太陽光を住宅設計でどう考えるか その3

太陽光についてのレポート~発電利用編

これまでのブログ
その1 太陽光発電、これまで強いて奨めなかった理由
その2 太陽光発電、現在はお奨めするか…

他所で見つけた、ベランダで簡易な発電をしている方の例。布団干しの上に置かれているのが折り畳み式の太陽光パネルで、奥の赤いポータブル蓄電池にケーブルを繋いで電気を溜めている。最大400Whを溜めておけるのでスマホ充電+αは十分に賄うことができ、災害時やキャンプなどで活用する人も。

太陽光を導入する理由は、環境にやさしいエネルギーだから、停電時など非常用の備えとして、などいろいろな理由はありますが、やはり気になるのが年々上がっていく電気料金ではないでしょうか。これから下がる見通しもない中で、自衛手段として太陽光発電はどうだろうと検討する方も増えているようです。これからの建築について、どんな導入方法がいいのか調べて考えたことをレポートします。

太陽光発電、導入ケーススタディ

例えば夫婦二人暮らしのある家の昨年の電気料金を調べてみると、季節によりばらつきはありますが、ひと月200~500kWhほど使っていました。電気代は1万円程です。その家に出力4.5kWの太陽光発電パネルを設置したと仮定します。ひと月の発電量は平均450kWh程度ですので、単純に発電量と使用量で比較すればほぼ太陽光でまかなえます。しかし蓄電池がなければ、発電できない夜に使う電気は購入する必要があります。

その家の電気利用状況を調べると、日中(太陽が出ている間)と夜間の電気使用量の比率は大体半々くらいだったので、仮にひと月、昼200kWh、夜200kWh使ったとします。

ひと月で450kWh発電するとして、昼分200kWhは発電分で賄い、余剰分250kWhは売電します。売電単価17円/kWhで、4,250円で売れました。

夜分200kWhは購入します。電気料金の一例として、東京電力のスタンダードプランの料金体系ですと、最初の120kWhまでは19.88円/kWh、121~300kWhは26.46円/kWhですので、19.88円 × 120kWh+24.46円 × 80kWh=4,342円になります。夜トクプランという料金体系もありますが、日没~PM9:00は34.49円/kWh、PM9:00~AM9:00までは22.97円/kWhかかるので、スタンダードプランがよさそうです。

基本料金や再エネ賦課金などを含めると、実際に支払う電気料金は6千円くらいはかかりそうです。売電で得た分を差し引きすると月に2千円の持ち出しで、電気料金をまかなえることになります。

スタンダードプラン ~120kWh 121~300kWh 301kWh~
19.88円/kWh 24.46円/kWh 30.57円/kWh
夜トクプラン12
AM9:00~PM9:00【日中】 PM9:00~AM9:00【夜間】
34.49円/kWh 22.97円/kWh

 

〇 蓄電池について

発電できない夜間や悪天候時の購入分が多くなるとそれだけ損になってしまいます。その間も自家発電で賄おうとすると、蓄電池を設置し日中作った電気を貯めておく必要があります。しかし蓄電池は200~250万と高額で、太陽光パネルと蓄電池を合わせた初期費用の回収年数は30年程度かかりますが、蓄電池の能力保証は10年程度なのです。蓄電池の購入や設置には補助金が利用できますが、それでも高額なので軽々にお奨めできません。
また、電気自動車を所有しているのであれば、発電して使いきれなかった電力を車に貯めることができます。ただ、車に貯めた電力を家の中で使うには、V2H(Vehicle to Home)システムというものが追加で必要になります。V2Hシステムは、電気自動車を自宅の蓄電池のように使用することができるものですが、V2H機器を購入するには蓄電池導入と同じくらいのコストがかかるようです。

蓄電池がなくても、停電時に発電中なら自立運転モードに切り替えて自家発電した電気を1,500Wまでは使うことができますし、家庭用の小型発電機やポータブル蓄電池を備えて置くことも一つの手です。

マンションの掃除等にも活用されている小型発電機

太陽のエネルギーを利用する「ソーラー (solar:太陽の)」 と呼ばれるものには「太陽光」を発電に使う方法のほかに、「太陽光」を熱として使う方法もあります。これについては長くなってしまったので、次回のブログでお話ししたいと思います。是非併せてご覧下さい。
その4 太陽光についてのレポート~給湯利用編~(2022年5月24日アップしました)