三ッ沢上町の家

二年ほど前に完成した、中庭のある家です。公開に時間を要したのは中庭と建物周囲の整備に時間がかかったのと、私どもの怠慢のためです。

土地は中庭にする必要がないほど広い敷地です。最も通常の機能を果たす中庭とするにはそれなりの広さを必要とします。今回中庭としたのは、敷地が接している南道路より建てる場所が1.5mほど低くなっていて、普通に南側に庭を設けるとプライバシーの確保が難しくなるため、中庭としました。

住宅を創っていくなかで、いい建築になっていくのは、やはり建て主さんのこだわりというか執着心だと、今回も改めて感じさせられました。下の写真は、造園屋さんが植えた玉竜と建て主さんが植えた玉竜ですが殆ど区別できません。草取り手間省略用の防草シートも自分たちで敷き詰めました。予算が足りなければ自分らでという熱意です。

家づくりはどんな場合も予算が限られているのが普通です。その中で設計者としては機能、性能、デザイン等々を調整し、バランスよい仕上がりにしようとします。そのことによる建物のグレード感は私どもなりに工夫したしても、限界を超えられないところがあります。

このような樹木の梢を見せる高窓も設計者なりの工夫です。

和紙貼りの、見返り床のある和室もそうです。


間仕切りを開け放すと写真のように中庭が見えてきます。
洗面所も浴室と一体化して広く見せています。


北側の浴室には竹林を見せる大きな窓を設けています。しかし、写真の竹林のような敷地の特異な条件や、建て主さんのこだわりや執着心が強ければ、バランスを多少崩すことになりますが、それがその建物のグレード感をワンランク上げる効果を生み出すことが多いです。

今回建て主さんの実家の方で所有している無垢の板があり、それを活用したいということで、玄関の写真に写っているベンチに使用させていただきました。またリビングダイニングの床を、多少予算オーバーになるがチーク材にしたい、ということで変更されました。


それよりなにより大谷石を壁の一部に使いたいという建て主さんのこだわりで、大谷石をネットで探されてダイニングの北側の壁に使用しました。そのことにより竹林が借景となるピクチャーウインドウがいっそう映えるようになりました。

キッチンにもこだわりがあったようで、コスパの良い私共の提案からグレードをあげたメーカーと品番にされました。こんなケースはよくあり、殆どの方はショウルームで説明係にたぶらかされるようです。


今回の場合、設計者としては癪ですが、目立つ位置にあるので、全体空間のグレード感をあげる効果は大いにありました。


それと食堂のピクチャーウインドウ脇とレンジフードに吊るした植物等の、住んでいる方のセンスを表現するのには必要な装置だったのかもしれません。


当事務所では、中庭を設けるケースはよくありますが、向かい合わせの部屋同士が独立した空間としての距離、及び庭としての機能とボリューム確保するには、敷地が許せる限り写真のように三間角(5.4m角)以上を確保するよう奨めています。


建物の外は可能な限り現段階ではいじらないで既存を整えるだけにとどめています。

撮影:齋部 功
   加藤義弘
   藤原昭夫

三ッ沢上町の家データ
所在地 :神奈川県横浜市三ツ沢
構造規模:木造平屋建て
敷地面積:739.66㎡(224.13坪)
建築面積:150.82㎡(45.62坪)
延床面積:120.45㎡(36.5坪)
設計監理:結設計 藤原 ・加藤
施工  :日本住研株式会社 工事担当 重信洋平