投稿者: 藤原昭夫

外壁仕上げ材を新しく開発してみました。

外壁材を全く新しくデザインして、作ってみました。
手前側がその外壁材を貼った部分で、奥のの棟が通常の下見板貼りです。
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表面の仕上げ材は間柱材を45度で使用したものです。
近くで見るとかなり独創的で、気に入っています。
写真拡大して見て下さい。正倉院の校倉をイメージしています。
現状では取り付け手間が予想以上にかかってしまいます。
他でも使用できるように、規格品化出来ないかなと考えています。


家によって生活が変わる

スタッフの鈴木です。私事なのですが先月引っ越しをしました。
地域(最寄駅すら)も変わらず外に出れば何も変わらない生活をしているのですが、今回の引っ越しにより家の中と家での過ごし方は大きく変わりました。
なんせ今の家は前の家の1/10くらいなんです。といっても今の家が異常に狭いわけではなく、前の家がシェアハウスだったからです。
ただ、シェアハウスといってもほとんどの方が想像出来ないほど斜め上をいった変わった家だったんです。
だからこそ?家を設計している人間としてどうしても…一度そこで生活をしてみたくなってしまったのです。
そこでの生活を詳しく書くほど「???」が浮かんでしまうと思うのでざっくりと書くと、大空間にそれぞれの個室がありその個室が木の箱なのです。箱の底には車輪がついていてその箱は移動可能。
シンプルといえばシンプルなのですが、その箱の角度を変えたり移動することで大空間の「余り」の空間が変化し大きい空間にも狭い空間にも、共用部にも個室空間にも変化します。
さらにこの家、DIYやり放題!(現状回復なし)こんな家なのでクリエイティブな職業の人ばかり。彼らにかかればこの空間、可能性は無限大です。
私の部屋も一部に壁紙を貼り、上部はペンキで塗って友人に絵を描いてもらいました。まさか部屋の壁に友人に絵を描いてもらう日がくるなんて…なかなか出来ないですよね。
ここでの生活は概念を崩されることばかりでした。
快適とは?プライバシーとは?集中できる空間とは?広いと感じる?狭いと感じる?人との距離感は?生活の優先順位は?
いろいろなことを感じさせられました。一見住空間として落第点をつけられてしまいそうな空間なのですが、なぜだかどことなく、でもしっかりとそれらをクリアしてしまっているように感じるのは、きっとハッキリ区切られていないからこそ見えない壁や境界線をより個人が意識するようにさせる空間だからなのではないかと。それもまた一つの空間設計。
今は引っ越しをして、また違った「住む」と向き合っております。
不便な空間を体感したが故に一つ一つ意味や便利さを理解し、提案できるのだなあと日々の生活で感じております。生活に合わせて家が変化してくれれば良いですが、実際は家に合わせて自分が生活を変えるしかありません。もちろん一から自分に合う空間をつくれたら最高ですが自分が住みながら生活しやすい空間に変えていくのもまた一つの楽しみです。その家の良さと悪さを理解した上でのリフォーム工事も魅力の一つ。長年住んでいる家であれば不便さや汚れにも思い入れが出来たりしますし、逆に生活していると忘れていた魅力に改めて気づいたり。
南林間の改修工事も残すところと新しくするところ、その境界はとても悩みましたが、変化した生活に合ったより豊かな生活が送れるような空間になったと願いつつ…もう少しで竣工です。南側の大きな開口の前に日当たりの良いデッキが出来上がりました。大変身した内部空間は竣工写真にて、ビフォーアフターを楽しみにお待ち下さい。

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関西・伊丹市でFSB工法住宅が着工

工事監理で撮ったべた基礎の配筋検査時の風景
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周囲の基礎の立ち上がりの型枠の内側と鉄筋の下に敷いてあるのが断熱材です。この家は家中を断熱材ですっぽり包んでいます。鉄筋の上に蛇行しながら敷いてある白いパイプは、蓄熱暖房用の架橋ポリエチレン管です。熱源はエアコンの室外機やエコ給湯のヒートポンプと同じ構造のもので、1/3の電気容量でお湯をつくり、料金の安い深夜に稼働して循環して基礎を温めます。基礎に蓄熱された熱が日中にゆっくり放熱して家中を温めます。
下の写真はその後に始まったFSB工法の住宅建込の風景です。午前中にここまできました。
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午後の工事です。ご覧のとおりFSB工法の住宅の壁は、柱と同じ無垢の角材を16㎜φのボルトで束ねられた杉パネルです。
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どんどん壁が建て込まれていきます。木材の使用量が通常の在来工法の3,4倍になります。
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夕方にはここまで建て込まれました。これだけ無垢の木材の量が多いので蓄熱暖房と相性がいいのです。
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土日を挟んだその4日後、建て主さんからメールで送られてきた写真です。
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屋根垂木まで掛かりました。
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この屋根の垂木に野地板を貼ってルーフィングを敷けばいつ雨が降っても大丈夫です。
関西で初めてなのに暑い中工事屋さんはよくやってくれています。


家庭用高圧洗浄で25年の壁の汚れもこの通り

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上の写真はなにかお分かりですか?元の汚れた壁と丸く白いところがきれいなったところです。
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上の写真はきれいにしてる犯人いや勇姿です。
連休中、家庭内での点数稼ぎ(罪ほろぼし?)に25年以上経て汚れたコンクリート壁や左官壁壁に高圧洗浄をかけてみました。下がかける前の門柱の写真です。
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それがこのようになりました。
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このようなコンクリートの塀も
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こんなに面白いほどきれいになります。
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モルタルの壁の汚れも
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このように
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この通り。
決して私は高圧洗浄機の販売店の回し者ではありません。
でもペンキやさん等が飛び込みで、外壁の補修をしないといけないんじゃないですか?といわれることはありませんか。
また私どもの設計では左官壁の仕様が多かったりするものですから、もしかして汚れてお困りの方がいらしてはいけないと思い、このように自分でもきれいにできることをお知らせしたく、ブログに書かせていただきました。
但し、水圧は多少調節できますが、高い場合、きれいになるだけに、コンクリートやモルタルの壁を少し傷めるところがあり、砂がはじかれたり、綻びかけたところが欠けたりすることがあります。そのため雨合羽やマスク、メガネが必須です。ご注意ください。でも欠けたところは補修すべきところを事前に教えてくれたと思えば納得できます。また経年変化で多少の色の変化程度で、庇がかかっていて、汚れが気にならないところまでは高圧洗浄をかける必要はありません。経年変化を楽しみください。


周辺の視線を避ける平屋建ての住まい

最近ブログや事例紹介がご無沙汰していて、親しい方に心配されました。紹介したい事例や、書きたいことはなくはないのですが、私どもの設計は要領が悪く時間がかかり、ブログどころではなく、待たれている方の業務を上げなければと思っているうちに、時は待ってくれずご無沙汰している次第です。事例紹介も、そんなことで撮影の機会を逃してしまい、今年の初夏にいくつか予定していて、でき次第アップいたします。ご容赦を。

追記
その後、設計事例に掲載しました。➡「坦懐居

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そんななか、上の写真が一か月点検が半年点検になってしまった住宅です。その外回りをちょっと紹介します。設計では、日照確保や断熱性能と同じぐらい、周囲からの視線をどう避けるかをかなり重要と考えています。この住宅のコンセプトはまさに、「周辺の視線を避けた平屋建て住宅」です。玄関の右隣の格子壁が自転車置き場、左隣奥の格子壁が布団干し場です。

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上の写真の左の格子壁も風の通る仕掛けの洗濯物干場の囲いです。
5月頃撮影を予定していて、済み次第事例紹介させていただきます。

追記
その後、設計事例に掲載しました。➡「坦懐居


家族が増えて住まいを考える

育児休業中の藁科です。
私事ではありますが、昨年第1子が産まれ、それまで都内に1LDKの賃貸マンションに主人と二人で快適に生活していましたが、子供が1人増えたとたん一気に物が増え手狭に感じ、もっと広いマンションを買おうと決心しました。

それから毎日ネットで不動産情報を検索し、毎週のように内覧にも行き10戸以上は見ましたが、予算、場所、間取り、方角、立地条件、子育ての環境として、保育園のこと等いろいろ考えるとどうしても決めきれず、最終的には私の田舎に戻って家を建てるという急展開な結論になりました。私は数時間の通勤時間を覚悟して結設計に復帰する予定でいますが、主人は片道通勤時間4時間になるため新卒から勤めていた会社の勤続を断念し転職することになりました。

家を建てると決めてから主人は建築雑誌を買って帰るようになり、楽しそうに見ながら、「この家みたいに・・」とその都度私に要望を伝えてくるようになりました。私の作業時間は育児と家事の合間で思うように進めることが出来ませんでしたが、なんとか主人の要望を聞き入れつつ、広くなってしまう面積を抑えつつ、プランがまとまり全ての図面を書き終えやっと工務店に見積もりを出せる段階までいきました。

見積もりを出す工務店は前から知っているところで、同業者からも付き合いのある工務店の中で一番安く見積もりが出るとも聞いていたので、そのA工務店の1社のみに見積もりをお願いしました。待っている間は、不安、心配、楽しみの混ざったドキドキを味わい、今までの建て主さんたちもこんな気持ちだったのかなと思いながら2週間経ち、やっと出てきた見積もり金額は、少ない予算の上に1000万円以上もオーバーした見積書でした。仕事でもほとんどが最初の見積もり金額は予算よりオーバーすることが多く、建て主さんから「本当に私たちの家は建つのでしょうか・・・」と言われたことがありましたが、この時は私も心の底から本当に私の家は建つのかなという思いをしました。

どうしても面積は削りたく無かったので、見積書を精査し、許容できるまで仕様を落としてみてもせいぜい500万円の減額が限界だなと思い、A工務店に工事をお願いすることを諦めるしかないと思いました。それから必死であらゆる知り合いから工務店情報をかき集め、仕様を落として図面も書き直し、信頼出来そうな工務店も見つかったのでまた数週間かけて見積もりをしてもらいまいた。出てきた金額は手が届きそうな範囲で、それからまた見積書の精査、変更、再見積りを経てなんとか予算に近い金額になり工事契約に至りました。結局、A工務店の見積書が出てきてから、2カ月以上の月日が経ってしまいました。仕事ではいつも最初から3社くらいに相見積もりでお願いするのに、どうして自分は1社のみの特命見積もりにしたのだろうと、改めて最初から相見積もりでお願いするべきだったと思いました。

地鎮祭も終えて工事が始まりまだまだ油断は出来ませんが、とりあえずは私の家は建ちそうだなと思えてきました。

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リフォームの防音工事と耐震補強工事

つい先日防衛省からの防音工事の補助金が決定し、やっとのことで南林間のリフォーム工事がスタートをきりました。スタートを切ってしまえば改修工事なので工期はあっという間。ばたばたと現場が動き出し、決めなくてはならないことが急ピッチで進んでいきます。

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今回、この物件は「防衛省から防音工事の補助金が出るので、同時にリフォーム工事がしたい」との依頼から始まりました。米軍の厚木基地の戦闘機の離着陸の騒音が酷く、国から防音工事の補助金が出る地域に指定されています。もちろんこの防音工事をする、というのも目的の一つですが、現在の家主の父親主導のもと建てられた家に長年住まれていましたが、お子さんの巣立ちなどを経て今後さらに快適に過ごせる家に改装したいというのが大きな目的でした。せっかく工事をするのであれば同時に行ってしまった方が工事費も安くすみます。

真壁造りの塗壁で居間や食堂が畳敷きでしたので、LDKの壁を出来る限りとっぱらい大窓に面した明るい居間をフローリング敷きにするわりと大規模なリフォーム工事となりました。壁量を減らし、床も剥がす作業となるので、全体の構造を確認し既存の壁に補強をしなくてはと思い調べると、市が決定する耐震改修工事費の補助金対象にも当てはまることが分かりました。

補助金がなくともしなくてはならない補強工事でしたが、そこに補助金が出るとなるととても得した気分。キッチンをグレードアップすることが出来ました。

どちらの補助金も、同時に利用することで工事費を抑えることが出来ます。土地によって補助金の種類も規定も様々ですがそれを最大限活用できれば何かをグレードアップできるかも?


ウッドデザイン賞2015を受賞しました

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第1回ウッドデザイン賞(新・木づかい顕彰)において、結設計が設計を担当している森の貯金箱プロジェクトの「森の貯金箱S移築プロジェクト」がウッドデザイン賞2015(ソーシャルデザイン部門)を受賞しました。

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ウッドデザイン賞とは、木の良さや価値を再発見させる製品や取組について特に優れたものを消費者目線で評価し表彰する新しい顕彰制度です。
ウッドデザイン賞は今年から始まった賞で、第1回の今年は397点が受賞作品に選ばれました。

>>ウッドデザイン賞のWEBサイト


一年点検で学んで来たこと

被災地の造成ができ始め、森の貯金箱事業で始めた工法の住宅の評判を聞いた方の相談が増えたせいで、出張が多くなり、いや、単なるサボリのせいで、久しぶりのブログです。過日、豊川の住宅の一年点検に行って参りました。
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竣工時のブログ写真と比較して頂くとよくわかりますが、見違えたのは庭の植栽です。ふんだんに植えられてあり、これなら内部が窺い知れなく、プライバシーの心配がありません。話に聞くと飯能の家の造園屋さんで修業して来た方に依頼されたとのことです。飯能の家の庭は、つくばで漸く完成した住宅の建て主さんも気に入ってらして、別の方ですがやはり知り合いの造園屋さんを紹介し、今工事中です。
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庭の中に入って感心したのは、鬱蒼としているようで案外中はまとまったスペースが確保されていました。
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その庭で発見したのは、写真にちょっと見える、自動給水装置です。かつてこのような自動給水装置を設計すると、工事費が予想以上にたかく、しかも詰まる故障が多く保証できないといわれ、諦めたこともたびたびでした。
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豊川の建て主さんは、ネットで見つけたということで、要した費用は2,3万円だそうです。二口用意した蛇口の一方に取り付け、タイマーで自動で給水でき、センサーで雨の時は止まるようになっているとのことです。
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肝心の住宅はとてもきれいに使っておられて竣工時より心地良さそうな家になっておりました。こちらの建て主さんは優れた技術屋さんで、工事中も教えられることが多かったのですが、できてからの工夫でも優れていて、一年後もまた教えられてしまいました。


「森の貯金箱」移築プロジェクト後半

遠野市で解体された建築部材は、盛岡市のアイスアリーナに運ばれ、再度同じ部材で建築しました。今度は、一日目基礎と足場組み立て、二日目一日で再築完了、三日目に機具取付け、と実質三日で建築完了です。
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内部の写真を前回のブログと同じアングルで撮影しました。
気を付けてみて頂くと、前回の写真の窓の外に足場が見えます。今回のにはありません。展示期間は29日と30日の二日間でしたが、今回の事業推進の地元の若手二人が、NHK岩手の「おばんです」で取り上げられ、インタビューされたせいか、600組の方が中に入って、ロフトにまでのぼり見ていかれました。
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29日、私はサボらせていただき、30日だけ説明役をしましたが、この家の小ささが受けたようで質問が相次ぎ昼食をとる暇がなかったぐらいでした。
正直、解体移築という需要は現段階では殆どないと思われます。ですが、週休二日が完全実施され三日制も予想される時代になり、人々の生活が増々多様化されていくと、週日は職場近くのマンションで、週末は自然豊かな場所で個人個人の気のいくままの生活の器にこの家は、移築が容易ということで、障壁を低くし、考える方が多くなるのではないかと思われます。
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結婚して最初は借入が少なくてすむ夫婦だけの小さな家を建て、子供が個室を必要となったら、車庫とその上に子供室を乗せたもう一つの小さな家をつくり、その間を二階デッキで結ぶという形態も考えられ、実際それを実行しようと言う方もおられます。あるいは、もう一つを店舗やアトリエにしようというパターンも考えられます。一個だけで考えるとイメージが大して広がりませんが、ニコイチ、サンコイチで考えると大きく膨らみます。
建築が不要になったら、解体して、その部材を子供世帯が独立して建てる新しい住宅に再使用することもできます。中古市場が整備されていればそこに売却もできます。
そうすることで廃棄物を少なくし、燃焼して二酸化炭素も出さず、かつ木材の生育年数以上固定し続けることができ、自分に家が環境負荷を軽減することに役立っていることになります。
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この4m及2m材併用の建築は、今日の空き家問題化している、古くて壊さざるを得ない、従来の工法の木造建築も、もしかしたら、解体した柱の上下を切り取って2.1m材にすれば、それを束ねてパネル化し、FSB工法の壁部材として再利用する道のヒントを与えてくれているのかもしれないという気もしています。
いずれにしろFSB工法が既存の市場でしのぎを削り合うのでなく、新しい生活スタイルや文化を築き、持続可能な、全く新たな市場をつくり出せたら楽しいなあと思っています。
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