投稿者別: 藤原

伊豆高原の家 建築始まる

公園のピクニックの風景写真ではありません。基礎工事前の現場写真です。先日、敷地が岩だらけなのでどう処置するか、建て主、建築施工者、設計者、それと造園設計者、皆で協議しようと、現場に集まり、その後の昼食のおにぎりを食べているところです。建築屋さんがかなりの土量を入れてなだらかにしておいてくれてあり、地鎮祭の時の下の写真とは一変していました。

頭上は下ような枝が張ってあり、この下に平屋建ての家が建つ予定です。これだけの大木の下に建てるのは始めてで、楽しみです。


19年ワールドカップラグビー釜石スタジアム工事途中


19年ワールドカップラグビー釜石スタジアムの遠方からの写真です。
私共のお手伝いは、事務方の木質諸室とトイレ棟の設計・監理をさせて頂いています。

事務方のエントランスブリッジの入口に位置するトイレ棟の状況で、下がその外壁の外側の二つのエントランスを繋ぐ廊下です。

木質諸室は、下の鉄骨のフレームの中にこれから作られます。

スタジアムの観客席で、座面も釜石産の木で出来ています。
釜石地方森林組合の方々が、釜石の木を使おうと、関係者に働きかけて、このような木質棟などの使用が実現できています。バークレー校の人材育成事業として林業用人材スクールを開講したり、火災で焼失した森林の再生や燃え残りの木々で、グッツを作って応援者に配ったりと、彼らは今、日本で一番頑張っているのではないかと思われます。


「過去に設計した建築の改修相談席は被告席-2」


この建物も15年ほど前に大塚駅近くに設計した、最上階に自宅を設けた賃貸マンションです。外壁のシールが切れて漏水している可能性があるので、全面改修も考えたいとのことでした。

確かに、外壁シールは15年経過し、傷んでいました。そのせいである日、4階、3階、2階、1階と、同じ洗面所の天井に漏水が生じたのではないかとのことでした。その意見を言ったのが設備やさんとかで、その方が手配し、50万円で高所作業車を使って目地シールを、明日やり替えるとのことです。作業車を使わないで梯子の届くところまでとしても、8万円程かかるとのことでした。それで急遽、見てみましょうということで見に行きました。しかし話を聞いているうち、漏水があった後、これまでの2か月ほどは症状はないとのことでした。
この外壁のシールはタイルを貼る際に、壁の伸縮で生じるひび割れを吸収するための寸法調整用の目地シールです。シールの向こうには、厚さ20cmのコンクリートの躯体があります。さらにその奥はパイプスペースという空洞になっています。そこを超えてその向こうの洗面所の天井にだけ、漏水を引き起こすわけがない、ということを説明して、とりあえずシールのやり替え作業を思いとどめ、8万円かかるという作業も中止することにしました。
考えられることは、パイプスペース際の配管廻りか、上の方の洗濯機などから排水を溢れさせ、下の階に漏水させたのではないか、と思われることを説明し、もう一度同じ症状が出た時に確認しましょうとなりました。
全面改修では、よくマンションの管理会社などは、建物の症状に関係なく10年ぐらい毎にやりたがります。私は、症状を観察し、大丈夫そうであれば、できるだけ間隔をあけてましょうと助言しています。正直、早めの改修は事故を未然に防ぐ、または軽減するからということで、誰も反対しにくく、マンションではその意見が大勢を占めてしまいがちです。しかし改修の回数が多くなることは、そ分費用が発生し、負担を多くします。私の関わったマンションでは最長20年間改修をさせずに済んだものもあります。
この建物の場合は、今度漏水の症状が出た時に原因を突き止め、その原因によっては、改修も考えるけど、ざっと観察した結果、未だ5年程は様子を見ましょう、となりました。
帰りに、昼飯でも食べようと、近くで設計した建物が近くにもう一軒(下の写真)あったので、それを見がてら、そのそばの定食屋さんの、マグロどんぶりを、8万円の昼食ですね、と、ごちそうしていただきました。


「過去に設計した建築の、改修相談の椅子は被告席-1」

15年前に設計した住宅の改修相談に行ってきました。最近このような機会が多くなってきました。そのような時の私の椅子は被告席に座っているかのような心境になります。何か問題があって呼ばれた時はまさにそうですが、別にそこの建主さんが責めるつもりでなくてもそうなってしまいます。住宅の設計には完璧はありえなく、ミスでなかったとしても、改修を考えなきゃならないということは、設計者の配慮や予測が至らなかった部分がないとは限らないからです。仮に全く以前の設計のためではなかったとしても、今の自分の目から見れば、その建物の中に、当時の未熟さが目についてしょうがないのです。力を入れて設計したものは余計勇み足や冒険していることも有り、必ずしもうまくいったものばかりとは限りません。その証拠として突きつけられて、そこに建物が存在していますから、まさに私の椅子は被告席になってしまうのです。


この住宅の相談では、外壁の塗装が必要ではないかとのことで伺いましたが、塗装がナノコンスーパーという木部に染みこみ、表面を固めて保護するタイプでしたから、その必要はないという意見を述べて、足場等を必要としない部分シールで済ますことで話は落ち着きました。二階浴室からの漏水も追い炊きの継手の不具合ということが判明できました。玄関ドアは三層パネルで作成していたので、さすがに傷みが激しく、替えることにしました。写真は取り替えたドアですが、未だ無塗装で、ウオールナット色ではどうかと提案しました。改修工事をしてくれた工事屋さんも、木製ドアなど、とても安くやっていただけるということで助かりました。

 また、被告席ではないにしても、住まいという可愛い娘を嫁に出した親のような心境の部分もあります。嫁に出した娘の教育が正しかったか、十分だったか、あるいは違った環境で頑張っていてくれているか、しっかり役目を果たしていてくれているか、それを見舞う気分の場合もあります。何れにしても最初にその敷地を見る時のドキドキ感とは異なるドキドキ感があるものです。

 今回の訪問では幸い、木材の生地表しに塗った外壁塗装が思った以上に頑張っていてくれて、庇も1m以上出していたせいか、10年以上経ったらもっと汚れて、傷んでいてもおかしくないのに、健気に頑張ってくれていました。この家の方の場合、当時の設計でそれなりに頑張って設計していたことを、とても評価して下さって、当時癒されてありがたかった、と言っていただき、建物(娘)ともどもほっとして帰ることができました。


「間取り再考」ワークショップ開催

先日武道館で合気道大会が開かれていました。設計も武道と同じで、要望と、敷地などの建築条件との間に大きな乖離や矛盾が少なからずあるものです。その矛盾を矛盾のまま行って、矛盾なく満足できる結果を導き出そうとすることが建築設計です。日頃の鍛錬がものを言います。

間取り再考ワークショップ開催
本来「間取り」を決めるということはどういうことか理解していただくためにチェックシートを用意し、前回のブログで公開しました。間取りをチェックしてみて、気になるところが露わになり、自分だけでは修正が難しいという方が、一緒に集まって互いに検討し合う「間取り」再考ワークショップを開催します。新築だけでなく、リフォームを考える方の現状の間取りについても、どう変えられそうか、一緒に考えてみたいと思います。それら持ち込まれた具体的間取りを遡上に、どんな不満を覚えているかを伺います。又その間取りで気になることや、それに対応する建築手法などを、当事務所の「設計作法」や著作本「美しい住まいのデザインルール」等も引き合いにしながら解説し、ご自分の間取り修正の参考にしていただきます。そしてその後に検討が必要な事項についてもアドバイスします。多くの方に参考になりそうな間取りは、匿名で公開することを条件に、ホームページで発信し、家づくりで後悔する方を少しでも少なくする活動にしていきたいと思います。しかしあくまで社会への還元活動であって、通常業務の妨げにならない範囲内で秘かに行うもので、自分で修正しようとする方への支援(補佐)でしかなく、決して代わって修正してあげるものではないことをご了承ください。また、実際に悩まれている方と切実感を共にできる方たちで一緒に考えたいので、勉強等だけの方は遠慮ください。資料コピーや茶菓代として有料といたします。

「間取り再考」ワークショップ開催のもう一つの理由

昨今、AIが職を奪う、と言われ、住宅設計もそうか、ということが設計者仲間でよく話題になります。規格型の住宅設計では当然AIになるでしょうが、価値観の違いが大きい個人の注文建築ではどうか、特に各個人の特殊性に合わせる設計はどうなのか、検証してみたいと思っています。たぶんその特殊性の捉え方、合わせる内容への各個人の意向や状況の読み取り方、その意向への答え方や空間化の技量で、設計の価値が露わになると思っています。AIとの違いがでるとすればそこになると考えています。間取りワークショップはそれらを研究する意味で貴重なケーススタディーになると考えたことが、もう一つの理由です。

参加希望の方は「間取り再考」ワークショップの開催要領をよく読んで、必要資料を事前に送付の上お申込み下さい。

穏やかな生活が何よりです。


間取りに感じる不安の解消

信州上田城の外堀跡です。関ヶ原の戦いに行く途中、徳川家忠が数万の兵を引き連れ、数千の真田軍を簡単に落城させて参戦するはずが、よく練られた真田軍の防備にてこずり、結局落とせず、数日足止めされて参戦し、家康にこっぴどく叱られた、という逸話をもつ外堀です。何事も事前の検討と対策が威力を発揮するという見本です。

前回のブログで述べたように、間取りに悩まれている方に少しでも軽減していただくためと、部屋の仕切りが決まった程度の間取り図で、検討すべきことが済んだかのように思われている方が多くいる状況に、私どもなりにそれを再考していただくため一石を投じてみることといたしました。

間取りから次に進む際、建築主として間取りに関連して全てを検討した、という確信もつため、当事務所のクエスチョン式間取りセルフチェックシートを提供いたします(無料)。当ホームページからご自由にダウンロードして活用ください。

これは、決して悩みの解決案や間取りを考える際に参考となる建築手法を述べたものではなく、あくまで検討すべき項目を列挙したものでしかないことをご承知の上活用ください。 <p>「間取り」の次に進むということは、そこに含まれる全てを自分が了解したことを意味します。例えチェックが素人には難しいと思っても、建主がいいと言わない限り家づくりは前に進めない建前になっています。不安であれば自分が納得できる間取りや計画内容になるまで設計者と話し合うしかありません。そのためのチェックシートです。建築屋さんがいい人だから、いい工務店だから、というのは、他人である以上自分にとって適切なものになるという保証にはなりまません。

間取りセルフチェックシートは

生活のあらゆる行為を想定して、動線や各諸室のスペース(広さ)、方位や道路、敷地境界と開口部、時代に即した設備機器の配置、収納や装備との関係、その上で構造的バランスや断熱等の性能、広さと予算と仕様のグレード、駐車場などの屋外の扱い等々を考えます。その上で、工事での作業性や費用対効果、将来の生活変化への対応、気に入った魅力ある内部と外観等々を吟味しながら自分に適切なものか考える上で、項目に漏れがないかチェックできるツールです。これらは敷地や人それぞれで事情が異なり、優先順位も違ってきます。しかしこのチェック項目でで考えるべきことはすべて考えた、という実感が不安を解消してくれるはずです。

間取りセルフチェックシートの提供にあたり

 最初にお断りしておきますが、間取りのセルフチェックは簡単にできるものではありません。建築の専門の方と一緒でないとチェックしきれない部分がいくつか含まれています。またチェック項目も、適切か、とか、自分なりに納得や吟味したか、という質問が少なくありません。建築は敷地条件や使用する人が違えばチェックの判断基準や重要度も違ってくるため、使用する建て主が判断すべきものだからです。もし判断しきれないところがあったら、その間取りの提案者に相談して見て下さい。説明に納得いかなかったらセカンドオピニオン等に求めるしかありません。参考までに当ホームページの設計作法は、クエスチョン式のチェック項目に対する、私共ならこう設計しています、という、一つのアンサーにもなっています。

チェックシートは間取りを決定する前に、不明のまま進めるのでなく、検討すべきことの、気づきを促し、漏れを少なくするためのものです。又、不明なところの検討記録であり、設計者(または建築施工者)との打ち合わせ資料でもあります。

セルフチェックしても不満が残る場合

 さらに、全てをチェックして納得して不安は消えても、不満が残る方も少なくないはずです。その場合はその計画が自分の状況や価値観に合ってないからです。建築の計画は95%論理的に考えられ、論理だけでは誰が考えても、多くの場合似たものになりがちです。チェックだけでは論理以上にはなりません。その段階を超えた満足を得るのは、残りの5%部分で、個人的感性や価値観、あるいは発想や構想力に負うところが大きく、誰がどう計画したかで違ってきます。

不満を残さない計画にするには、言葉で表現できない要望と建築条件の間にある矛盾をブレークスルーする必要があります。その仕方は設計者によって異なります。全てチェックして論理的に納得しても、不満が消えない場合は、自分の感性に合った設計者を探し出し、その設計者の提案に賭けるしかありません。

チェックシートの提供は、設計があらゆることを検討する行為であり、その重要性を理解していただくためのものです。さらに真に満足いく建築とするには論理を超えた段階まで行く必要があり、それには、誰でも同じではなく、私共である必要はありませんが、住宅設計を専門とする、感性の合う設計者に委ねる必要があることも、理解いただきたくての提供です。

上田に住む方が、すべて再使用材を使用して、茅も自分で刈ってきて、自分で作った茅葺の庵です。自分が納得できればどんな家も都です。


セカンドオピニオン

紫陽花の七変化が始まる季節になってきました。同じ花でも条件が少しでも変わると色合いも変わってしまう自然の不思議です。

 先日、他所で提案された「間取り」に不満はないがなんとなく不安だということで、セカンドオピニオンを求められました。確かにその「間取り」は一見部屋数も広さにも明らかな欠陥はなさそうでした。しかしよく見ると、居間食堂を広々と欲しいという割には、家具で仕切った間仕切がせせこましくさせ、廊下を設けた分、全体面積も広くしていました。その分工事費も増やし、窓も道路に近接させ、常にカーテンで隠さないといけなく、風通しも悪そうです。少しは欲しかったという庭を諦め、駐車場の確保がやっとの間取りでした。何より二階屋根の荷重のかかる柱の下の一階には壁も柱もなく、技術的にはできなくないでしょうけど、地上への屋根荷重の伝え方に無理を感じました。

間取りは変えられる

 階段の壁を取り払って居間食堂に開放し、子供の帰宅が見えるようにし、廊下の機能を上手に居間食堂に取り込み広く見せ、一階部分の面積を減らし、庭を確保し、そちらに窓を大きく開放し、二階柱を一階の壁のラインに載せる間取りに変えれば、構造的無理なく、居間食堂も視覚的に広くなり、窓も開け放すことができ、面積も減り、工事費も削減する間取りにできると思いました。

間取りの一般的扱われ方に問題が

 この「間取り」はさておき、それより気になったのは家づくりの進め方です。この間取りに不満がないなら、建築の内容が殆ど決まったということで、後は屋根や壁の仕上げを決め、他に注文がなければ、そこの工事屋さんのいつもの仕様で工事費を算出し、工事契約に進むとのことでした。その段階の間取りだけでは、壁と窓の位置が決まっただけで、まだ自分の事情に合わせて、暖冷房、給湯、換気、照明等の各種設備機器をどうするか、各種仕上げや仕様グレード、家具や装備、外溝、等々未だ未だ建て主が検討すべきことが多く残っています。それなのに、後は契約後に決めるか、施工者に任せるのだそうです。

間取りが決まれば後はうまくいく?

 「間取り」は住宅の良し悪しを大きく左右する重要な要素で、単なる部屋割りではありません。しかもいい家の必要条件ではあっても、十分条件ではありません。世の中では部屋割り程度の「間取り」でも、決まればあとはうまくいくかのように扱われているようです。私達設計者からすると、そこから先の検討行為こそが最も重要な作業で、設計の大半を占める実施設計はその部分の作業になります。しかし一般的にそれは、工事契約後の残務処理的扱いのようです。こんなことは分かっていたとは言え、部屋割り程度の「間取り」を決めた後の検討を十分にはせず、工事契約となる家づくりでは、契約後に不足や変更したいことが続出し、追加変更工事費が追いつかず、後悔する人が後を絶たないのは無理ないことです。このような実態を目の前に見せられると、見た見ぬ振りしていいんだろうかという、微かな危機感を覚えました。

家づくりは

「建築は百人いれば百通りの建築がある」とか、「建築心と盗人心のない奴はいない」あるいは「家は3回建ててみないと思ったような家はできない」などと言われます。かように、建築、特に住宅は色々な有り様が考えられ、また誰もが「間取り」ぐらい、自分でも考えられると思って、作ってみようとしますが、3回建てて見てようやく思い通りの家になる、というようなことなのです。

間取りになぜ迷う

 建築を考える時、殆どの方が「間取り」から考えようとします。確かに「間取り」は使い勝手や生活の限界を決定づけます。それで皆さん色々書いてみて、得心いったり、不安に駆られたりします。そして誰もがこれでいいだろうかと迷われます。なぜ迷うのかというと、検討すべきことを全て検討したという確信が持てないからだろうと思われます。

設計者も迷うか

 設計者は迷わないかと問われますと、設計者にもよるでしょうが、私らの場合、必要項目の情報収集やヒアリングが十分であればそんなに迷いません。事務所には吟味すべきチェックリストがあり、しかも設計者としての個人的建築観があり、それに照らして吟味すべきことを経験に照らして検討すれば、自ずとできること、無理なことが明らかになり、選択肢は限られ、優劣がつけられます。私どもから「間取り」を提案する場合、一案になるのはそのためです。よく二案か三案の複数を希望される方がいらっしゃいますが、よく考えた提案なら、あり得ない事です。

設計者が迷う場合

 設計者が迷う場合は、依頼者の言葉にならない意向や想いを十分汲み取れなかった場合で、依頼者の価値観や嗜好で選択肢の優先度が逆転する場合です。逆転に無理がなく、設計者の価値観からも、それが納得できる場合は、大まかな方向性を確認するため、複数案になることも稀ですがあります。

また複数案ではないですが、設計者が再提案せざるを得ない場合もあります。それは、設計者が依頼者の希望というより、個人的事情や嗜好を十分理解できていなかったときとか、誤解していた場合、提案する「間取り」を間違うことがあります。例えば、現地を見たときが日曜日で道路の往来が少ないと感じて、二階デッキの位置を道路側に設けて提案してみたけど、実は週日は往来が激しく、逆側の方がよかった、などというようなケースです。


大都会のビルの狭間に木造住宅が

都会の変貌は激しい。中高層ビルがまた解体されている、と思って毎日その解体現場前を通勤で歩いていたら、ある日突然、解体されたビルの裏側に、解体されたビルと両隣のビルに囲まれて、数十年間に渡って、陽も射さずにあったであろう二階建て木造住宅が、高層ビルの狭間に、突如朝日を燦々と浴びて気持ちよさそうに、しかし肩身狭そうにひっそりと建っていた。

 


西伊豆の平屋建て

西伊豆の土肥に、平屋建ての家ができました。

ブログも、去年暮れからこれまで忙しく、更新されていませんでした。途中経過の掲載もサボっていたわけではなく、なぜか他の実務に振り回されて、引き渡しの今になってしまいました。植栽も家具も未だですが、ちゃんとした写真での事例紹介の前に少しだけ紹介します。

土肥には、30年ほど前に設計した家があり、それはカーグラフィックという雑誌の編集者が表紙用の風景を探していて、それに取り上げられた家で、3年ほど前にリフォームをし、建て主さんがそれを見てこのような間取りがいいということで決まった家です。西風の強く吹く地域で、玄関は煽られないように、既製の引き戸でということでしたので、そのまま使っては味気ないので、わずかに周囲に木の縁を付けることで、手作り感を出しました。

敷地は自分の家の敷地と隣の100年前に建てられた家を購入した敷地と合算したので、平屋建てにしても十分全室南向きにできました。ただし、接道する北側の道路レベルと南の庭側の敷地レベルに1m程差があり、南側バルコニーには木製手すりを付け、4段ほど降りて庭にでます。内部の壁は紙クロスですが、壁面の角をそれなりの下地処理をすることで

左官壁のように見せています。居間食堂は恒例の小幅板天井ですが、

ロールブラインドもその中に納める仕掛けは健在です。

建て主さんは生け花とお茶を長年やってきたので、網代天井の床の間には、床柱や落とし掛け、掛け軸用の無双四分一だけでなく、花蛭釘、中釘、花釘も付いています。畳床には炉も切ってあります。

早く引っ越されて、生け花を活けた空間で、お茶をたてていただくのが楽しみです。


新しい年になりました。今年もよろしくお願いします。

写真は拡大すると端の山の上の雲間にかすかに富士山が小さく見えます。めでたさも遠さも見えにくさも、今年の当事務所としてはこの程度かなと思います。

昨年までの数年は、東日本の被災地で開発提案した(FSU)工法の手前、定着するまではということで、個々の住宅や事務所等の復興のお手伝いの出稼ぎ(出張)が多くありました。それで忘れられたのか見放されたのか、関東方面の本来の在来工法の仕事が少なくなってきていました。それもいよいよ昨年暮れ、そのFSU工法で作るということになった、19年ラクビーワールドカップ釜石スタジアムのドーピング室等の木造諸室の設計がほぼ終わり、今年半ばに工事が完成すれば、お払い箱となるかと思われます。

これまで新しい工法に力を注いできて、いくつかわかってきたことがあります。職業柄、被災地で何らかの役に立ちたいという意識から始まりましたが、過酷な状況と地域特性からくる要請に答えようとしているうちに、設計者としての中途半端な我は見直し、建築を作るということの意味を改めて考えさせられました。例えば、当たり前のことながら建物そのものがすぐにも欲しい方には、いたずらに時間や費用をかける設計やデザインは、殆ど重きをなさず、工事を早く安くしてあげることの方が大事な場合が多いということです。それと林業や流通事情が建築工事の仕方や価格だけでなく、設計デザインにも大きく影響を与えうる可能性を秘めている、というようなことです。それゆえ設計者が関わるからには、それなりの意味と価値のあるものが何かも、わかってきました。

葉っぱの裏にも表にもめしべのような芽があるのが分かります?

さらにこの工法は、今後の木造建築の職人不足や工事費の高騰にいずれ対応する有効な手法になりうるということもみえてきました。

被災地での(建築)事情は人口減少を含め、日本の数年先を具現化しています。今、関東でのリフォームは人口減少で生じた空き家のせいか、リフォームブームになっていて、解体してみないと中がわからないからと、見積もりを高く出しても通る、美味しい仕事に思われ、各産業から多くのリフォーム屋さんが参入してきています。職人不足とオリンピックということで、工事費はうなぎ上りに高騰し始めています。新築よりも高いのでは、という話をよく聞きます。当然新築にもその余波は来て、今後オリンピックや消費税アップで職人不足がさらに進み、工事費のコストコントロールは益々難しくなりそうです。

その時、岩手で試みて色々わかった中で、新しい工法は現場職人をあまり必要とせず、殆どを工場で加工して持ち込んで作る木造建築の手法の核になりうる可能性を秘めています。現場での職人の数が少なくて済み、2日ほどで建込、屋根下地までいき、屋根を葺き、サッシ等を取り付け、設備を備えれば、それだけでも住めなくもない木造スケルトン(躯体)ができあがります。自分で仕上げたい(DIY)方や店舗あるいは別荘等にはうってつけです。またそれなりのレベルの住宅を望む方には、その後じっくり丁寧に仕上げて引き渡すこともできます。

岩手県では、施工を一緒にやっていただいていた工務店さんは、もう自分らだけで設計施工ができるようになり、依頼も多く、待っていただいている状況です。躯体建て込みだけの依頼もあり、その方が収益も高いとのことです。

関東では殆ど知られておらず、リフォーム等、他に収益のある依頼があるため、新たな工法はやりたがらず、この工法で見積もりをお願いしても、通常と同じようなものしか出してもらえません。それでしばらくは、店舗や別荘等で、岩手県と同じように多少遠方でも、忙しくない工務店さんを説得し、この工法で施工できるところを増やし、市中で高止まりしている工事費に、見直しを迫る手段にできないかと考えています。