家づくりストーリー「棚楼居(ホウロウキョ)」3

エピソード3:いい家は転売にも威力を発揮する

ご主人が亡くなられて数年後、奥様から、とっても住み易いいい家ですが、家族の中に幾つか事情が出来て、手放さなくてならなくなりました。不動産屋さんに売却をお願いしたいが、どう値付けしたらいいでしょうかと相談を受けました。相場では建物付きの土地は土地代だけが値打ちもので、場合によって建物付きは解体費がかかるから、地代より安くさせられることがある、とのことでした。私からは、不動産屋さんの言いなりに値付けしないで、今なら建築時の建築費を多少割り増した建物価格を土地代に加算してもいいのではないですか、とアドバイスしました。というのは私どもが計画した建築を引き渡す時いつも、この家はもう二度とこの工事費ではつくれないな、という想いで引き渡しています。同じ建築を再度つくろうとすると1〜2割増しになると思うことが殆どだからです。その時々の様々な条件を有利に活用し切って、矛盾するハードルを何とか乗り越え、この工事費でやっと創れたと安堵を覚えます。条件が一つでも欠けたら出来なかった家だからです。一般的不動産屋さんの判断は建物の善し悪しに関係なく値付けをされますが、私達のつくる家は、そのような住まいを望んでいるような方に嵌れば、絶対欲しくなるという自信はあります。案の定、売りに出したらすぐに買い手が付いたということでした。「戸神台の家」と同じです。