釜石の家 (地縄検査、配筋検査、上棟)

「 釜石の家 」はFSU工法で木材をふんだんに使用した、切り妻屋根の南面にソーラーパネルを載せた平屋の住宅です。車庫を含めて30坪ほどのコンパクトでシンプルな家の計画になりました。

土地探し(←前回ブログ参照)から約一年、設計、工事契約を経て、ようやく現場が着工したのがいまだ寒さの残る4月の事でした。

4月の地縄検査の様子、敷地の南側から見た写真です。

「地縄」とは、建物の位置を決定するため外周の中心線に張った縄の事で、地縄を張るということは建物の位置を地面に表すことです。建物の位置が図面通りとなっているか確認しました。

5月の配筋検査の様子です。

「配筋」というのはコンクリートの中の骨組みのようなものです。コンクリートはセメントや骨材からなり、いわば石のようなものなので、圧縮の力にはとても強いですが、引張られる力には弱いという特徴があります。反対に鉄は引張の力には強く、圧縮の力には弱いため、コンクリートに鉄筋を入れるとお互いの短所を補い長所を生かした強い構造となるのです。

配筋検査では、使用している鉄筋の径、間隔、型枠迄のかぶり寸法、開口部の補強などが正しく施工されているかどうか、コンクリート打設前に確認しました。

今回は外断熱工法で、通常は型枠を外した後に断熱材を張り付けるのですが、基礎型枠が断熱材を兼ねる製品を使っています。型枠廃材が発生しないこと、断熱材を張り付ける手間が省略されるため採用しました。

鉄筋に結束している白いチューブはコンクリートを蓄熱体にするために温水を通す配管で、後ほどヒートポンプへつなげます。べた基礎の一体に配管しています。

そして6月上棟の様子です。梅雨時期の上棟でしたので、雨が降らないか心配でしたが、何とか天気の持った2日間で、「FSU壁パネル建て込み→梁・桁・母屋・棟木などの横架材設置→垂木掛け→垂木間断熱材設置→野地合板張り→シート養生」まで終えました。

この「 釜石の家 」はFSU工法(過去の設計事例はこちら)での施工です。かつて震災後に何棟もこの工法で施工していただいた大工さんに今回もお願いすることができたので、とてもテンポよく半日でパネルの建て込みが完了しました。

今回、十分に乾燥された杉材を取り寄せ、自社工場でパネルの組み立て、加工を行いました。そのまま内壁の内装になるパネルの表面部分は、サンダー掛けをした上に、節の目止め処理が丁寧にされており、パネルの質がとてもよかったです。

釜石の家 上棟時の様子