東京カテドラル聖マリア大聖堂

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6月半ば、「目白バロック音楽祭」の企画で、久しぶりに東京カテドラル聖マリア大聖堂に行ってきました。この日の音楽会はミサ曲を中心にしたヴォーカルアンサンブルで、教会でのア・カペラを生まれて初めて体験することになりました。東京カテドラル大聖堂は60年代半ば、建築家・丹下健三氏の設計により建てられた教会で、二双放物面で構成されたコンクリートの建物です。上空から見ると十字架に見えるこの建物の内部は、杉板型枠で打たれた表面の荒いコンクリートの壁が曲面を描きながら垂直に立ち上がり天井部分で十字型を形成しトップライトになっています。晴れた日はその十字から光が差し込む設計なのですが、40年の歳月を経る間に雨漏り対策として二重のガラスで覆われ、残念ながら現在は竣工当時のような光を見ることはできません。この日、教会に響く歌声を聴きながら目を閉じて十字のトップライトから光が差し込む空間を想像してみました。透明で美しい肉声が残響と重なり合い、やがて高い天井に吸い込まれていく。そしてその天井からは光が差し込み薄暗いコンクリートの教会内部は十字の光に包まれていく―。

f:id:yuiarch:20070724204058j:image:left:w150 カテドラル大聖堂は現在屋根を中心に大がかりな改修工事が進んでいます。9月には40年前と同じ天空から差し込む光を見られる事になりそうです。(中嶋)