きづかい運動始動7・木材多用で建築費は高くなるか

雨晒し暴露試験遠景
軒下右水浸しあり左水浸し無し暴露試験
雨晒し近景(自撮り)写真ですが、遠景写真とは色の濃さが大分違って見えますね。こっちが実態に近いかも。
軒下水浸しあり近景(自撮り)
軒下見浸し無し近景(自撮り)

きづかい運動始動7杉板暴露試験写真報告9月6日写真報告です。ご無沙汰で、一カ月前書き溜めたブログ、末尾で説明しますが事情あって留保してました。書き出しも違和感丸出しです。
ようやく陽ざしが少し傾いてきて、どの試験体も日差しが当たる時間帯ができ、撮影することができました。
それでも、写真だと軒下の遠景と近景の差はともかく、雨晒し遠景と近景の写りの色が別試験体であるかのような違いがあります。写真報告は難しいです。各板の種類等は初回の説明を参照ください。きづかい運動 始動 |

木材の多用で建築費は高くなるか

 茅野の家 |「 別荘 」から「 終の棲家へ 」 |

上の住宅と下の住宅は雰囲気も地域も違いますが、どちらも木材が多用されているように見えます。私たちの設計では、15年以上前の二つのの写真を見ても分かるように、木材を効果的に使おうとするので、量的にも多く使用しているかに見え、建築費も高く思われるようです。実際には他の建築と比較しても木材関係費はそれほど多くなく、工事費全体を引き上げるまでにはなってはいません。木造建築での使用木材には構造材と造作材とがあり、隠れる構造材は節の有無は気にせず、規格化された流通材が多く、定価らしき常識もあり、ウッドショックのような社会全体が不足しない限り、材木屋さんでそう大きな差が生じることはありません。

木を多用しているように見えそうな事例の一つ(三ッ沢上町の家・天井・床・家具・デッキ)
三ッ沢上町の家|ロの字型間取りの平屋|

しかし造作材は一般的に建築毎で意匠や仕様で違った使い方をするため、材単価も材種や節の有無等で異なり、寸法や形状で加工費も違い、入手先で輸送費に差が生じるので、その建物毎に見積もる必要があります。そこに材木を扱う事業者の主観も入れ易く、利益を乗せやすいところです。材木屋さんによっては入手経由が違い産地も違ってくるので、見積もり額に大きな差が生じる場合があります。それで木材費の定価があってないような業界への不信を招き、それで木材の多用が工事費が高く着くと思わせるようになりました。ある住宅の造作材を他県の材木屋さんと見積もりと比較したら3倍ということもありました。

設計させて頂いた陸前高田市の森林組合の事務所と丸太の一時保管場所風景
陸前高田市森林組合事務所

本当に木材は高いのか。木材の年輪を見ればわかるように、全国の年間成長(生産)量は林業従事者が増えない限り毎年殆ど同じです。かつ木には切り旬という、伐採すべき時期があり、それにより市場に出回る丸太の量が変化し、そこの競りで価格が決まります。木の成長と関係なく公共工事が、年度末に合わせて入札が集中します。工事の入札参加者はその時点では材木価格が不明のまま入札しますから、足りなかった場合、他所からでもかき集められるよう、高めの価格で見積もり、その価格が常態化し、それが公共事業の積算根拠になっています。しかも公共事業は工事毎に内容が異なり、規模や量だけでなく、造作材も設計内容によって規格外寸法での加工条件が多く、未経験の工事となることが多いので、その未知の部分のリスク回避でその分の保険分が加味され、価格が高くなりがちです。

陸前高田市森林組合の会議室天井等の造作材は特注

また流通経路も工務店によって複雑な場合があり、それで差納入価格差が大きくなりがちです。工務店も入札毎に木材単価の比較ができないので、ある程度決まった材木屋さんに加工共に任せ、そこが加工できないと他所に頼み、幾つか経由して高くなった加工材を仕入れるところが多くなっています。最近、その傾向がとみに多くなり、価格の高騰を招き、入札不調を招いているようです。実はこのような業界事情は、公共工事だけが原因ではなく、これまでの為替で、輸入材が木材価格を大きく変動させ、業界を振り回し続けてきたため生じたことでもあります。この間のウッドショックもそうでしたが、きづかい運動始動4で取り上げた材木屋さんの廃業の遠因にもなっている事情でもあります。

丸太仮置き場の積み下ろし

世界的におかしな流通現象が生じていて、地方の住宅不況で、木材の行先が減少し、丸太市場があまりに安値なので、市場に出てこず、地方で外国から来たバイヤーが円安でいいように買い漁りしている、という話は数年前から時々聞きます。それで市場に材が不足して、時折高値になる時もあるようです。地方から出て行く丸太は日本の沿岸から他の国経由でアメリカに売られ、それを海外の日本人が商社から購入するという、おかしな状況すらあるとのことです。日本が独自に海外に売ればよさそうですが、日本企業の木材の海外への流通量が少ないので、安い大きな世界のコンテナ船を用意できず、他国のコンテナ船に抱き合わせて運ばれるため生じる現象とのことです。これは円安による日本木材の叩き売りで、何とかしたい状況です。それなのに住宅を建てようとする方には、木材の多用は高いからと、益々使われない状況が加速され、山も材木屋さんも工事屋さんも困っています。近年の米の価格と同じ状況です。これには、丸太伐採者、製材所、加工販売事業者の最低必要事業者経由だけで建築現場に入り、余計な経由なく、乱高下せず、適切なオープン価格で使える流通市場にならないと、いつまでも安定しない価格が続き、益々木が使われない状況が続きます。これを替えようとする試みを、関係者の一人一人がすべき時のように思われます。

ベランダ手すり壁に小校(こあぜ)下見板貼り、軒天に小幅板使用例
崖上 桜の家(氷川台の家)

そこで私どもの場合、木材価格が高いと思えたら、山や市場から直接仕入れて製材する材木屋さんや、通常価格で供給する、川上の材木屋さんを知っているので、そう高くなく使えています。しかし木材が多く使われるには、また全国各地の工務店に見積もりをお願いせざるを得ない以上、価格が乱高下して、多用が高く着くという社会的印象は払拭する必要があります。
そこで、地球温暖化に抵抗する意味でも、数人の設計者と共に、価格の変動を無くし、木材が少しでも多く使われるための活動(きづかい運動)をしています。木材製品の注文を二段階方式にして、用材の数量確保を容易にし、計画生産方式で加工価格を安定させる試みです。

二階デッキの手すり壁の外壁に使用した小校(こあぜ)下見板(断熱材不使用例)

具体的には、本来延焼の恐れある部分には金属や窯業系サイデイングしか使えなかった外壁に、指定断熱材とセット仕様で普通の木製下見板等を使える国交省の防火認定を活用して、私共独自の意匠登録をしたデザインの木製外壁仕上げの小校(こあぜ)下見板(上下の使用例写真)を二段階注文方式にして、価格の安定化を図り、多くの方に提供できる準備をしています。
生産も工場に負荷をかけないよう、二カ月前の予約注文を優先して正式受注を受け付ける、計画生産で(予約注文はキャンセル料不要で、正式注文は手付金振り込み必要)、月々決めた無理のない生産量に抑え、45mm厚の特殊下見板を適切な価格6000円/㎡(塗装無し)で供給する受付体制を、11月中に関係会社に準備して頂き、12月に受付開始をすることになっています。

木肌に近い浸透性自然塗料を塗ってふき取った小校(こあぜ)下見板外壁の詳細写真

その体制が整うまで当面、私どもに問い合わせメール頂ければ、簡易型パンフと申込書等を送付し、予約注文扱いして頂けるように手配します。今は未だ正式注文は少ししかありませんので、ここ数カ月は早めに納品可能です。これまでのサイディングで飽き足りない想いをしていた方々も、塗装は独自の色使いで、独特な表情ができるようになります。念のため、延焼の恐れある区域の外壁に必要な防火構造の国交省の認定の情報をご案内しておきます。指定の断熱材と共に使用することで防火構造壁としての使用が可能な認定仕様についての認定の紹介サイトを参照ください。happou_nintei_A4

建築:建築基準法に基づく構造方法等の認定・特殊構造方法等の認定 – 国土交通省

https://www.asahi-kasei.com/jp/news/2021/ip4ep30000002gsy-att/co210415_2.pdf

前面道路と3mの段差のある敷地に建ち、下のRC造の地下1階が接道し、上がFSU工法(木造)の一階になります。

小校(こあぜ)下見板の貼った実例見学会。数日中にブログで正式の案内しますが、上の写真の建物、実際に小校(こあぜ)下見板の貼った事例の見学会を、北総線の北国分駅(市川市)から5分ぐらいのところで、今月29(土)に行う予定です。その事例の構造躯体は下記で紹介する、FSU工法で建築した躯体の住宅で(今回はスケルトン・インフィルではない)、内部がその躯体表しになっています。

見学会予定の小校(こあぜ)下見板貼り建物一階外壁

最近の職人不足と工事費の高騰に対しては、「木造のスケルトン&インフィル」の分離施工方式を提案しています。木材を大量に使うFSU工法の部材を東北の林産地で年間一定量だけ加工生産し、関東に職人ごと来ていただき、木造躯体(スケルトン)として2,3日で建て込みし、その後、関東の工務店に基礎工事と、スケルトン建て込み後のサッシ取り付けや内外装工事を行い、価格を大幅に削減します。それは木材を大量に使うFSU工法だからできる方式です。

内部壁は杉の105角ボルト連結壁パネル表しの内部です

林産地で壁体や屋根パネルまで工場加工し、現場に持ち込み建て上げれば木造スケルトン(外殻壁躯体)となり、現場での職人さんの手間代が大幅に削減され、木材使用量の増加分も手間削減で消え、工事費アップの要因にはなりません。建築費高騰で、戸建てを諦めかけてる方に、単純で施工し易い間取りで、特殊な仕様でなければ、高騰前の価格で提供できる体制です。