壊すものとつけ加えるもの

東久留米の増築工事がスタートしました。お子さんの誕生をきっかけに、親世帯と若夫婦で上下階に2世帯同居のための増築です。建て主さんが建替えではなく増築を選ばれたのは、ご両親が増築や改修など家に手を入れ大切に長年住み続けてこられたという理由もありました。

既存の梁や柱を可能な限り活かし、必要十分な居住スペースを2階に確保する検討から入りました。そして、ご家族の皆様と打合せを進めるうちに、1階部分にも新たな収納や断熱性能、2階バルコニーと向き合うデッキなどを設けることになりました。

そんな打合せや設計の過程を今振り返ると、壊すものをできる限り減らして、必要なものを得るためにどうしても壊さなくてはいけないものだけ壊し、本当に必要なものだけをつけ加えていくという行為であったと感じています。古いものをぶっ壊して新しくつけ加えることは、案外簡単で新鮮で経済的です。でも、新築のように一からつくる訳ではなく、長年住み慣れた場所を活かしながらの増築の場合、壊すものとつけ加えるもののバランスの吟味が大切なのかもしれません。

その吟味の過程で得られるものは、古いものを大切につかうという単純な意味だけではなく、住む人のそれぞれの思いを共有した上で、新しい生活をこれから始めるのに大切なものなのでしょう。普段からそういうことをとても大切にされているご家族だからこそ、増築して同居されるという選択肢を選ばれたのだと、大切なことを教えて頂きました。

ルーク君、犬小屋、お気に召してくれるかな?

luke