月: 2009年9月

市川H邸 竣工写真-居間のコーナー窓-

10

キッチンは、写真のように居間と食堂、居間の隣の畳コーナー、外のデッキまで見渡せる司令塔のような場所。お子さんが、食堂で勉強していても、居間で遊んでいても、畳コーナーで寝ころんでいても、キッチンで家事をしながらでも自然と眼に入ります。

リビング奥のコーナー窓は、設計時・工事中と何回か変更になり検討を重ねたところです。最初の提案時にコーナー窓を設けましたが、建主さんから「道路や道路向かうからの視線が気になる」とのことで、一旦コーナー窓の東側部分を壁にすることになりました。
上棟して実際に2階にあがれるようになってから、現場で木の棒等をあてて窓の大きさを実際に体験して頂きました。この体験によって建主さんも居間にいる状況で道路や道路向こうからの視線を想像することが出来て、道路からの視線はあまり気にならないことが分かり、コーナー窓が復活しました。

11

食堂から南東のコーナー窓の方をみたところ。
コーナー窓があることによって視線が遠くまでぬけて、空間に広がりがでました。
コーナー窓の外に見えるのは道路向こうの緑。道路は見切れていますので視線は感じません。


市川H邸 竣工写真-外観-

011

市川H邸の竣工写真をデータ化(だいぶ時間がかかってしまいました)しました。結設計のホームページに掲載する前に、ちょっと紹介します。

H邸の敷地は、傾斜地の一部で坂の途中の敷地でした。周りは隣家が迫り、道路がある東側と西側一部からなので、1階は暗くなることが確実な状況でした。

傾斜地であることから、南側の隣家は若干低くなっているので、それも利用するために、リビング・ダイニング等を2階にするプランとしました。(上の写真建物左側に、2階のリビング・ダイニングに続いている外部デッキの木製腰壁が見えます。)

04

敷地周辺の地形は、南(写真左側)に向かってゆるやかに傾斜しています。
建物の外壁は漆喰の塗壁。漆喰は独特の白さがあります。
道路側のコンクリート塀を途中で少しずらして隙間を設け、そこに植栽しました。コンクリート打ち放しの無機質感と、緑の生命感との対比がなかなか良い感じです。

05

アプローチの植栽。白い漆喰壁に緑が映えます。


キはキになる

aohada1hanamizkimarubanokishirakashi

先日、船橋M邸のデッキや外廻りに植える植物の品定めに、造園屋さんの畑に行ってきました。
畑にたくさんある木々を色々見ていくと「これもいいかも、あれもいいかも・・・。」と目移りしてしまいました。

住宅は、周りに樹木があるのと無いのとでは、出来映えと雰囲気に天地の差が出ます。どんな木にするか、とっても悩むものです。
樹木はどこからどう見えるか等の見え方や見映えだけでなく、日当たり、土の乾燥具合、葉の形、育ち方の速度、花の色や咲く時期、落葉か常緑か、等々の考慮が必要です。

そんなことを考えながら木々を見ていると、アオハダ、ヤマボウシ、マルバノキ、シラカシ、イロハモミジ、シマトネリコ、ハナミズキ、ソヨゴ等々、なんとなく決まってきました。
植えられた情景を想像するとワクワクします。


色の道は迷い道

naibu2021

10月17日内覧会をさせていただけることになった住宅の仕上げが急ピッチで進んでいます。開口部にガラスが入り、内部間仕切りのボード貼りも終わり、各室の空間の様子が把握できるようになってきました。

iro021

決めていた色の最終確認です。色決めは最後の最後までいつも悩みます。色の道は迷い道です。
いくつか見本を作って比較検討もしました。設計者、建て主、監督等やり取りがあって大体決まりました。「外部階段の手摺に一部朱を使ったら」と提案したら、「もうこれ以上目立つのは勘弁してくれ」と却下という一幕もあり、現場は楽しく進んでいます。


横浜Y邸 配筋検査

l1050152

昨日は、横浜Y邸の配筋検査でした。
配筋検査は、鉄筋径、ピッチ、かぶり、継ぎ手長・定着長、開口部直下の補強筋など、特に問題なし。
きれいな配筋でした。
この住宅は床下に温風を通すので、給排水等配管が温風の邪魔にならないように配管位置なども確認。

プレカット図のチェックも終わったので、構造材の加工が始まります。
上棟は、今のところ今月末の予定です。


グレーのテーブル

我が家の食卓のテーブルは80?角の正方形のテープルでした。アパートの間取り的にテーブルを壁際に寄せないと動線が確保出来ないのでそうすると2人なら何とか食べれますが、子供を入れて家族3人ではさすがに窮屈な状況です。
かなり前から妻にはテーブルを新しいのにしようと言われ続け、ようやく買い換えることにしました。手持ちの椅子のサイズやら色やら検討した挙句、結局購入したのがIKEAの5千円もしないテーブル。食卓は家の中では重要な家具なので良いものをじっくり考えていづれ気に入ったものを買うことにし、中途半端な金額ではそれなりのものなので、逆に思い切って節入りの無塗装のパイン材の安いテーブルにしました。ちょうど西船橋で進めている現場で建具や枠や柱の色をかなり悩んだ後だったので、このパイン材のテーブルをどう仕上げるかで結構楽しめました。

まず、他の家具や小物類からクリア塗装や、茶系の色は合わなそうです。消去法でホワイトかグレーの2色まで絞り、せっかくなので木目は生かしたいという点までは妻と意見が一致。妻はテーブルがグレーだと食べ物がまずく見えそうだからホワイトにしようと言います。ただ私の方はグレーにしたい。グレーの食卓が良いか微妙だと思いながら、グレーにしてみたらどうなるかという興味の方が強かったので、今回はホワイト:グレー=3:2の割合で調合して塗ることにしました。通っぽいですが、現場で余った塗料サンプルの残りの割合です。実際に塗装してみて結構いい感じなのですが、木材の吸い込みムラや塗りムラで何となく中途半端な雰囲気です。ただ、2回塗りするとベタッとした仕上がりになりそう。悩み始めたので、とりあえずゆっくり決めようとベランダに2.3日放置しておきました。

たまたま、昨日他の設計者の建築を見る機会があり、木部の塗装がホワイトの拭き取り仕上げというのをやっていて、これがまた中途半端な仕上がりなのですが、やさしい雰囲気が出ていました。昨日見た塗装のこともありこの中途半端な感じの塗装で行こうと決め、表面が少しざらついた感じがあったのでサンドペーパーをかけて、ようやく今日組み立てて完成しました。ベランダで塗っていたのでその時は色が薄すぎるかなと思いましたが、部屋に入れると思ったよりも濃かったので3:2で良かったです。実際に置いてみた感じでは、小物類が白いので白がきれいに見えるのと、他の色も映える感じがします。数年前に買った紫色のパントンチェアーもあのころは若かったなと今では扱いに困っていたのですが、このテーブルでは割と合っている様に思えます。


プレカット打合せ

2009-09-04

結設計にて横浜Y邸のプレカット打ち合わせ。
(プレカットは、現場施工前に工場で柱・梁などの部材を切断したり加工を行うことです。)

あらわし梁・柱の接合部分は表に出ない金物にすることや、芯ずれ部分の位置等間違えそうな部分を中心に、プレカット図と伏図とを照らし合わせて工務店の監督さん・プレカット屋さん・建材屋さんと一緒に確認。プレカット屋さんが、打合せの内容を反映したプレカット図に修正して来週前半に送ってくれる事になりました。
来週中に修正プレカット図を結設計で確認してOKを出したら加工が始まります。


MY HOME 100選 vol.5

myhome100vol5h

「MY HOME 100選vol.5」の見本誌が送られてきました。300ページ以上あって、結構厚いです。

l1050038

房総・岬の家”の事例記事が8ページにわたって掲載されています。(P98?105)
居間から九十九里の海を見渡した写真が、ページ見開きでどーんと載っています。

扶桑社から8月下旬に発売とのことですので、すでに店頭に並んでいます。
書店で見かけたら是非手にとってご覧ください。


鎌倉の家 中庭の開放性と閉鎖性

img_5772-2

計画案が決まって、基本設計が終わった段階では、まだ決まっていないことがたくさんあります。これらは、基本的には実施設計で細かく決めていきますが、具体的なかたちにしていく工事現場でも検討が必要な場合があります。

”鎌倉の家”でも色々あるのですが、特に中庭に関連したことの、2階デッキの西側の手摺壁を中庭の前まで伸ばすかどうかについては、基本設計、実施設計、工事中のそれぞれの段階で検討していきました。

img_5845-2

手摺り壁の延長を考えたのは、プライバシーを守る目隠しにするためと、2階のデッキと食堂が中庭を介して一体感を出すためです。
又、中庭越しに見える風景が、あまり魅力的ではないので、敷地の外の風景と連続した中庭にするよりも、坪庭の様に、完結した空間としてあった方が、この敷地では良いだろうということもありました。

手摺り壁を延長すると閉鎖性が強くなり、さらには暗くなるのではということを心配しましたが、かといって延長しない場合は、開放的ではあるけど、隣家の窓から中庭や階段が丸見えになります。
直感的には、明るさも開放性も問題無いだろうと思いましたが、現場で、問題ないことを確認するために、実際に板を横に流して試してみました。一緒に建主さんにも確認してもらい、納得していただけました。

出来た中庭は、開放的でありながら、覗かれることを気にしないですむ空間になりました。


鎌倉の家 計画案? 「中庭と明るさ・開放性・プライバシー」

kamakura2

”鎌倉の家”の中庭の取り方がほぼ決まった案です。

前の案で、敷地の北側に建物を寄せた案を考えてみましたが、西側の明るさの取り方と開放性、プライバシーを守る方法が問題になりました。
また、北側に建物を寄せた割には、南側にそれ程大きなスペースが取れないのもちょっと残念です。

そこでもう一度、前の敷地の時に考えた「計画案?」と同じように、中庭をつくる案を考え始めました。
1階の明るさは中庭から受けられるように、 1階は「コの字型」プランにして中庭を設け、2階は「L字型」プランにして南側居間の西側に「計画案?」と同様にデッキを設け、中庭に光が差し込むようにしました。但しこの場合、前案のように階段が和室と中庭に挟まれる位置だと、1階の和室に中庭から光を直接取り込むことが出来ないので、西側に明かりをとる窓が必要になってしまいます。その解決方法として、階段を廊下側に移動しました。これで和室の明るさは中庭からとれるようになりました。
これによって、1階の中庭廻り(和室や玄関ホール、階段)が明るくなっただけでなく、2階の北側食堂にも陽光が入るようになりました。

中庭を取ることで、1階の玄関ホールと北側の和室は西側に大きな窓を取らなくてもよくなったことと、中庭西側の開放されている部分に生け垣を設ける等目隠しを考えれば、プライバシーも守れます。プライバシーが確保されたので、中庭に面する壁は全面ガラス窓にすることができて、開放性も得られます。

これで、明るさを確保しつつ、開放性があり、プライバシー問題も解決する案になりました。
その後、建主さんと打合せを重ね計画案を幾度か練り直し、建主さんの了承をえて最終案が決定しました。

ここから、実施設計が始まります。