投稿者: 藤原昭夫

難しい建築条件の建築①「一不異二亭」(アンフィニティー)

朝日が目一ぱい差し込む洗面所です。

先日イーロンマスクが火星への移住、という困難な事業に挑むようなこと言っていました。改めて困難な事業とは何だろうと考えてみました。もしかしたら火星への移住技術より、地球で温暖化を止めて自然環境も損なわず、世界中の人々が戦争などせず、格差なく幸せに暮らせる仕組みを確立する方が、はるかに難しく価値があるのでは、と考えてしまいました。私達もその日々の暮らしを、争いなく快適に過ごせるため、何がどう必要か、様々な工夫と適切な選択や解答を探すという、これはこれで一つの難しさを持った仕事として考えています。

一不二異亭(アンフィニティー)も都内のマンションで暮らす家族がリフレッシュのために、週末を自然環境の豊かな山中で過ごせる家を、という依頼でした。二地域居住の先駆けの方でした。敷地は平坦な部分は殆どなく、真ん中が時々小川になってしまう傾斜のあるような所でした。建築条件は予算を2千万円程度で、ということで、それはそれなりに厄介ではありましたが何とかなる条件でした。もう一つの条件に設計者の代表作になる建築に、ということで、こちらの方がはるかにハードル高い条件で、それで最初に提案したのが下の配置図と断面図です。

左が最初に提案した計画案の配置計画で道路のすぐそばの部分に建てる案です。右が断面図です。

敷地に平らなところがなく、造成しようとすると、それだけで予算がなくなってしまいます。そこで、接地面積の小さい建築ということで提案したもので、下がその案の平面図です。

左が一階平面図、真ん中が二階平面図の居間食堂水回り、右が3階の寝室です。

この案に対して依頼者は、「設計者の代表作になりますか?」と尋ねてきました。じっと考えて、設計者としては作ってみたい面白い案ではありました。しかし確かに予算条件には適切ではあるが、中身に代表作と言えるほどの独創性があるかと問われたら、これまでの手法の組み合わせと言わざるを得ませんでした。何より建築面積が狭いため、伸びやかさに欠けるところがあり、都内のマンションの閉そく性が縦に伸びただけと思われるところがあり、リフレッシュのための空間をといわれると、改めて提案せざるを得なくなりました。

それで再度提案したのが下の写真の建物です。

林の中に突き出すように建っている不二異亭です。

これは上の基礎断面図のように、レベルの違う4か所にコンクリートの箱状の柱脚を作り基礎とし、その上に橋を架けるように建物を載せ、建物の土台と桁を、木片チップで固められたOSB合板で一体化したトラスの構造体として建築しています。

柱脚に乗った、ブリッジ上の建物立面図

屋根はOMソーラーのように、太陽熱で温め、その空気を床下から吹き出し、部屋全体を暖め、内部を正圧にして外に隙間から吹き出し、常に室内空気を暖め新鮮な状態にしておく装置を設け、別荘特有の湿気を無くした空間にしています。

傾斜している敷地目一ぱい活用して平屋建てにし、左側が玄関居間食堂で、中央部はガラス屋根があるテラスデッキになっており、そこを通って右側の寝室プライベートゾーンに行きます。
ダイニングの窓は一枚建具で引き分けられ、全開口になり、山の空気が室内に充満します。
暖炉のあるリビングダイニングです。食卓の向こうの収納の裏が玄関です。
ガラス屋根のある外部デッキスペースです。ここを通って寝室ゾーンと行き来します。

山中のため軒樋は木の葉が詰まるので設けていません。屋根から雨が落ちている様も悪くはないものです。浴室はハーフユニットながら、林の中に突き出し、三方を開放感のあるガラス窓にして、露天風呂のような空間にしています。詳しくは設計事例の一不異二亭(アンフィニティー)も参照ください。(藤原)


地鎮祭

 

先日「 地鎮祭 」が執り行われました。

 

地鎮祭は、建物の建設が始まる前の儀式で、土地を守る神様にその土地を使用する許しを請い、工事の安全を祈願する儀式として行われてきました。

ほぼ神式で行われますが、なかには仏教式、キリスト教式もあります。

 

準備するものを考えると躊躇することもあるかと思いますが

神主さんへの初穂料は3万円前後、

お酒・水・塩・米・季節の野菜・魚などお供え物(今回の地鎮祭は神社が用意してくれました)

です。

その他地域や神社、施工会社によっては、飲食その他必要な場合もありますが、

極論は建て主自身がどうしたいか、だと私は思います。

最近は簡易的に建て主により塩をまいてお清めだけや、行わないという選択をする方もいらっしゃいます。

くつろぎ、自分らしく暮らす場所を建設するのための儀式です。

それぞれの尺度で、無理なく行うことがいちばんだと感じています。

 

・・・と感じながら、やはりこれから長く暮らす我が家のスタートを、関係者で儀式として執り行うことは、我々も気が引き締まり、改めて

『このご家族が笑顔で過ごせる家にしたい』

という気持ちが高まります。

同日、ご近所の方々に工務店担当者と工事のご挨拶も行いました。

これから数か月間、多少のご迷惑をおかけすることとなりますので、ご挨拶のいい機会になります。

生涯で何度もあることではないので、すまいを建築される際はご家族そろって執り行うことを検討してみることをお勧めします。(岡坂)


困難な建築条件を含む厄介な仕事

十数年前に設計したある山中の週末住宅です。敷地は平坦なところがなく、雨が続くと小川ができてしまうこともあるところで、造成工事をすると建物以上の費用を要する場所でした。

私どもに依頼される仕事は他所ではできない、というか、やりたがらない、またはうまくできないということで来られるケースが多い、と最近気付きました。

その困難さは設計はもちろんですが、設計以前に可能な事業かどうかの検討という、プロデュースに属するような場合も少なくありません。例えば市街化調整区域などでの開発行為まで含む依頼とか、容積率や建蔽率上無理な床面積条件や極めて困難な増築、安全性を確認できない擁壁のある崖地とか、法的に難しく単純には進められないケースです。あるいはそれなりの居住条件を満たすのに技術的に困難な建築条件、まともには建てられそうに無い崖地や変形等の敷地、等々一筋縄では行かない依頼が多かったような気がします。

ただ、厄介かどうかは、実は受けた者の仕事への認識如何で違ってきます。依頼の条件をクリアーするだけなら、法と予算との戦いで、それほど厄介ではありません。しかし条件内の理想の最適解を追求しようとする性癖を持つ設計者には、条件範囲も超えて事業のあり方やプロデュースまで踏み込み、厄介にしてしまうところがあります。むしろ厳しい条件の依頼は選択範囲が限られ、その分容易になります。ところが恵まれた条件の場合、可能性が広がり、その中での最適解を求めようとすると、選択肢が無限になり、途端に苦しみます。結局選択の決め手は依頼者の意向と、失敗も含めた自分の経験からくる哲学、つまり価値観に拠るところとなります。すると、あらゆる選択の機会に、その都度本当にそれが適切なのか?と、理想を求めるもう一人の自分が囁いてきます。つまり自分で自分の仕事を厄介なものにしてしまうようなところもあります。

そこで何が厄介にさせたのか、次回以降、過去の事例からいくつか紹介してみようと思います。最初は今回のトップ写真のウイークエンドハウスです。


建築関係の紹介サイトの罪

今日、建築施工者や設計者の紹介サイトが花盛りです。これまでも紹介機関は多数存在していましたが、ネットでの紹介サイトはその比ではありません。私どもにも登録を促す誘いが毎日のようにあります。そのいくつかに無料なら、と登録していますが、やはり紹介サイトは罪作りだと思われます。単なる紹介で、その運営費をサイト内の広告料収入等で賄っているなら許せます。しかし、罪なことは、表には出ませんが、建築施行者が決まったらその施行者から、工事費や販売価格の10%前後の紹介手数料の徴収を条件にしている場合が少なくないことです。設計者の紹介でも似たようなものです。それら手数料は結局、建主の支払いから徴収されます。設計者から見るとその10%があれば予算上諦めざるを得なかった建物仕様が数多く実現できたのに、と口惜しくなってきます。

次に罪なことは、登録者数を売りにするため、各設計者や施工者の少しの情報を数多く掲載しようとするので紹介が薄っぺらになり、創られた建築の感触や関わった者達の想いが現れにくく、露出度や目に着く受け狙いの表現が決め手にされがちです。場合によってはサイトの掲載順位が広告料等で左右される仕組みであったりします。家づくりの本質的な価値づくりから遠ざけ、多様な可能性を、紹介サイトの薄っぺらで平準な価値観の中で判断できにくい状態にし、広告費等で選択させる仕組みになりがちです。正直、紹介サイトは人の褌で相撲を取ろうとすることも不愉快ですが、結局、資本のある者が益々収益を上げる社会構造を補強し、現場でものづくりに汗する者をないがしろにする社会構造にしていることが許せない気がします。

上手な紹介サイトの活用は、紹介されてある建築施工者や作品名又は設計者名を見つけ出し、その者のサイトに直接飛んで、多くの情報や考え方からじっくり、自分に合った設計者かどうか、見極めることです。その上で、労を惜しまず、直接会うなり、ズームなりで、話をしてみることです。殆どの設計者は相談に直接来てくれる方を無料で歓迎するはずです。設計者は紹介サイトでの選択より、直接見出してくれることが嬉しいのです。また、設計者の重要な能力の一つが、実は依頼者の話す言葉や行為から、その奥にある意向や切実性をどこまで汲み取れるかにあるからです。それで設計する内容に大きな差が生じてきます。紹介サイトの仕掛けに惑わされず、活用する方々の賢明な見識に期待しています。(藤原)


土地探しのポイント 土地条件と費用


住宅などの建物を建てようとして土地を購入する際に、判断材料として土地にまつわる色々な条件があります。

①場所  (最寄り駅からの距離・バスを利用するかなど)
②土地面積
③土地形状(整形・不整形・狭小地など)
④価格
⑤住環境 (陽当たり、風通し、道路づけ、騒音、臭気・密集度など)
⑥周辺環境(学校・病院・スーパー等店舗・公園などまでの距離)

⑦登記簿上の記載(地目、権利の別など)
⑧土地の法的な制限(建ぺい率、容積率、市街化区域、都市計画区域、防火地域、接道条件など)
⑨敷地内高低差
⑩周囲との高低差
⑪既存建物の有無
⑫建築条件付きかどうか
⑬地盤の状況
⑭インフラの整備状況(道路や、上下水道・電気・ガス・通信の引込状況)

これら土地にまつわる諸条件のうち、①~⑥の条件をメインに土地を選んで、買うかどうかの判断をしている方が多いと思います。予算内で少しでも①~⑥の条件が良い土地を探すようにしているということですね。

①~④は折込チラシや情報誌、不動産屋さんの店頭ポスターなどで見ることができるので、チェックしやすい条件といえます。しかし、この情報だけでは、本当に家を建てるのに向いているか、契約しても良いかどうかを判断するのは難しいと言えます。
⑤⑥は、現地を訪れなければよく分からないですが、訪れてみれば視覚的にわかる条件です。

しかし、建物を建てようとした場合は、①~⑥よりも⑦~⑭の条件が重要になってきます。この条件次第で、建築費や諸経費が大きく変わってきますし、そもそも希望の建物を建てられないということもあり得ます。

家を建てようと購入した土地に、家が建てられないのでは、自分にとっては土地の価値はゼロになってしまいますので、まずは、その土地に建物が建てられるかどうかということを確認しなければなりません。
そのためには⑦と⑧を調べる必要があります。例えば、農地や市街化調整区域には原則として住宅は建てられません。(例外もあります)
建物を建てようとした場合に、その敷地が巾4m以上の道路に2m以上接していることが絶対条件となるため、事前調査が必要です。その敷地に接していると思われる道路らしきものが、法律上「道路」として認められているものなのかどうかも問題になります。幅員4m未満の道路でも「2項道路」と呼ばれる道路であれば建築可能ですが、セットバックが必要ですし、そのセットバックの基準になる道路中心線はどこかなど、役所に行って確認する必要があります。

建てられることが分かったら、次に考えることは、建物を建てる際に余計な費用がかかるかどうかです。その大きな要因は、⑧の法的な制限です。防火地域指定がある場合は、鉄筋コンクリート造や、窓を防火設備(防火戸)にする必要がある場合等は数百万円単位で工事費が変わってきます。
その他、条例で定める風致地区の指定がある場合は、植栽をしなくては行けなかったり、敷地境界線から建物を離さなくてはならなかったり等の制限を受けます。

⑨⑩の敷地内・外で大きな高低差がある場合は、擁壁や地下をつくったりするなどで、100万円単位の費用が必要となる場合があります。

⑪既存建物が敷地内にある場合、その解体処分費は、木造住宅で坪あたり3~4万円の費用が掛かります。(地域によって変わります)

⑫建築条件付きの土地は、法令による規制とは違い、ハウスメーカーや工務店などが独自に設定しているものです。
土地を購入する場合は、指定のハウスメーカーや工務店で建物を建てることが条件になっています。業者によっては、間取りなどに制約がある場合があるので、間取りを自由に考えたいという方は、知らずに購入すると問題になることがあります。

⑬の地盤状況は、地盤調査が必要になります。調査費用は、一般的な住宅の目安としては5~8万円程度です。
地盤調査の結果で軟弱地盤と分かった場合は、杭や地盤改良で補強をすることになり、一般的な目安は70万から120万円程(数百万円かかる場合もあります。)の費用が必要になります。(費用は建物の大きさや地盤状態により変わってきます。)

⑭上下水道などのインフラの引き込みを新たにするには、数十万単位の負担金が必要になる場合があります。

これら⑦~⑭の条件から出てくる諸問題は非常に専門的で、専門家である設計者であっても色々な調査や、計画案の作成の中で出てくる問題の抽出無しには、総合的に判断するのは難しいことです。

(加藤)


寒さをたのしみ、対策をする

もうすぐ師走です。

日々寒さが増すのこの時期、紅葉だけでなく夜空を見上げて冬の大三角形をみつけてみませんか。

夜10時頃東南東の空の低い位置にみつけることができます。

真っ赤なオリオン座のペテルギウスを頂点に右下・左下にひろがります。寒さを楽しむひとつです。

 

しかし暮らしのなかでの寒さはなんとか対策したいものです。

快適に過ごすには、外がどんな気温だろうと、室内を快適温度に保つこと求められます。

さて快適温度は何度なのでしょうか?

新有効温度(ET)による快適温度は23~25℃としていても、実際は性別や年齢、活動量や着衣量等によっても大きくことなることから共通設定はなかなか難しいのかもしれません。

ただ、各々の設定した室温を持続させるための手段は有効に活用する必要があります。

 

家のなかで熱損失箇所の1位は・・・

窓です。

 

夏場の熱の侵入も、冬場の熱の損失も窓が大きく影響します。

窓の断熱性能を高めることで、室内を快適にしやすくなります。

断熱性の高い窓を採用することは、快適になるだけでなく、電気消費を減らすことによりCO2排出量を低減させることができます。

日本建材・住宅設備産業協会によると、年間の電気料金は単板ガラスの場合20,544円に比べてLow-Eガラスは13,496円と家計にも地球にもやさしいことはうれしいですよね。

さらに遮熱ガラスやトリプルガラス、Low-Eガラスでも空気層とガス層等様々なガラス種類があるので、新築やリフォームの際はちょっと気にかけてみてはいかがでしょうか。

 


三ツ沢の家 一年点検


藤沢の家増築棟 大工工事

藤沢の家の増築工事の現場に行ってきました。大工工事が進んでいます。2階は、勾配天井の板張り(レッドシダー)の施工が終了しました。
1階も天井の石膏ボード張りは終了。この後の内部大工工事は、壁の石膏ボード張りと階段等ですね。

バルコニー下ポーチ部分の軒天も板張りです。色合いも良い感じなので、塗装はクリア塗装にします。無垢材なので経年変化でだんだん色が濃くなっていきます。
天気が続いてくれれば、来週再来週で外壁のサイディングも進みそうです。(加藤)


こんな「庭先オフィス」はいかが 気付き提案第3弾

前回紹介の東屋の解放コーナーをフィックス窓にしたオフィス・基礎ありタイプです。

 コロナ禍で始まったリモートワークは、社会の形態として今後定着していくと予想されます。しかし、現状の住宅はそれを想定していないため、様々な不具合が生じているようです。仮にスペースに余裕があっても、仕事への切り替えが、本人だけでなく家族も含めてかなりの協力がないと難しく、オンライン対応もあり会社の管理する側も放置できない面も生じてきます。そこで住居部分とは切り離し庭先に置ける小さな専用のオフィスを提案します。コロナ禍で生活スタイルが変わっていきそうです。とりあえず、庭先オフィスでテレワークに対応し、店舗やゆくゆくこれを気に入った土地に移設建て増しして別荘に、はたまた戸建て住宅に変遷させてはいかがでしょう。次回はガレージオフィスの提案を予定しています。

同上基礎無しの置き型タイプ(置くだけのタイプ)
コーナー型窓タイプの内部空間(基礎あり)
コーナー解放型の東屋のコーナーをフィックス窓にした基礎ありオフィスの入り口側パース

「庭先オフィス4.5」の特徴(内容は平面図3種参照)

  1. 「庭先オフィス4.5」のコーナー窓タイプは前回提案した「東屋・コーナーフリー」を内部空間化したオフィスです。屋根・壁・床の断熱性能を増しています。コーナー窓だけではなく、通常の掃き出し引き違い窓タイプもあります。
  2. 構造は木造ですが、壁は断熱性能アップを兼ね、120mm角の杉材を立て並べて16φの鋼材数本で連結した幅1m程の無垢の壁パネルとした構造体で、その壁パネル数枚の上に屋根を載せた広さ4.5畳の空間です。
  3. コーナー窓タイプの壁は4.5畳の各辺の壁中央部に建て、四隅には壁も柱もなく、ペアガラスコーナーで、一部風抜き窓を設け、視覚的に解放されています。引き違い2窓タイプ、4窓タイプは平面パースのように二面又は四面の壁に出入り可能な引き違い窓がついており、いずれもミニマムオフィスに最適です。尚、2窓、4窓タイプには、広さ6畳タイプ(特注見積もり)も用意してあり、屋根は切り妻で妻面の欄間部分はフィックスのペアガラスとなります。
  4. 「庭先オフィス4.5」はFSU工法のため、移築が容易で、壁体(知財登録済み)は土台や桁から容易に分離でき、同工法の他の建築に再使用できます。これは林業活性化を促す、FSU工法の告知と普及を願っての提供でもあります。
  5. 開閉窓は網戸付きを原則としています。
  6. 「庭先オフィス4.5」の基礎は原則べた基礎土間コンクリート打設直仕上げの上に、四周立ち上がり基礎としています。将来移動移設を考える方のためコンクリート平板の上に基礎パッキンまたは鋼製束等で土台を支える置床タイプの二種類の提供が可能です。
  7. 土間コンコンクリートの場合コンクリートの上に断熱材充填床下地合板に、一部土足用CFシート貼り部分と上履き床の合板フローリングとになります。設置予定地がすでに駐車場やテラス等の土間コンクリートの場合、そこに立ち上がり基礎のみを緊結固定も可能で、多少割安になります。
  8. 置き型タイプは、大引の床組みに断熱材充填の上に構造用合板を貼り下地となります。その場合、地中固定はせず、コンクリート平板の上に基礎パッキンか鋼製束等で高さ調整し、それに載せます。尚、風等への安全上べた基礎を薦めています。置き型タイプの地中固定は原則注文者工事となり、固定方法の参考提案はいたしますが、風等の移動による被害の責任は負いかねる事は了承下さい。
  9. 申し込み後現地確認の上、再度最終見積もりと実施図を提示の上、納得いただいて注文を承ります。そのため多少納期を頂きます。工期は基礎工事のコンクリート固化に期間が必要ですので、着工から引渡しまで1ケ月以上要します。
  10. 建築確認申請手続きは床面積が10㎡未満で、建蔽率や容積率に余裕がある敷地なら、通常不要ですが、防火・準防火地域、風致地区、国立公園、その他各種条例等で必要な場合、その費用は含まれていません。
  11. 提供工事費用:窓タイプ及び基礎工事の有無により次のように異なります。コーナー窓基礎ありタイプ=293万円、同左基礎無し置き型=238万円、掃き出し引き違い窓2か所基礎あり=325万円、同左基礎無し=264万円、掃き出し引き違い窓4か所基礎あり=308万円、同左基礎無し=250万円となります。工事費は現地の状況にもより多少増減いたします。床仕上げや塗装等オプションは別途見積もりとします。
コーナー窓タイプ    引き違い窓2か所タイプ   引き違い窓4か所タイプ

「庭先オフィス4.5」を考えたい方は問い合わせフォームよりご連絡下さい。

引き違い掃き出し窓2か所の基礎ありタイプのオフィス
同上基礎無し置き型タイプのオフィス

「庭先オフィス4.5」の建築的基本仕様

  1. 屋根:アスファルトシングル葺き。(現地の状況によって変更あります)
  2. 屋根下地:断熱屋根パネル野地板合板12 (軒裏垂木表しの場合杉板も可)
  3. 軒裏:珪酸化カルシューム板敷き目貼りの上塗装(垂木表しも可)
  4. 外壁:120㎜杉角材連結無垢壁パネル表しの上外部用オイル(無色)塗装
  5. 開口部:アルミサッシ・ペアガラス・網戸付き
  6. 土台:120角㎜桧土台
  7. 基礎:コンクリートベタ基礎とし、立ち上がり基礎の仕上げはコンクリート打ち放し仕上げ、又、置き型タイプ:平板の上基礎パッキンまたは鋼製束
  8. 内装工事:天井-屋根パネル合板にオイル着色塗装(垂木下部表し、垂木間ポリ合板、または石膏ボード塗装仕上げのオプションも可)内壁-杉角材連結壁パネル表しの上オイル(無色)塗装。床-大引床組みの上構造用合板下地に合板フローリング一部クッションフロア貼り(移設を考慮し、滑り止め薄シート置き型フローリング又はカーペットタイルも可)
  9. オフィス内照明用配線工事、照明器具1灯、コンセント2口2箇所(引き込み工事は別途で電源供給条件付き、エアコンはオプション工事)
  10. 給排水衛生工事:なし
同上引き違い掃き出し窓4窓基礎ありタイプのオフィス
同上の基礎無し置き型タイプのオフィス

コロナ禍にこんなキャンプはいかが

コロナ禍の中ステイホーム、自宅テレワークも飽きて、アウトドアが盛んです。シルバーウイーク初日に長野県のキャンプ場の、テント間の通り道すら確保できているか疑わしいほど、おびただしい数のテント風景がテレビに映し出されていました。その翌日、親世帯の住まいを離れとして増築された建物の引渡しに伺ったところ、離れと母屋の間に大き目のキャンプ用家族テントが張られていました。これなら渋滞を経て混雑したキャンプ場に行く必要はなさそうです。

市街化調整区域の敷地でもあったので、数年前に余裕を持って土地を購入され、開発行為を経て、母屋を建て、今回はその一角に平屋の離れを建てられました。母屋も設計事例でまだ紹介されてないまま、離れのブログ紹介をしてみたくなったのは、工務店さんの献身的協力もあって予想以上の出来栄えだったものですから紹介したくなりました。ご両親の意向もあり小さく質素に建てたいとのことでした。

離れが建つと敷地が窮屈になりかねないので、そうならないよう、駐車場含め、母屋に悪影響与えずかつ双方が引き立つ絶妙な配置を狙いました。

母屋から離れの食堂やキッチンの様子が適度な距離で、双方から様子が伺うことができるようにしています。今回その間にテントを張られていました。

母屋から離れのキッチンと食堂が見えます。

内部はあっさりとした素材で、所々に気持ちよい視界を用意いたしました。南側隣地が1.5mほど低い点と市街化調整区域であることから、見晴らしの良さと、容易には他の建物が建てにくい特性を活用し、玄関から入った南側の風景をフィックス窓で借景として広がりを取り込みました。

右がプライベート空間の洗面バストイレ、寝室へと続き、左がリビングダイニングとなります。洗面脱衣室も車椅子にも対応でき、トイレも脱衣室と寝室双方から入れる配慮をしています。母屋との関係上寝室が道路寄りにせざるを得なくせめて駐車場で距離を稼ぎ、窓にもシャッターを設け、できる範囲の音対策をしています。

シャッター付きの寝室窓

食堂の窓は母屋の様子と南側の田園風景を取り込むように、コーナーガラス窓にしています。

洋室のリビングながら、下足入れの天板を延長し、収納量を確保しつつ、敢えて和の手法を活用して、壁の角を丸くするなど、素材は一般的でも形態を工夫して、柔らく見せる洞床風の飾り棚としてみました。

玄関の下足収納ながら洞床風飾り台

内部の主だった照明はテープライトの間接照明にして、単純な空間であってもそれなりの華やかさも演出できる工夫をしてみました。

アウトドアもこんな庭先キャンプなら、手軽にできて、ステイホームの息抜きになるのかも、と思えました。