投稿者: 藤原昭夫

西八王子の家 タイル・左官工事

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南側外壁の2階部分。オリジナルの配合で骨材を混ぜてもらった左官壁です。黒やベージュの骨材が表面にでて独特の質感があります。この左官の質感・表情を出せる左官屋さんがなかなか見つからなくて、今回は結設計の他の物件でもお願いしている左官屋さんにお願いしました。
きれいに仕上げてもらったので、建て主さんも満足いただいたご様子でした。

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2階茶の間のコーナー窓部分。ここは、畳を敷いて掘りコタツが入ります。左側に写っているドアからはデッキに出られます。このコーナー窓から見える南側の川の土手には桜の木が植わっていて春には桜が窓いっぱいに見えます。家の中でお花見ができるほどです。

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キッチン食器棚のカウンターと吊戸棚の間の壁に貼られた、建て主さんが探してこられたこだわりのガラスモザイクタイル。売れ切れだったのですが、わずかに残っていた工場の在庫を確保して実現しました。一枚一枚違った表情で落ち着いた色のきれいなタイルです。

内部の左官工事も来週には入る予定。西八王子の家の工事はいよいよ大詰めです。


大きな落書きと韓国客船事故

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上が前回までの大きな落書きで下が消されてしまった落書きです。

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誰かに咎められたのか、大きな落書きが消されてしまいました。お昼の密かな楽しみが終わってしまいました。

この大きな落書きは、建物の外壁の改修工事です。小さな鉄球で外壁を軽く叩いて、音で浮いているところやひび割れ部分を見出し、浮いている内部にエポキシ樹脂を注入し、ひび割れはそこを少し叩いて拡げ、シールを施してそこに雨水が侵入しないようにします。シール前にそこが分かりやすいように、割れに沿って色分けしながら、マーキングしているのだろうと思われます。その後全面に塗装を吹き付けます。タイルの場合、そこの部分を新しくすることもあります。
通常は建物周囲に足場を組み、養生シートで覆って行う作業ですが、足場ペースがないのか、予算節約のためか、屋上からロープで作業者を吊っての仕事となったようです。ビルの外部からの窓掃除と同じように危険な仕事です。前回屋上から吊り降ろした大きな布は塗装が他所に飛び散らないように作業個所だけ覆っていたものです。誰でも出来るやり方ではありませんが、なかなか合理的でうまいやり方をしています。でもこのような役割を担ってくれる者がいるから、社会は成立しているようなところがあります。
先日韓国で、客船の遭難事故が発生し、多くの犠牲者がでました。その犠牲者の多くは、客船で働いていた関係者の対応如何で助かったかもしれないと思われます。驚かされたのは、船長をはじめ客船で働いていた従業員の業務意識です。
本来仕事は、社会の中で求められた役割を果たすことで社会的認知がされ、働く者の自己の価値確認ができ、充実感が得られます。その証として報酬も与えられます。それが今回の事故の場合、経済競争の中で、いつの間にか個々の働いている者の意識が、その仕事の存在理由である、客を安全に目的地まで運ぶという、社会的役割意識から、指示された作業のみが自分の仕事で、その労働時間(行為)のみでそれ以上の義務はない、という意識の方が勝っていたために、起った事故ではなかったのかという危惧が消えないでいます。つまり、船が沈みそうだから自分の持ち場の作業ではなく、労働時間もそこで終わりになるということで、自らの仕事を切り上げたとも、捉えられなくもないということです。
これは、多くの職人の作業の積み重ねで出来上がる、建築等のものづくりの世界では考えられないことです。しかし建築の業界も今日の価格競争から、建設費の限りない生産の合理化要求で、手をかける度合いを少なくせざるを得なくなり、現場で働く者の役割意識を社会的なものから局所的な役割分担にさせていく傾向にあります。役割意識もそこでの仕事がなぜ成り立っているかの認識がないと、自分はこれだけやればいいという、単なる身内ないでの持ち場の役割だけの意識で、客船事故と同じ過ちを犯しかねない気がします。これはJR北海道のような大きな組織になればなるほど、より形骸化し、その傾向が顕著になる危険が潜んでいるのでは、という気がします。
だれでも自分のやれることには限界があり、自分の持ち場だけで精一杯なのかもしれません。小さい現場でも各個人の全体的役割意識の鈍化は抗い難く、限られた時間内だけ言われた通りやればいいのでは、しかもそれをうまくやれさえすればよい、というようになってきているように思えます。このようになったら建築の現場は難しくなります。建築は色々な役割を担いあうことによって全体が成立する世界です。
韓国での客船事故は決して他人事で済ませられません。その因子は日本にも蔓延っているのか、今建築の現場では各種の検査や審査が多くなり、かつやたら細かくなって来ています。しかも殆ど重箱の隅を突っつくような指摘が多く、本末転倒ではないのかと思われることが多くなってきました。これはまた長くなりますので、又の機会にします。


武蔵野の家 着工

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4月の始めに、武蔵野の家の地鎮祭が行われました。
お日柄も良く、また天気もとても良い日で恵まれた1日でした。

武蔵野の家は、地下RC造1階地上木造2階建ての混構造の住宅です。
地鎮祭の時に地縄張りをしてもらい、建物の位置を確認しました。
図面上の建物が実際に敷地に配置されてみますと、思っていたより広いなと感じました。

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現在は着工していて、地下のための大きな穴が掘られています。
これから鉄筋が敷設されていき、コンクリートを打ってRC造の地階が完成していきます。


三鷹M邸 1年点検

先日、三鷹M邸の一年点検を行いました。節目ごとの点検のたび、時の流れの速さを実感させられます。
木造住宅は構造体を含めた多くの部分に木材という天然の素材を使用するため、竣工後も木材の膨張や収縮が起こります。それらの動きにより発生した不具合などを調整するのが一年点検の目的の一つなのですが、設計者にとっても、一年点検は建て主さんに住み心地や各ヶ所の使い勝手などを直接伺うことができる良い機会です。
その中で、心地よく住まわれていることを聞けるととても安心させられます。

今回は、建主さんのご厚意で一年点検の終了後に数名のお客様をご案内させていただく機会をいただけたため、事前にお問い合わせいただいていた方を数組ご案内させていただきました。
使い勝手やプランのポイント、居住性などを実際に住まわれている建主さんにご説明いただける大変ありがたい機会となりました。
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大きな落書き2

大きな落書きをしている子が見つかりました。

 

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落書きが大胆に変化しています。大きな方眼紙が出てきました。落書きが見つかり大きな布で隠れて書こうとしているのでしょうか?

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那須の家 見学会無事終了

那須の家の内覧会が無事終了しました。たくさんの方に来ていただきました。ありがとうございました。IMG_3149-2
居間の壁を見たところ。右側に見える窓の外は北側の庭になっていて、植木を植える予定です。
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居間から離れを見たところ。間に合うか心配だったデッキは、完成していてほっとしました。(加藤)


那須の家 見学会は今週末

那須の家は、今週末の19日と20日に内覧会ということで、先日現場の様子を確認してきました。
建物内部は、ほぼ完了しています。残っているのは家具の建具の取付等。
那須の家の内覧会にご興味のある方は、事例案内申し込みフォームよりお申し込みください。お問い合わせただいた方に詳細をご連絡致します。
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床の養生が取れました。フローリングは着色塗装です。
杉角材の壁の向こうに見える引き戸をグレーにしてみました。杉の角材壁との色の対比がいい感じです。

この那須の家の母屋には基礎蓄熱式暖冷房を入れています。
居間や食堂・キッチン、寝室はもちろん浴室やトイレも含めた家全体が、ほぼ同じ室温になるので、ヒートショックになりにくい家になっています。また、杉の角材壁が大きい蓄熱材として働くので、通常の軸組工法の家よりも、室温の変化が緩やかになります。
この基礎蓄熱暖冷房の熱源のヒートポンプは、夜間電力で稼働するので、電気代も抑えられます。
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居間の南面は全面窓なので、明るいです。南面の窓には、巾2.6m。高さ2.2mの大きなペアガラスの窓もあります。
奥に見えるキッチン回りは焦げ茶に塗装。
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和室の壁の和紙貼りも完了していました。杉の角材壁に直接和紙を貼ってみました。壁の凹凸が和紙を貼ることでよくわかりますね。この凹凸が面白い表情になっています。
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外観。外部では、デッキ工事の準備中。この日は天気がよかったので、那須の山がきれいに見えました。


大きな落書き

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家を新築すると、子供さんの落書きを、皆さん心配されます。

でもこれだけ大きな落書きならどうですか?

大の大人、三人がかりの特大の落書きです。子供の落書きなんてかわいいもんです。

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事務所の隣のビルが外壁補修のため、外壁のモルタルとコンクリート躯体との間に空洞ができていないかどうか、先端に鉄球が付いた打診棒でたたきながら調べ、ひび割れ部分に印をつけたところです。

印のところに、これからエポキシ樹脂を注入し、再度仕上げをすると思います。その時はまた報告いたします。


保存される建築物‐2

先日のブログに、重要文化財に指定されている建築も展示されていると書きましたが、その中のひとつが「東松家住宅(とうまつけじゅうたく)」です。
明治20年台後半まで油屋を生業とし、その後、昭和の初めまで堀川貯蓄銀行を営んでいたとされるこの住宅は3度もの増改築の末 明治34年に現在の形になったそうです。
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江戸時代末期には平屋建てだったそうですが、明治24年以降に改築と2階部分の増築を行い明治34年に3階部分の増築を行ったというこの住宅は、入り口を入ると3層の吹き抜けの土間が広がります。これは、2・3階にある奥の部屋まで光を取り入れる為と、上階に住む主人が1階の店の様子を把握できるようにとの工夫だそうです。

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今で言う店舗併用型住宅ですので、店舗のほか居住スペースもあり2階には茶室も用意されています。吹き抜けに面した廊下はあたかも路地のように計画され、茶室手前の待合に入る戸の壁側には半円形の障子の入った壁があります。
客人が待合に入るときに入り口の戸を開けるとこの障子に戸が掛かり、半円形の障子の裏手にある部屋に光が届かなくなることで部屋で待っている主人が客人の到着を知ることのできる仕組みとなっています。
とは言え、半円形の障子がある手前には引き違いの障子があるため客人の到着はそんなことをしなくても判るのですが、主人の遊び心がふんだんに盛り込まれておりとても面白いです。
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現在では木造3階建ても一般的になっていますが、現行の建築基準法で準防火地域内での木造3階建ての建築が可能になったのは1987年のことです。
3階建てにする理由は土地の有効活用という目的が多く、また、構造的な理由もあり3層の吹き抜けを設けた木造3階建ての住宅を見ることは無いように思います。
明治時代は3階建てにする理由も現在とは大きく異なり、とてもダイナミックで贅沢な空間構成となっていました。


南米ボリビア ウユニ塩湖

去年に南米のペルー、ボリビアに海外旅行に行きました。写真はその時のものでボリビアにあるウユニ塩湖です。
以前のブログでウロス島の食べられる建材「トトラ」について書きましたが、今回は食べられる建材「塩」です。

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写真は、ボリビア西部にある都市ウユニから車で1時間ほど進んだところに位置する広大な塩の大地、ウユニ塩湖です。

白いのは、雪ではなく全て塩です。

都市ウユニは、ボリビアの首都ラパスから約550キロメートルのところにあり、これまではほぼ車での移動手段しかなかったのですが、2011年に空港が開設され飛行機による移動が可能となり、格段に行きやすくなりました。そのせいもあってか、最近はメディアにもよく出て、旅行ツアーも多いです。

この大量の塩は、数100万年前に海の下に沈んでいたアンデス山脈が隆起した際に大量の海水がそのまま山の上に残されることとり、さらにこの地域は乾燥した気候であったこととウユニ塩湖が流出する川を持たなかったことにより、干上がってこのような広大な塩湖が出来たそうです。

ウユニ塩湖の広さは約12000k㎡、標高は最高地点で3760m、季節は5月~11月頃が乾季、12月~4月頃は雨季となり、2つのまったく違う風景が見られます。

ウユニ塩湖はほとんど高低差が無いので、雨で冠水すると数cmの水が波も立たないほど薄く広がり、水が蒸発するまでのわずかな雨季の期間に「天空の鏡」と言われる、水に空が反射した巨大な鏡が出現します。

私が行った時は5月の連休で乾季になりますが、その年は雨量が例年よりも多かったそうで、ところどころに水が残っている状態でした。
乾季は塩湖内を4WD車で移動できますが、雨季になると水が張ってしまい、車が塩で傷んでしまうので奥までは行けないそうです。
乾季でしたが、塩を数cm掘ると水がしみ出てきます。
完全に表面が干上がっているところは、塩の結晶の模様になっていました。

結晶

ウユニは塩の生産と観光が産業のほとんどを占めていて、塩湖の周囲に住む人たちは、塩を国内外に販売しています。一般の食用の塩は、湖の表面の塩を削り取り1m程度の高さの小山を作って乾燥させて作ります。また塩湖に斧で切れ目を入れ、数十cmないし1m程度の大きさの立方体に切り出すことも行なわれていて、ブロックのまま別の塩精製施設に運んだりして使われています。運んでいるトラックを数台みかけました。

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塩湖に行く前にこの塩精製施設に行ったので、いつかは塩が枯渇してこの産業も廃れてしまうのかなと心配してしまいましたが、塩湖を見た瞬間そんな心配は吹き飛んでしまいました。近い将来では無さそうです。

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塩をブロックのように直方体の形に整え、建材として使われているホテルがあります。
床には白い砂が敷きつめられているのかと思いきや、塩です。
座るベンチも塩で出来ています。
大量の塩は様々な使われ方をしています。

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