月: 2011年2月

新建築 住宅特集 2011年3月号

新建築住宅特集部より住宅特集2011年3月号の見本誌が送られてきました。結設計で開発してきた集成材壁式工法(FM工法とDEWS工法)の開発経緯などが特集記事として、6ページ掲載されています。
(P.084-089)

実例として「扇居」と、建設中の「押上の家(押上S邸)」も紹介されています。ちなみに、建設中の物件が住宅特集に載るというのは珍しいと思います。

すでに店頭に並んでいるということなので、書店で見かけたら是非手にとってご覧ください。


聖蹟桜ケ丘現場

聖蹟桜ケ丘の現場までは、通る度に写真を撮ってしまう、ほっとするような景色の生産緑地が残されています。南側の開口の外に張り出す2階のバルコニーからもその景色が望めます。木製建具が入るまでは、真冬なのにとても風通しがよく、若くて元気な棟梁を泣かせています。北東は高い木々の育つ裏山も残っており、食堂や浴室ではその眺めが楽しめます。どんな敷地もそこにしか生み出せないおもしろさがあると思います。高低差のもたらす費用・設計面での困難さもありますが、この贅沢なロケーションをきちんと活かした建物にできればいいなと思います。


ものづくり

私の実家は鉄工業で隣に工場があるので、カーンカーンという音を聞きながら育ってきました。工場裏にある鉄の破片・廃材で何か作れないかな思い、照明器具を作ろうと思いたちました。鉄の錆びた部分に反射する柔らかい光や、エッジの効いた鋭い光など、どんな光が出るかなと想像しながらデザインを考えるのはとても楽しいです。鉄板をプレスカットやベンディング、穴あけ、溶接、サンダーなどをして作成していくのですが、薄い鉄板に溶接する際に溶けてしまって穴が空いてしまったりなど、出来上がるまでにはいろいろな失敗や困難、危険があります。そうしながらも、自分の頭の中で考えたデザインを自分の手で形にしていく作業はとても楽しいものです。


休憩場所

資材を置いていたり作業場所になっていたりで必ずしもそうとは言えませんが、休憩時間に大工さんが溜まる場所は家の中で一番心地よい場所なのではないかと思います。ですので、居間や食堂になる場所で休憩しているのを見ると安心します。


荒々しい現場・これからの現場

杉並区と足立区で現場が進んでいます。

杉並区の家は、地下1階・地上2階建てで、地下は鉄筋コンクリート造 (以下RC造)・地上は木造です。
敷地が前面道路から約2m上がった高さにあるため、その高さを有効活用し、地階に玄関と車庫を設計しました。そうすることで、2m分上がることなく屋内にすぐに入れるため雨の日などは便利だと思います。
ただ、高さ規制には凄い苦労し一筋縄ではいかなかったので、ここまで来れてホッとしています。

RC造は、型枠やらサポーターなどが立ち並ぶため、荒々しい感じが伝わって来て、「現場は生きている」と強く感じます。
以前に11階建ての賃貸のマンションを設計しましたが、その時も荒々しさを感じ、自分としては現場の荒々しさ(緊迫感とでも言いましょうか)が良いなと感じました。その気持ちは今も同じで、この荒々しさに慣れるとちょっと危ないような気がして、少し安心しています。

車庫の上からの夕日が綺麗でした。
車庫の上は庭になるので、実際に緑がある時にこの様な夕日を見れたらもっと綺麗なんだろうなと思い、建ち上がっていくのが凄い楽しみです。

足立区の家は木造2階建てです。
敷地の前に広い公園があり、緑が多くあるので、その景色を生かした設計をしました。

先月末に、地鎮祭を行い、これから現場が進んで行きます。2人のお子さんが元気で、内覧会でつい子供達とはしゃいでしまい、自分も一緒に注意されてしまいましたが(笑)、子供と居ると日々の雑多を忘れることができて、凄いリフレッシュになりました。


新工法「DEWS工法」の建て方

結設計で開発した新しい工法「DEWS工法」で建てる押上S邸が、無事屋根の下地まで出来ました。
そのDEWS工法の建て方の様子を紹介しようと思います。

ユニック車(クレーンの付いたトラック)で壁パネルを現場に運んできました。これからいよいよ壁パネルを建てていきます。壁パネルは、カラマツ集成材です。

集成材壁パネルを1列に建て込んで行き、壁にしていきます。敷地境界線ギリギリまで隣家が建っているので慎重に。大工さんたちは、以前このDEWS工法の実験棟を建てたメンバーなので、この工法を経験済み。どんどん建てていきます。

鉄骨土台と壁パネルは、ボルトで緊結していきます。大工さんがボルト締めていますね。しっかり締めてもらいます。

ボルトを締め終わったところです。ボルトを締め終わると倒れてくることは無いです。それでも、念のため倒れ防止の控え材を付けておきます。

壁パネルの高さは、高いもので6mあるので、近くで見ていると迫力があります。

この敷地は、道路境界線の上に電線が張り巡らされているので、電線を避けてユニック車でつり上げるのが大変でした。
立ち並ぶ高さ6mの壁パネルは見事です。

このDEWS工法の建て方紹介は続きます。


現場進行中

新年をはさんで二つの地鎮祭をおこないました。

「取手K邸」は南北に短く東西に長い敷地です。バルコニーやポーチを除くと31坪強ですが、過不足ない間取りではないかと思います。周辺は田畑が残っており、特に北西方向は農地のままで、立派に育った木々も望めます。南側も住宅が建つ様子はまだありません。K邸でも家庭菜園を楽しまれるそうで、しばらくは境界にフェンスを立てる予定がありません。そんな環境がなるべく長く続くといいなと思います。


「草加TS邸」は2世帯住居への建替えです。お母様と共働きの若夫婦が、元気いっぱいの二人の男の子を見守りながら、お互いのスペースも確保できる中庭形式の間取りです。亡くなられたお父様は前面道路を挟んだ河川敷きの散歩道に、いつも花や緑を絶やさなかった方とのことでした。将来的には街並みにも配慮したアプローチをもつ家にしたいと思います。