中古物件の評価

住宅は完成した時がすべてではない、とよく言われます。
通常は長く住み続けられることを大事に考えないといけない、という意味で使われる言葉なのですが、全く考えていなかった方向から、その真価が問われることがありました。先日私どものところに相談に見えられた方に、どこで私どもを知りました?とお尋ねしたら、中古物件を探していたら、気に入った住宅があって、すぐに申し込んだら、すでに買い手がついていたということで、取扱っていた不動産屋さんに、その物件を手がけた設計事務所はどこ?と聞いて私どもを知ったということでした。
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その住宅は6年ほど前に設計監理をさせていただいたもので、事前に建て主さんから、事情ができて関西に引っ越すことになり、売却せざるを得なくなった、と伺っておりました。建て主さん曰く、とても愛着があって、時間かかってもいいから、とかなり強気の価格を設定したとおっしゃっていただきました。しかしひと月もしないうちに売れたということでした。
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まさかその住宅を購入しようとして私ども知っていただくことがあろうとは、思いもよりませんでした。
そういえば、十年程前のことですが横浜と内房の方で、当時からさらに17年ほど前に、私どもが設計監理した住宅を、土地価格は近隣の相場価格で、横浜の方が当時1600万円の工事費で建てた家を1000万円で、内房の方は1800万円で建てた家を2000万円で売ることができたとおっしゃっていたことがありました。これからの時代はますます流動化し、住宅も売却されることが多くなることを考えると、その時にまさに住宅の真価が問われることになることを、肝に銘じなければいけないかもしれません。