投稿者: 藤原昭夫

伊豆高原の家からの庭と花便り

竹林と苔庭と木漏れ日のハーモニー

伊豆高原の建て主さんから、春の庭と花便りが届きました。

地面には、萌えいづる草花と苔むす庭、
見上げれば大きな木々の新緑

駄文での説明は不要ですね。ほんの一部ですが連続写真でとくとご覧ください。

数多い建て主さんの盆栽作品の一つですね。

コロナの前に移住して庭づくり、仕事はリモートで、萌える草花と映える木々の新緑の中での暮らし、うらやましい限りです。


最近の地耐力調査と地盤改良あれこれ

この穴は今朝立ち合ってきた「ピュアパイル工法」という地盤改良工事で開けた、直径20㎝、深さ6.5mの穴です。この穴にセメントミルクを注入し、硬化させて杭にします。今回は、このような杭を57本を地中に形成します。この敷地から十数メートル南の敷地でしたらたぶん、均一な関東ローム層で、地盤改良工事は不要であったと思われます。この場所でも依然あった住宅は改良工事をしていなかったと思われます。

 

左の写真が穴の中に形成された杭の頭です。今回、地耐力調査をしたら、敷地がちょうど弱くなる地域との境目にあたり、部分的に足りない箇所が判明し、不動沈下の可能性があるので改良工事が必用となりました。
住宅の場合、今は建築基準法で工事者に瑕疵担保保障が義務付けられ、そのために施工会社は保険をかけます。その保険会社は地耐力調査結果に改良工事が必用との報告がでると、地盤改良工事をしない限り、建物の構造保証をしませんので、やらざるを得ないのです。かと言って保険会社は上物の構造保証はしても地盤のせいで生じる他の損害の保証はしない、となっています。瑕疵担保保証の意味に疑問が残りますが、地盤にまつわる損害の補償は工事関係者が保証機関に加入してそこでの保証となります。その辺は施工者によっては未加入や曖昧な場合があるので瑕疵担保だけでなく地盤の補償も事前に明確にしておく必要があります。左の写真は今回のピュアパイル工法の穴を地中に空け、セメントミルクを注入する機械です。

左の写真は今回の調査ではありませんが、調査会社が地耐力の調査をしているところです。スエーデン式サウンディング(SS) 調査方式です。左下の写真で土を除去してる矢の部分を地面に突き刺して荷重を掛けて回転させ、1m差し込むのに何回転必要かで土の硬さを計測します。

地耐力調査会社と地盤改良工事を行う会社が同じ場合もあります。地盤調査会社が改良工事が必用、という調査結果がでても、正直、本当に改良工事が必用なの?と、疑問を覚えることが多々あります。地耐力調査会社も地盤改良工事会社も保険会社の構造判定者も「安全のため」という正義の御旗を掲げ、改良工事をする方向に働いている感を否めません。
何とか改良工事をせずに安全性を確保できないかと、正義の御旗に逆らう悪者のように孤軍奮闘しているのは、限られた予算の中で、できるだけ建て主の要望を多くかなえて、いい家を作る役割を負った設計者だけという、現状の地盤改良の世の図式です。以下、設計者のぼやきも混じり、長くなりますので、改良工事に関心ない方は飛ばして頂いた方がいいかもしれません。
RC造の建物のように、思い荷重の場合は殆ど地盤改良ではなく、既成杭や、地中にコンクリートと鉄筋で形成する現場杭を、必要な長さと太さで硬い地盤の層まで到達させて支えます。

左の写真は既成の鋼管杭を打ち込んでいる写真です。既成のコンクリート杭は打ちこみに騒音を発生するためか最近少なくなりました。地盤が極めて軟弱で固い層がとんでもなく深い場合、杭の摩擦力で支える三角杭などという摩擦杭もあります。既成の鋼管杭でも、穴を掘り進めていくため先端と途中に羽根状の刃を取り付け、その刃を耐荷重を増す仕掛けとした羽根又は翼付杭工法などというものもあります。これには木造でも手軽に活用できるものもあります。


左の写真は現場杭用の穴を掘削しているところです。
その穴にコンクリートを包み込む鋼管を挿入しているところがその下の写真です。その下が鋼管に鉄筋を挿入しているところで、この中にコンクリートを流し込んで現場杭が地中に形成されます。


 

 

 

 

 

 

 

 

RC造の必要地耐力は木造に比して数倍になるので、地盤調査も単なる地盤の固さを調べるSS調査ではなく、左の写真のように、ボーリング調査で標準貫入試験を行います。軟弱な地盤から硬質な岩盤まで掘削可能です。土質試料の採取も可能で、直接土を採取することにより正確な土質判定も可能になります。標準貫入試験により地盤の強度を判定するN値の測定も可能で、地盤や杭の支持力や土質定数が算定できます。地下水位の確認も可能です。((株)フジタ地質より)

話を地盤改良に戻します。木造ではRCほど重くありませんから、建物を載せるために必要な硬さと厚さの地盤を形成する、地盤改良で殆どが済みます。その方法は基礎形状や地質及びその耐力によって色々あります。地盤改良が行われるようになった初期は敷地の表装1~2mの層の土を撹拌して硬化剤と混ぜて全体に固い盤を形成する表層改良や、下の写真のように直径60㎝ほどの土を撹拌してそこにセメントを混ぜて柱状に硬い地盤を形成する柱状改良が通常でした。
柱状改良の掘削撹拌機械
掘削中で、この穴に土とモルタルを撹拌して柱状改良を行った直後で、平らに整える前です。これで大丈夫かと不安になりますが、10年以上経過して全く問題出ていません。
最近、土とセメントを混ぜた場合、それを撤去して廃棄すると産業廃棄物になるので、砂利だけで柱状にして支える「ハイスピード工法」という地盤改良工法もでてきました。確かに砂利だけなら環境汚染をさせないという意味で理想的かもしれません。しかし、軟弱地盤の場合、柱状の砂利が硬化剤がないと砂利が地中で周囲に拡散して支持力をどう担保できるのか採用する場合はよく検討してから使用したい工法です。
これまでは柱状改良の採用が殆どで、今回のように直径20㎝程の太さで土を混ぜないで、杭を形成するのは自分としては初めてです。他にRC造で紹介したような鋼管を打ち込む工法はよくあり、杭打ち機械が入らない現場用に、直径60ミリほどの単管を数多く打ち込むやり方もあります。
建物が載る地盤に砕石を敷いてその上にクロスを敷き、さらにまた砕石を敷いて均してクロスを挟み込み、地盤を安定させる「ジオクロス・ユビファ工法という工法」もあります。建物の基礎の外50㎝程迄クロスを敷き込み、引っ張り安定させる、そのクロスが左の写真です。そのクロスは特殊なプラスチックでできていて、水にも溶けず、バクテリアにも影響されず、半永久的に強度保つそうです。一昨年に採用しましたが、今のところ問題ないです。環境を考え、解体廃棄の場合、容易に取り除くことができ、取り出して燃焼可能とのことです。
また極めて柔らかい地層の場合、建物重量分だけ、地中から土を取り出し、その取り出した空洞を発泡スチロールで充填することで建物の沈下を抑える、コロンブス工法という地盤改良工法もあります。

地盤に関しては、敷地付近の地層の状況を調べ、地盤の地耐力調査を正確なデータを出せる状態で、確かな方法で行い、その納得できる結果で改良が必要となっても、建てる建物の荷重と地盤の状態を検証して、性能的にも経済的にも最も適切な改良工法を選択し、可能な限りの保証がえられる実施方法で行う、という容易ではない一連の作業を行う必要があります。
ここまで読み進んでいただいたお礼に、各種の価格について紹介しておきます。平坦で計測容易な敷地という条件で、SS式地盤の地耐力調査は広さと状況にもよりますが、約十メートル深さまで5ポイントの地点の計測条件で5~7万円です。調査会社によっては、その調査の時に数万円を加算して一緒に、その敷地の簡易測量と現場状況の調査もしてくれるところもあります。
ボーリング調査は通常20m程度の深さで1ポイントの調査で20~30万円程度です。調査項目と深さよって違ってきます。地盤改良工事は、状況により差が出ますが、二階建て延床40坪の住宅で70万円から100万円程度です。
いずれにしても必ず事前に条件を明確にして見積もりを取ったうえで進めることです。


土地探しの 隠れ常識 十か条

上の写真は開発許可申請された7,8画の土地の造成工事前の傾斜している土地です。この段階で計画予定の配置図からどこを購入するかを判断します。

最近土地探しで、契約前の土地を見ての相談が重なり、気づいたことがあります。土地を探す前にすべき検討はしたつもりでも、幾つか抜けてるような気がしました。探す地域、土地の広さと相場、駅からの距離、学校や商店、道路の状況、等々当然な事項は検討済のようですが、仲介者が触れなくても、土地探しをするなら事前に理解しておくべきことがあります。その辺の、私なら思う隠れている常識のようなものを十か条にまとめてみました。

第1条 求める土地のエリア、立地環境、好み等個別条件の5W1Hは明快にしておく

土地探しは現実的作業のため、自分は何のために、どんな土地と建築を望んでいるのか。それにどれ程の犠牲を払えるのか。基本的な整理をして探さないと、決められない、永遠の青い鳥探し、となり、協力者達も戸惑います。求める土地の条件を末尾に用意しましたので、整理の参考にして下さい。

第2条 土地は総予算から税込み工事費と諸費用を引いた残り額で探すべき

手持ち金やローンに限界がある場合、先に土地を決めると必ず建築費が不足し、納得いく家にはなりません。建築費から消費税、設計料、家具備品、登記等の諸費用を差し引くと実質工事費は7割程度です。土地を決めてから残りの無理な予算で規格型や設計施工にするなどし、建築工事前の全ての検討を行う設計段階を疎かなまま進めても、望んだ家からほど遠いものになります。また、ローンが土地と建物込みの場合、建売用の仕組みのため、新築した建物の登記まで融資が下りない場合があり、建築中の部分払い用に、取り扱い銀行に借り入れをお願いせざるを得なく、それに応じないところもあり、注意が必用です。また、融資によっては、予約から建物完成までの期間に条件が付くことがあり、予算内で工事を請けてくるところを探すのに期間が足りないケースがよくあり、これも注意が必用です。

第3条 建築条件付きの土地は、工事だけでなく、設計や仕様にも条件が付く

建築条件付きは売主である工事者が指定する条件なので、指定以外の工事者に見積もりを取ることはできません。しかも売主は工事で利益を上げようとするため、その工事者が慣れて利益を上げやすい設計や仕様でやろうとし、建て売り的なものになります。建築主の指定する設計や仕様での工事を要望すれば、他所の工事者が施工するより割高になります。自分に合った家を創ろうとするなら、建築条件付きでない土地を探すべきです。

第4条 市街化調整区域や生産緑地でも建築可能な場合もある

例えば、駅から1㎞以内で1㎞の半径内に50戸建物がある等、いくつかの条件を満たせば、市街化調整区域でも建てられる土地が、売りに出ることがあります。調整区域だからと言って即諦めず、検討してみる価値はあります。また自分が開発行為を行って建築できる場合や、2022年以降には生産緑地が解除され、市街地の農地が大量に宅地化される予定もあり、色々な可能性が考えられます。

市街化調整区域で間口6m奥行40mの、隣が水路脇通路になっている土地です。

第5条 造成済みと造成前の土地では、発想の広がりと可能性は造成前にある

造成工事は平均的要望に合わせて行うので、自分の条件に合うとは限らず、むしろその土地での建築の可能性を限定します。しかも開発販売経費と造成工事費が加算され、経済的な大規模団地でもない限り、その分高額になります。造成工事の殆どは建築工事の段階でもできます。もし開発工事前に造成計画の案内があったら、せめてどの土地が自分の望みに近いか、計画段階で判断できれば、より希望に近い土地を得られることになります。

下の写真が、このページトップに掲載した造成前の土地に建てた家です。

分譲区画の中で一番奥にあり、3m程道路より低い土地のため一番安価でした。崖に面した3軒以外の後ろの高価な土地の方は、目の前に家が建つことになり、一階からの眺望は損なわれることになります。

完成した家は一番奥のため、道路奥が駐車場となり、二階入り玄関で、入った目の前が見晴らしの最も良い南向きリビングダイニングです。そこを通って階段を下りて南向きの子供室、寝室となり、浴室の窓の前が市街化調整区域の林のため開放的な窓を取ることができました。最も安価な土地が最も魅力的な要素を有していた土地であった例です。(設計事例「聖蹟桜ヶ丘の家」を参照下さい)

第6条 傾斜や段差或いは隣地が空き地の場合、危険性と可能性を想像する

傾斜や段差のある土地は危険性を考慮した上で、考えうる多様な完成形を想像してその価値を判断する必要があります。例えば崩落の危険性を高基礎や地下室で防ぎ、その上に載せることで、開放性や見晴らし得られる場合もあります。三層建てにする場合も、設計次第で木造の三階建てにも、地下室に載った二階建てのどちらにもできることもあり、それによって仕様と工事費用が違ってきます。高さ規定もどう測定できるかで違ってきます。当然ながら隣が空き地の場合、将来建物がどう建つかも予測して判断すべきです。

第7条 擁壁や崖のある土地は公的安全性の保証と崖地条例を知って検討する

地域の公的機関が安全性を認めた擁壁は、それを前提に建築ができますが、堅固そうでも古い擁壁の場合は殆ど安全性を証明できないものが多く、調べが必要です。そのような土地の場合、擁壁がないものと考えて、各県の崖地条例をもとに、崖の上でも下でも崩落しても大丈夫なように建てる必要があります。

第8条 既存建物付き土地と解体後の更地渡しは、新築なら更地渡しがよい

既存家屋があってそれを売主と買主のどちらが解体するかの判断を迫られた場合、既存家屋をリフォームする可能性がなく、解体撤去費が売主が行う場合と自分が行う場合も同じ程度なら、売主に行ってもらった方がいいです。なぜなら地中に埋設物があった場合、その撤去責任が売主にあることになり、買主の解体となれば買主の責任となるからです。上下水道の引き込み工事も相場価格で、引き込み水道の口径が十分なら売主工事の方が得な場合が多いです。

第9条 工事単価や工事費の概算金額は設計詳細付きでない限り意味がない

土地探しでは建築予算の設定が重要で、色々な人に尋ねても様々で、安い単価を言われると都合良く考えたくなります。でも建築費は土地よりも予想以上に建物の可能性と快適性を左右します。多くの方は建築を工場生産商品のように、どこも内容と単価にさほど差はないだろうと考えがちです。ところが仕様と床面積が同じ図面で、相見積りすると、工事者によって1~3割違うことがよくあります。仕様や床面積が違っている単価や工事費の比較は意味がなく、惑わされるだけです。建築費の予算を十分に確保しておくことに越したことはないです。

第10条 公開物件は潤沢な資金で、掘出し物件は足とプロの知恵とで探す

問題ない造成地の土地は相場価格で公開されます。仲介者は手数料を売り手と買い手双方の分を得ようと、地元の不動産事業者だけで売ろうとし、買い手が付かない場合のみ公開します。情報を早く得るには地元の仲介者と懇意になっておくといいです。予算があれば相場の通常物件を探すだけでいいですが、予算が足りず、安い物件を探す場合、そんな物件には何らかの理由があります。その理由を読み解いて、その訳ありが自分には問題ない場合、或いは自分の建てる建築工事で克服できる場合はお得な物件となります。そのような読み解きや工事費の予測には経験豊富な設計者の知恵を活用した方が賢明です。設計者はあらゆる建築方法の検索エンジンでもあり、共感できる設計者なら、暫定的に設計依頼をして、気に入った土地の多様な可能性を提案をしてもらい、検討しながら、自分に合った土地を決めることができます。

 


地震 耐震についてのおはなし

3.11

東日本大震災から10年が経過しました。

最近再び地震が頻繁に起きています。今回は建物の耐震についてです。

地震大国である我が国。

世界で発生しているマグニチュード6以上の地震の約2割は日本で発生しています。人々の命を守る建物に耐震規定の法律が定められたのは1924年。建物に耐震規定が法規に初めて盛り込まれてからまもなく100年をむかえようとしているのです。

その後1950年に建築基準法が制定され、耐震基準は1971年・1981年・2000年に大きな改正が行われています。国は大きな地震が起きるたびに耐震基準を強化してきました。

 

耐震基準が抜本的に見直されたのは、1978年の宮城県沖地震後、1981年(昭和56年)に施行された「新耐震設計基準」です。1981年以前の基準を旧耐震基準、以降の基準を新耐震基準と呼んでいます。

旧耐震基準は、震度5程度の地震に耐えられることが基準でしたが、新耐震では建物の倒壊を回避するだけでなく、建物内の人命が重要視され、比較的よく発生する中程度の地震では軽度なひび割れ程度、まれに起きる震度6~7程度の大きな地震でも崩壊や倒壊しないことが求められています。

 

上記内容から気をつけることとして、もし中古住宅を購入する時には、あくまでも建築確認済証の発行日が1981年6月1日以降であるかどうかを確認することです。それ以前の場合は、購入前に耐震診断を行うことを特にお勧めします。

 

さらに2000年(平成12年)に基準が改正され、10月にスタートした住宅性能表示制度により耐震等級1~3が登場しました。事実上この改正から地盤調査が義務化となり、地耐力について改正されています。同時に、建物に配置される耐力壁のバランス計算が必要となり、耐力壁を入れるだけでなく建物全体のバランスも計算のうえ数値で算出し、考慮されるようになりました。

耐震等級については、耐震等級1は建築基準法に準ずる性能、等級2は基準の1.25倍程度、等級3は基準法の1.5倍程度という等級です。基準法でも、まれに発生する地震に対する法令が整えられていますが、さらに強化することにより地震に強い家づくりを数値で現したものとなります。等級をクリアするかどうかの検討は、設計段階での検討になります。地域や保険内容にもよりますが、場合によっては耐震等級により地震保険が割引となることもあります。

建築基準法による耐震基準だけでもまれに発生する地震に備えた基準となっていますが、近年では耐震等級がひたすら宣伝に使用されているように感じます。もちろん、これから長く暮らすための住まいなので備えるに越したことはありませんが、過剰はスペックは建築費に直結します。

バランスよく、安心して暮らすことができる住まいの提供は、建築に携わるものの責務だと考えています。

 


家も育てる ~子供部屋とワークスペース~

新築完成から7年経過した建て主から

「子供の個室を作りたい」

というご要望から始まりました。

2階のオープンなファミリースペースは、子供室と3帖程のファミリースペースに、そして1階の9帖の個室は、6帖と3帖に分けて子供室と趣味室にする計画です。

2階リビングの開放性が損なわれずに個室を確保させるために、天井まで壁をつくらず、上部はアクリル板の壁としました。これにより、音は遮断しながら、光を通し、視界を遮ることなく広がりを感じることができる空間となりました。

個室ができても、ファミリースペースの片隅に作った机は日当たりもよく、ここでよく宿題をやっているそうです。個室を設けるだけでなく、ファミリースペースも残すことは、家族の距離感に温かさが生まれます。

 

1階の個室から分けられた3帖の個室は、当初の趣味室ではなく、現在はリモートワークとなっている奥様のワークスペースとなりました。パソコンを置き、集中したいときには扉を閉めて籠ることができる、ちょうどいい空間です。

コロナ禍により、これまでの働き方が大きく変わっていますが、3帖あれば十分なワークスペースを確保することができます。

今回は住居内で間仕切りましたが、庭先の小屋を仕事部屋とすることで通勤時間0分の非接触型オフィスとすることもできます。

これから変化し続ける生活に対応するべく、家も変化し続けていく必要があるのかもしれません。


移住でかなえる家づくり展


私も属している「家づくりの会」という設計者の団体の一部のメンバーが、上記のポスターのごとく、2月22日~28日まで、家づくりの会ギャラリーで展覧会を開催します。
私もそのうちの一人として、パネル展示をする予定です。私どものホームページの設計事例にも上げていますが、最近、私のお客さんでも安曇野や伊豆高原に移住された方がおられます。また千葉に住んでいたのが、転勤になって大阪に転居され、千葉の家を売却して大阪で再度新築された方や浅草に建てた家をやはり売却してマンションに移住された方もおられます。転居や移住は身近になってきたようで、生活の見直しに考えてみるのもありなのかもしれません。

展示はいくつかの移住された方の例をご紹介するものですが、私は、「現状の住まいと移住の狭間」というタイトルでパネルを展示する予定です。
新型コロナでリモートワークやステイホームを強いられ、住まいを見直すようになった方が増えておられるようです。そこで、移住まではちょっと、という方のために、生活の見直しのいくつかのアイデアを紹介してみたいと思っています。
例えば生活のちょっとした切り替え用の庭先のオフィスや店舗、あるいは車で30分ぐらいの借地にミニ別荘、親しい人とで空き家を改装した(シェア)ゲストハウス等、それらの建物が不要になったときには解体して、改めてその解体部材で新たな新築の家に活用、等々のアイデアを展示できればと思っています。よろしければ一度立ち寄ってみてはいかがでしょうか。(藤原)


難しい建築条件の建築①「一不異二亭」(アンフィニティー)

朝日が目一ぱい差し込む洗面所です。

先日イーロンマスクが火星への移住、という困難な事業に挑むようなこと言っていました。改めて困難な事業とは何だろうと考えてみました。もしかしたら火星への移住技術より、地球で温暖化を止めて自然環境も損なわず、世界中の人々が戦争などせず、格差なく幸せに暮らせる仕組みを確立する方が、はるかに難しく価値があるのでは、と考えてしまいました。私達もその日々の暮らしを、争いなく快適に過ごせるため、何がどう必要か、様々な工夫と適切な選択や解答を探すという、これはこれで一つの難しさを持った仕事として考えています。

一不二異亭(アンフィニティー)も都内のマンションで暮らす家族がリフレッシュのために、週末を自然環境の豊かな山中で過ごせる家を、という依頼でした。二地域居住の先駆けの方でした。敷地は平坦な部分は殆どなく、真ん中が時々小川になってしまう傾斜のあるような所でした。建築条件は予算を2千万円程度で、ということで、それはそれなりに厄介ではありましたが何とかなる条件でした。もう一つの条件に設計者の代表作になる建築に、ということで、こちらの方がはるかにハードル高い条件で、それで最初に提案したのが下の配置図と断面図です。

左が最初に提案した計画案の配置計画で道路のすぐそばの部分に建てる案です。右が断面図です。

敷地に平らなところがなく、造成しようとすると、それだけで予算がなくなってしまいます。そこで、接地面積の小さい建築ということで提案したもので、下がその案の平面図です。

左が一階平面図、真ん中が二階平面図の居間食堂水回り、右が3階の寝室です。

この案に対して依頼者は、「設計者の代表作になりますか?」と尋ねてきました。じっと考えて、設計者としては作ってみたい面白い案ではありました。しかし確かに予算条件には適切ではあるが、中身に代表作と言えるほどの独創性があるかと問われたら、これまでの手法の組み合わせと言わざるを得ませんでした。何より建築面積が狭いため、伸びやかさに欠けるところがあり、都内のマンションの閉そく性が縦に伸びただけと思われるところがあり、リフレッシュのための空間をといわれると、改めて提案せざるを得なくなりました。

それで再度提案したのが下の写真の建物です。

林の中に突き出すように建っている不二異亭です。

これは上の基礎断面図のように、レベルの違う4か所にコンクリートの箱状の柱脚を作り基礎とし、その上に橋を架けるように建物を載せ、建物の土台と桁を、木片チップで固められたOSB合板で一体化したトラスの構造体として建築しています。

柱脚に乗った、ブリッジ上の建物立面図

屋根はOMソーラーのように、太陽熱で温め、その空気を床下から吹き出し、部屋全体を暖め、内部を正圧にして外に隙間から吹き出し、常に室内空気を暖め新鮮な状態にしておく装置を設け、別荘特有の湿気を無くした空間にしています。

傾斜している敷地目一ぱい活用して平屋建てにし、左側が玄関居間食堂で、中央部はガラス屋根があるテラスデッキになっており、そこを通って右側の寝室プライベートゾーンに行きます。
ダイニングの窓は一枚建具で引き分けられ、全開口になり、山の空気が室内に充満します。
暖炉のあるリビングダイニングです。食卓の向こうの収納の裏が玄関です。
ガラス屋根のある外部デッキスペースです。ここを通って寝室ゾーンと行き来します。

山中のため軒樋は木の葉が詰まるので設けていません。屋根から雨が落ちている様も悪くはないものです。浴室はハーフユニットながら、林の中に突き出し、三方を開放感のあるガラス窓にして、露天風呂のような空間にしています。詳しくは設計事例の一不異二亭(アンフィニティー)も参照ください。(藤原)


地鎮祭

 

先日「 地鎮祭 」が執り行われました。

 

地鎮祭は、建物の建設が始まる前の儀式で、土地を守る神様にその土地を使用する許しを請い、工事の安全を祈願する儀式として行われてきました。

ほぼ神式で行われますが、なかには仏教式、キリスト教式もあります。

 

準備するものを考えると躊躇することもあるかと思いますが

神主さんへの初穂料は3万円前後、

お酒・水・塩・米・季節の野菜・魚などお供え物(今回の地鎮祭は神社が用意してくれました)

です。

その他地域や神社、施工会社によっては、飲食その他必要な場合もありますが、

極論は建て主自身がどうしたいか、だと私は思います。

最近は簡易的に建て主により塩をまいてお清めだけや、行わないという選択をする方もいらっしゃいます。

くつろぎ、自分らしく暮らす場所を建設するのための儀式です。

それぞれの尺度で、無理なく行うことがいちばんだと感じています。

 

・・・と感じながら、やはりこれから長く暮らす我が家のスタートを、関係者で儀式として執り行うことは、我々も気が引き締まり、改めて

『このご家族が笑顔で過ごせる家にしたい』

という気持ちが高まります。

同日、ご近所の方々に工務店担当者と工事のご挨拶も行いました。

これから数か月間、多少のご迷惑をおかけすることとなりますので、ご挨拶のいい機会になります。

生涯で何度もあることではないので、すまいを建築される際はご家族そろって執り行うことを検討してみることをお勧めします。(岡坂)


困難な建築条件を含む厄介な仕事

十数年前に設計したある山中の週末住宅です。敷地は平坦なところがなく、雨が続くと小川ができてしまうこともあるところで、造成工事をすると建物以上の費用を要する場所でした。

私どもに依頼される仕事は他所ではできない、というか、やりたがらない、またはうまくできないということで来られるケースが多い、と最近気付きました。

その困難さは設計はもちろんですが、設計以前に可能な事業かどうかの検討という、プロデュースに属するような場合も少なくありません。例えば市街化調整区域などでの開発行為まで含む依頼とか、容積率や建蔽率上無理な床面積条件や極めて困難な増築、安全性を確認できない擁壁のある崖地とか、法的に難しく単純には進められないケースです。あるいはそれなりの居住条件を満たすのに技術的に困難な建築条件、まともには建てられそうに無い崖地や変形等の敷地、等々一筋縄では行かない依頼が多かったような気がします。

ただ、厄介かどうかは、実は受けた者の仕事への認識如何で違ってきます。依頼の条件をクリアーするだけなら、法と予算との戦いで、それほど厄介ではありません。しかし条件内の理想の最適解を追求しようとする性癖を持つ設計者には、条件範囲も超えて事業のあり方やプロデュースまで踏み込み、厄介にしてしまうところがあります。むしろ厳しい条件の依頼は選択範囲が限られ、その分容易になります。ところが恵まれた条件の場合、可能性が広がり、その中での最適解を求めようとすると、選択肢が無限になり、途端に苦しみます。結局選択の決め手は依頼者の意向と、失敗も含めた自分の経験からくる哲学、つまり価値観に拠るところとなります。すると、あらゆる選択の機会に、その都度本当にそれが適切なのか?と、理想を求めるもう一人の自分が囁いてきます。つまり自分で自分の仕事を厄介なものにしてしまうようなところもあります。

そこで何が厄介にさせたのか、次回以降、過去の事例からいくつか紹介してみようと思います。最初は今回のトップ写真のウイークエンドハウスです。


建築関係の紹介サイトの罪

今日、建築施工者や設計者の紹介サイトが花盛りです。これまでも紹介機関は多数存在していましたが、ネットでの紹介サイトはその比ではありません。私どもにも登録を促す誘いが毎日のようにあります。そのいくつかに無料なら、と登録していますが、やはり紹介サイトは罪作りだと思われます。単なる紹介で、その運営費をサイト内の広告料収入等で賄っているなら許せます。しかし、罪なことは、表には出ませんが、建築施行者が決まったらその施行者から、工事費や販売価格の10%前後の紹介手数料の徴収を条件にしている場合が少なくないことです。設計者の紹介でも似たようなものです。それら手数料は結局、建主の支払いから徴収されます。設計者から見るとその10%があれば予算上諦めざるを得なかった建物仕様が数多く実現できたのに、と口惜しくなってきます。

次に罪なことは、登録者数を売りにするため、各設計者や施工者の少しの情報を数多く掲載しようとするので紹介が薄っぺらになり、創られた建築の感触や関わった者達の想いが現れにくく、露出度や目に着く受け狙いの表現が決め手にされがちです。場合によってはサイトの掲載順位が広告料等で左右される仕組みであったりします。家づくりの本質的な価値づくりから遠ざけ、多様な可能性を、紹介サイトの薄っぺらで平準な価値観の中で判断できにくい状態にし、広告費等で選択させる仕組みになりがちです。正直、紹介サイトは人の褌で相撲を取ろうとすることも不愉快ですが、結局、資本のある者が益々収益を上げる社会構造を補強し、現場でものづくりに汗する者をないがしろにする社会構造にしていることが許せない気がします。

上手な紹介サイトの活用は、紹介されてある建築施工者や作品名又は設計者名を見つけ出し、その者のサイトに直接飛んで、多くの情報や考え方からじっくり、自分に合った設計者かどうか、見極めることです。その上で、労を惜しまず、直接会うなり、ズームなりで、話をしてみることです。殆どの設計者は相談に直接来てくれる方を無料で歓迎するはずです。設計者は紹介サイトでの選択より、直接見出してくれることが嬉しいのです。また、設計者の重要な能力の一つが、実は依頼者の話す言葉や行為から、その奥にある意向や切実性をどこまで汲み取れるかにあるからです。それで設計する内容に大きな差が生じてきます。紹介サイトの仕掛けに惑わされず、活用する方々の賢明な見識に期待しています。(藤原)