうなるはずというものがありそれと違うと”なぜ”となるのです。

皆さんも参考に住宅をみて歩くのはできれば自分の家の計画案(間取り)が提案されてからみることをお奨めします。自分の家の場合と同じかどうかの確認だけでなく、違った場合もなぜ違うのだろうという視点がいろいろなことを考えさせ、より深く見るようにさせるからです。

“見る”を”観る”にするのは”なぜ”です。なぜ美しい、あるいはなぜ違和感を覚えるのか、それを感じさせるものが何なのかに関心が移った瞬間、”見る”が”観る”になるはずです。”なぜ”と一緒にみると、作り手の意図や価値観、あるいは考え方がみえてくるはずです。少しでも疑問が残ったら、というより早合点していることが多いですから、設計者にどんどん質問することです。その方が設計者もうれしく、”観て”くれていると思い、喜んで説明してくれるはずです。

特に私たちの設計は、付加することで良くしようとするのでなく、また機能を削ぎ落としてみえなくすることでもなく、むしろ機能を確保し、性能をあげつつそれを見えなくする努力をあらゆるところでしているからです。特徴を出そうとするのではなく、消そうとすることでみせたいものだけをみせ、すっきりした印象を残し、そこで生活する方の個性が出やすくしています。そのため私たちの住宅をみても案外気になるものがなく、見えないから視線が何気なく通り過ぎることが多いはずです。私もきりがないのであまり説明をしません。見ている方がどこでも、あるいは黙っていてもそうなるのだろう、と思った瞬間私たちの意図が見えなくなる可能性があります。あるはずのもが見えないと気づいた時私たちの考え方が見えて来るはずです。なぜの質問を歓迎する理由です。

でも、桜は何も考えずただ見てその感動に浸っていたいものです。

観る
観る

ガラスの吊り込み

群馬県館林市の現場で今日ガラスの吊り込みがありました。

吊り込むのは住宅の南側面にある吹き抜けのガラスで、この住宅の計画上の大切なポイントになる部分なのですが、ガラスが複層(ペア)ガラスで重量が結構あるので、機械による作業となりました。

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ガラスはクレーンによって持ち上げるのですが、その際にガラスを掴むのはゴムの吸盤で、ガラスの重量の割りに意外に単純な機構です。

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持ち上げたガラスを所定の位置へ入れ込むためには、最後数ミリの調整が必要となるのですが、その作業はリモコンで操作しているクレーンと職方さんで行います。その作業は職人技という感じです。?

計画上大切なポイントとなる部分は、往々にして工事施工上でも大きなポイントとなることが多いのですが、実は今回も、鉄骨の階段を自身で制作してしまうような非常に心強い建て主さんの協力を得ながら、いくつかの問題を乗り越えての施工となりました。

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完成まであともう少し。よいものとなるよう完成までがんばります。


打ち込みです

船橋市で1階がRC、2階が木造の住宅の現場が動いています。

月曜日に1階の壁と2階のスラブのコンクリート打ちがありました。
ここのところ雨が多かったので天気が気になって仕方ありませんでしたが、当日は幸いにも良く晴れてむしろ暑いくらいでした。

今回は敷地の関係上2tのミキサー車しか入れないため、少しずつコンクリートを入れ替わり運んでもらい、しかもコンクリート量が多かったので朝8時 から始まって打ち終わるのに16時までかかりました。でもコンクリート打ちは緊張感がある為、終わった時にはもう16時かという感じです。


職方さんも終わった時にはようやく飯が食えるという雰囲気でしたが、あの陽気の中、トラックの荷台で夕方まで日を浴びつつけていた鳶さんのお弁当が大丈夫か少し気になりました。私の方は現場が家から自転車で5分とかからないので、とりあえず家に帰ってビールをあおりました。


建築現場定点写真

昨年末竣工した市川のH邸の写真を整理していたら、何枚かが定点写真になっていたのを発見しました。

ちょっと、見てみましょう。

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基礎配筋検査のときです。まだ何もないように見えます。

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建方が終わり、屋根パネルを設置しているところです。

柱・梁が据付られてやっと家が建ってきたという実感が持てる頃ですね。

職人さん達は、陽差しが強く風もない暑い中の作業でした。ご苦労様でした。

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屋根が出来て、外壁の漆喰塗りの下地になる木ずり板を張っているところです。

家のかたちが段々あらわになっていきます。

この頃は雨がよく降り、ちょうど雨が降ると出来ない作業もあってヤキモキしました。

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外壁の漆喰塗りが終わり、いよいよ足場を外すという頃ですね。

足場が外れるときは、いつもドキドキします。

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足場が取れて、白い家が現れました。なかなか良い感じになりました。

もう少しで完成という頃です。

上棟の頃は暑かったのですが、完成の頃には暖房が欲しい季節になっていました。

こうやって、並べてみたら建物が建っていく様子が分かって面白いですね。


冬の彩り

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シンビジュームや君子蘭が楽しめる季節です。最近は安い価格で美しく咲いているものが手に入ります。目新しい蘭をお店で目にすると、一瞬欲しいと思います。・・が、特に手入れをせずとも毎年必ず芽を出し膨らみ咲くまでの楽しみを思うと、長年つきあってきた古株達を大切にしよう、と思い直すのです。冬は寒くて庭にでる機会が減りますが、久々に庭にでると、沈丁花が香り、ビオラやクリスマスローズがけなげに咲いていました。リビングの隣に土間を設置された建主さんから、植物や自転車の手入れにとても便利というお話を聞きましたが、この季節は特に実感できるのかもしれません。