西伊豆の家

西伊豆の海岸近くに建つ家です。家の前の道をそのまま行くと車道は終わり、歩いて裏山に上って行けます。建築基準法上の接道義務を必要としない珍しい地域になります。

玄関は私どもでは数少ない引違戸の扉です。

床の間を有する玄関ホールです。花は建て主さん自ら活けられた作品です。
左の棚は、郵便受け棚兼ベンチで、立ち上がり用手すりを立てています。右にはシューズインクローゼットがあります。

平屋で各室を南面させたため、中廊下が必要になり、廊下、洗面所、水屋等に光を落とすトップライトを設け、それを開けて暖気を抜くこともできます。実はこの間取りと手法、こちらの建て主さんを紹介してくださった知り合いの方の家を、少し進歩させたもので、そこも30年ほど前に設計させていただき、つい5年ほど前に少しリフォームいたしました。

多用途に使用するということで、珍しい立ち使いの水屋で、下に収納を設けています。中廊下の場合、どこにも窓がないので本来、日中でも照明が必要になります。しかしこのように、トップライトがあれば、昼間は照明いらずにしてくれます。

 

 

隣は私ども定番の檜板横貼り壁のハーフユニットバスの浴室です。ここにもトップライトの光が射し、日中洗面所も含めて照明いらずです。洗面所を狭苦しく感じさせないために洗面所の壁も檜の板貼りにして、仕切り部分は透明のガラスで、双方が広く感じるようにしています。

 

 

トップライトは中廊下だけでなく、実は建て主さんの部屋の南側のサンルームにも設けています。仕事で出ている時、洗濯物干しで雨を心配せずにすむように、室内干し場としています。普段、間仕切りの木製ガラス戸二枚を壁に寄せて、一体的な部屋として広く使われています。



食堂は東側の窓に面し、そこからは裏山の緑が見えます。

キッチンは既成のオープンタイプに少し手を加えて、食堂側からは流しが見えにくくするためカウンターを設けています。後ろの配膳台は意図的に流しの高さより低くして、70㎝の高さに特注で製作し、その低い分、食器用の吊戸棚の、最も使いやすい高さのスペースを多くしています。配膳台の下一部は扉を設けず、分別用ごみ箱置き場です。



キッチンから眺める食堂と居間、そして南側の前庭の風景です。北側奥にありながら、テレビも含め、全てが見渡せて気持ち良い場所にあるキッチンです。

キッチンの冷蔵庫は真正面から見せると生活感が出るので脇に入れ込み目立たなくしています。エアコンもショートサーキットしないよう縦格子のガラリを設けています。冷蔵庫奥に北庭に出る勝手口もありますが、殆ど見えません。居間には現在のところ大きな座卓を置かれています。



居間の脇の幅広の襖を開けると和室になります。建築中、茶も生け花もこなす、建て主さん自ら、無双四分一は当然、花蛭釘、花釘、中釘、炉の位置、床畳、畳縁等をどうするか教えていただきました。一輪挿しと花も当然用意してくれました。右側開口部に収納があり、その奥に出入りする襖があり、その先に水屋があります。手前にかすかに見えるのは、昔から使われていた、かなり古い欅の仏壇で、工務店の塗装屋さんに丁寧に磨いて再塗装し、見違えるほどきれいにしていただきました。

撮影:齋部  功

西伊豆の家データ
所在地 :静岡県伊豆市八木沢
構造規模:木造平屋建て
延床面積:118.29㎡(35.8坪)
敷地面積:517.47㎡(156.8坪)
設計監理:結設計 藤原
施工  :㈱イズ工務店 担当 日景