月: 2014年5月

西八王子の家 内覧会のご案内その2

西八王子の家の南道路向かいには川が流れ、その両岸は見事な桜並木です。

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この住宅は20坪弱ですが、通常私どもがいろんな家で培ってきた家づくり作法(手法)が随所に込められています。小幅板の吸音天井はもちろん、寄棟の屋根とコーナーのフィックス窓、小上がりの畳の茶の間、奥行の深いキッチンカウンターと配膳台、二階建てでの将来用バリァーフリー対策、ハーフユニットの風呂と大きな窓、食事もできる屋外二階デッキ等々。
というのも、同じ規模で建っていた旧住まいを、構造的には何ら不具合がないのにもかかわらず、壊してまで、私どもが建てている家の雰囲気の家が欲しいから、と依頼されて来たからです。設計者冥利に尽きます。確かに面積的に小さい分、単価的にが厳しいところもありましたが、最初の希望以外、全て任せていただき、それが功を奏して、それなりの出来栄えになれたのではと思っています。

設計者との家づくりは任せられる価値観と感覚で共有できるかどうかが分かれ目であろうと思われます。そして任せるのであれば、自分の意向と多少違ってしまうことも許容する度量を持っていただきたいというのが、設計者の偽らざる心境です。設計者は最初、誰よりもその家を設計者なりの全体的バランス感覚で、可能な限り素晴らしいものにしたいと思っているからです。西八王子の家はそのような意味で気持ち良くやれたケースです。

内覧会は、来週末6/7(土)です。詳しくはこちら

下は現場監理中4月に、屋根の上からとった桜の写真とその後できた俳句です。

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「 桜蕊(さくらしべ) 降りて 還らざる 日々と知り 」

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西八王子の家 内覧会のご案内

来る6月7日の土曜日、建主様のご厚意により、結設計で設計監理いたしました西八王子の家の内覧会を開催できることになりましたのでご案内いたします。

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西八王子の家は、夫婦お二人のための1階床面積が9.75坪の2階建てで延床面積19.6坪というコンパクトな木造住宅です。
日当たりや借景・人通りを考慮して、2階LDKのワンルームの間取り。
南側道路向かい側の桜を借景する2階のコーナー窓、結設計オリジナルの小幅板天井、基礎蓄熱冷暖房、将来設置予定のエレベーター用スペース、チーク無垢材の床、掘りコタツ、左官仕上げの内外装など、延べ床面積で20坪を切ったコンパクトな住宅でありながら、いろいろ満載の住宅になった思います。

将来設置予定のエレベーターは、今後高齢になられたときにもし足腰が弱ってしまった場合でも2階に上がれるように建主様が考えられて、面積が限られている中でもぜひスペースを取ってほしいとのご希望を受けて、エレベーター用スペースを確保ししました。エレベーターを設置するまでは、収納として使用できるようにしています。
建物は、外壁を通気工法の外断熱とし、屋根は通気層付の断熱材を垂木間にはめ込み、夏場の壁・屋根内の熱を逃がすようにしています。
基礎の蓄熱暖房を設置しているので、建物全体を暖めて寒い場所がない家になっています。

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内覧会は、プライバシー配慮のため予約制とさせていただいております。見学希望の方は事例案内申し込みフォーム、または結設計宛にメール・FAXにて下記までお申し込み下さい。
お申し込みの際には、「西八王子の家内覧会参加希望」と明記して頂き、住所、氏名、連絡先、参加人数をご記入下さい。
参加申し込みのご連絡を頂いた方に、詳しい住所などをお知らせいたします。

■開催地:東京都八王子市
■日時 :2014年6月7日(土) 午後2時~ 
    ※時間を変更いたしました。
・結設計スタッフと駅で待ち合わせの場合: 西八王子駅改札前 午後1時30分
・現地に直接行かれる場合: 現地 午後2時
■最寄駅:JR西八王子駅より徒歩で17分ほど(タクシーで約5分)

■申し込み先
事例案内申し込みフォーム
e-mail: office@yui-sekkei.co.jp
FAX:   03-5651-1934


西八王子の家 タイル・左官工事

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南側外壁の2階部分。オリジナルの配合で骨材を混ぜてもらった左官壁です。黒やベージュの骨材が表面にでて独特の質感があります。この左官の質感・表情を出せる左官屋さんがなかなか見つからなくて、今回は結設計の他の物件でもお願いしている左官屋さんにお願いしました。
きれいに仕上げてもらったので、建て主さんも満足いただいたご様子でした。

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2階茶の間のコーナー窓部分。ここは、畳を敷いて掘りコタツが入ります。左側に写っているドアからはデッキに出られます。このコーナー窓から見える南側の川の土手には桜の木が植わっていて春には桜が窓いっぱいに見えます。家の中でお花見ができるほどです。

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キッチン食器棚のカウンターと吊戸棚の間の壁に貼られた、建て主さんが探してこられたこだわりのガラスモザイクタイル。売れ切れだったのですが、わずかに残っていた工場の在庫を確保して実現しました。一枚一枚違った表情で落ち着いた色のきれいなタイルです。

内部の左官工事も来週には入る予定。西八王子の家の工事はいよいよ大詰めです。


大きな落書きと韓国客船事故

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上が前回までの大きな落書きで下が消されてしまった落書きです。

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誰かに咎められたのか、大きな落書きが消されてしまいました。お昼の密かな楽しみが終わってしまいました。

この大きな落書きは、建物の外壁の改修工事です。小さな鉄球で外壁を軽く叩いて、音で浮いているところやひび割れ部分を見出し、浮いている内部にエポキシ樹脂を注入し、ひび割れはそこを少し叩いて拡げ、シールを施してそこに雨水が侵入しないようにします。シール前にそこが分かりやすいように、割れに沿って色分けしながら、マーキングしているのだろうと思われます。その後全面に塗装を吹き付けます。タイルの場合、そこの部分を新しくすることもあります。
通常は建物周囲に足場を組み、養生シートで覆って行う作業ですが、足場ペースがないのか、予算節約のためか、屋上からロープで作業者を吊っての仕事となったようです。ビルの外部からの窓掃除と同じように危険な仕事です。前回屋上から吊り降ろした大きな布は塗装が他所に飛び散らないように作業個所だけ覆っていたものです。誰でも出来るやり方ではありませんが、なかなか合理的でうまいやり方をしています。でもこのような役割を担ってくれる者がいるから、社会は成立しているようなところがあります。
先日韓国で、客船の遭難事故が発生し、多くの犠牲者がでました。その犠牲者の多くは、客船で働いていた関係者の対応如何で助かったかもしれないと思われます。驚かされたのは、船長をはじめ客船で働いていた従業員の業務意識です。
本来仕事は、社会の中で求められた役割を果たすことで社会的認知がされ、働く者の自己の価値確認ができ、充実感が得られます。その証として報酬も与えられます。それが今回の事故の場合、経済競争の中で、いつの間にか個々の働いている者の意識が、その仕事の存在理由である、客を安全に目的地まで運ぶという、社会的役割意識から、指示された作業のみが自分の仕事で、その労働時間(行為)のみでそれ以上の義務はない、という意識の方が勝っていたために、起った事故ではなかったのかという危惧が消えないでいます。つまり、船が沈みそうだから自分の持ち場の作業ではなく、労働時間もそこで終わりになるということで、自らの仕事を切り上げたとも、捉えられなくもないということです。
これは、多くの職人の作業の積み重ねで出来上がる、建築等のものづくりの世界では考えられないことです。しかし建築の業界も今日の価格競争から、建設費の限りない生産の合理化要求で、手をかける度合いを少なくせざるを得なくなり、現場で働く者の役割意識を社会的なものから局所的な役割分担にさせていく傾向にあります。役割意識もそこでの仕事がなぜ成り立っているかの認識がないと、自分はこれだけやればいいという、単なる身内ないでの持ち場の役割だけの意識で、客船事故と同じ過ちを犯しかねない気がします。これはJR北海道のような大きな組織になればなるほど、より形骸化し、その傾向が顕著になる危険が潜んでいるのでは、という気がします。
だれでも自分のやれることには限界があり、自分の持ち場だけで精一杯なのかもしれません。小さい現場でも各個人の全体的役割意識の鈍化は抗い難く、限られた時間内だけ言われた通りやればいいのでは、しかもそれをうまくやれさえすればよい、というようになってきているように思えます。このようになったら建築の現場は難しくなります。建築は色々な役割を担いあうことによって全体が成立する世界です。
韓国での客船事故は決して他人事で済ませられません。その因子は日本にも蔓延っているのか、今建築の現場では各種の検査や審査が多くなり、かつやたら細かくなって来ています。しかも殆ど重箱の隅を突っつくような指摘が多く、本末転倒ではないのかと思われることが多くなってきました。これはまた長くなりますので、又の機会にします。


武蔵野の家 着工

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4月の始めに、武蔵野の家の地鎮祭が行われました。
お日柄も良く、また天気もとても良い日で恵まれた1日でした。

武蔵野の家は、地下RC造1階地上木造2階建ての混構造の住宅です。
地鎮祭の時に地縄張りをしてもらい、建物の位置を確認しました。
図面上の建物が実際に敷地に配置されてみますと、思っていたより広いなと感じました。

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現在は着工していて、地下のための大きな穴が掘られています。
これから鉄筋が敷設されていき、コンクリートを打ってRC造の地階が完成していきます。


三鷹M邸 1年点検

先日、三鷹M邸の一年点検を行いました。節目ごとの点検のたび、時の流れの速さを実感させられます。
木造住宅は構造体を含めた多くの部分に木材という天然の素材を使用するため、竣工後も木材の膨張や収縮が起こります。それらの動きにより発生した不具合などを調整するのが一年点検の目的の一つなのですが、設計者にとっても、一年点検は建て主さんに住み心地や各ヶ所の使い勝手などを直接伺うことができる良い機会です。
その中で、心地よく住まわれていることを聞けるととても安心させられます。

今回は、建主さんのご厚意で一年点検の終了後に数名のお客様をご案内させていただく機会をいただけたため、事前にお問い合わせいただいていた方を数組ご案内させていただきました。
使い勝手やプランのポイント、居住性などを実際に住まわれている建主さんにご説明いただける大変ありがたい機会となりました。
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