家づくりストーリー:「空き家」は未開拓生活資源?

南林間の家」エピソード:「空き家」は未開拓生活資源?

「南林間の家」リノベーションは私たちに大きな示唆を与えてくれました。

たまたま、ご両親が亡くなり、住まわれた家に引っ越し、自分たちの古い家が余る状況になり、まさに典型的な空き家問題が発生するところでした。ご両親の住まわれていた家の間取りでは、南に面した部屋は客間の一部屋だけで、居間食堂は太陽を十分生かしている家とは言い難く、築年数が比較的新しいだけがいいところでした。自分たちが住んでいた家は築年数も古く、自衛隊の航空騒音の激しいところで、昼間は人が居ない個室が南向きにあり、廊下や押入れを隔てた奥の北向きに、居間食堂キッチンがありました。陽が射さず、西日だけが多少射す家でした。このような家に主婦として日中住み続けて一生を終えるのかと思うと、たまらない気持になって、私どものホームページで見る事例写真のような家にはならないものかと相談されました。既存の家は50坪ほどあり、すべてをそのようにするのは予算的に無理ですが、防音工事用助成金に同程度加算してなら、居間食堂キッチン等を事例のように南向きのゆったりとした住まいにリノベーションし、寝室を少し整理して、後は防音と断熱の性能アップしつつきれいにする程度なら可能ですよ、と始まった計画でした。

せっかく作るなら玄関も広く、キッチンや家具も自分の気に入ったものを入れ、浴室も木の香の薫る内装で、坪庭を愛でることができる窓を大きく取り、テレビやAV機器も音の良いスピーカーで聞けるようにと、こだわるところは多少贅沢にしましようとなりました。

完成して、半年後に尋ねたら、引き渡したままで、生活感がなくきれいな状態のままでした。住まわれてないのですか、と尋ねたら、普段は敢えて両親の住んでいた家で生活しています。新しい家は、何かあった時、客が来た時、音楽をゆっくり聞きたいとき、気分転換したい時にこちらで過ごすんですよ、とのことでした。最初は汚したくない、もったいないからと、しばらく引っ越さず、工事中に住んでいた両親の家で生活しているうち、今のような、晴れの空間としての使い方になったということでした。つまり近距離別荘として使われていたのです。しかも使用頻度の高い別荘です。

これは、日本の空き家の活用に極めて示唆に富む例ではないかと思い、ブログで紹介している次第です。今日の日本の「空き家」は、社会の大きな問題として捉えられていますが、さにあらず、人々が豊かに暮らすための大きな生活資源だったのです。

今回はたまたま、家族の所有であったため上手くいったところが、確かにありますが、でも空き家の情報をもっと公開されたものにし、上手にコーディネートできれば、このような例はそれほど難しいものではないように思われます。このような空き家になりそうな情報を集約し、上手な活用を提案していくことを今後真面目に考えてみようかと思います。