月: 2013年11月

縦樋パイプの筏での魚釣り

IMG_4605
固い話ばかりでは申し訳ないので、建築にちょっと関係した遊びの話。住宅で使用する、金属製の縦樋の両端を塞いで、水が入り込まないようにして、それらを束ねて筏にした仲間がいて、アルキメデス3号と名付け,最も小さなエンジンスクリューを付け、浮かぶか実験をすることになりました。
その筏の進水式(浸水式?)と称して、西伊豆の小土肥の海に浮かべてみました。
IMG_4585izu
結構いけると、4人乗って魚釣りに土肥の方まで船を進めることになりました。アイフォンや財布、免許証を持っていて、沈んだらどうしよう、という不安を振り払い、途中2000万円クラスのクルーザーの側を、好奇の目で見られるなか、材料代2000円の筏で横切り、フェリーの船着き場の側で釣り始めました。
IMG_4610
自分は小魚二匹程度でしたが、他の3人はそこそこ釣れ、何とか沈まず小土肥まで帰りました。けど出発したときの喫水線は大分上昇していて、殆どのパイプの3、4割は浸水していて、あと30分以上海にいたら、泳いで戻らないといけなかったようです。
IMG_4597
なんで小土肥かというと、30年程前に、仲間20人程で、総額330万円で作ったコンクリートの別荘が、老朽化し、色々問題が生じたので、点検と対策を考えようと、見に行き、そのついでに筏遊びをしようと出かけた次第です。上の写真は道路から続いている屋根の上から眺めた駿河湾の景色です。


茅野の家 引き渡し

P1250873

先週茅野の家は、特に問題も無く完了検査を終え、引き渡しになりました。
遠くの山の頂上は白くなっていて、雪が既に降っているようでした。
外壁の腰上は左官仕上げなので、寒くならないうちに左官工事が出来、無事に竣工出来て良かったです。
気温が低いと乾燥が遅いため”白華現象”が起こりやすく、色むらが発生する可能性があります。
左官工事にとって冬の季節は注意しなくてはいけないやっかいな季節です。

左官

洗面脱衣室ポーチ


被災地再建住宅第一号

IMG_4121

岩手県三陸沿岸に、職人不足で工事が遅れに遅れ、一年がかりでようやく完成した、30坪1000万円の、森の貯金箱プロジェクト、復興再建住宅1号の工事途中写真です。
この住宅は、柱を連結した無垢のパネル壁で構成され、パネル壁は土台や梁と金物や金属パイプで接合され、金物と木はピンで固定する、FSB工法で建てられています。
IMG_4136

この固定ピンを抜くと、パネルと梁等の横架材とは無傷で分離出来ます。そのため、分離されたパネルは異なる間取りの建物にも再使用可能です。
IMG_4552
壁パネルの外側には岩手の地域に合った厚みの断熱材を貼り、通気層を設けて防湿シートを貼り、本来は杉の下見板を貼るんですが、今回は建てぬしさんの希望で金属のガルスパンというサイディングを貼っています。
IMG_4533
内部は、杉の柱材をそのまま現しにして、工事費を節約しています。木材の持つ湿度調整機能をフルに活用しています。
IMG_4525

上の写真は、蓄熱暖房の給湯バルブのヘッダーです。1000万円には暖房工事費は含まれていませんので、80万円程増額になりますが、加算していただきました。暖房はエアコンの室外機と同じ構造のヒートポンプで、深夜電力でお湯をつくり、それをパイプで床下に送り、土間コンクリートを温め、蓄熱させます。この住宅は通常の在来工法の住宅より、3~4倍の木材が使用されているため、建物全体として熱容量が大きく、一度温めると冷めにくい構造になっています。深夜電力で1/3の電気代で、ヒートポンプ方式でさらに1/2の電力使用効率でお湯を作るため、灯油より割安のランニングコストですみます。
IMG_4548
対面式のキッチンから見た、居間食堂玄関方向を見た写真です。
この住宅一軒の木材で釜石地方の森林整備が1ヘクタール進むことになります。


杭基礎再び

今、国交省の先導技術開発事業の助成で、将来予測される大震災で必要となるだろう応急仮設住宅の改善提案を考えています。今の応急仮設住宅は松杭であり、本来2,3年毎に沈下量を計測し、対策を講じる必要があります。4年までとされる仮設住宅が、実際は十年近く使用される可能性があります。松杭の基礎では限界があり、それに代わる基礎を考える必要があります。かといってコンクリートでは撤去費用が嵩みます。
また、今後、高台移転用の造成がなされ、再建住宅が一斉に始まった場合、今まで以上に基礎やさんとコンクリートの不足が予測されます。そのようなことを考えたとき、抜き差ししやすい鋼管杭を考えることでそれを解決できないかとも考えています。

L1060613
写真は軟弱地盤やコンクリート等の重い建築の基礎のコンクリート下に通常使用される鋼管杭で、その杭の先端に羽を付けて支持力を大きくした杭です。
応急仮設住宅の場合は、建設主体が国交省ではなく厚労省なので、建築基準法が厳格に適用されませんので、何とかなりそうですが、恒久住宅の場合は、基準法に基礎はコンクリートの布基礎またはべた基礎、となっていて、単純に杭の上に直に建物を乗せるわけにはいきません。杭には、基礎下で荷重を支持する杭と、数多く打ち込んで地盤改良材としてカウントできる単管等の細い杭とがあります。

IMG_4640
写真はその細い単管の先端に羽を付けて、地盤改良材でなく、撤去が容易な支持杭として、応急仮設住宅に使用できないか研究している杭です。恒久住宅には可能かどうかわかりませんが、少なくとも構造性能を確認し、建築センター等の機関で評定を得る必要があります。


長野県で見た杭らしき基礎

IMG_4700
長野県の現場に行く途中、気になる基礎を見てしまいました。
コンクリートの束石を基礎にした住宅です。

なぜこんな基礎が気になったかというと、今、被災地の復興再建住宅作りで、釜石に通っていますが、そこで問題になっているのは、コンクリートと基礎屋さん不足で、基礎工事ができないことです。それでコンクリートの布基礎ではなく、杭を基礎にできないか、個人的にいろいろな方面で暗中模索だったからです。
理想としては、鋼管杭を基礎とし、それに土台を乗せただけで建築できればすぐに工事が進められます。

被災地の沿岸地域はもともと生コンプラントが小規模で数も少なく、復興事業が始まり、防潮堤などの土木工事でとてつもない量のコンクリートの需要が生じて、住宅の基礎などは、たまたま土木の需要がなかった時にまわしてもらえるる状況です。しかもその時に基礎屋さんが都合つかないと、またいつコンクリートをもらえるかわからないのです。次回アップ予定の森の貯金箱事業で始めた被災地の30坪1000万円の復興再建注文住宅の第一号がようやく完成しましたが、本来1年以上も前に完成していておかしくない工期でした。

職人不足は基礎屋さんだけでなく当然大工さんはじめ、各職方すべてに言えて、それぞれの都合のあった時に作業が進むという塩梅なのです。当然ながら物不足、職人不足で工事費は際限なく高騰し続けています。

釜石は、本来住宅を建てられる土地は少なく、建てられるところも、津波の恐れがあるということで、高台を造成することでしか住宅地は生み出せない地域です。その造成も、候補地がようやく決まり、森林組合に山林の伐採の打診が来たとのことです。しかもその伐採予定地は、虫喰い状態で、残りはまだ売却が決まってないようです。ですから、造成地ができるのはあと数年かかるのではといわれています。今建てることのできる方は、たまたま知り合いが土地を持っていたような方です。こんな状況ですでに、工事費や工期がこんな状況です。

そんなこともあり、何とか杭で基礎を作れないかと思案していて、このような杭らしき基礎の住宅が目に付いたわけです。