悩む力

年明けに『悩む力』という本を読みました。書店の店頭に平積されていて、そのストレートなタイトルに魅かれて手にとりました。

内容は、全体に渡って著者の姜尚中(カンサンジュン)氏の人柄が表れているようで、ストレートなタイトル通りの実直さを感じる内容でした。文中では夏目漱石と社会学者のマックス・ウェーバーの言葉が引き合いに出されており、悩みが増えざるえない近代以降の社会構造についても触れられています。

印象的だったのは、夏目漱石の「まじめたれ」という言葉に触れながら述べている、『「まじめ」というのは、「中途半端」の対極にある言葉ではないでしょうか。』という言葉でした。今ではあまり良い意味で使われないですが、この「まじめ」という言葉の捉え方に著者の姿勢が表れているような気がしました。

著者は世代もかなり上で、わたしよりも非常に激しい環境の中で生きてきた人ですが、共感する魅力のある言葉が多く綴られた本でした。