投稿者: 藤原昭夫

崖と段差のある土地の建築的活用例ギャラリー

崖、段差、擁壁、崩落防止、工事以高騰、等々土地の難点満載を工夫で克服した事例です。

高低差のある土地 建築例

「崖や段差のある土地の活用法と活用事例集のお話しです。

住宅地などでも傾斜地に造成された土地では、道路と敷地・敷地内・隣家の土地と間に段差が出来ることが珍しくはありません。

崖地や段差がある土地は、価格が安いとか、眺望が良いなどのメリットはありますが、その崖や高低差が不便と感じることもあります。
しかし、段差もうまく活用した住宅を建てられれば、快適な家にすることは十分可能です。

結設計でも、近年、崖や段差のある土地に建築する機会が続いています。
崖や段差は程度と状況によっては家づくり計画に大きな影響を与え、予算を読み違えることが多々あります。

崖や段差にどんなタイプがあり、そこにはどんな問題が潜み、どんなことに気を付け、どんな解決策があるか、建築事例を通しながらご紹介したいと思います。

上の図は、敷地の上側にも下側にも崖があり、かつ敷地内にも段差がある事例(仙谷望楼 )です。図の左側(植栽ブロック擁壁)のように敷地地盤面より高い位置の擁壁、敷地内段差(建物地下室自体が擁壁替りにも活用)の擁壁、右側(鉄筋コンクリート造擁壁)のように地盤面下にあるかで違ってきます。ここの擁壁は上下とも安全性が確認でき、証明が不要で助かりました。

.崖地条例

崖や段差は崩落し、自己もしくは他者に損害を与えます。それを防ぐために各県で条例を設けています。その条例を簡便にまとめた図が下の図です。

  • 通常高低差が2m超える崖が条例の対象となります。
  • 法面の角度が30度以下なら自然崩落はしないとされ、その範囲内なら建てられます。
  • 30度を超える崖の場合、崩れる崖上にも、崩れて来る崖下にも崩落に対する処置をせずに建築してはいけないとされています。
  • 処置の一つとして、崖上でも崖下でも、土砂が崩落しないように擁壁を設けます。
  • 崖下に建てる場合、崩落して来てもその土砂が及ぶ30度の角度の範囲に建つ建物部分を鉄筋コンクリートで作ることで安全を確保する必要があります。
  • 崖上に建つ建物で、崖が崩落防止用の擁壁が設けられていても、それが安全性を証明できない場合は、30度の角度以下まで基礎もしくは杭を設ける必要があります。
  • 条例が及ばない2m以下の崖でも、安全性を考慮し、条例と同様の処置はすべきと思います。

2.擁壁のタイプ 

擁壁や土留めで安全性を証明できるタイプでは、鉄筋コンクリート造、型枠コンクリートブロック造、L型擁壁ブロック、間知石積擁壁、間知石ブロック積擁壁、等があり、段差の高さによって、施工内容が細かく規定されています。よくある自然石の大谷石積擁壁や無筋のブロック等は安全性を証明できない場合が殆どです。参考外部サイト擁壁の種類と特徴をご紹介

3.擁壁と法面

擁壁と30度以下の法面を組み合わせ、土留めの高さを小さくすることも可能です。(下左写真) 又、崖が敷地内・外いずれにあっても、地盤面より高位置にあって、崖が安全性を証明できる擁壁等で保全されていない限り、高いところから30度の角度の斜線内に建築する場合、崖が崩落しても建築物が安全なるよう、30度以内鉄筋コンクリート等で保護が必要です。下写真右は一部コンクリートで擁壁を設けていますが、隣の玉石含め、その上の崖は30度以上あり、崩落の恐れあり、安全性を確保できないので、建築物の保護の用をなしません。

4.敷地の下側にある崖

崖が敷地内にありかつ敷地レベルより低く、30度以上の法面となる場合、隣家に崩落しないために擁壁等の処置をせず崩落して隣家に損害を与えた場合損害賠償を請求されます。下左写真は安全性を証明できる間知石擁壁にした事例。写真中央は崖が地盤面より低く法面が30度以上あり、崖が崩落しても、自己の建築が影響を受けないよう、崖下の低い地面レベルから30度の斜線の下まで達する基礎又は、地盤改良等何らかの対処(この場合は地盤改良杭)が必要です。

写真左は開発行為で安全性を確認された擁壁例。中央写真は家を建てる前の空き地で、右が建って崖に夏草が茂った状です。崖は安全性が確認できず、崖下から30度ライン以下に地盤改良杭を打って安全性を確保した例です。

5.道路から2.5m高い敷地

道路と敷地に高低差があり道路より一階分程高い段差のある土地の事例。

一階に見える部分が地下で玄関と車庫になり、玄関上が外部デッキ、車庫上が芝生庭になっています。

「善福寺の家」:道路より一層分高い敷地にあり、住まいをバリアーフリーにするため地下入り玄関とし、地上二階までホームエレベーターを将来設置できるようにした事例。

外階段と地下倉庫で道路との段差崩落を支え、住まいの深基礎で駐車場の段差崩落を防止ししています。車両分の奥行が道路のセットバックで不足した分深基礎上端をL字に曲げて1m跳ね出して広くしています

鎌倉借景の家 | :住まいの地盤は道路より一層分高く、駐車場とに段差があり、その段差を外階段と地下倉庫で擁壁を兼ねた事例です。ブログ難所をどう越えたか、を参照ください。

6.敷地内段差

駐車場等のスペース確保の掘削で生じた敷地内段差も崩落防止の擁壁が必要です。

左側の古い擁壁は隣地の擁壁で、それが倒壊しないようにこちらの車庫と住まいの庭との間に生じた段差を支える敷地内擁壁が直交しています。敷地内擁壁は木造住宅の深基礎と連続して見えますが構造的には分離しています

7.崖地や地下室の掘削工事のための矢板土留め例

崖地工事や地下室等造る場合も工事中の崩落防止のための矢板等の土留めが必要とします。

崖を掘削して矢板で崩落防止の土留めしたところ
左写真の矢板で土留めする前の崖の状態

8.敷地が道路より低い土地の活用事例

道路等より低い土地の敷地は集中豪雨等の雨水対策を考える必要があります。そこで一階を駐車場にして、住まいを半階分持ち上げた事例、「方円汎居 | 中庭のある住まい

道路から半階分下がった敷地に建つ家の車の下り坂アプローチ方見た写真

9.道路より一階分低い敷地の活用事例

道路より一階分程低い土地 聖蹟桜ヶ丘の家|崖の上の住まい:開発行為を経て分譲した土地のため、道路との段差を支える擁壁は安全性が証明されていたので、二階玄関の木造二階建てをとし、デッキスペースを含めた基礎が敷地外の崖下から30度以下にあることを確認して計画をしています。

敷地より一階分高い道路際の玄関
道路と建物の間の説明写真
道路と真逆の南崖下からの写真

10.道路より半階分高い敷地の活用事例

道路より半階分程高い土地 「空環居 | で、南東の道路より1.2m高い地盤に建築し、ポーチレベルの奥行を2m程確保し、車の寄り付きとし、その壁が擁壁であり、庭の目隠しとした事例。玄関までは外階段で数段上って入り、円形の中庭を回遊して居間に入ります。塀の上端レベルに逆L型に寄り付きの屋根を掛け、濡れず玄関に入ります。

道路より半階分高いレベルの中庭の写真
屋根付き車寄せでその先が車庫
住居と中庭と屋根付き車寄せの断面図です。車寄せの先が車庫でその向こうに車庫出口シャッターがあります。

11.敷地内段差(半階分)あってもバリアフリー用意の活用例

日野の家 ・二世帯住宅」「国立の家」 道路際に車庫と玄関と将来用のホームエレベーター対応の収納スペースを設け、一部高基礎の地下一階地上二階のバリアーフリー可能な家二例。

半階上土地二階建親世帯、道路レベルに車庫+子世帯
道路際の低い土地に車庫+二階建て、奥に二階建て

12.一階分の段差ある二つの道路に面した土地活用例

一階分高さの違う二面道路路に接し、既存擁壁を跨いで建てた事例「永山の家 |

高い一階分高いレベルの道路から玄関を見た写真
一階分低いレベルの道路から見た地下入り玄関写真

13.傾斜道路に接する敷地の活用二例

傾斜する道路に接した土地:「雪谷の家」玄関が道路の交差点角でそこが家の角になり玄関になっています。道路奥が地下車庫になっています。「吉井町の家」北側道路が坂道になっていてその中央部が玄関です。ホームページ事例には掲載していませんが、当事務所著作「美しく住まいを整えるデザインのルール」に掲載されています。

雪谷の家右側道路は下り坂道路です。車庫がみえます
吉井町の家の北面中央のステップ上がったところが毛二階入り玄関で、下のコンクリートは一階の壁です

14.敷地が傾斜している土地の活用例

敷地自体が傾斜地になっていたので、造成せずに基礎を橋脚のように設けた例です。「一不異二亭」|森に浮かぶ別荘|

15.敷地内に崩落しそうな崖がある敷地の活用例

西側敷地内に敷地面より3m程高い崖を有し、東面に1m弱低い坂道道路に接する土地に建つ家です。「あきる野の家 | 崖下の家

建築前の敷地で左側が道路で、右側が敷地内崖です。
建築後の写真で、見えるコンクリートは高基礎です

16.敷地が安全確認が不可能な大谷石擁壁で支えられた土地活用例

敷地より低い強度保証のない大谷石の二段擁壁に支えられた崖の上の敷地に建てられた家です。「崖上 桜の家(氷川台の家)

大谷石の擁壁との間に隙間を設けて負担がかかってないことが分かります
大谷石には負担かけず、固い層まで鋼管杭を打ち込みその上にべた基礎を設け、敷地が足りない分、大谷石の二段擁壁の上に隙間を設けて、べた基礎の立ち上がり壁を跳ねだして、床面積を広く確保しています。

17.敷地が一階分低い道路と高い隣地に接する土地の活用例

敷地より高い崖と低い道路の両方に接する土地の活用事例:「音楽室のある家」と、ひな壇の敷地の「八ヶ埼の家」(設計事例には掲載してませんが拙著「美しく住まいを整えるデザインのルール」には掲載されています。)

道路面に屋根無し駐車場と地下車庫及び地下入り玄関を設け、外階段からは賃貸スペースを設けています。高い隣地側は一階基礎を30度ラインまで高基礎です。
道路面まで一階分掘削して地下車庫と玄関にし、建物自体が擁壁になっている事例です。


「京の本格的茶室の写しを持つ家」の オープンハウス(内覧会)のお知らせ

来る2024年11月9日の土曜日、建主様のご厚意により、「京の本格的茶室の写しを持つ家」の オープンハウス (内覧会)を開催できることになりましたのでお知らせします。

当初は2月に内覧会を行う予定でしたが、諸事情により延期しておりました。改めて11月に開催させていただけることになりました。


「京の本格的茶室の写しを持つ家」(馬込の家)は、新たな防火規制のかかる住宅密集地に建つ地下1階、地上2階建ての住宅で、住宅の中に本格的な茶室を設けた事例です。道路と高低差2.5mほどあり、その高低差を有効活用した事例でもあります。

馬込の家 オープンハウス
コーナー窓があるリビング・ダイニング

新たな防火規制がかかっている土地なので、建物を準耐火建築物にする必要がありました。
間取りは、2階リビング型。2階のリビング・ダイニングは、敷地の東側が駐車場でオープンスペースなのを利用して東南の角にコーナー窓を設け明るく開放的な空間になりました。
地下は高低差を活かし玄関とインナーガレージを設けました。1階はお茶のお稽古が出来る八帖の広間と六帖の寄り付き、水屋・御勝手。広間と寄り付きの畳は京間畳なので、関東間よりかなり広く感じます。

馬込の家 オープンハウス
茶室 広間・寄り付き 床の間

このお茶室は、京都の先生のお茶室の写しとしてつくることになったものです。炉壇や畳、襖などの製作は、それぞれの京都の職人さんにお願いしました。
広間と寄り付きは炉が切られています。広間に炉、寄付には大炉があります。どちらも土でつくった炉壇で、最近では「本炉壇」といわれるものです。(土製の塗り直しが必要な炉壇のことです。)
馬込の家の炉壇については、ブログ記事の▷「炉壇 炉と大炉」をご覧ください。

馬込の家 オープンハウス
広間の炉壇 本炉壇

木造部分の外壁はしっくい仕上。地下はコンクリート打ち放し仕上。
地下の玄関から1階の廊下は畳敷きで非日常感を味わえます。

太陽光パネル+蓄電池も設置しました。

この家の工事の様子は、ブログ記事をご覧ください。「馬込の家」ブログ記事

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見学会は予約制となっております。

見学希望の方は、下記の申込フォームよりお申込みください。

メールでお申込みされたい方は、お越しになるお時間、お名前、ご連絡先、現住所、参加人数をメールでお知らせください。申し込み先メールアドレス:office@yui-sekkei.co.jp
折り返し住所などお知らせします。

家づくりをお考えの方は、施工予定時期、施工エリア、ご予算、土地のあるなし等も、分かる範囲で簡単にお知らせいただけると、ご来場の際、的確なお話ができると思います(こちらから積極的に営業することはございませんので、ご安心ください)。

コロナ対策+汚れ防止対策として、マスク・手袋の着用お願いします。また、当日体調の優れない方の見学はご遠慮ください。

また、引き渡し後の案件に付き、お子さんが走り回ったり、壁にぶつかったり、扉を乱暴に閉めたりしないように、ご注意いただければ幸いです。

なお、同時見学の人数によっては、来場時間を調整させていただくことがあります。

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■住所  :東京都大田区南馬込
■日時  :2024年11月9日(土)14:00~16:00 
■最寄駅 :・西馬込駅より徒歩11分
      ・馬込駅より徒歩13分 
      ・大森駅よりバス14分、バス停より徒歩2分   
■駐車場 :建物付近に路上駐車できません。周辺コインパーキングをご利用ください。

    「京の本格的茶室の写しを持つ家」オープンハウス申し込みフォーム

    必須お越しになるお時間

    必須お名前

    必須ふりがな

    必須現住所

    必須メールアドレス

    必須参加人数

    当日の連絡先(携帯番号)

    その他・ご質問など (施工予定時期、施工エリア、ご予算、土地のあるなし等も)


    40年前設計のヴィンテージ住宅が購入者を求めています

    40年前に設計した家の玄関アプローチで、事務所は左側の鉄骨階段から直接入れます。

    40年前設計した家のエントランスポーチです。浴室廻りの土台含めて耐震補強され、内部の畳はフローリングに替え、外壁もサイディングから塗り壁にし、その際外断熱とLow-eの二重ガラスサッシに替えて、次世代省エネ基準を満たすレベルの性能にし、遮音性や断熱性及び耐震性も現時点の新築建物以上に向上している家です。そのリフォーム費用だけでも十年程前で1200万円要したとのことです。基本的間取りは殆ど建てた時のままで、今の自分には稚拙さも感じますが、当時の意欲も随所に見て取れます。(取扱い仲介は作新台6(八千代台駅) 3950万円 中古一戸建て情報 | 不動産売買と注文住宅の小副川工務店 (osoegawa.com))担当秋元さんですが、ログインしないと見れないようですので、私共へメール問い合わせください。

    外階段の下を自転車置き場にされています

    建て主さんは造園の設計施工者で、奥様も華道を極められた、室礼(設え)の達人の御夫婦でした。ご主人に先立たれ、奥様一人で維持管理していくことが難しくなり、手放す決意をされたとのことです。これまでの長いお付き合いの中で、ご主人には庭の設計だけでなく、手品等の多趣味の方で、その発表会に度々招待頂きました。またお茶の達人でもあって、茶室等の勉強で、夕さりの茶事など、作法の手ほどきを受ける時、正客になって頂きスタッフ含め手本にさせて頂くなど、教えていただくことの多い方でした。奥様にも、尋ねていく度に、設えを始め、数多く教えて頂きました。単なる6畳間でしかなかった寝室の、入った向い壁に、床から30㎝ほど上に、杉の横板一枚を煤竹で吊ることで簡易床の間に設え、そこにさりげなく一輪挿しの花を置かれていたり、ただの下足入れの天板の上に、どこかの解体現場で見つけた古い板切れを少し浮かせて置き、その上にしだれ桜を垂れ下げるだけで別空間のように変身させたり、玄関を上がった床の隅に、水鉢を置き、そこに活けた花々を浮かべて吊り蝋燭で幻想的に照らすなどされて、尋ねるたびにいつもはっとさせられ、いたらない設計の家でもこんなに上手に使いこなせるのかと、今でも強く印象に残っているお住まいです。

    玄関入って右がダイニングで、そこから1段上がっ、コーナー窓のリビング。(畳をフローリングにリフォーム)
    配置図1階平面図・2階平面図
    リビングから見たダイニングで、食卓の左側が対面式のキッチンです。
    南北断面図・東西断面図

    当時は若かったせいもあり、ダイニングから連続する茶の間なのに、敢えて天井を高くするなど、変化を付けていました。断面図を見れば分かるように、そのため二階寝室を階段4段分ほど床を上げるなどし、全体的にスキップフロアを多用した住まいになっています。
    ポーチの鉄骨の階段から車庫上の事務所に直接入ることができ、住まいからも行けるようになっています。事務所は打ち合わせスペースを有し、作業机は飛行機のコックピットのように、道路を見渡せるようになっています。その他、家中の空きスペースは殆ど収納に活用するなど、随所に工夫がしてあり、ある意味、人によっては使いにくいかもしれませんが、それを引き受けて、上手に空間活用する、懐の深い建て主さんでした。

    玄関ホールの左に3段下りて洗面台所に、階段上って事務所や寝室・個室に行きます。
    玄関か左側に3段下りた洗面脱衣所(浴室・トイレと共にリフォーム済)
    リフォームした石貼りと板貼りの浴室
    階段を上って左に二階トイレがあります。その前を通って事務所に行きます。
    事務所の作業机はコックピットのようになっていて、そこから見た道路側風景
    作業机から打ち合わせスペース方向を見た写真。右側が鉄骨階段から上ってきた直接玄関

    絵画や書画、陶芸や古美術を趣味にされ多くを集められていて、いたるところに飾っていて、気に入っていただける方にはあげてもいい、とおっしゃっています。私も欲しいと思っている絵が何点かあります。奥様もスキップ床がさすがにきつくなってきて、娘さん家族のマンションの隣に住むことにされたようです。

    階段を右に行くと子供室で採光はサンルームから取っています。
    居間の真上にある寝室でコーナー窓になっていて、リフォーム前が畳だったので、引き込み障子があります。
    引き込み障子を閉めた写真です。
    通常の押し入れの奥行を15㎝程広げて夏冬入れ替えの二列式クローゼットにしています。
    数多く飾っている絵の一つで、私も欲しいと思っているものです。

    今回、私達設計者が、なぜ古い住宅の売却の応援をするかというと、いい住宅だからや世話になった方の家だからはもちろんですが、それ以上に建築の市場での評価に、疑問を感じているからです。建物の本質的価値ではなく、流動性が評価基準になっている流通業界の経済構造が建築現場の望ましい技術の育成を損なう方向に導いていると思えるからです。その辺の話は以前のブログ(住宅のビンテージ化)を参照ください。今日、家の古さは、仲介事業者の査定(建物評価)では減価償却の観点から、マイナスになり、売主さんが注文を付けない限り、20年ぐらいでゼロ評価されがちです。そのため市場では古い価値ある家も、土地価格だけで売りに出されることが多くなっています。それで土地価格で一旦、建築事業者に売却され、建売もしくはリフォームをした上でリノベ物件として、新築の相場よりわずかに安い価格で、再度売りに出されます。現場の建築関係者はその指示下に置かれ、いい建築より安く売れるために動くしかなく、優秀な職人が去っていく傾向があります。

    この家の規模の場合、他の仲介者でしたら、クロスを貼り替えた程度で土地付きでかなりの価格でリノベ市場に出された可能性があります。たまたま関係者や建て主さんの住まいへの愛着がそうさせなかったと言えます。この家の場合はむしろ、築年数の長さは、数度の大きな地震に耐えた耐震性と、リフォームで性能を次世代省エネ基準で快適に暮せた証明になります。4人家族の住まい+事務所と車庫のある、同じ面積の家を、今作ろうとしたら、工事費が上がった今日、土地代除いた建築費だけみると、倍でも、難しくなっています。万人向きではないかもしれませんが、好みが合って、使い続けてくれる方なら、と建て主さんの好意で決められた価格で、その上絵画や骨とう品共に譲って頂けることになった、極めて価値ある買い物と言うことができます。実物を見てみたい方は、私共にご連絡ください。ご案内いたします。

    以下、今飾られている絵の数点を掲載しておきます。

    見事な書で、奥様の書の先生が直々に書かれたものだそうです。
    この他にも多数あります。
    お茶の趣味で集められた器のほんの一例です
    書は居間の書と同じ先生のもので、壷等も欲しい方に差し上げるとのことです。

    土地建物売却価格:3950万円(価格交渉には応じるとのことです。)

    建物住所:千葉県千葉市花見川区作新台6丁目

    敷地面積:133.47㎡(40.37坪)

    1階床面積:54.24㎡(16.44坪)  2階床面積:69.66㎡(21.11坪) 

    延べ床面積:住居部分 123.90㎡(37.55坪) 車庫部分14.91㎡(4.5坪) 

    総合計床面積 138.81㎡(42.06坪)

    実際の建物を見てみたい方は、メールでご連絡ください。ご案内いたします。


    最近のことで

    最近の、
    史上最高が毎日のように続く暑さ、
    最大級の台風の頻発、
    しかものろのろ台風、
    全国どこでも構わず頻発する線状降水帯や道路の冠水と、
    今年だけとは思えない気候変動に、

    設計は地震だけでなく、この気候変動にも備えた見直しが必要な気がしてきました。

    皆さんもどうかお気を付けてお過ごしください。

    尚、最近現場に出て事務所が留守がちになりますが、その際はメールにてご連絡ください。
    よろしくお願いいたします。


    鎌倉山N邸 上棟

    「鎌倉山のN邸」が、上棟しました。
    木造2階建てで、海が見えるリビングや、海と富士山が見えるルーフデッキを設けます。

    鎌倉市の風致地区に指定された地域なので色々な制約があり、その上長期優良住宅の申請もあり、既存擁壁もありなど、それぞれの許可申請で色々苦労しましたが、何とか上棟まで来ることができました。

    鎌倉山N邸 上棟 2階リビング
    2階リビング

    2階の鎌倉の海が見えるリビングです。
    南側に建つ隣家が1階分下がった土地なので、2階からは隣家の屋根上を見渡せます。右側の方に海が見えます。

    鎌倉山N邸 上棟 ルーフデッキからの眺め
    ルーフデッキから海を見る

    山の尾根になっている周りからは高いところに敷地があるので、ルーフデッキからは、海がきれいに見えます。西の方向は雲がかかっていたので、しっかりとは確認できませんでしたが、富士山も見ることができる予定です。

    鎌倉山N邸 上棟式 餅まき

    上棟式の後、建主さまのたってのご希望で餅まきを行いました。最近ではあまり見られなくなった光景ですね。結設計で加藤が担当した設計した物件では、餅まきは20年程前の住宅以来です。
    餅まきは上棟が無事に終わったことを祝って餅をまく行事です。災いを払い、福をおすそ分けするという意味があるそうです。
    子供たちが餅やお菓子を一生懸命受け止めている様子は、良いものですね。

    餅まきを始めるとすぐ、餅を狙ってか数羽のトビが上空を旋回していました。
    餅まきに気が付くのが早いですね。(加藤)


    押し売りの詐欺まがい工事がすぐ身近でされている

    建築の改修工事の押し売り詐欺的被害の話をよく聞きますが、他人事のように思っていました。ところが身近の方がその被害合う寸前に遭遇しました。

    整然としていてどこがおかしいのか全く分からない瓦屋根

    ある日、「近くで建築の工事をしている者ですが、お宅の屋根瓦の状態がおかしいので、梅雨が近いから雨漏りするといけないから見てあげましょうか。」と話しかけられ、その方は、「そうですか親切にどうもありがとう、じゃお願いします。」と言ったら、はしごをトラックから取り出して、屋根に上って見てくれたとのことです。数分屋根を見回り、降りて来て、「大分ひどい状態ですね。どんな状態か、見せましょう」と言い、スマホで撮った屋根の詳細写真をみせ、梅雨が近いから、直ぐ直した方がいいですよ」と言われたとのことです。その写真見てもどこがいけないのかよく分からなかったけど、確かに梅雨が近いし、雨漏りされたら困るなあ、と思っていたら、「直すのにどれくらいかかるか見積もってあげましょうか」といわれ、「おねがいします」とその方は応えたら、その場で修理箇所を書き連ね、すぐ見積ってくれたようです。

    瓦を詳細に見てもおかしなところは見当たらない

    「梅雨が来るから早く直さないと大変なことになりますよ、瓦だと取り寄せるのに日数かかかるから、明日またくるからどうするか決めておいてくれますか。」と言って帰って行ったとのことでした。その方も、見積書の内容を確かめず、確かに梅雨が来て雨漏りしたらいやだから、直してしまおうと思ったようです。翌日、書類を持ってきて、「今日ハンコ押してくれたるから、梅雨前に瓦が入荷でき、何とか間に合いますよ、直ぐ直してあげますから。」と言われハンコを押したとのことでした。

    たまたま、自分の家族らがその方から、「どうもハクビシンが夜中家の中で動いている音がする。」という話題で相談を受けて話をしているとき、「屋根がおかしくなっている、と言われたけど、おたくのご主人、建築屋さんだから、ちょっと見てもらえないかしら」といわれ、「帰宅したら話しておきます。」と家族が答え、その晩家族に「明日見てあげて」と言われたので、翌日土曜日自分が訪ねて、屋根を見ながら、どこがおかしいか聞いたら、「紙を置いて行ったの」と書類を見せてくれました。

    確かその家は、7,8年前に瓦の葺き替えを160万円ほどでしていたのを、知っていて、十年保証が効いているはずだけど、と思いながら、その紙を見たところ、それは向こうには落ち度がない工事請負契約書の体をなしていました。税込み280万円の契約書で、決して詐欺ではない形式になっていました。

    自分の経験からして、200万円も掛らないと思われる工事内容でした。工事屋さんの住所は、よその県で、だいぶ遠く、簡単には聞きにいけない住所です。キャンセルの仕方まで丁寧に書いてあり、電話で問い合わせしようとしたら、その日は土曜日で、電話が通じません。発注書にはクーリング・オフは8日以内に書留ハガキでないと無効です、と書かれています。契約書にハンコ押した日付が、一週間前の金曜日で、明後日の月曜日、電話で断ろうとしても、たぶん、8日以上過ぎていて、ハガキが来なかったので、もう瓦を発注しました、と言うだろうと思われます。仮にキャンセルできても、瓦は発注したのでその分は頂きたいと、と言われることは予測されます。キャンセルは今日しかありません。

    ハンコを押したその方からは、時々ハーブを頂き、その育て方まで教わるなど親しくさせている、人のいいおばちゃんでした。押し売りを企んで仕掛けてきたのは、年寄りだからと、何でもない写真をみせて、色々理屈をこじつけて不安をあおり、サインさせ、ハンコを押させたと思われます。しょうがない、自分も建築の業界に置く身、普段世話になっている方に迷惑をかけさせるわけにはいかない。何とか回避すべく、ハガキを用意し、キャンセルの必要事項を記載し、その方に一緒に行きましょう、と車を用意し、土曜日でも空いている中央郵便局までいき、書留にしてもらい、8日以内の消印を押したハガキのコピーを局員の方からいただき、何とか被害を免れることができました。

    ちゃんと法に則ってる証拠にクーリングオフ見本もある

    どうやら、工事の押し売りでは、声を掛け専門の者が歩き回り、必要もない工事を進めて施工し、200万円以下の工事に280万円の見積もりで、紹介マージンを稼いでいると思われます。だから後からクレームを言いにくい、遠く離れた工事屋さんを施工者にした契約書を持ち歩いているようです。手続き上は、消費者センター等に問い合わせても何の問題もないやり方になっています。昔は床下の土台が腐っているので換気扇を、という詐欺もありましたが、今は屋根だけでなく、外壁塗装や給湯機の取り換え工事等の押し売りも多いようです。

    この押し売りのからくりは、雨漏りする前に対処した方が良いでしょう、親切でやっているんですよ、という論理です。やってはいけない工事ではなく、ちゃんとした施工さえするなら、少しは新しくなるので、やらないよりやった方がいい、という理屈が成り立ちます。仮に今回のような状況に、親しくない人だったら、自分が屋根葺き替え工事なんかやる必要ないですよ、と言っても、もし梅雨時に雨漏りしたら、どうしてくれるんですか?と言われるかもしれません。そう思うと詐欺まがいの工事をする方に錦の御旗が翻ってしまい、私の様な意見は非難されることになります。

    詐欺まがいではないですが、これと似た理屈が、マンションの定期的大規模修繕工事にもあります。防水工事の保証期間が過ぎたから、やりましょうということで、マンション管理会社から奨められ、10年から15年程度でやっているマンションが殆どだろうと思います。自分のように未だ大丈夫ですよ、と言おうものなら、居住者の方から避難の眼差しで見られます。少なくとも私が親しく関与している理事会のマンションの2軒は、定期的に打検診断を行い、防水状況や外壁症状をつぶさに見て、鉄骨階段等小修理すべきところは早めに修理し、大規模修繕は20年以上経ってからやっていて、何ら問題ありません。人間も家もマンションも、個体差や箇所に症状差があり、一概に決めつけてやるべきではなく、何をいつすべきかは体や建物の症状をよく見極めて、適切な手を打つべきと思っています。

    横道にそれましたが、各地で必要のない建築の押し売り修理工事が、詐欺まがいに横行しているよです。皆さん、よそ事じゃないです、くれぐれも気を付けて下さいね。


    「京の本格的茶室の写しを持つ家」の オープンハウス 延期のお知らせ

    2月10日の土曜日に開催予定の「京の本格的茶室の写しを持つ家」の オープンハウス (内覧会)は、建て主様のご都合が急遽悪くなり、申し訳ありませんが延期させていただくことになりました。

    すでに申し込みいただいた方には、直接私どもより延期の旨ご連絡いたします。

    この住宅のオープンハウスは、日を改めまして開催する予定でおりますので、日程が決まりましたら再度お知らせいたします。

    結設計で開催するオープンハウスは、予約制となっております。
    ご興味がある方は、結設計メールアドレス:office@yui-sekkei.co.jp に、お名前、ご連絡先、現住所をお知らせください。日程が決まりましたらメールにてご連絡いたします。


    馬込の家は、新たな防火規制のかかる住宅密集地に建つ地下1階、地上2階建ての住宅で、住宅の中に本格的な茶室を設けた事例です。道路と高低差2.5mほどあり、その高低差を有効活用した事例でもあります。

    新たな防火規制がかかっている土地なので、建物を準耐火建築物にする必要がありました。
    間取りは、2階リビング型。2階のリビング・ダイニングは、敷地の東側が駐車場でオープンスペースなのを利用して東南の角にコーナー窓を設け明るく開放的な空間になりました。
    地下は高低差を活かし玄関とインナーガレージを設けました。1階はお茶のお稽古が出来る八帖の広間と六帖の寄り付き、水屋・御勝手。広間と寄り付きの畳は京間畳なので、関東間よりかなり広く感じます。

    このお茶室は、京都の先生のお茶室の写しとしてつくることになったものです。炉壇や畳、襖などの製作は、それぞれの京都の職人さんにお願いしました。
    広間と寄り付きは炉が切られています。広間に炉、寄付には大炉があります。どちらも土でつくった炉壇で、最近では「本炉壇」といわれるものです。(土製の塗り直しが必要な炉壇のことです。)
    馬込の家の炉壇については、ブログ記事の▷「炉壇 炉と大炉」をご覧ください。

    木造部分の外壁はしっくい仕上。地下はコンクリート打ち放し仕上。
    地下の玄関から1階の廊下は畳敷きで非日常感を味わえます。

    太陽光パネル+蓄電池は2月上旬に導入予定です。


    三浦の家 現場状況


    三浦の家は、平屋建ての住宅です。屋根・外壁・サッシの施工が終わっています。
    屋根の出は、1.3mと大きく出ています。これにより夏の日差しをカットしてくれます。
    軒裏は、木目調パネルを張っています。


    内部は、床フローリング張りと建具枠廻り、壁と天井の石膏ボード張りがほぼ完成。
    屋根の出は大きいですが、冬は写真のように日差しが内部に入ります。
    写真のリビングの勾配天井は、低いところで床から2.2m、高いところで3.4m程あります。


    ガレージの屋根(妻側から出ている勾配が緩い屋根)も完成です。


    「つくば市郊外の家」「つくばの離れ」設計事例掲載

    つくば市郊外の家 リビング
小幅板天井


    結設計 設計事例「つくば市郊外の家」「つくばの離れ」を追加しました。

    茨城県つくば市郊外に建つ子世帯の住宅の「つくば市郊外の家」と、
    その敷地内に建てた親世帯の住宅「つくばの離れ」です。
    造成した土地ではなく、市街化調整区域で自ら開発行為を行って建物が建てられるようした家です。
    この2軒の住宅が建った敷地は、広めの土地で将来は仕事で活用することも考えられていましたが、その一角を両親の家を建てる敷地として活用することになりました。

    是非ご覧ください。

    つくばの離れ 玄関ホールから大きな窓
    つくばの離れ
    つくば市郊外の家 薪ストーブ
    つくば市郊外の家

    過去設計案件の地図

    グーグルマップを使って、結設計の過去20年の設計案件を中心にその位置を地図に落としてみました。

    こうしてみると、岩手県から広島県まで、設計した案件があることが一目でわかります。

    関東地方を中心に案件数が多いですが、岩手県や長野県、静岡県など集中している地域がありますね。
    岩手県は、FSU工法を使った東日本大震災後の復興住宅を多く設計した地域です。
    長野県や静岡県の伊豆は、特に別荘と移住の案件が多いです。

    各々の設計事例は、▷設計事例でご覧いただけます。

    過去の実績リストは、▷設計実績のページで確認できます。(加藤)