太陽光を住宅設計でどう考えるか その6

太陽光活用設計手法~まとめ編~

今、東京都が太陽光発電を住宅等の新築に条件付きで義務化するという条例改正をしようとしており、
東京都環境局HPより:環境確保条例の改正「中間のまとめ」のポイント
建築物省エネ法についても、2025年度から住宅の省エネ基準適合を義務化する改正案を閣議決定しました。
国土交通省HPより:令和4年4月22日「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律案」

脱炭素社会の実現に向けた環境負荷削減の問題は、もはや全体で真剣に取り組まなければならない段階に差し掛かってきているのだと思います。そんな時代の流れの中、住宅を生業とする設計事務所も目を向けないわけにはいかない状況です。
今回は、これまでの太陽光活用の提案の内容をまとめました。私たちの考えを共有することで、皆さんが自然エネルギーといかに付き合っていくか考えるきっかけや材料になればと思います。

① 太陽光の熱を給湯に利用する
まずは住宅で使用するエネルギーの約35%は給湯であることに注目して、太陽エネルギーの利用効率の高い太陽熱給湯システムで80度のお湯を晴天の日、300~400リットルをタンクに貯めて浴室とキッチン洗面等に活用します。春夏秋の給湯は殆どそれだけで賄うことが出来ます。
あるいは、ヒートポンプでお湯をつくるエコキュートを導入し、太陽光発電でお湯を沸かせるようにします。

② 太陽光パネルを発電効率良く、漏水リスクが少ないように取り付ける
屋根の形状を考えるときは、真南方向に30度の勾配で、100%の発電効率が得られることを踏まえて、効率の悪い面にパネルを置くことがないように設計します。
屋根の素材については、結設計では、ガルバリウムなどの金属葺や、アスファルトシングル葺をよく使用しますが、防水の保証期間以降の雨漏りのリスクを減らすのであれば、金属葺きで、直接ビス打ち固定とせず、掴み金物で固定し架台を設けます。
竣工後に太陽光パネルを後付けすることが想定され、どのような取付け方をするかわからない場合は、直接ビス打ちされてしまう可能性を考慮して、金属葺よりはリスクの少ないアスファルトシングル葺きとします。

③ エネルギー消費の少ない計画とする
軒を深く出すことで、冬は南の開口部から太陽光を直に取入れ、夏は庇等で太陽光を室内に入れない構造とし、照明だけでなく冷暖房でも昼の電気の使用量が少ない建物にします。

軒の出を深くして夏の直射日光を室内に入れず、冬の直射日光は取り入れる

④ 太陽光発電で得たエネルギーを建築に貯める
昼発電した電気を基礎蓄熱冷暖房を採用することで、昼に発電したエネルギーを夜の冷暖房で使用できるようにします。また、基礎蓄熱の効果を高めるため、基礎を含め外断熱とします。蓄電池を使わずになるべく自家消費率を増やすため、住宅を蓄電池化する手法です。

⑤ 木造でありながら、躯体に蓄熱性の高い構造を用いる
通常の在来木造は、柱と柱の間は構造用合板や筋交いが入っており、隙間の空洞に断熱材を入れています。なので断熱性あっても蓄熱性があるとは言えません。かねてより結設計で取り組んでいるFSU工法は柱の間を柱と同じ角材を緊結して作った壁パネルで構成しています。壁パネルは密実な木のかたまりなので、熱容量が大きく、それ自体が蓄熱体にもなる性能を有している上に、断熱性能と構造強度、さらには燃え代耐火性能を持っています。

FSU工法の建て方
在来工法の建て方
FSU工法と基礎蓄熱冷暖房を組み合わせたイメージ

最後に…
今回は、もし私たちが太陽光を活用して設計するならばこんな方法はどうかという「一般解」の紹介をさせていただきました。ですが、住宅設計では、ご依頼主それぞれの優先順位、敷地条件、生活スタイルなど様々な「特殊解」を併せて解いていく必要があります。私たちに設計をご依頼頂いた際は、これらの手法を絶対条件で進めていくという訳ではなく、個別の優先順位に応じて設計を進めていくということを最後に補足させていただきます。これまでのブログについても併せて読んでいただけると幸いです。