投稿者: 藤原昭夫

きづかい運動始動3ー「木」か「気」か万博で考える

木材の性能と経年変化を知るための暴露試験報告3です。雨ざらしのタイプの写真ですが曇り空であったせいか写真が少しくらいですが勘弁してください。

軒下暴露試験で、左が水浸し無しで右が水浸しありの二タイプです。

雨ざらしの近景写真です。変化はあまり感じられません。

軒下の水浸しタイプですが、左端の柿渋塗りタイプの鋸肌と隣のプレーナかけ肌の木表木裏下地では色の褪め方がかなり違ってきました。これは鋸肌板に柿渋を塗った時、塗料の吸い込みがプレーナ掛けより多く吸い込むことで、経年変化での褪め方も遅く色の濃さが残るためと思われます。水浸しタイプも浸さないタイプも同じことから、雨掛かりは影響なさそうです。

どことなく分って来たことに、軒下の水浸しタイプの鋸肌が汚れた感じになった気がします。これは浸したときに水の汚れが吸着されやすく、雨等で流されないためかなとも思っています。それと柿渋塗った板の上の化学薬品入りのキシラディコールのやすらぎ(透明)は、水を弾き木肌を保護している感じです。[ブログ] きづかい運動 始動 その2

きづかい運動の「き」について説明するために、木の肌の経年変化の視点から、同じ時期に木材を大量に使うコンセプトで、オープンした大阪万博の木造大型リンクの構造体や他の国のパビリオンをちょっと見てみたいと思います。

大屋根リング構造体、確かに現地でみると、その大きさに迫力があります。外側の木材の横に掛かる梁材は2か月ほどしか経ってなくても、よく見るともう少しずつ汚れてきているようです。この木材は集成材なので表面はプレーナ掛けのはずです。水は鋸肌より吸い込みにくいはずです。

内部から構造体を見てみると途方もない量の木材が使われていることが見て取れます。内部の柱材はそれほど汚れは目立ちませんが、横架材の上は埃による汚れが目立ちます。表面には塗装はしていないように見えました。

海の傍であることとと、地盤が弱いところなので、構造体は錆とコストを考えると木材が最適であったかもしれません。柱と横架材の接合は集成材構造なので、金物にせざるを得なく、防錆のため、全ての金物をどぶ付け亜鉛メッキの金物を使っていて、構造的にはそれなりの気を遣っていました。しかし殆どが集成材なので、接着剤は外部表しのためレゾルシノールという接着剤を使用してあるはずで、解体後に常温で他の廃棄物と一緒に燃焼させると、ダイオキシンを発生する可能性がある、と言われています。使用後のこれだけの木材量どうするのかとても気になりが、それを気にする声が少ないことの方がもっと気になります。

木はリングの上の遊歩道のデッキ材にも使われていますが、これは万博の期間内であるなら、汚れはともかく、使用後に再利用され、CO2の固定延長が計られるのであれば、選択肢としてありかと思われました。もし単純に廃棄されるのであれば、疑問が残ります。大屋根リングの構造体は使用後の再使用の方法がまだ決まってないようです。確かにこの途方もない量の木材がこれまでの数十年かかって蓄積してきた二酸化炭素を、今後木材が蓄積してきた生長期間程度は使用し続ける必要があり、使用後すぐに廃棄して大気中に戻してしまうのは、温暖化の今日、問題ではないのでしょうか。

架構を見ると解体は可能と思われますが、容易ではなく、かなりの費用を要すると思われます。さらに違う形態の建築に再使用するには、日本の貫構造を採用しているため、柱も梁もいたるところにほぞ穴加工や金物加工が施してあり、木材を再使用するには、一本一本に再加工が必要になり、新たな集成材で建築した方が安上りだという、現場からの声が聞こえて来そうです。

大リングの遊歩道から見える屋根が木材剥き出しに使われているパビリオンもありましたが、何とか万博が終わるまできれいでいてくれるといいのですが。このような木材の使われ方だと再使用は小物品やデッキ材以外殆ど無理と思われます。少なくとも壁体がモディール寸法である程度の面積を有したソリッドのパネル部材として使われてあったら、私たちが東日本大震災の時に開発したFSU工法のように、ピンを抜を抜けば容易に解体でき、そのまま壁パネルのまま、他の一般的建築物や住宅の構造躯体として、再使用が可能で、二酸化炭素もさらにもう数十年固定し続けることが出来た思われます。FSU工法について | (株)結設計|東京・建築家|住宅・建築設計事務所 しかしこれまで普及に努めても、新築時に再使用を気にする方は少ないのが現実です。せめてSDGsが叫ばれているこの時代、国家的プロジェクトで「再使用」を免罪符的に付け足すように唱えるだけでなく、その再使用技術を容易に実践してみせる紹介が見当たらなかったのは、コツコツ手探りしながら開発・普及している者としては、寂しい想いにかられました。

他にも木材が使われているパビリオンはたくさんありました。お祭りなので、一年程もてばよいから色んなことができます。面白ければよいでしょうか、木材を一年間のきやびらかな空間包装紙として使ったかのようなももあり、設計者としては技術的には興味深く見学できました。

パビリオンはその国や組織の表現ですから、それでいいのでしょうが、やはり気になるのは万博の象徴でもある大リングの構造体に写真のような汚れが散見されるのは気になりました。横架材の汚れは一年以内なら誰も気にならないのかもしれませんが、太い部材が使われているのですから、庇を大きく出すなど容易な手法はいくらであり、もう少し気遣いのある木の使い方ならここまでにはならないのにと思われました。参考に再使用可能なFSU工法で軒を大きく出した事例を上げます。那須の家 | (株)結設計|東京・建築家|住宅・建築設計事務所 | 別荘のような終の棲家

梁の木口や雨掛かり側の梁上だけでも、雨だれや埃除けの塗装や水切りアングル又はテープ等、ほんの少しの気遣いで、1年程度のための処置なら費用は微々たるもので済んだのではないかと思われます。今本当に注目すべきは、珍しい或いは奇異な見世物や画像なのか、気になりました。それはもうSNSで、毎日見せつけられていて、万博でもそれなの?という疑問が湧きました。当たり前にあることの奥深い意味や、素材の知らなかった性能にどんな配慮で何が可能になるのか等、隠れているところの価値に光を当てて見せるのも、SDGsの時代には意味あることではないかと思われました。

万博会場の周りはこのように海なのであったら、もう少し海を活かすというか、溶け込むというか、もっと当たり前の気遣いをするだけでも、未来を暗示させる違った技術や有り様も見せられたのではないかという気もしました。それとも万博のコンセプト「いのち輝く未来社会のデザイン」ということで敢えて現代的に、未来はこのような事業で益々温暖化が進む未来になる、と警告したかったのでしょうか。そんなことを考えていたら、万博会場までの電車の途中の駅に、朝潮橋という駅があり、その近くに電車の中から見える、万博以上に紹介する意味と価値あると思える、公園のような丘というか施設を発見しました。すでに30年程経っていて当時では珍しい実践だったと思われます。

その丘には、駅から平らな公園の中を歩いていった向こうのようでした。

道は南欧風の石垣に囲まれた道になり、それをさらに奥に進んでいきます。

その道まだ続いていました。

石垣の壁の道の先はゆっくりした、螺旋状の坂道で、ジョギングをしている人もいます。

螺旋状の道だけでなく、階段も所々にあります。

丘の上まで続く道が幾重にも螺旋状に丘を取り巻くようにあります。

道の途中には雨が降った時は水が流れるように岩のある小川もありました。

木造構造体表しによる木部の経年変化が意図していた通りなのか、今後も含めた確認のための写真です。

小川には流れていく水を見ながら足をぶらぶらできるベンチもあります。

登っていく途中、サンクガーデンらしきものがところどころに見受けられました。

近くの園児でしょうか、階段を元気に上っていきます。

市中を見渡せる広場に来たら、園児たちが坂のある芝生の広場で転げまわりながら遊んでいました。ところどころに格子蓋の集水桝が見えます。

さらに上っていくと、丘の上の白い球状の形態が視界に入ってきました。

坂道の途中から駅前にある体育館の屋根も見えてきました。

頂上近くまで来てみると、建物の頂部らしきものが露わになってきて、この丘全体が建物の屋根というか、屋上ルーフガーデンであることがはっきりしてきました。

頂上部からは市内が遠くまで見渡せるようになっていました。下に下りて行く木道の先には、頂上の丸屋根の小型版のようなものが見えています。丘全体が建物の巨大な屋根(ルーフガーデン)であることが分かってきたので、入り口を探すべく下に降りて行きました。

一般道路レベルまで下りて行くと、アリーナ大阪という看板があり、そこは北の入り口になっていました。

南側には駐車場と正面エントランスがあり、建物らしく見えるのは、南北の入り口だけでした。

中に入っていくと、さっきのサンクガーデンのように見えたドライエリアが見えてきました。そのサンクガーデンの下にも採光を必要とする部屋があるらしく、床に丸いトップライトのガラス屋根が点在しています。

ドライエリアが大きいため、地下である閉塞感は全くなく広々とし、建物内にも必要な採光は十分確保できているようでした。

内部を歩いていたら建物の配置概要が分る案内図がありました。地下に埋まっているのは、メインアリーナとサブアリーナのようです。駅前に見えた体育館は、大阪プールだったようです。

サブアリーナらしいものがあり、そこに入って見ました。

そこでは卓球大会らしきものが行われていました。この天井の丸い白い部分が先ほどの木道の先に見えた丸屋根の小型版のトップライトのようです。この丘の入り口にあった石垣で囲まれた坂道を歩いていた時、40年以上前にスペインのトレドという街の丘の上の坂道を歩いていた時のことを思い出しました。
その中世の街並みの坂道を歩いていて、もしこの丘の道だけでなく、丘全体の下に駐車場や設備や発電用の機械室等を備え、集合住宅の一部も埋め込まれていて、ところどころに採光用のサンクガーデンがあって、地上の往来で見えるのは、この中世の街並みだけで、その広場の傍らで吟遊詩人でもあった、ジョルジュ・ムスタキが「私の孤独」ジョルジュ・ムスタキ Georges Moustaki/私の孤独 Ma Solitude(1966年)をギターの弾き語りで詩っていたら、極めて古くて新しい未来の理想的街の構成手法になるのではと、夢想したことがありました。

地面の下1m以上あれば年中温度は摂氏15~19度程度で安定し、地面の土は断熱効果も高く、地下室は暖冷房のランニングコストが少なくてすみます。但し地下室の結露による湿気や様々な漏水及び排水処理は原理的には単純ですが、実際に応用するのは大変です。南欧や中近東は乾燥気候のため、その対策は日本よりは有利かと思われますが、困難であるのは確かです。

道端でギターの弾き語りで誰か歌っていそうな街中の通り

電車から丘の上の屋根らしきものが見えた時に、真っ先にトレドの街で考えた構成法思い出し、丘の公園施設を尋ねていきました。それで、つい自らの浅学も顧みず設計屋の図々しさで、事務室に伺い、自分にはこの施設の方が、万博よりも未来のあるべきあり様を示していると思えるので、建物の資料があったら、いただけないかと尋ねました。すると30分ほど待ってくれと言われ、その間施設の色々なところを見てまわり、戻ったら、わざわざ館長さんが応対して頂き、色々親切に説明をしてくれました。

わざわざ色々コピーして建物資料を創って頂いた中の唯一の建物外観写真

館長さんが言うには、確かにこの建物は竣工当時、色々な賞を頂いたが、運用していくにはなかなか大変なところもある、ということでした。確かにこれだけ先進的な施設なだけに、色々問題はあっただろうと予測はできました。とくに排水処理や地下室特有の結露からくる問題は大変だろうと思いました。それは建築の隠れた永遠のテーマで、技術的には難しくはないが、経済的で上手な適用や運用が容易ではなく、地道に各箇所を適切に処理していくしかないものです。うまくいっても、当たり前で業界からも社会からも殆ど評価されないので、その多様な術は個人的にしか蓄積できず、次代に伝わりにくいので、館長さんの悩みはよく理解できました。
つい最近、下の写真のように地下に埋め込みたいけど予算や結露等が気がかりで、庇を十分出した上で、正倉院の校倉造りの小型版のような、杉材を独自に工夫して創られた壁材を貼った別荘を、最近引き渡したばかりで、石や木などの素材と地下に関心が高いときでした。

石の多い崖下に建つ、車路を降り行く別荘で、二階外壁は杉の板の切断面を工夫した外壁材です

館長さんに大阪アリーナような先進的で大胆な施設になった理由をお聞きしたら、当時公園の敷地面積が建蔽率的に足りず、建蔽率に換算されない苦肉の策として、地下に埋め込むことにしたそうです。それを聞き、納得いたしました。昨日見た万博のように、これ見よがしの表現欲丸出しの建物の数々をたくさん見てきたところで、30年前に設計者としてこのような、表現欲を抑制し、形態を土で覆い隠し、その上を公園として活用する、先進的な提案をしていたとすればすごい設計者だと思っていましたから得心しました。
これまで地形や自然現象への対応及び素材の扱い方、例えば結露での湿気対策や木材の経年変化など、頭で理解していることと、快適な制御ができていることには雲泥の差があり、木材や石もただ使えばよいということではなく、素材の性質や性能を熟知して、状況に合わせて適切に使えるということは別物だと、万博とこの公園施設を見て、再確認できました。まさに、「木を使うなら、気を遣いながら」です。当面、「き」は自分にとって、「木」でもあり、「気」でもあり両方の二刀流でいこうと思います。


「海の見える鎌倉山の家」 完成見学会

私たち結設計が設計した鎌倉市の「鎌倉山の家」が完成いたしました。建主様のご厚意により、2025年7月21日(月・海の日)に鎌倉山の家の完成見学会を開催できることになりましたのでお知らせします。

建て主さまがご入居後のお住まいをご見学いただけます。建て主さまに建築の経緯や、実際に住んでみた感想などもお聞きすることができる1日限定の貴重な機会です。

当日は、結設計の設計担当者がご案内して説明いたしますので、聞いてみたいことや気になったこと等がありましたら、お気軽にご質問ください。

眺望を活かした住まいを検討中の方や、湿気対策をした家を検討したい方、高低差がある土地や擁壁の上の土地に建てようとされている方、長期優良住宅制度活用を考えている方、などに特におすすめです。

鎌倉山の家は高台に建つ住宅です。リビングや屋上のルーフバルコニーからの眺めが素晴らしい家です。
その眺めを生かすために、通常であれば筋かいを入れて壁にする部分もガラス窓にしました。目線を遮る筋かいの代わりに、視線の邪魔にならないステンレスの丸棒を入れて、眺めを生かしつつ構造上の安全にも配慮しています。

敷地は、南側に擁壁があり、南隣地との間に4m程の高低差があります。擁壁下が隣地境界線なので、擁壁上まで2階バルコニーを跳ね出して、バルコニーの奥行きを1.5m確保して余裕のある広さになっています。

隣家の屋根越しに景色を楽しむためにリビングは2階です。
リビングは、チーク床や小幅板目透かし張りの天井、壁の一部には大谷石を貼って、無垢の木や天然石をふんだんに使ったインテリアが特徴です。
壁は、珪藻土クロスなのですが、壁の角を丸くすることで、左官壁のような雰囲気になっています。ちょっとした工夫なのですが、かなり部屋の印象が変わります。
今回の見学会では、無垢の木や天然石、珪藻土クロスなど素材の質感を実際に体感できます

この高台の眺望をより活かすため、屋上に展望ルーフバルコニーを設けました。360度見渡せます。
2階浴室ならではの開放感がある浴室も見どころです。

外壁は左官仕上げ。玄関前のアプローチ部分は、石張りの外壁になっています。

海に近い高台なので、海からの湿気が霧になりやすい地形です。そのため湿気対策で一般的な住宅ではあまり設置しない床下除湿器を採用しています。

サッシは樹脂サッシ、屋根は80mmのネオマフォームを使った断熱パネル工法、外壁はネオマフォーム40mm外断熱仕様を採用しています。
また、耐震等級3の耐震性、断熱等級5(ZEH)の断熱性を有する長期優良住宅です。

鎌倉山N邸ブログ記事

■住所  : 鎌倉市鎌倉山2丁目
■日時   :2025年7月21日(月・祝日)、pm2:00~pm5:00
■最寄駅 :鎌倉駅東口 鎌倉山行きバス、バス停より徒歩9分
      (江ノ電七里ヶ浜駅 徒歩18分もありますが、坂道です)   
■駐車場 :建物付近に路上駐車できません。周辺パーキング等をご利用ください。  

■建て主さまがご入居後のお住まいをご見学いただけます。

◆ご予約方法
 見学会は予約制となっております。
 ※7/18(金)までに要予約
 申し込みいただいた方に、折り返し住所などをお知らせします。  

■申し込みフォームでのご予約
 下記のフォームから申し込みをお願いします。

 「海の見える鎌倉山の家」完成見学会7/21 参加申し込みフォーム

■お電話でのご予約
「7月の見学会を予約したいのですが…」とお伝えください。
株式会社 結設計: ☎ 03-5651-1931


■遠方の方へ
ご希望があれば、別物件の1年点検時等の際にご案内も可能ですのでご相談ください。


この見学会が、皆さまの家づくりのヒントになれば幸いです。
ぜひご予約のうえ、お気軽にご来場ください

皆さまにお会いできるのを楽しみにしております。


きづかい運動 始動 その2

前回と同じ写真ではありません。暴露試験報告その2です。やはり間が空いてしまいました。雨曝し板の数が二枚増えています。実は最初の杉板は、価格が安い白太(辺材)の板目材でした。前回のブログで暴露試験を始めるきっかけになった自然発色のグレーの板材を、改めて調べたところ、木目が詰まっていて、どうも柾目板のようです。そこで急遽、柾目材の板も試験体に加えることにしました。雨曝しの試験体群、軒下で水を多く浸す試験体群、少なく浸す試験体群、それぞれに木表、木裏の二枚ずつ計6枚加えることにしました。前回の試験体群の写真と見比べて頂ければ、どこに設けたかが分かります。

試験体置き場も作り変えるのは大変なので、3セット共、急遽2枚分の置き場を設けるため、設置用の板をもとの置き場用の板に重ねて貼り付け、跳ねだしてこしらえました。

水浸しバケツだと全部を均一に浸すのがやりにくく、水の取替も厄介だったのでやり方を替えました。植物の鉢の下皿や押し入れのプラボックスの蓋の在庫品を活用したり、新品を購入したりして、それに浸すようにしました。茶色下皿1枚だけは酸化鉄塗装板専用です。

雨曝し試験体左側に杉柾目板の木表木裏板を追加し、自撮り棒で撮った近景写真その2です。

軒下暴露試験体1(水多く浸す)の右側に杉赤身板木裏木表板を追加した近景写真その2です。左端の柿渋を塗った板の柿渋色が、最初三枚とも同色だったのですが、端の一枚だけは、鋸肌に塗ったので、塗料の吸い込みが多く自然と色が濃くなってしまい、その分色も褪めにくいたため、違いが出たと思われます。

軒下暴露試験体2の左側に杉の赤身木表木裏板を追加した近景写真その2です。自撮り棒で撮影するのが極めて未熟で、10回ぐらい試し取りした中の一枚です。最初に報告した試験体の撮影(きづかい運動 始動 | (株)結設計|東京・建築家|住宅・建築設計事務所 | きづかい運動 木の使い方 木の性能)から、1っか月ほど経っていますが色合いは殆ど変化ない感じです。上の写真の軒下暴露試験体2は20分以下の水浸しをすことにしていましたが、あまり意味ない気がして、3週目くらいから水浸しは止めて、原則雨のかからない、横殴りの雨の時だけ濡れる程度の水がかかる試験に変えました。

今回のブログ公開後、きづかいのきは「気」?それとも「木」?の話はどうなった?と問い合わせがありました。実は半分以上書いてはいますが、そこに大阪万博の木造大架構のリングを例にして書き始めたら、色々出てきて時間がかかりそうでしたので、すみませんが次回に持ち越させて頂きます。

その代わりというわけではありませんが、今の段階でも木材の基本的性質について、大体理解していたことですが、改めて確認できたことがあります。

写真はパレット(鉢の下皿)に水を浸しているところですが、一皿に幅的に三枚が無理なく余裕もって並べられたのが、時々縁と縁の間に板が三枚嵌めるのに、板が少しきつくて盛り上がり、上から押しこまないと入らない時がありました。雨続きや浸す時間が多過ぎたりして、木材の中に含む水分量(含水率)が多いと、このような現象が起こるようです。よく住まいの無垢の床板が冬時に隙間ができたり、夏場板が盛り上がったりするのは、この含水率のせいですね。

しかし、白い皿の板二枚の上下は縁と皿の爪の間に丁度ピッタリはまっているのに、これまでどんな時も隙間が生じたり、はみ出るということはありませんでした。これは繊維と直角方向(板巾方向)には伸び縮みしても、繊維方向には殆ど伸縮しないということを、実験が示しています。

上の写真は軒下の水に浸さないタイプの酸化鉄を塗った板の裏側ですが、なぜか色がくっきりと分かれています。濡れているわけではありません。

上の写真は、水に浸すタイプの酸化鉄を塗った板の変化した表面です。

上の写真はその酸化鉄の板を裏返しした板の写真です。なぜか10㎝幅だけ白く木肌の色に近いままになっています。酸化鉄の水溶液はどのタイプの板にも裏側は塗っていないのですが、水に浸すことで、塗った部分の水溶液が水に溶け出して、板の裏側も薄く塗った状態になり、空気に触れる部分が酸化してグレーがかって来たのではないかと思われます。

上の写真は試験体の板を取り除いた置台装置です。裏板に合った10㎝巾板の上に置くので、その部分は確かに通常空気にふれません。そのため裏板が薄く酸化鉄水溶液が塗った状態であっても、そこは空気にふれないので酸化が進まないため生じた現象だったようです。このように、わずか二カ月程度でも少しづづ変化が生じ、木材の性質が、実態として分かってきます。



きづかい運動 始動

上の写真は何か分かりますか?並んでいる各板は全部杉板です。

上の写真も同じ目的で始めた、木材の外壁仕上げに使う杉の板を、外気中で太陽と雨に晒して、どう色や肌が変化していくかを見る、暴露試験中の写真です。試験体の晒す(露出)パターンは、一番上の最初の写真が全くの雨ざらしで一切手を掛けないパターン、その次の二組並んでいる写真の右が庇下で、朝晩に20分以上水に漬けてから晒すパターン、左が同じ庇下で、10分以下しか水に漬けないパターンの3タイプです。

丸太の周辺を鋸で引いて取った板材(板目板)には、上のように年輪があり、板に製材した場合、年輪の外側が木表、中心側が木裏、と呼びます。大工さんは裏表を意識して使用しています。フローリングなど日本では仕上げ面を毛羽立たないために木表を仕上面としますが、欧州ではあまり意識しないようです。それと丸太の周辺材を白太材、中心寄りを赤身材と言います。写真は両面鋸で引いたままの肌です。

上の写真を見るとよく分かるように、丸太の中央付近を鋸で引いた柾目板の端切れで、右端が丸太の樹皮で、白っぽい部分が白太(辺材)、茶色い部分が赤身です。

上の写真は、2012年に建築知識という専門雑誌で、建築や家具で使用する81種類の木材の板を自分が集めて監修させて頂き、エクスナレッジが発行した板見本集です。

上の写真の左が吉野杉の板目の白太材で、見える手前が木表、左が雲杉(中国産材で正確には日本の杉と種類は異なるようです)の右端に赤身が混じった目が詰まっている柾目板です。どちらもプレーナー掛けした肌に処理されています。

上の庇下の試験体の写真の手前の板から、①白太材の鋸肌で木表を晒し、②白太材の鋸肌で木裏を晒し、③白太材プレーナー肌の木表を、④白太材のプレーナー肌の木裏を、⑤赤身鋸肌の木表を、⑥赤身プレーナー肌の木表を、⑦白太鋸肌の木表にウッドロングエコ塗料(鉄粉入り)を塗った板を、⑧白太材の木表プレーナー肌の上部にキシラデコールの透明のやすらぎ、下部に柿渋を塗り、⑨赤身プレーナ―肌に上部にやすらぎ、下部に柿渋塗り、⑩赤身鋸肌に上部やすらぎ、下部に柿渋を塗って、①~⑩まで並べた庇下の暴露試験体2セットです。全て杉の板目板で、ビスはステンレスです。

こちらは全く屋根無しの雨曝しの試験体で、①から⑧までは庇下と同じで表面仕上げで、この雨曝しのみ、その両サイドに左脇に⑨として軒下とは異なる赤身木表の鋸肌板の上部から化学薬品のノンロットのライトグレーとブルーグレー、下部にキシラデコールのシルバーグレー塗装、⑩として軒下とは異なる赤身木裏の鋸肌板の上部にライトグレーとブルーグレー、下にキシラデコールシルバーグレー塗装をした試験体です。3セット共①~⑥までは白太材と赤身材の木表と木裏及び鋸肌とプレーナー掛け肌の自然のままの変化をみるため、⑦は酸化を早めるために自然界にある鉄分を水に溶いた塗料、軒下の⑧、⑨、⑩は赤身、白太、木表、木裏によく使われて化学薬品塗料と自然界で採集した柿渋塗料がどう経年変化するか、雨曝しのセットは化学薬品塗料との比較をを見るための試験体です。

上の写真は遠野駅の駅前広場に合ったベンチの表面です。どうも塗装してないようで、自然発色で生じたグレーの色のようです。そこで雨曝しの試験体のみ⑨⑩に化学薬品の効果を見るため、鋸肌を⑨、プレーナー掛けを⑩として、耐候性が高いと言われる化学薬品で、自分も使ってみたグレー色を二社の塗料で、自然界のものとどう違ってくるかを見る暴露試験です。

軒下で全く水がかからない木材は乾燥も変色速度も遅いと言われていたので、時々水を掛けてあげる必要があります。10枚の試験体に均一しかも一様に掛けることは難しいので、上のゴミバケツに水を貯めてパターン毎の板を、朝晩バケツの水に漬けることにしました。庇下の試験体の左は水を10分程度、右は20分以上、朝晩一回づつ、水に漬けます。ただ⑦の鉄分で木材の酸化を早める塗料を塗った試験体は他の板と一緒に漬けると、塗料が水に溶け、他の板に影響を与えそうなので、⑦だけは別の容器に単独に漬けています。露天の試験体は何も手をかけず、お天気任せです。

戸建ての二世帯家族の家とは言え、敷地内で日がよく当たり、朝晩水に漬けるために板を取り外したり、取り付けたりでき、しかも普段ろくに家事をしない、居候的立場の自分としては、他の家族の生活の邪魔にならない設置場所を確保しなければなりません。色々考えた挙句、ベランダの手すりの上に、板を風雨に晒すための試験体置き場の仕掛けを作るしかなく、試行錯誤の上、できたのが上の写真の試験体置き場装置です。

なぜこんな馬鹿々々しいようなことをやってみたくなったかの理由は色々あり、追い追い次回からの投稿で紹介していきます。一つは、ある製材所に行ったとき、敷地の端に打ち捨てられた廃棄前の上の写真の板切れを見たことにあります。三枚とも同じ木で、遠目と近くから見た写真です。打ち捨てて約半年ほど経って変色したものです。この底光するグレーの色に魅了されたからです。遠野駅のベンチで見た色とよく似ています。設計で木材の板を外壁に使うときはグレー色をよく使います。その際は自然塗料を多く使うのですが、それなりの費用を要し、北側の外壁の場合は青かびや藻を発生させることもあり、化学薬品の塗料にすることもあります。製材所で見かけたこんな色が自然に発色できるならそれを活用する選択肢にできるようにしたいと思ったからです。それには材をどう晒し、どれだけの日数を必要とするか知りたかったためです。( 木材と水分の関係 「自由水」と「結合水」の2種類の水分がある。|木づかい運動

これから毎週、いや時には10日たまには2週間おきぐらいに、上の三枚の写真の暴露試験体の変化写真を替えて掲載続けてみるつもりです。上が庇下で水を10分程度以下浸した試験体、真ん中が庇下20分以上浸した試験体、一番下が全くの露天で何ら手を掛けない、お天気任せの試験体の変化写真です。空からでないと試験体正面の写真は撮影できないので、自撮り棒まで買って撮りましたが、うまくいかず、こんな写真しか取れません。笑って一緒に変化を楽しんで下さい。来週からは、なぜこんな暴露試験までして、きづかい運動を始めることにしたか、今木材を取り巻く設計や建築の状況がどうなのか、だからどう考えてやってみるべきとしたか、また実行し始めていることを、綴っていきます。乾燥の試験体写真を見て、感想を寄せて頂き、さぼらないように応援メールを頂けると励みになります。ずる休み防止のために次からのテーマを予告(順不同かも)しておきます。

1、きづかい運動のきづかいは、木使い?気遣い?その訳は

2、住宅で木の多用は高くつく?

3、頼りにしてた木材屋さんから廃業の手紙が

4、木を多く使いたくなる工夫をした外壁仕上板の紹介と活用の仕方

5、普通の木材板壁も在来軸組構造の防火構造外壁仕上として使える術を紹介

6、建築費高騰と職人不足に対抗して3割削減にする連携の仕組み紹介

7、おしゃれな別荘が投資対象に?

8、シェア別荘「峠の我が家物語」

9、スラム化したタワーマンションの解体費用は自治体負担?

10、文明は人類を衰退に導くように発達する?

11、戸建て木造住宅の復権と子供のレジリエンス能力


連結壁(FSU)工法建込作業見聞の案内

現場の基礎の写真で失礼します。今月24日~25日にこの基礎の上にFSU(角材連結壁)工法の住宅を建て込む作業をお見せできる機会があり、ご案内します。この工法での建て込み作業は他所では見ることができず、機会もそう多くはないので、もし関心がある方がいたら、と思い急遽案内した次第です。工法を知らない方に昨年釜石で建て込みをした写真で説明します。

柱を立てて、その柱間に、柱角と同寸の角材をボルトで連結した壁パネル(下の写真はその壁の底部分)挿入していきます。

壁パネルの底を見た断面写真です。柱と同じ角材の間に気密用の雇い実が入っているのが分かります。飛び出している円形のパイプは横架材とつなぐための金具です。壁パネルの溝部分が電気配線用のためのものです。建てた後に蓋がされます。

柱間に壁パネルを挿入する工事をしているところです。柱と壁パネルの間にも実材が挿入されます。

上の写真のように、柱と同じ厚みの無垢の壁が並んで、それが外壁や間仕切り壁になります。この壁のままの仕上げでもよし、この上にクロスを貼るもよしで、選択自由です。

壁が建て並べられたその上に梁を載せているところです。

壁の上に桁が載り、棟木を載せ、垂木を載せたところです。通常慣れた施工者ならこの上の野地板を貼るまで、30坪程度の床面積なら一日ですみます。関東でこの工法の建築を、経験ない工務店に見積もって頂くと在来工法より高くなりますが、慣れている施工者なら岩手でも在来工法より2割ほど安価に建てていただいていました。

今、建築費が高騰して3年前の5割増しと言われています。SDGsが叫ばれて来た昨今、環境配慮から考えられたこの工法に関心を寄せてくださる方が増えています。そこで、職人不足で困っている関東の地元の工事屋さんに基礎をつくって頂き、宮城県や岩手県の、木材を生産している工場で、この工法の軸組のプレカットと壁パネルを製作し、それを慣れている職人さんに出張して、構造壁躯体(木造スケルトン)までを建て込み、内装と設備を地元の工事屋さんに施工して頂く、「スケルトンインフィル」という分業の仕組みを用意し、工法を解放することを考えています。それもあって、一般の方はもちろん、設計者や工務店の方にも見て頂く機会を設けました。場所は千葉県市川市の北総線の北国分の駅から5分ほどの場所です。関心ある方はメール下さい。案内図を送ります。24日~25日の午後は常駐の予定です。当日以外でも都合が合えば、工事が続きますので、お見せできますので、ご連絡ください。今後ここの工事では「木を使う」というこで、色々してきた試みを、再現していくつもりなので、その進捗もご報告していきます。


「馬込の家」設計事例掲載


結設計 設計事例「馬込の家」を追加しました。

東京都大田区に建つお茶室のある夫婦二人のための住宅です。1階はすべて茶室と水屋で占められています。住宅としてのスペースはほぼ2階だけで、あとはお茶室のためのスペースです。かなり思い切ったこの建主だけの間取りの家です。

是非ご覧ください。


冬の乾燥と加湿器と浴室換気扇

冬は、空気が乾燥しますね。特に室内は暖房をつけていることもあり、より乾燥しています。
乾燥が酷い場合は加湿器をつますが、かなり加湿してもなかなか湿度が上がらないという経験はないでしょうか。


私の自宅は、冬はすごく乾燥します。
冬の日差しが室内の奥まで入ってきて、日中は暖房を付けないでも半袖で過ごせるほど温かいのですが、その反面乾燥が酷く、床のフローリング(無垢材のフローリング)が乾収縮して板と板間の隙間が5mm程になるほどです。(夏場はその隙間がなくなり、板と板がピッタリになります)

それほど乾燥するので、加湿器で加湿しているのですが、1日に何度も水を補給しても、ある程度以上の湿度にはなかなか湿度が上がらず、何故だろうと思うようになりました。

加湿器を強力に運転しても湿度(相対湿度)は35~45%ほどにしかならず、それ以上はなかなか上がりません。(50~60%にはしたいのですが、、、)


1日にバケツ何杯分もの水を室内空気に供給しているのに、なかなか湿度が上がらないのは、何か原因があるはずです。

一定温度の空気に水分を供給すれば湿度は上がるはずです。ですが、そうはならないのであれば、空気量が増えているか、どこかで空気を乾燥させる何かがあるのか。例えば乾燥した空気を供給されているのか?

そこで自宅で実験してみました。
実験に使った自宅マンションは、築古ですが鉄筋コンクリート造で気密性は高いです。


考えられる空気の供給元


1.窓を開けての換気

窓を開けて換気をすれば、室内の湿度は下がりました。これは当たり前ですが、乾燥した外気を入れることと、水分を含んだ室内空気が外に排気されること、が同時に起こっている結果だと思います。

しかし、普段は寒いので窓を開けての換気はそれほどしていないので、これが普段の生活で湿度が上がらない原因とは考えられません。

2.換気扇により排気

窓を開けないで換気しているものと言ったら何でしょうか。換気扇です。

その中で浴室換気扇は、ほぼ24時間動かしています。浴室にカビが生えるのを抑止するため換気扇をいつも動かしていました。(そのおかげで浴室にカビがほとんど生えません)

換気扇が回っているということは、排気されているということであり、その分どこかから給気されているということです。自宅の場合は給気口がないので、給気元として一番考えられるのは、使っていないときのキッチン換気扇から逆流して給気されているということです。(キッチン換気扇はシャッター付ではないことと、ダクトが他の換気扇より太い為、給気量が多いと思われます。)

3.加湿器の設置場所

加湿器が部屋の隅や空気の流れが悪い場所にあると、水分を含んだ空気が室内に上手く巡回しない可能性があると思います。換気扇と給気口、それと暖房器具の位置によって空気の循環経路が変わるので、難しいですね。


実験による検証

加湿器は運転したままで、下の実験をしてみました。

1.窓を開閉してみる

 加湿器は動いたままで、窓を開けて換気すると一気に湿度が下がりました。湿度が下がったところで窓を閉めてしばらく時間がたつと、35%ぐらいまで湿度が上がりましたがそこからはあまり変わらず。(浴室換気扇は動いたまま)

2.浴室換気扇を止めてみる

 換気扇を止めて、換気扇を止めてしばらくすると徐々に湿度が上がってきました。湿度60%まで上がり、加湿器の設定湿度に達した為加湿器が止まりました。
暖房の影響を受けないように、暖房を止めた状態でしたが、実験の間はほぼ一定温度でした。

3.加湿器の位置を変えてみる

換気扇は回したまま、加湿器をキッチンの近く(給気元と思われる)・リビングの真ん中・窓際に置いてみました。
結果は、位置を変えてもあまり湿度は変わらなかったです。しいて言うとキッチンの近くが若干湿度が上がったぐらいですが、ほとんど誤差だと思われます。
※この実験は、もう少し場所を移動した場合もやってみる必要がありそうです。


窓を開けることと換気扇を動かすことは、室内空気と外気を入れ替えるという点では、同じと考えられます。その空気入れ替えの時間が早いか遅いかの違いかと思います。

それを考えると、水分を含んだ室内の快適な空気を、排気し続けていることが、湿度が上がらない原因かと思われます。


対策

そこで対策を考えてみました。

・浴室換気扇の使用時間を短縮する
 浴室の湿気が十分に抜けたら換気扇を止めて、必要以上に回し続けないようにする。

・外気の給気元(給気口等)の近くに加湿器を置く
 外気の給気口の近くに加湿器を置くことで、入ってくる空気を加湿してから室内に入れる。

外気の流入を防げば、湿度が保たれるということが言えると思います。
ただし、浴室のカビ防止としての乾燥方法については、考える必要があります。

というところまで考えると、浴室の湿気を室内に取り込み、浴室以外の浴室よりは乾燥した室内の空気を浴室に流すことで、浴室の乾燥もすることができれば、加湿器の仕様頻度も下げられるかもしれません。


また、暖房についても、冷たい外気の流入があるとその分暖めなくてはいけなくなるので、暖房負荷も大きくなることから、換気扇の問題は思った以上に重要かもしれません。
また、加湿しすぎるとカビやダニの発生等の問題も出てくるので、そこも考えたいですね


今回の実験から、冬の湿度に関して

換気扇が長時間動いていて
・水分を含んだ室内空気が、排出されること。
・乾燥した外気が室内に供給されること。

ということが、思っていた以上に重要なことと分かりました。
(加藤)


伊豆高原「崖地山荘」スタート

伊豆高原に建つ崖地山荘の断面敷地模型
真横から見た敷地断面の模型

伊豆高原での物件が続いています。今年は伊豆高原で「崖地山荘」の工事が始まりました。現場に行くたびに、気候も穏やかで、海と山の自然も近くにあり、温泉もあって、海が眺められるほど近いけど高台にあるので津波も心配も無く、岩盤層で改良工事が必要ないほど地盤が硬いなど、本当に良いところだなと思います。

伊豆高原に建つ崖地山荘の敷地写真
高さ5m以上はあるところに既存の駐車スペース

崖地山荘の敷地の大きな特徴としては、敷地内の高低差が10m以上あり、道路が敷地の高い方と低い方とで2つ接しているところです。また、高いところからは駿河湾も見え、建物の計画としては2つの道路からのアクセス方法、車はどのように進入するのか、どのように眺望を楽しむのか、がけ条例をクリアするための構造など様々なポイントがありました。

伊豆高原に建つ崖地山荘の敷地写真
高い道路側から駿河湾が見える

出来るだけ多くの部屋から眺望を楽しむため、東西に細長い形状にして、キッチン、ダイニング、リビング、寝室、洗面脱衣室、お風呂に入りながらも海を眺めることが出来るプランにしました。

車の進入路を新しく敷地内に設け、1階のピロティ部分の車庫まで進み駐車出来るようにして、歩きや自転車用の進入路はアクセスしやすい低い道路から別で設けることにしました。

伊豆高原に建つ崖地山荘の全体模型
模型で見る全体像

敷地内の高低差が大きいので、建物の位置をどこに配置するか、1階と2階の階高の高さや、2階からも入れるようにするため、道路との高さ関係、がけからの距離などバランスを取りながら配置を決めるのも難しかったです。模型を作りながら検討を重ねました。(藁科)

伊豆高原に建つ崖地山荘の模型写真
ブリッジを設け2階にも玄関

伊豆高原での設計事例「相模湾が見える家」はこちら

伊豆高原での設計事例「伊豆高原の家」はこちら


鎌倉山N邸 仕上げ工事進む

鎌倉山のN邸が仕上に入って急ピッチで工事が進んでいます。

リビングの小幅板天井が完成
南側隣地が約1階分低いので、屋根越しに視界が開けて眺望の良いリビングになります。

外壁の左官も終わりました。この写真だとよくわからないかもしれませんが、実際に見ると色合いや表面の表情がかなり綺麗に出来上がりました。来週足場が外れる予定です。
足場がなくなって建物全体が現れるのが待ち遠しいです。

海が見えるルーフデッキ
完成までもう少しです。(加藤)

鎌倉山N邸のブログ記事: 上棟式の餅まき


「京の本格的茶室の写しを持つ家」オープンハウスのご報告

先週11/9に東京都大田区でオープンハウスを行いました。お天気も良く見学にはちょうど良い日でした。
当日は、茶室も見学できるということもあり、お二人の方が着物でお越しくださりました。施主様から御菓子とお抹茶をいただき、見学だけでなく体験もさせていただきました。

ご参加頂いた皆様にはこの場を借りてお礼申し上げます。そしてなによりも今回のオープンハウスを快く承諾して頂いた上にお茶まで点てていただいた、お施主様には心より感謝申し上げます。