「森の貯金箱」移築プロジェクト後半

遠野市で解体された建築部材は、盛岡市のアイスアリーナに運ばれ、再度同じ部材で建築しました。今度は、一日目基礎と足場組み立て、二日目一日で再築完了、三日目に機具取付け、と実質三日で建築完了です。
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内部の写真を前回のブログと同じアングルで撮影しました。
気を付けてみて頂くと、前回の写真の窓の外に足場が見えます。今回のにはありません。展示期間は29日と30日の二日間でしたが、今回の事業推進の地元の若手二人が、NHK岩手の「おばんです」で取り上げられ、インタビューされたせいか、600組の方が中に入って、ロフトにまでのぼり見ていかれました。
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29日、私はサボらせていただき、30日だけ説明役をしましたが、この家の小ささが受けたようで質問が相次ぎ昼食をとる暇がなかったぐらいでした。
正直、解体移築という需要は現段階では殆どないと思われます。ですが、週休二日が完全実施され三日制も予想される時代になり、人々の生活が増々多様化されていくと、週日は職場近くのマンションで、週末は自然豊かな場所で個人個人の気のいくままの生活の器にこの家は、移築が容易ということで、障壁を低くし、考える方が多くなるのではないかと思われます。
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結婚して最初は借入が少なくてすむ夫婦だけの小さな家を建て、子供が個室を必要となったら、車庫とその上に子供室を乗せたもう一つの小さな家をつくり、その間を二階デッキで結ぶという形態も考えられ、実際それを実行しようと言う方もおられます。あるいは、もう一つを店舗やアトリエにしようというパターンも考えられます。一個だけで考えるとイメージが大して広がりませんが、ニコイチ、サンコイチで考えると大きく膨らみます。
建築が不要になったら、解体して、その部材を子供世帯が独立して建てる新しい住宅に再使用することもできます。中古市場が整備されていればそこに売却もできます。
そうすることで廃棄物を少なくし、燃焼して二酸化炭素も出さず、かつ木材の生育年数以上固定し続けることができ、自分に家が環境負荷を軽減することに役立っていることになります。
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この4m及2m材併用の建築は、今日の空き家問題化している、古くて壊さざるを得ない、従来の工法の木造建築も、もしかしたら、解体した柱の上下を切り取って2.1m材にすれば、それを束ねてパネル化し、FSB工法の壁部材として再利用する道のヒントを与えてくれているのかもしれないという気もしています。
いずれにしろFSB工法が既存の市場でしのぎを削り合うのでなく、新しい生活スタイルや文化を築き、持続可能な、全く新たな市場をつくり出せたら楽しいなあと思っています。
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