間取り提案の前に設計監理契約をお願いする理由

昔、先輩諸氏から、設計は頼まれてするもので、営業的に押し売りするものではない、とよく戒められました。確かに設計は多くの検討を重ねながら進めていくので、依頼者にとって耳障りなことも口にして、共に検討しなければならないことも生じます。そのような時、頼まれた場合なら信頼して来てくれたと思えるので、ざっくばらんな検討ができます。そうでない場合は最初からわかっていたことでしょう、などと思われることを恐れて、露わにしにくくなり、真によいと思える設計を難しくさせてしまいます。
設計は最初にどれだけ検討と事前調査、及びヒアリングが行われたかによって、発想や提案内容が違ってきます。私たちは、最初にあらゆる可能性を探りたくて、想像以上に最初の検討にエネルギーをかけます。それは私たちにとってだけではなく、建築主にとっても大事なことと考えるからです。何より、設計に取り掛かる際には、ある種の覚悟が必要となり、契約前の、複数社との比較のための提案では、中途半端な情報のやり取りだけで、検討をおろそかにした安易な提案になる恐れがあります。また依頼者が状況や案の問題点をどの程度見えた上で、判断していただけるのかにも不安になり、契約前の間取り等の提案は控えるようにしています。従って、お互いにこれから本腰を入れて家づくりに取り組みましょうという意味を含め、提案前に設計契約を結んでいただくよう、お願いしております。