月: 2015年4月

設計者が違うと同じ住戸もこんなに変わる!−間取り編−

最近リフォーム等の相談が多くなり、世間のリフォームの実態が明らかになってきました。不動産会社や家電メーカー等、非建築領域の職種が進出し、よく考えてない提案が平気でされているようです。多くの商品から選ばせる物販の仕方を住戸のリフォームでもしているようです。

リフォームは物販と違って、依頼者の住戸は一つしかなく、提案されたものしか選択肢はありません。リフォームを依頼する方も、他にもっといい提案があるように思いながら、知識も情報も少なく、よく想像できないまま、今よりましになるならいいかと、提案された案で妥協されているようです。設計を生業としている者からすると、最善でないとわかるような提案をする設計者は許されない、と思ってしまいます。ここでは依頼される方もしっかりした目を持っていただきたく、設計者が違うとこうも住戸が違ってしまうと言う事例を取り上げます。許せないという感情が多少入ってしまいますがご容赦ください。

家づくりを考える際、一般的には、専門の設計者にまで頼むまでもない、そんな格好いいものでなくていいから、あるいはどこが良いかも分からないから、工務店付属の担当設計者でいいと考える方が殆どです。私たち設計者からすると、病院に来ているのに、専門の医者でなくて、看護士さんの処置でいいです、と言っているようなものです。特にマンション住戸等の改装では外壁が決まっているため、誰がやっても同じだろう、自分の考える通りにやってくれればそれでいい、と考えがちです。 そこで、設計者がプラスアルファーを提示してくれる職業と考え、自分にはそこまで必要ないと言う方に、それだけではなく、むしろ気付かないマイナスをリカバリーしてくれる職業でもあることを示してみようと思います。

あるマンション住戸の改築を例に、あまりに当たり前のことなので、強調する程のことではない、と普段口にしていなかった設計内容の意図を、敢えて例示しながら、そのことを紹介してみます。美醜や好み等、人によって判断が分かれるデザイン的な要素は一切取り上げず、誰もが必要で当然と思える機能のことだけに限定して比較します。 下の図面は賃貸住宅の401号室と402号室の間取り図です。401号室にオーナーのご子息家族(夫婦と2歳の男の子と一歳に満たない女の子の4人家族)が住んでいます。4人で住むには手狭になり、402号室と壁の一部を刳り抜いて繋げられないかと相談され、構造計算上余裕があるので可能ですと答えました。 floor_plan_a それで、奥さんがある大手の電気店のリフォーム部門の設計者に書いていただいたのが下の間取り図です。 floor_plan_b 気なったところを挙げていきます。

1、子供が男の子と女の子の二人なのに一部屋で過ごさせようとしています。たぶん二部屋必要になったら、リビングを子供室にするか、親の寝室にしようということなのでしょう。そうなるとクローゼットが遠くなります。テレビの置き場はどうなるのでしょうか。

2、間取り図に食卓やテレビ等各家具が、どの程度の大きさのものをどこに置くのか明示されてないので、数年後が気になります。あるいはその時は新しいマンションに引っ越せということなのでしょうか。それはずっと賃貸住宅を転々とする住居の考え方で、それはそれで一つの考え方です。しかし内装をこれだけ全面改装するのですから、それなりに工事費もかかり、出ていくときの復旧費も必要になります。改装に投資するなら長期間使用続けられるように、よく考えないと費用の無駄使いになります。

3、ベランダのある側が南ですが、提示された設計は、日中いない子供室と寝室に長時間陽射しを入れて、滞在時間の長いダイニングには朝の短時間しか陽が入りません。リビングが寝室か子供室になったら、その度合いはさらに増します。その場合さらに狭いダイニングのみになり、キッチンも北側の小窓しかありません。最近、年頃になった子供が自分の部屋に閉じこもってばかりいる、とよく問題にされます。なのに、このように子供室は広く陽当たりの良い部屋で籠りたくなる部屋にし、家族皆が居てほしいダイニングは、狭く居心地良いとは思えない空間でいいのか気になります。

4、キッチンの幅も狭く、子供が年頃になり食欲旺盛な年代になっても、厨房関係の配膳台、食器戸棚、食器乾燥機(棚)電子レンジ、炊飯器、ポット、トースター、ミキサー、等々の置き場は十分確保されてあるのか不安です。 5、当面、親と子供たちは布団を並べて寝ているというのに、大きいクローゼットはあっても押入れはクローゼットの奥にしか置きようがありません。 6、キッチンの幅や洗面化粧台の幅は狭い割には、これから工事しようというのに、その脇に中途半端な埃溜まりスペースが余ったようにあります。下足入れの長さの少なさも子供が大きくなった時を考えると、靴の収納量は足りるのでしょうか。玄関から見えるトイレの入り口で、大きくもできず不安になります。

しかし、確かに他の人が作った計画はいかようにも批評できます。それで対案として考えられるのが下の間取り図です。 floor_plan_c 上の案で気になったところは殆ど何とか解決しています。 1、子供室は一人4.5条と多少小さくなりましたが、将来クローゼット等で仕切り、独立した二室にできます。子供が小さく一緒に寝ている間は子供室二部屋分を寝室にして、予定の寝室は子供の遊び場や泊まり客の寝室にもできます。そのためウオークインクローゼットはどちらからも使えるように廊下が入り口になっています。子供室の押し入れは奥行きを少し深くして夏冬入れ替えられるように、二列のクローゼットにもできるようにしています。寝室用の押入れは居間との境の廊下に面してあり、どこの部屋にも運べるようにしています。 2、リビングとダイニングはもっとも長い時間、陽射しが入る位置に、広くはありませんが、食卓、ソファー、テレビ等それぞれ必要なスペースを確保してあります。 3、その上で、キッチンは最も規格品の種類の多い幅が250㎝のタイプの対面式で、しかも奥行き30㎝、高さ1.15㎝のカウンターを設け、その下30㎝分流し台の奥行を広くしてあり、見せたくない洗剤等をカウンターで隠して置けます。その下は食堂側から使用できる食器棚になっています。食卓も6人がけがゆったりおくことができます。テレビも十分距離をとったソファーからだけでなく、キッチン仕事しながら一緒に観ることができます。キッチン後ろに、高さが70㎝のが配膳台収納、上が食器用の吊戸棚で、間の50㎝の空間に電子レンジ等、様々な機器類を置けるようにしてあります。流しの排水は、西側の壁際の床を必要な分だけ持ち上げ、浴室下を通してパイプスペースの縦管に繋げます。レンジフードからの排気も同様に既存のダクトに繋げます。 4、洗面台も少し広めのものにし、洗濯機との間に仕切り板を腰高に設けることで、洗濯機が気にならなくなり、後ろにはタオルや下着等の洗面所専用の収納も設けてあります。玄関からの廊下に本棚や予備の収納を置くスペースを設けてあります。場合によってはその収納を上下だけにし、その間をパソコンを置くスペースにすることもできます。

これらは、依頼者に要求されなくても、考慮に入れるべき設計作法の一部です。 好みなど、主観の入らない間取りだけでもこれだけの違いがあります。費用増もせいぜい401号室と402号室を繋ぐ開口部が一つ多くなった分ぐらいかと思われます。キッチン周りを充実させてある分も多少増になるかもしれませんが、不要であればやらないでも済ますこともできます。むしろ食卓の西側の壁際に奥行30センチほどの引き戸付きの棚を食卓の高さに合わせて置くと、若干の費用増にはなりますが、より充実し余裕も生まれ、パソコンコーナーにもなります。

設計者と一緒に計画するということは、その他にも現状で結露の有無によっては断熱性能の向上、照明の内容やスイッチの位置、設備機器の機能内容やデザイン、部屋の色や素材構成、空間デザイン、様々な選択肢を提案してもらい、検討しながら進められるということです。たとえば空間デザインの要素になりますが、提案したリビングダイニングの東西の壁は、何もおかずに広く大きな壁にしてあります。それによってその空間に落ち着きとゆったり感を生み出すはずです。でもこのようなことは、殆どの方は気が付かないと思われます。大手のリフォーム部門で提案された間取りで暮らした人だけが、その違いに気が付くのかもしれません。設計者としては寂しいことです。 さらに、気が付かないかもしれませんが、提案した間取りですと、工事期間中、401号室にそのまま住み続けながら、402号室の工事ができ、402号室の工事が終わったら、そちらに引っ越して、401号室を工事し、工事期間中、他に部屋を借りる必要がありません。その費用分を設計料にあててもお釣りがきます。設計を生業する者なら誰もがそこまで考えることです。


中古物件の評価

住宅は完成した時がすべてではない、とよく言われます。
通常は長く住み続けられることを大事に考えないといけない、という意味で使われる言葉なのですが、全く考えていなかった方向から、その真価が問われることがありました。先日私どものところに相談に見えられた方に、どこで私どもを知りました?とお尋ねしたら、中古物件を探していたら、気に入った住宅があって、すぐに申し込んだら、すでに買い手がついていたということで、取扱っていた不動産屋さんに、その物件を手がけた設計事務所はどこ?と聞いて私どもを知ったということでした。
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その住宅は6年ほど前に設計監理をさせていただいたもので、事前に建て主さんから、事情ができて関西に引っ越すことになり、売却せざるを得なくなった、と伺っておりました。建て主さん曰く、とても愛着があって、時間かかってもいいから、とかなり強気の価格を設定したとおっしゃっていただきました。しかしひと月もしないうちに売れたということでした。
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まさかその住宅を購入しようとして私ども知っていただくことがあろうとは、思いもよりませんでした。
そういえば、十年程前のことですが横浜と内房の方で、当時からさらに17年ほど前に、私どもが設計監理した住宅を、土地価格は近隣の相場価格で、横浜の方が当時1600万円の工事費で建てた家を1000万円で、内房の方は1800万円で建てた家を2000万円で売ることができたとおっしゃっていたことがありました。これからの時代はますます流動化し、住宅も売却されることが多くなることを考えると、その時にまさに住宅の真価が問われることになることを、肝に銘じなければいけないかもしれません。


つくばK邸 上棟

つくばK邸の上棟時の写真です。
前日までぐずついた天気が続いていたのに、この日はカラっと晴れてくれました。

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とても入り組んだ構造に見えますが、これから長い時間、一本一本の木が屋根を支え、床を支え、うまく荷重を分け合って支えあってくれていきます。

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二台分の車庫の大きな屋根を支えるために、車庫の天井には梁せい600の梁が通っています。現物を見るとあまりの大きさに驚きますが、頼もしい梁です。
リビングの天井にも勾配天井の屋根を支える大きな梁があります。

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見えなくなる力持ちに感謝しつつ、無事に棟上げまで工事が終了したことにも感謝し、この先も無事に建物が完成することを祈願してまいりました。


マンションや戸建て住居の改装・段階ごとアドバイスの用意

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最近なぜか身内に近い関係者から、改装アドバイスを求められることが多くなりました。ここ1年で4件です。身内はともかく改装相談は簡単なようで案外難しいです。何が難しいかと言ったら、こちら設計者側の対応ではなく、改装しようする側の方の状況や意向の的確な把握です。状況が的確に分かれば、技術的には殆ど何とかやりようがあり、判断もできます。ところが、改装しようとする方の条件の出し方が分かってなかったり、意向の全内容とその中の優先順位、それと条件等の抜けがあったりして、状況把握が難しいのです。特に改装は部分的で簡単に考えている方が多く、自分の状況をよく整理しておらず、説明も不十分で、言いたいことが多い割には、抜けも多く、それが心配なのです。本人が気づかない、あるいは大したことでないと思っている事柄も、そのことが設計を考えていく上で、結果を変えてしまう大事な場合もあります。新築と違ってその方の改装へのスタンスの置き方が軽いため、しっかり設計依頼してつくるつもりもなく、状況整理や説明が疎かになりやすいのです。そのせいか、継ぎ足し継ぎ足しの増築を繰り返している方が時々見受けられます。
それと自分の関わりの度合いを決めることが難しいです。これまで間取り程度やアドバイスだけでいいということで工事を始め、完成後呼ばれて見せて頂き、あそこをなぜこうしなかったのか、とか、ここをもう少しこうしておけば良くなっていたのにとか、と残念に思うことが少なくないからです。なぜ最初に教えてくれなかったのかと責められそうですが、それを事前に察知して手を打つには、実施設計まで自分がしない限り無理なことです。設計の価値はその方がその設計者の価値のバランス感覚や嗜好をどの程度に理解しているかで決まります。それを理解していない方には、その価値を言っても押し売りになるだけで、難しくなることも見え、気が進みません。そのため、アドバイス以上に踏み込めなくなります。
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一般的に殆どの方は、改装に限らず設計はマイナスにしないためには大切とは思っても、設計であらゆるところに散りばめられ、一言で言いきれないプラスの良さの体験がない場合、設計の重要さと難しさへの認識がありません。誰が設計しても同じだろうと思っています。釜石で再建住宅のお手伝いをしていて、予算も厳しく、やむなく建てざるを得ない方が殆どのせいか、それが嫌というほどよくわかります。設計は工事屋さんのサービス程度の認識です。設計者にしてみれば、工事費とは別に、額の多寡に関係なく、予算を設計にも割り振る意識を最初に提示して相談すれば、誠実な設計者なら喜んで協力してくれます。
しかし、殆どの方は予算がが少ないからと、設計料分は工事費に回したいと考えます。そして設計は自分が指示した間取りを工事屋さんが作図してくれれば十分で、プロの設計者は予算に余裕のある人が頼むもの、という認識です。いざとなったらどんな家でも住めるという住宅観が、提示された工事屋さんの間取りが、よく吟味されてあるかどうかも、また人によって吟味する内容が違うことも気にしません。設計者の必要性を感じないまま、それでいて工事屋さんの設計者にさえ、プロなんだからちゃんと考えてくれるだろうと、自分の吟味への怠惰に都合よく解釈して対応されます。自分はできてみないと分からないのだからと、想像力を働かせようとせず、提示されたものによほどの不具合でも見えなければ良しとしてしまいます。ですから設計の良し悪しは、他と比較して見るまで分かりません。分からない以上要望も口にだせず、できてみて後悔します。それでよく、「家は、三回建ててみないと、いい家は出来ない」と言われます。
工事屋さんがする設計は、設計費用が工事費に含んで支払う以上、設計者が気にする、使いにくさや出来上がりの雑然さなどは、言わない限り気にする必要ないよ、それより工事費の少ない方法を考えなさい、と依頼者が許容しているのだという自覚がありません。上の写真は27年前のマンションを昨年かなりの低予算(400万円程)で全面改装した住戸です。
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つい最近アドバイスした方も、設計が重要という意識がなく、工事屋さんに依頼したようでした。しかしできた2戸を広い一戸にする間取り図を見せてもらい、改装する者の条件はだいたい読め、既存の状況の良さを引き出せてないまま、要望も十分満たしておらず、依頼者も予算がないからと仕方なくすべて我慢しようとしているのが見て取れました。また改装する本人が見えてない問題や先々の展開も読めてないところも多く、身内関係者でもなければ私もスルーするところです。見た以上知らんふりもできなく、仕方なくアドバイスせざるを得なく、あまり意向を汲むことも、説得することもなく、確認だけしながら、予算も変わらず、殆どの要望を満たし、工事中も引っ越しせずにすむ、全く異なる間取りで、既存の状況から引き出せる最善と思える変更スケッチをアドバイスするだけで済ませてもらいました。それを見て、こんな間取りもできるのか、ということが分かったようで、それで進めるようです。本当はその後のことも重要なんですが、決まっている工事屋さんへの礼儀もあり、その辺でとどめることにしました。
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正直、身内関係者からの依頼は気のりしません。なぜなら、関係性だけできた相談は、その方なりの設計者のイメージがあり、私の考える設計を良しとして来ていることが少なく、関係者なんだから言うことを聞いてくれるのが当然、という方が多いからです。それはそれでちゃんと依頼されれば構わないのですが、設計の持つ多様な可能性に対する認識がなく、親しい分、要望の出し方そのものが設計の可能性を封殺するかのようになっていることがあります。かと言って住宅の単なる不具合程度なら容易に説明できても、その先の良さや価値観のようなものまでは、事前には説明しにくいところがあります。できればホームページの事例等から嗜好や価値観を読み取って、関係者だからこそざっくばらんに条件提示をして、相談していただいた方が良い結果を得られるのです。私どもの設計事例を見て殆どの方は予算があるものばかりだと思うようですが、個々の実際の建築費用を示すと、建築に詳しい方ほど、その安さに驚かれることも少なくありません。専門家としての長年の経験から提示する案は、いろいろな配慮や忖度をして提示するもので、言葉にできない部分も多くあり、それを納得させようとすると、関係性から押し付けるようで、抵抗あるのです。設計の仕事は大悪人からの依頼だろうと、予算が少なかろうと、与えられた状況で、最善の在り様を考えることなのです。設計がうまくいくかどうかは設計者にもよりますが、本当は依頼する側の見識と条件提示や状況説明の的確さ、それと設計者の価値観への共感や信頼の有無で決まることが多いのです。
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古いマンションが多くなり、借り手や買い手がつかず困っている方や、新築マンションが高いので、安い中古を購入して自分なりに改修したいと考える方が、今後ますます多くなると予測されます。私どものところは新築が多いせいか躊躇して、来られるタイミングが遅すぎる方が多くおられます。むしろ気遣いせず、割り切れるように段階ごとに料金設定をして、初期段階から気軽に相談でき、計画のステップに応じて協力してあげる仕組みを用意したいと思います。まずは自分でもセルフチェックできるチェックリストを公開し、その上で相談したいと思える方に、カウンセルのメニュウで対応させていただこうと思います。
リフォーム・リノベーションの詳細はこちらをご覧ください。
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住宅取得資金の贈与に係る贈与税の非課税措置

館林市で平屋の住宅の工事が始まりました。
広い敷地をお持ちなのですが、周りの住宅や会社の工場の人々の出入りが割と多い場所であり、それら周りの視線をなるべく気にせずのびのびと過ごせる住宅をご希望でした。当初は2階建を希望されていましたが、様々な検討を重ねていくうちに中央に大きな中庭をとり、2台分の車庫と居室、LDKでぐるっと囲ったロの字型の平屋の案を気に入って頂き、ついに工事着工となりました。

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この工事着工に至るまでに多くの図面や書類を作成し、工事着工までの準備をするのですが、今回その準備段階で耐震性能評価の証明書の発行を行いました。
耐震性能評価とは柱や梁、主要壁、基礎などの構造躯体の強さを評価し、地震、暴風、積雪の3種類の力の作用がどの程度大きくなるまで、傷を受けたり壊れたりしないかを、等級により表示することなのですが、その表示を第三者機関の評価としてその証明書を発行してもらったのです。

耐震等級は1~3まであり、耐震等級1が建築基準法の定める[数百年に一度の大地震でも倒壊・崩壊せず、数十年に一度の中地震でも損傷しない]対策がなされている住宅です。
耐震等級2はその1.25倍、等級3は1.5倍の対策がなされている住宅です。

この耐震性能評価の証明書を準備しておくと、保険の割引などのメリットがあるのですが、今回の最大の目的は[贈与税の非課税措置]のための対策です。耐震等級2以上の証明書がある住宅とない住宅では、非課税枠の額が大きく変わります。贈与の年により異なるのですが、例えば平成26年ですと耐震性能評価書のある住宅で1,000万円、ない住宅で500万円となります。そのためこのような証明書を事前に用意し、対策をとっておくことがとても大切になります。


「武蔵野の家」プチ見学会のお知らせ

4月14日(火)に「武蔵野の家」の1ヶ月点検を行います。
その際に、建主様のご厚意により住まわれている住宅を見学出来る機会を設けることが出来ましたので、お知らせします。

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居間・食堂を2階に計画した地下1階地上2階建ての都市型住宅です。
結設計では珍しく?敷地いっぱいに建てているので、屋根の出はあまり出ていません。
敷地は、間口が狭く奥に深いかたちで、中庭を設け光を入れる工夫をしています。

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日当たりや、前の道路の人通り等を考慮して2階に居間食堂を設けた間取り。
2階の居間は、薪ストーブがあり、天井は小幅板天井です。
1階には、車庫が組み込まれています。
地下は、納戸とオーディオルームになっています。

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建物は、外壁を通気工法の外断熱とし、屋根は外断熱の上に通気層を設け、夏場の壁・屋根内の熱を逃がすようにしています。
また、基礎蓄熱式暖冷房と2階居間食堂には温水床暖房を入れており、居間や食堂・キッチン、寝室はもちろん浴室やトイレも含めた家全体が、ほぼ同じ室温になるので、ヒートショックになりにくい家になっています

ご興味のある方は、内覧会申し込みフォームにて、お名前・ご住所等をご記入の上お申し込みください。
お申し込みをしていただいた方には追って詳細をご連絡致します。

■開催地:東京都武蔵野市
■日時 :2015年4月14日(火) 午前中(10:30~)
■最寄駅:JR中央線 三鷹駅から徒歩5分


市街化調整区域の開発許可

市街化調整区域とは、いわゆる「市街化を抑制すべき」とされる区域で、[都市の周辺部における無秩序な市街化の防止]や[良好な宅地水準を確保するために公共施設や排水設備等必要な施設の整備を義務付ける]目的で、開発行為や建築行為等に都道府県知事等の許可を義務付けている地域です。

現在市街化調整区域は、国土の約10%を占めていて、約1205万人(9.5%)の人々が暮らしています。
全国で言うと10%という割合ですが、現在開発が進み建設が盛んなつくば市では、面積28,407ha全域が都市計画区域に指定されています。このうち市街化区域が18.8%,市街化調整区域が81.2%となっています。
つまりつくば市で家を建てようとするとほぼ必要となってくるのが県知事の開発許可申請なのです。
つくばエクスプレスのお蔭で、浅草からも直通で40分、東京へも通勤圏内ですし、つくば市の人口は増え続けています。

そんな人気の土地であるつくば市で現在新築の住宅工事が進んでいます。
8筆の土地をお持ちで、そこに広い庭を持った住宅を建てる計画です。
もちろんこの計画地も市街化調整区域ですので、開発許可申請が必要となりました。
さらに今回、1筆の地目が[農地]となっていたため、開発許可申請の前に農地転用の許可申請を農業委員会に提出しなくてはなりません。ですがこの農地転用….とても時間がかかるのです。
さらに敷地が1,000㎡を超えるか超えないかで、県から求められる排水設備の規模が大きく変わってきます。
これらの規定を、言われるがままにただクリアしていくと計画から着工までにただただ膨大な時間とお金がかかってしまいます。これらのかかる時間とお金は本当に建て主が望むものなのか。素直な順序の申請が本当に正しい方法なのか。とても悩みました。
それゆえ地域の不動産屋さんや役所の方々から様々な知恵を頂き、庭の活用内容や施工の順序の様々なパターンを考え、申請の順序をしっかり考え直すことで、今回計画完了から着工までをなんとかスムーズに迎えることができました。

都道府県知事によって多少内容の異なる開発許可ですが、様々な道を諦めず探ることで、ややこしい開発許可申請も少し攻略することが出来ました。

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着々と工事が進んでおります。


日々の小さなワンダーを慈しめる?

赤ちゃんと接すると、彼らには日々すべての時間がワンダー(驚きや不思議)で満ち溢れているのがよくわかります。よく眠れておなかが満ちてさえいれば楽しくてしょうがないようです。本来そのワンダーは幾つになったとしても、私たちにもあるはずで、その年なりのワンダーを日々見いだせないのは、何かに囚われていて、入ってこなくなくし、楽しい時間とも疎遠にしているのかもしれません。

先週土曜日、森の貯金箱事業での釜石地方森林組合の構造見学会がありました。工法説明を終えて、盛岡までの車中、雲一つない晴れた夕方の東の空に、山の端から驚くほど大きな月が顔を出しているのが見えました。今夜の皆既月食は確実に見れる!ということで、同乗のある者は娘さん家族とキャンプに、もう一人は家族とテニスコート付きの温泉で汗を流して、その後いっぱいやりながら露天風呂から見ようと予約を入れていました。自分は、どうしてもその時間は盛岡から乗る新幹線の車中になってしまいます。やまびこで途中下車するか、と計算してみたら、6時50分の盛岡発のハヤブサに乗れば、皆既月食の時刻の10分前に大宮に着く、よし、俺もホーム南側の端から見れるかも!ということで、「いい皆既月食を!」と駅で分かれ、家にも電話で皆既月食の時刻を教え、1300円の贅沢弁当を買って乗りました。指定席が1号車とあり、さい先いいと思いましたが、どうも宇都宮を過ぎたあたりから、空が暗い。大宮について、降りた客の歩く方向と逆に、駅員に訝しがられながら、ホームの南端に荷物を持って駆け寄り、南の空を眺めたらやはり暗い。星一つ見えない!

これも一つの(逆)ワンダー。天候を恨むも、ここまでわくわくして来れたことを喜びとするかは自分次第。これにめげずに、いつなんどきでも日々、自分なりのワンダーを大事にして行こう!写真は工事途中の釜石森林組合事務所の内部です。建築事務所のサイトらしきことも言いいますと、この森林組合事務所の建築は、FSB工法で為されたことで、地域材使用量が95.4㎥/製品、丸太で190.8㎥、3haの間伐ができ、森林関係者の90人/日の雇用を生み、建設関係者の300人/日の雇用を創出しているとのことです。(釜石地方森林組合)
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昨日見た椿の花

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地域の福祉サービス施設

東京の新宿で、複合型サービス福祉事業用の建物の現場が進んでいます。鉄筋コンクリ―ト造の現場です。

坂町ミモザの家は、かいアソシエイツの浦口さんがデザインと工事監理、結設計が実施設計と工事監理、辻建設さんが施工を担当しています。
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この施設は、こういった問題に対して、広い地域を対象とした大きい病院や施設で対応するのではなく、住み慣れた地域の中で高齢者を支援するための施設です。

今まであった小規模多機能型居宅介護(デイサービス・ショートステイ・訪問介護を受けることができるサービス)に「訪問看護」ステーション機能を加えて、医療を必 要としている方が、慣れ親しんだ地域と家で、家族や身近な人たちに囲まれて暮らし続けることを、サポートしていくそうです。

高齢になって残された人生を自宅で穏やかに過ごすことは、多くの人が望むことではないでしょうか。
ただ介護する家族も大変ですよね。用事を済ませるのに数日間家を空けることも大変になりますし、病院に行くほどではないけどちょっと調子が悪い時などもありますよね。
そういった時に、日ごろから相談できるところが近所にあって、数日預けて用事を済ませる等もできれば助かることが多いと思います。そういったことが出来る施設になるとのことなので期待しています。

建物が出来た後、どのように運営されて地域に根付いていくかが今から楽しみです。