2010-12-20 

2007年の3月から7月の丸5ヶ月間、ヨーロッパを旅してきました。
スペインから入り、建築を見ながら北上して、フィンランドから帰る、自分なりの建築行脚です。
訪れた国は、13カ国46都市。こんな長旅なのに、銀行の手違いで国際カードが作れず、5ヶ月間の旅費を肌身離さずの旅となってしまい落ち着かず、旅費が少なくなるに連れてドイツではペットボトルがお金にも見えてくるのです。
野宿やホームで夜明けを待つ日は数知れず、ちゃんとした食事も取れないのでもうあんな旅は出来ないと思います。
しかし、もし機会があればまた行ってみたいなと不思議と思う。おかしなもんです。
でも、今度旅をするなら日本全国を見て回りたい。と言うのも、ヨーロッパの旅の途中で知り合った旅人に日本の事を紹介する時、訪れたことがある京都、想像がつく北海道と沖縄ぐらいしか紹介できなかった。そんな自分がなんとなくもったいないように思えたのです。日本の善さはもっとあるはず。それを知らないで居るのはもったいないと。
建築行脚の旅が仕事に役に立たなくても、海外に出たことによって、改めて日本に目を向けられるようになったので、それだけでも旅をして良かったと思っています。

ヨーロッパ地図

 

(投稿者:) コメント / トラックバック (0)   15:00 pm

2010-06-12 

quaibranly

さて、フランス建築シリーズも今回で最後、つまりネタが切れたということで、写真が少なく単独での展開に無理を感じた建築たちの紹介とします。終わりの始まりを飾るのはケ・ブランリー美術館の垂直庭園です。美術館自体はJean Nouvelですが、このグロテスクなまでの壁面緑化は植物学アーティスト(?)のPatrick Blancによる作品です。日本では金沢21世紀美術館の緑の橋などを手がけた髪の色まで緑な方です。(髪の色は今は違うかもしれません。)実は今回の旅で一番強烈な印象を持ったのがこの壁で、全く知らなかったからという些細な側面もあるのですが、何が凄いってこれだけ豊かな植物群を育んでおきながら全く土を使っていないらしいのです。つまり軽いわけですね。建築的にはとても有利です。絵的には不自然極まりないのですが、これも自然ということでしょうか。

Palais Royal

さて、次はパレ・ロワイヤルです。ルイ14世が住んだことでこう呼ばれるようになったらしいです。中庭に円柱が並んでいるのが有名ですが、工事中で見れなかったので周囲の回廊を歩きました。回廊沿いは比較的高級な店舗が並んでおり、それぞれのウィンドウも趣向が凝らされていて面白いです。ここまで誰もいないのは深夜に訪れたからで、多分昼間は賑わっていると思います。

louvre1

louvre2

続きましてはパレ・ロワイヤルの目の前にあるルーブルです。ガラスのピラミッドが有名ですが、建物はでかすぎて印象が薄いです。ただ、中庭は非常に気持ちがよく、時間があればのんびり過ごしたい空間でした。開園の頃に行ったので人もまばらで美術鑑賞としては今回の一番の目的だったラ・トゥールの大工ヨセフを誰もいない状態で鑑賞できました。例のモナリザの部屋も人はまばらでしたが、ロープで遠くからしか見れず、しかもガラスが反射するのでちゃんと見たい方は双眼鏡必須です。2枚目はロビーですが、ここを眺めているのも意外と面白かったです。

tokyo

Musée d'Art Moderne de la Ville de Paris

美術館続きで、市立近代美術館です。フランス語だとMusée d’Art Moderne de la Ville de Parisととても長い名前です。無料のためか管理状態はとても良いとは言えませんが、デュフィーのばかでかい絵の部屋とマティスのばかでかい絵の部屋があり、これだけでも見に行く価値はあると思います。エッフェル塔からも近いです。中庭を挟んで西側がパレ・ド・トーキョーで、こちらでは現代美術が見れるはずです。シリーズ第二回のマイケルジャクソンへのオマージュのようなものはここのエントランスにありました。東西合わせた建物としての名前はパレ・ド・トーキョーで通っているようです。

metro

建築と呼べるかはさておき、パリといえばメトロです。映画「パリ・ジュ・テーム」でスティーブ・ブシェミ演じるアメリカ人観光客がぼこぼこにされる場所です。滞在中、かようなシチュエーションにはなりませんでしたが、人が少ないときにはあまり他の人を見ないようにしました。混雑した駅などに行くと、多分そこが一番現地の人との距離が縮まる(物理的に)場所なので、現地人観察には最適です。幸いスリにも会わず、ドアを開けるボタンを押すタイミングもしっかり盗みました。座席は当然のように汚いですが、汚いといえば実はパリ全体が汚いのであまり気にならなかったようです。

airport2

airport

最後の最後になるのはシャルル・ド・ゴール空港です。映画「パリ空港の人々」をご覧になった方なら憶えているかもしれませんが、乗り場に行くまでの動く歩道のある通路が洞窟のようで非常に印象的です。また、中央部のエスカレーターホールのような場所もアミダクジ的面白さがあります。空港というのは多くの場合旅の始まりと終わりに位置するためか、結構記憶に残りやすい場所だと思いますが、過去に訪れた空港の中ではダントツに陰のある空港でした。フランスの空港としてはとても合っていると思います。ただ、お土産を買うにはあまり向いてません。

早いものでこの旅から既に半年以上がたってしまい、細かい記憶はだいぶ薄れてしまいました。しかしながら初めてのヨーロッパということもあり、アメリカやイギリスではあまり感じたことの無い「異国」感は今でも鮮明に思い出されます。また、不便さや不潔さといった、現代社会では負の要素となるものをある程度許容することから生まれる美しさや趣深さというものが、結局は豊かさにも通じるのではないかとも思えました。日本でも「フランス風」なインテリアなどをよく見かけますが、あの特有の居心地の悪さは結局のところ清潔で便利な造りになっているためなのかもしれません。

*****************

metheny

全くの余談ですが、パットメセニーの「オーケストリオン ツアー」に行ってまいりました。今回は全ての楽器を彼がギターでコントロールしてプログラミングした信号で多くの楽器の生演奏を行い、それに合わせてメセニーも演奏するという、一歩引いてみるとちょっとおかしな内容です。生演奏とはいえやはりバンドではないし、実はそれほど期待していなかったのですが、蓋を開けてみると今まで観た中でも2番目くらいに感動的な内容でした。何が凄かったかといえば、その場で演奏しながら様々な楽器に対してプログラミング(=ギターによる信号入力)を行い、それをループさせてその上に即興でメロディーを作っていくのですが、この一連の作業から生み出された高揚感が宗教的というか、何か雲の切れ目から光が降りてくるような錯覚を覚えるほどでした。この音楽手法というのは、非常に構築的であり、詩的であり、ある意味一人だからこそ到達し得た完成度というのを見せ付けられました。建築の世界でいえば、設計者が自ら施工を行うか、鉄筋の折り曲げ方やカンナのかけ方まで指示を出すくらいの細かい管理を行ったようなものではないでしょうか。ただ、決定的に違うのは音は出た瞬間に消えているという点で、この刹那的感動には形として残るものはどれとして敵わないのではないかと思います。すばらしい経験をさせてもらいました。

 

(投稿者:) コメント / トラックバック (0)   22:40 pm

2010-04-23 

ノートルダム大聖堂のファサード

このシリーズも残すところ2回となりました。今回はノートルダム大聖堂(ノートルダム寺院)です。初期ゴシック建築の最高峰とも言われるこの建物は12世紀後半に着工し、竣工は1345年です。正面からはフライングバットレスが見えないものの、裏面はバットレスが放射状に広がり、おどろおどろしいほどの様相を呈しております。スパイダーとの異名も付いているようです。

美しい交差リブヴォールトの天井

ゴシック建築といえば、この写真のような交差リブヴォールトです。これが外観にもたらす尖塔上の形状から耽美系のビジュアル要素としてしばしば使われますが、実は「様の美」と呼ぶにふさわしい、必要性に迫られて開発された形状なのです。簡単に言うと、交差リブヴォールトによってそれまでのロマネスク建築に比べ平面形状と高さに自由度が生まれたのです。ヴォールトについて詳しくはWikipediaなんかを参照してください。

椅子が意外と座りやすい

内部は大聖堂なので当たり前ながら椅子が並んでいます。教会の椅子といえば木製のベンチが定番ですが、ここの椅子は籐編み座面の比較的座り心地のよいものでした。建物に関係ありませんが、これに座ってのんびり周りを眺めるのもなかなか乙でした。

ステンドグラス

そして、忘れてはいけないのがステンドグラスです。有名なのは円形のバラ窓ですが、それ以外にも無数に(と感じるくらい)あり、どれもが独特の要素を持っているため見ていて飽きません。実は私はそれほどステンドグラスに興味が無いのですがそれでも見惚れてしまったくらいなので、好きな方が見ればステンドグラス見物だけで一日過ごせるのではないでしょうか。

入り口の彫刻

中央付近の首を持っている聖人はサン・ドニだと思われます。ゴシック建築の装飾は基本的に聖人ベースで、ただの飾りではありません。が、ここの彫刻は実は竣工時には無く、18世紀のゴシックリヴァイバルの時期に施されたものです。ユーゴーの小説「パリのノートルダム」もこの時期です。最近の町屋ブームと似たようなものだったのかもしれません。

ノートルダムといえばユーゴーの小説をベースにしたディズニーの「ノートルダムの鐘」が有名ですが、案の定建物前の広場にはかなりリアルにせむし男の扮装をしたパフォーマーがおりました。また、ここはナポレオンの戴冠式が行われた場所でもあります。さらにいえばパリからの距離を示す際の基準点でもあります。正直、今回の旅程の中では地味な印象を持っていたのですが、なかなかどうして面白みのある場所でした。時間があれば塔に登ってみたかったのですが、何せ過密スケジュールだったので断念せざるを得ませんでした。階段に恐れをなしたわけはありません。

 

(投稿者:) コメント / トラックバック (0)   21:51 pm

2010-03-31 

メインホール

オルセー美術館は、1900年の万博にあわせて駅兼ホテルとして、Victor Lalouxの設計により建設されました。収蔵されている作品は、2月革命のあった1848年から、第一次世界大戦が勃発した1914年までとはっきりしていて、ルーブル及びポンピドーと役割分担がなされています。この建物の特徴は、なんと言っても元駅ですので、(見も蓋もない言い方ですが)長いということでしょうか。この長いメインホールに、大胆に取られたガラスのアーチ天井が、他の美術館とは一線を画す方向性のある開放感を生み出していると思います。メインホールには多分彫刻しかないのですが、ここの彫刻を鑑賞するときには嫌でも背景となるガラスアーチが目に入り、背景の奥行き感が彫刻の迫力を増す役割を担っているようにも思えます。

食堂

メインホールの両脇は、それぞれ地上3階地下1階の展示室があるのですが、3階には食堂もあり、この食堂が非常に魅力的でした。住宅では朝日の差す食堂と言うのが良しとされていますが、この食堂のように日は差し込まずに明るく広々とした場所というのが実は朝食にはベストのように思えます。普通の住宅では無理な話です。

食堂

食堂を抜けると祝典の間という豪華な展示室があります。舞踏会でも行われそうな空間で、スケール感も大きく、何となくアリスの世界にでももぐりこんだような気分になります。朝一番で乗り込んだおかげか、誰もいない祝典の間を堪能できました。

大時計

実は今回、個人的には世界一なまめかしい水が描かれていると思っているアングルの『泉』を是非見てみたかったのですが何故か見忘れてしまいました。より有名な作品たちに気を取られてしまったようです。この美術館のシンボルでもあるのでしょうが、この大時計がいつも目に入るため、どうしても時間が気になってしまったのも一つの原因だったかもしれません。訪れる際には時間を気にしないで良いくらいの余裕を持って行動されることをお勧めします。

 

(投稿者:) コメント / トラックバック (0)   23:44 pm

2010-03-02 

要塞のような通路

フランスの文化遺産として最も早くから指定されているうちの一つであるモン・サン・ミッシェルは聖堂、修道院、要塞、監獄と様々な用途で使われ続け、その形態自体も変遷を続けた非常に特異な建築物です。非常に荘厳な造りですが、そもそも建てられたきっかけは、オベールと言う司教が神様(すなわちミッシェル)のお告げを2度にわたって無視(というか信じなかった)し、いい加減にしろと頭を小突かれて慌てて造ったということです。実際のところ誰が設計して誰が作業したかはわかりません。遠くから見た幻想的な写真はよく見ていたのですが、実際に入ってみると、まずは江ノ島のような商店街に人だかりという光景に出くわします。ちょっと思っていたのとは違う風情ですが、ここにはレストランも多く、有名なオムレツやシードルの他にも羊料理や牡蠣なども楽しめます。もちろんワインとチーズもあります。有名どころではないレストランに入りましたが、それなり美味しかったです。で、商店街を抜けてどんどん登っていくといよいよ修道院入り口となります。タイミングもあるのでしょうが、この辺に来ると何故か人がぐっと減り、急に厳かな雰囲気になってきます。要塞として使われていたと言うのも納得の、両側に建物が屹立した通路を登り、一気に高い位置にある広場に出ます。ここからは周囲が一望できて非常に気持ちよさそうなのですが、何故か猫のトイレのような臭いが(外なのに)立ち込め、小さな虫もぶんぶん飛んでいるので思い切り深呼吸と言う気持ちにはなれません。

遠くまでが見渡せる広場

さらに進んでいくと、礼拝堂や食堂など、修道院らしき部屋が続きますが、意外な雰囲気の中庭もあったりします。まさかこの建物内で植物に遭遇するとは思いませんでした。

ちょっとロマンチックでさえある中庭

部屋ごとに表情が様々で、かなり暗い部屋もあれば広々として清々しい部屋もあり、でかいだけあって飽きさせない造りになっています。なかでも気に入ったのが下の写真の太柱の礼拝堂と呼ばれる部屋で、微妙な暗さと所々の明るさ、ベンチの配置などが丁度良く、近所にこんなところが合ったら骨休めに良さそうです。

座りたいことこの上ない感じのベンチ

昔、満潮時でも渡れるようにと造られた一本の道の周りに砂が堆積し、今や満潮時でも道路以外も陸続きとなってしまっているようです。この砂を除去してかつての島の姿を取り戻そうというプロジェクトが進行中です。

 

(投稿者:) コメント / トラックバック (0)   0:02 am

2010-02-12 

チケット売り場を過ぎたあたりはまだ地味

メインの階段

アヴァンホワイエはこの写真の3倍くらい豪華な印象

恥ずかしながら私は今回の訪問までこのPalais Garnierという名を知りませんでしたが、所謂オペラ座です。この建物はオペラの公演用としてCharles Garnierの設計により1874年に竣工しました。設計者はコンペで決まったようですが、実は1等案が無く、佳作6点から選ばれたとのことで、それにも関わらず設計者名が建物の名前になるというのは完成度が想像以上に高かったからでしょうか。今ではオペラよりバレエがメインで公演されているようです。よくわかってないのですが、以前はオペラもバレエもあまり区別されていなかったようです。

内装はまさに絢爛豪華で、特にアヴァンホワイエと呼ばれる部屋の煌びやかさを見てしまうと先に紹介しましたヴェルサイユ宮殿が比較的質素に思えたほどでした。メインの階段なども、上るのが躊躇われるような威圧感があり、現地で少し話をしたコネチカットから来たというバックパッカーの馴染まなさにはマグリットの絵のようなシュールさすら感じました。残念ながらシャガールの天井画が飾られる観覧席はリハーサル中のため見れなかったのですが、あの大空間は鉄骨により実現されており、当時としては画期的だったようです。

訪れたのは昼下がりで比較的観光客も少なく、今回の訪問先としてはかなりゆったり鑑賞できたのでその分印象が強いのかもしれませんが、パリ市内の建築物としてはエッフェル塔に次いで良かったです。今度機会があったらバレエも観たいものです。

お土産コーナーの照明

 

(投稿者:) コメント / トラックバック (0)   13:24 pm

2010-01-30 

展示会のタイトルとなった韓国人アーティストの作品

フランスにある建築ではないのですが、ある意味、最近まではフランス領土内同然だったということで、旧フランス大使館で行われている解体直前イベント「NO MAN’S LAND」に行ってきたので紹介します。旧フランス大使館は1957年にJoseph Belmontによって設計され、昨年末まで大使館として利用されていました。この建物が解体されるということで、破壊の前に何か創造できればということで開催されることになったのが本展覧会のようです。建物としては、良くも悪くもミッドセンチュリ?モダンといった風合いで、それなりに手間も掛けて造られているので、いかにも現代風な新庁舎と比べてみてしまうと、改修で済めば良かったのに勿体無いなと思います。(何となく古いものを崇拝する悪い癖かもしれませんが)

階段室上から写真を撮って、赤いフレーミングをしたものに模してペイントされた階段

内部のペイントが外部のレリーフとつながる

会場は、解体するんで好きにやっちゃってくださいといった感じで、相当な数の方々が割り当てられた場所で感性をぶちまけたような、非常に混沌とした状況となってます。芸大の文化祭にも似た雰囲気がありました。創造という言葉が何を意味するのか、妙に考えさせられる内容でした。残念だったのは、せっかく解体前のフランス大使館という特殊な場所なのに、個々が展示する場所性が反映されている作品が少なく、普段の作品を持ってきて並べただけと思われる作品が多かったように思えた点ですが、これは日々の仕事柄、どうしても与えられた場所との相関性を求めてしまう、ある種職業病みたいなものかもしれません。訪れた方の意見を聞いてみたいところです。

アルコーブ状の室をうまく使ったトリックアート

男性の股にスイッチが

どことなくディズニーな造形が組み合わさった入り口のゲートと長蛇の列

当初予定されていた終了前日に駆け込みで行ったのですが、入場は無料で小春日和の土曜日と言うこともあってか、私が会場を出る頃には入場制限をしながらの長蛇の列となってました。入場した昼前は全く並んでいなかったので、早めの入場が良いようです。長時間並んでまで入ることはない気もしますし、中も美術館と違い、混んでくると動線が最悪になります。会期は延長され、2月18日までです。お子様連れでも気兼ねなくいけますので、何となくすることがない天気の良い休日の朝に是非。(月?水は休みです)

蛇足ではありますが、同日に資生堂ギャラリーで行われている曽谷朝絵展(1月31日で終了)と銀座gggで行われているアーカイブ収蔵品展II?田中一光ポスター1953?1979(2月25日まで)も見てきました。こちらは両方とも量こそ少ないものの力量を感じる展示でした。両ギャラリーともいつも無料(多分)なので、銀座で人ごみに疲れた時などにお勧めします。

 

(投稿者:) コメント / トラックバック (0)   18:14 pm

2009-12-27 

ヴェルサイユ宮殿の門(金箔)

広大な庭

パリ中心部から車で30分ほどの場所にヴェルサイユ宮殿があります。セーヌ沿いからブローニュの森に入るまではいかにもパリと言う趣なのですが、森を抜けるといきなり景色がフランスの田舎町に一変します。これが映画とかに出てきそうな「いかにも田舎町」という感じで、本当にこういう町ってあるんだと当たり前と分かっていながらも妙に感慨深いものがありました。

さて、ヴェルサイユ宮殿ですが、門からして金箔が貼られピカピカしていて絢爛豪華です。何となくバッキンガム宮殿(過去唯一行ったことのある宮殿なので)と比べてしまいますが、バッキンガムはやはり現役だし固いというか税金の無駄遣いをある程度控えてますという感じがしましたが、ヴェルサイユは若干ふしだらな感じがするほど「贅」の字が似合う、ある種はじけた建物でした。観光客もさすがに多く、今回の旅行で一番人口密度の高い空間となっていて、ガイドに何とか付いていくという状況でしたが、映画「マリーアントワネット」で見たままの光景を目の当たりにして、実際使っていた当時の情景を思い浮かべると、生活は結構面倒なものだったのではないかと思えてきました。私はここに住めと言われても御免こうむる。

というわけで、内部に関してはある種予測の範囲内でしたが、後ろに広がる庭が非常に魅力的でした。庭と言うか、森林公園といったところでしょうか。人もだいぶ少なくなり、いまにも森の中から狩猟帰りの貴族があらわれそうな気配です。自転車のレンタルもあるほどの広大さで、私は時間が無くほんの入り口しか見てませんが、空の大きさと適度に手が加えられた様がいかにも領地という感じで、生まれて初めて「王」という存在に現実味を覚えました。ただ、なぜか猫のトイレの臭いが漂っていました。

 

(投稿者:) コメント / トラックバック (0)   22:55 pm

2009-12-08 

サント・シャペル外観

サント・シャペル内観

セーヌ川にはいくつかの小さな島があります。そのうちの一つであるシテ島には最高裁判所やノートルダム寺院があり、比較的落ち着いた雰囲気になっています。今回ご紹介するのはシテ島にあるサント・シャペルです。

サント・シャペルは現在改築計画中の建て主さんに紹介していただいたのですが、こじんまりとした細長い空間を高さ10m以上ありそうなステンドグラスで360度囲んだ空間が圧倒的なゴシック建物です。広さと高さの関係は住宅設計の際でも気を使う要素の一つですが、サント・シャペルの場合は平面的には祭壇への方向付けを行いつつも、通路の幅の狭さと周囲を囲むステンドグラスの高さが天への高揚感を生み出し、王の礼拝堂としては相応しい造りになっているように思えます。ちなみに一般市民用の礼拝堂は1階で、こちらは非常に質素な造りです。1階から2階へ上がる階段も少々わかりにくく、入ってしばらくは「これだけ?」と勘違いしてしまいました。その分、2階に上がった時の驚きは増したように思えます。今回残念だったのは祭壇側のステンドグラスが改修中で、完全にステンドグラスに囲まれるという体験が出来なかったことです。内部の全貌や建物の詳細はWikipediaなどで見れます。

この建物の設計者はPierre de Montreuilという方で、ノートルダム大聖堂の正面の意匠設計なども手がけられたようです。

紹介して頂いた方が訪れた頃はひっそりとしていて見つけるのに一苦労という場所だったようですが、現在は裁判所の敷地内ということもあってか比較的厳しいセキュリティのため入場に長蛇の列が出来ており簡単に見つかりました。ただ、裁判所の列とサント・シャペルの列が近いため、間違えないように。

 

(投稿者:) コメント / トラックバック (0)   10:16 am

2009-11-18 

街中にあった「THIS IS IT」の広告塔

パレ・ド・トーキョーのMJモニュメント

2回目にして番外編となってしまいますが、時期的なこともあり現在公開中のドキュメンタリー映画、マイケルジャクソンの「THIS IS IT」について。

丁度フランス滞在中に公開となったこの映画ですが、フランスでも初日には劇場に長蛇の列が出来ておりました。当初2週間限定というもったいぶった打ち出し方をしておりましたが、好評ということで2週間の公開延期となりました。ご覧になられた方も多いかと思いますが、いよいよ来週27日(金)で上映終了となります。インターネット予約が可能な劇場でも既に最終日まで結構予約が入っているところもあり、まだ観ていない方は早めに良い席のご予約をお勧めします。

私自身2箇所の異なる劇場で観て来ましたが、多少の物足りなさもあるものの、全く素晴らしい出来でした。私はYouTubeの登場の頃からマイケルジャクソンが好きになったので比較的浅いファンでありますが、彼の死によって受けた喪失感は相当なものだったと改めて思い知らされました。この映画の持つ感動的な側面は、彼の死によって倍増されているのは間違いありませんが、作中に見える本番への思いや相手を尊重しながら出来を良くしていく工程、そしてリハーサルながらも存分に感じられる完成度などからは、恐らく彼が存命中だったとしても十分な感動を得られたことでしょう。

出来ることならば、現在DVDで発売されている「ライヴ・イン・ブカレスト」や、何ならYouTube等でも良いので80年代後半から90年代の絶頂期のライブ映像を頭に焼き付けてから映画を観ると、より一層楽しむことが出来ると思います。50歳という年齢でどこまで当時の動きに迫れるかという緊張感を気持ち良く開放してくれるでしょう。また、歌詞の意味もある程度把握しておけば感動は一層深まります。これもYouTubeで「(曲名) 歌詞」で検索すればだいたい出てきます。80年代から「CHANGE」を題材として歌い続けた不世出のエンターテイナーからの最後のメッセージを是非大画面で受け取ってください。可能であればIMAXシアター(関東だと川崎や埼玉など)の真ん中付近の良い席で観ることをお勧めします。鑑賞後は自然と拍手が湧き出ると思います。

 

(投稿者:) コメント / トラックバック (0)   22:25 pm

Copyright© 2008, Yui Sekkei Ltd. All rights reserved.