一足早い墓参り

上の写真は実家の菩提寺の山門です。7月は父、母、長兄の命日が重なり、お盆には行けそうにないから5日にまとめて墓参りをしてきました。

本堂は300年以上古いお寺とのことです。

実家のお墓は並んでるお墓の左端の奥にあります。鬱蒼としている杉林に隠れて見えませんが、その林の中に段状にお墓が並んでいて、実は林全体が墓地になっています。

実家のお墓に行く道の左に、法事用の大広間のある会館を含んだ庫裏が、本堂との間にあります。実はこの庫裏を25年ほど前に設計監理をさせて頂きました。(設計事例参照)以前あった庫裏の床下は、山からの伏流水が染み出るところで、予算も厳しく、大きな空間も必要でしたので、鉄筋コンクリート造で設計しました。正面の鏡のように反射しているガラスの向こうは住職さんの部屋で、外から中は見えませんが、中からは外が見えるようにしています。

本堂と会館の間は半階ずれるため、庫裏から本堂には中二階に行くようになっていて、法事広間は二階にあります。本堂と会館との間の落雪の処理が難しく、間に融雪ヒーターを仕込みました。父はこの寺の檀家総代を二十年ほど勤めていたとかで、山門を寄贈したり、以前の庫裏にも先祖が関わっていたと聞き、自分が会館の設計をすることになった時、縁のようなものを感じました。本堂の柱の床下部分は取り換え、ケヤキで接ぎ木して修復もしています。 本堂が300年前ということで、 デザイン的にも耐用年数的にもそれぐらい長期的なスパンで考えて 設計したことは始めてだったことを覚えています。二十数年後に訪れても、きれいにされていて、何となく安堵しました。

子供のころ、寺の後ろの杉林はまだ細くまばらでしたので、段状に並んでいるお墓が木越に見え、墓参りの後、振り返ると、暗くなりかけた夕闇に、各家のお墓のろうそくが点々と横に連なり、それが何段にも山の端まで見え、浴衣姿で墓参りにきた多くの老若男女の様々なシルエットが映え、とても美しかったことを子供心にも覚えています。