
東京都大田区に建つお茶室のある夫婦二人のための住宅です。1階はすべて茶室と水屋で占められています。住宅としてのスペースはほぼ2階だけで、あとはお茶室のためのスペースです。かなり思い切ったこの建主だけの間取りの家です。
是非ご覧ください。


冬は、空気が乾燥しますね。特に室内は暖房をつけていることもあり、より乾燥しています。
乾燥が酷い場合は加湿器をつますが、かなり加湿してもなかなか湿度が上がらないという経験はないでしょうか。
私の自宅は、冬はすごく乾燥します。
冬の日差しが室内の奥まで入ってきて、日中は暖房を付けないでも半袖で過ごせるほど温かいのですが、その反面乾燥が酷く、床のフローリング(無垢材のフローリング)が乾収縮して板と板間の隙間が5mm程になるほどです。(夏場はその隙間がなくなり、板と板がピッタリになります)
それほど乾燥するので、加湿器で加湿しているのですが、1日に何度も水を補給しても、ある程度以上の湿度にはなかなか湿度が上がらず、何故だろうと思うようになりました。
加湿器を強力に運転しても湿度(相対湿度)は35~45%ほどにしかならず、それ以上はなかなか上がりません。(50~60%にはしたいのですが、、、)
1日にバケツ何杯分もの水を室内空気に供給しているのに、なかなか湿度が上がらないのは、何か原因があるはずです。
一定温度の空気に水分を供給すれば湿度は上がるはずです。ですが、そうはならないのであれば、空気量が増えているか、どこかで空気を乾燥させる何かがあるのか。例えば乾燥した空気を供給されているのか?
そこで自宅で実験してみました。
実験に使った自宅マンションは、築古ですが鉄筋コンクリート造で気密性は高いです。
1.窓を開けての換気
窓を開けて換気をすれば、室内の湿度は下がりました。これは当たり前ですが、乾燥した外気を入れることと、水分を含んだ室内空気が外に排気されること、が同時に起こっている結果だと思います。
しかし、普段は寒いので窓を開けての換気はそれほどしていないので、これが普段の生活で湿度が上がらない原因とは考えられません。
2.換気扇により排気
窓を開けないで換気しているものと言ったら何でしょうか。換気扇です。
その中で浴室換気扇は、ほぼ24時間動かしています。浴室にカビが生えるのを抑止するため換気扇をいつも動かしていました。(そのおかげで浴室にカビがほとんど生えません)
換気扇が回っているということは、排気されているということであり、その分どこかから給気されているということです。自宅の場合は給気口がないので、給気元として一番考えられるのは、使っていないときのキッチン換気扇から逆流して給気されているということです。(キッチン換気扇はシャッター付ではないことと、ダクトが他の換気扇より太い為、給気量が多いと思われます。)
3.加湿器の設置場所
加湿器が部屋の隅や空気の流れが悪い場所にあると、水分を含んだ空気が室内に上手く巡回しない可能性があると思います。換気扇と給気口、それと暖房器具の位置によって空気の循環経路が変わるので、難しいですね。
加湿器は運転したままで、下の実験をしてみました。
1.窓を開閉してみる
加湿器は動いたままで、窓を開けて換気すると一気に湿度が下がりました。湿度が下がったところで窓を閉めてしばらく時間がたつと、35%ぐらいまで湿度が上がりましたがそこからはあまり変わらず。(浴室換気扇は動いたまま)
2.浴室換気扇を止めてみる
換気扇を止めて、換気扇を止めてしばらくすると徐々に湿度が上がってきました。湿度60%まで上がり、加湿器の設定湿度に達した為加湿器が止まりました。
暖房の影響を受けないように、暖房を止めた状態でしたが、実験の間はほぼ一定温度でした。
3.加湿器の位置を変えてみる
換気扇は回したまま、加湿器をキッチンの近く(給気元と思われる)・リビングの真ん中・窓際に置いてみました。
結果は、位置を変えてもあまり湿度は変わらなかったです。しいて言うとキッチンの近くが若干湿度が上がったぐらいですが、ほとんど誤差だと思われます。
※この実験は、もう少し場所を移動した場合もやってみる必要がありそうです。
窓を開けることと換気扇を動かすことは、室内空気と外気を入れ替えるという点では、同じと考えられます。その空気入れ替えの時間が早いか遅いかの違いかと思います。
それを考えると、水分を含んだ室内の快適な空気を、排気し続けていることが、湿度が上がらない原因かと思われます。
そこで対策を考えてみました。
・浴室換気扇の使用時間を短縮する
浴室の湿気が十分に抜けたら換気扇を止めて、必要以上に回し続けないようにする。
・外気の給気元(給気口等)の近くに加湿器を置く
外気の給気口の近くに加湿器を置くことで、入ってくる空気を加湿してから室内に入れる。
外気の流入を防げば、湿度が保たれるということが言えると思います。
ただし、浴室のカビ防止としての乾燥方法については、考える必要があります。
というところまで考えると、浴室の湿気を室内に取り込み、浴室以外の浴室よりは乾燥した室内の空気を浴室に流すことで、浴室の乾燥もすることができれば、加湿器の仕様頻度も下げられるかもしれません。

また、暖房についても、冷たい外気の流入があるとその分暖めなくてはいけなくなるので、暖房負荷も大きくなることから、換気扇の問題は思った以上に重要かもしれません。
また、加湿しすぎるとカビやダニの発生等の問題も出てくるので、そこも考えたいですね
今回の実験から、冬の湿度に関して
換気扇が長時間動いていて
・水分を含んだ室内空気が、排出されること。
・乾燥した外気が室内に供給されること。
ということが、思っていた以上に重要なことと分かりました。
(加藤)

伊豆高原での物件が続いています。今年は伊豆高原で「崖地山荘」の工事が始まりました。現場に行くたびに、気候も穏やかで、海と山の自然も近くにあり、温泉もあって、海が眺められるほど近いけど高台にあるので津波も心配も無く、岩盤層で改良工事が必要ないほど地盤が硬いなど、本当に良いところだなと思います。

崖地山荘の敷地の大きな特徴としては、敷地内の高低差が10m以上あり、道路が敷地の高い方と低い方とで2つ接しているところです。また、高いところからは駿河湾も見え、建物の計画としては2つの道路からのアクセス方法、車はどのように進入するのか、どのように眺望を楽しむのか、がけ条例をクリアするための構造など様々なポイントがありました。

出来るだけ多くの部屋から眺望を楽しむため、東西に細長い形状にして、キッチン、ダイニング、リビング、寝室、洗面脱衣室、お風呂に入りながらも海を眺めることが出来るプランにしました。
車の進入路を新しく敷地内に設け、1階のピロティ部分の車庫まで進み駐車出来るようにして、歩きや自転車用の進入路はアクセスしやすい低い道路から別で設けることにしました。

敷地内の高低差が大きいので、建物の位置をどこに配置するか、1階と2階の階高の高さや、2階からも入れるようにするため、道路との高さ関係、がけからの距離などバランスを取りながら配置を決めるのも難しかったです。模型を作りながら検討を重ねました。(藁科)

鎌倉山のN邸が仕上に入って急ピッチで工事が進んでいます。

リビングの小幅板天井が完成
南側隣地が約1階分低いので、屋根越しに視界が開けて眺望の良いリビングになります。

外壁の左官も終わりました。この写真だとよくわからないかもしれませんが、実際に見ると色合いや表面の表情がかなり綺麗に出来上がりました。来週足場が外れる予定です。
足場がなくなって建物全体が現れるのが待ち遠しいです。

海が見えるルーフデッキ
完成までもう少しです。(加藤)

先週11/9に東京都大田区でオープンハウスを行いました。お天気も良く見学にはちょうど良い日でした。
当日は、茶室も見学できるということもあり、お二人の方が着物でお越しくださりました。施主様から御菓子とお抹茶をいただき、見学だけでなく体験もさせていただきました。

ご参加頂いた皆様にはこの場を借りてお礼申し上げます。そしてなによりも今回のオープンハウスを快く承諾して頂いた上にお茶まで点てていただいた、お施主様には心より感謝申し上げます。

「崖や段差のある土地の活用法と活用事例集のお話しです。
住宅地などでも傾斜地に造成された土地では、道路と敷地・敷地内・隣家の土地と間に段差が出来ることが珍しくはありません。
崖地や段差がある土地は、価格が安いとか、眺望が良いなどのメリットはありますが、その崖や高低差が不便と感じることもあります。
しかし、段差もうまく活用した住宅を建てられれば、快適な家にすることは十分可能です。
結設計でも、近年、崖や段差のある土地に建築する機会が続いています。
崖や段差は程度と状況によっては家づくり計画に大きな影響を与え、予算を読み違えることが多々あります。
崖や段差にどんなタイプがあり、そこにはどんな問題が潜み、どんなことに気を付け、どんな解決策があるか、建築事例を通しながらご紹介したいと思います。

上の図は、敷地の上側にも下側にも崖があり、かつ敷地内にも段差がある事例(仙谷望楼 )です。図の左側(植栽ブロック擁壁)のように敷地地盤面より高い位置の擁壁、敷地内段差(建物地下室自体が擁壁替りにも活用)の擁壁、右側(鉄筋コンクリート造擁壁)のように地盤面下にあるかで違ってきます。ここの擁壁は上下とも安全性が確認でき、証明が不要で助かりました。
崖や段差は崩落し、自己もしくは他者に損害を与えます。それを防ぐために各県で条例を設けています。その条例を簡便にまとめた図が下の図です。

擁壁や土留めで安全性を証明できるタイプでは、鉄筋コンクリート造、型枠コンクリートブロック造、L型擁壁ブロック、間知石積擁壁、間知石ブロック積擁壁、等があり、段差の高さによって、施工内容が細かく規定されています。よくある自然石の大谷石積擁壁や無筋のブロック等は安全性を証明できない場合が殆どです。参考外部サイト擁壁の種類と特徴をご紹介
擁壁と30度以下の法面を組み合わせ、土留めの高さを小さくすることも可能です。(下左写真) 又、崖が敷地内・外いずれにあっても、地盤面より高位置にあって、崖が安全性を証明できる擁壁等で保全されていない限り、高いところから30度の角度の斜線内に建築する場合、崖が崩落しても建築物が安全なるよう、30度以内鉄筋コンクリート等で保護が必要です。下写真右は一部コンクリートで擁壁を設けていますが、隣の玉石含め、その上の崖は30度以上あり、崩落の恐れあり、安全性を確保できないので、建築物の保護の用をなしません。

崖が敷地内にありかつ敷地レベルより低く、30度以上の法面となる場合、隣家に崩落しないために擁壁等の処置をせず崩落して隣家に損害を与えた場合損害賠償を請求されます。下左写真は安全性を証明できる間知石擁壁にした事例。写真中央は崖が地盤面より低く法面が30度以上あり、崖が崩落しても、自己の建築が影響を受けないよう、崖下の低い地面レベルから30度の斜線の下まで達する基礎又は、地盤改良等何らかの対処(この場合は地盤改良杭)が必要です。

道路と敷地に高低差があり道路より一階分程高い段差のある土地の事例。

「善福寺の家」:道路より一層分高い敷地にあり、住まいをバリアーフリーにするため地下入り玄関とし、地上二階までホームエレベーターを将来設置できるようにした事例。

鎌倉借景の家 | :住まいの地盤は道路より一層分高く、駐車場とに段差があり、その段差を外階段と地下倉庫で擁壁を兼ねた事例です。ブログ難所をどう越えたか、を参照ください。
駐車場等のスペース確保の掘削で生じた敷地内段差も崩落防止の擁壁が必要です。

崖地工事や地下室等造る場合も工事中の崩落防止のための矢板等の土留めが必要とします。


道路等より低い土地の敷地は集中豪雨等の雨水対策を考える必要があります。そこで一階を駐車場にして、住まいを半階分持ち上げた事例、「方円汎居 | 中庭のある住まい

道路より一階分程低い土地 聖蹟桜ヶ丘の家|崖の上の住まい:開発行為を経て分譲した土地のため、道路との段差を支える擁壁は安全性が証明されていたので、二階玄関の木造二階建てをとし、デッキスペースを含めた基礎が敷地外の崖下から30度以下にあることを確認して計画をしています。



道路より半階分程高い土地 「空環居 | で、南東の道路より1.2m高い地盤に建築し、ポーチレベルの奥行を2m程確保し、車の寄り付きとし、その壁が擁壁であり、庭の目隠しとした事例。玄関までは外階段で数段上って入り、円形の中庭を回遊して居間に入ります。塀の上端レベルに逆L型に寄り付きの屋根を掛け、濡れず玄関に入ります。



「日野の家 ・二世帯住宅」「国立の家」 道路際に車庫と玄関と将来用のホームエレベーター対応の収納スペースを設け、一部高基礎の地下一階地上二階のバリアーフリー可能な家二例。


一階分高さの違う二面道路路に接し、既存擁壁を跨いで建てた事例「永山の家 |


傾斜する道路に接した土地:「雪谷の家」玄関が道路の交差点角でそこが家の角になり玄関になっています。道路奥が地下車庫になっています。「吉井町の家」北側道路が坂道になっていてその中央部が玄関です。ホームページ事例には掲載していませんが、当事務所著作「美しく住まいを整えるデザインのルール」に掲載されています。


敷地自体が傾斜地になっていたので、造成せずに基礎を橋脚のように設けた例です。「一不異二亭」|森に浮かぶ別荘|

西側敷地内に敷地面より3m程高い崖を有し、東面に1m弱低い坂道道路に接する土地に建つ家です。「あきる野の家 | 崖下の家


敷地より低い強度保証のない大谷石の二段擁壁に支えられた崖の上の敷地に建てられた家です。「崖上 桜の家(氷川台の家) 」


敷地より高い崖と低い道路の両方に接する土地の活用事例:「音楽室のある家」と、ひな壇の敷地の「八ヶ埼の家」(設計事例には掲載してませんが拙著「美しく住まいを整えるデザインのルール」には掲載されています。)


来る2024年11月9日の土曜日、建主様のご厚意により、「京の本格的茶室の写しを持つ家」の オープンハウス (内覧会)を開催できることになりましたのでお知らせします。
当初は2月に内覧会を行う予定でしたが、諸事情により延期しておりました。改めて11月に開催させていただけることになりました。

「京の本格的茶室の写しを持つ家」(馬込の家)は、新たな防火規制のかかる住宅密集地に建つ地下1階、地上2階建ての住宅で、住宅の中に本格的な茶室を設けた事例です。道路と高低差2.5mほどあり、その高低差を有効活用した事例でもあります。

新たな防火規制がかかっている土地なので、建物を準耐火建築物にする必要がありました。
間取りは、2階リビング型。2階のリビング・ダイニングは、敷地の東側が駐車場でオープンスペースなのを利用して東南の角にコーナー窓を設け明るく開放的な空間になりました。
地下は高低差を活かし玄関とインナーガレージを設けました。1階はお茶のお稽古が出来る八帖の広間と六帖の寄り付き、水屋・御勝手。広間と寄り付きの畳は京間畳なので、関東間よりかなり広く感じます。

このお茶室は、京都の先生のお茶室の写しとしてつくることになったものです。炉壇や畳、襖などの製作は、それぞれの京都の職人さんにお願いしました。
広間と寄り付きは炉が切られています。広間に炉、寄付には大炉があります。どちらも土でつくった炉壇で、最近では「本炉壇」といわれるものです。(土製の塗り直しが必要な炉壇のことです。)
馬込の家の炉壇については、ブログ記事の▷「炉壇 炉と大炉」をご覧ください。

木造部分の外壁はしっくい仕上。地下はコンクリート打ち放し仕上。
地下の玄関から1階の廊下は畳敷きで非日常感を味わえます。
太陽光パネル+蓄電池も設置しました。
この家の工事の様子は、ブログ記事をご覧ください。▷「馬込の家」ブログ記事
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見学会は予約制となっております。
見学希望の方は、下記の申込フォームよりお申込みください。
メールでお申込みされたい方は、お越しになるお時間、お名前、ご連絡先、現住所、参加人数をメールでお知らせください。申し込み先メールアドレス:office@yui-sekkei.co.jp
折り返し住所などお知らせします。
家づくりをお考えの方は、施工予定時期、施工エリア、ご予算、土地のあるなし等も、分かる範囲で簡単にお知らせいただけると、ご来場の際、的確なお話ができると思います(こちらから積極的に営業することはございませんので、ご安心ください)。
コロナ対策+汚れ防止対策として、マスク・手袋の着用お願いします。また、当日体調の優れない方の見学はご遠慮ください。
また、引き渡し後の案件に付き、お子さんが走り回ったり、壁にぶつかったり、扉を乱暴に閉めたりしないように、ご注意いただければ幸いです。
なお、同時見学の人数によっては、来場時間を調整させていただくことがあります。
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■住所 :東京都大田区南馬込
■日時 :2024年11月9日(土)14:00~16:00
■最寄駅 :・西馬込駅より徒歩11分
・馬込駅より徒歩13分
・大森駅よりバス14分、バス停より徒歩2分
■駐車場 :建物付近に路上駐車できません。周辺コインパーキングをご利用ください。


40年前設計した家のエントランスポーチです。浴室廻りの土台含めて耐震補強され、内部の畳はフローリングに替え、外壁もサイディングから塗り壁にし、その際外断熱とLow-eの二重ガラスサッシに替えて、次世代省エネ基準を満たすレベルの性能にし、遮音性や断熱性及び耐震性も現時点の新築建物以上に向上している家です。そのリフォーム費用だけでも十年程前で1200万円要したとのことです。基本的間取りは殆ど建てた時のままで、今の自分には稚拙さも感じますが、当時の意欲も随所に見て取れます。(取扱い仲介は作新台6(八千代台駅) 3950万円 中古一戸建て情報 | 不動産売買と注文住宅の小副川工務店 (osoegawa.com))担当秋元さんですが、ログインしないと見れないようですので、私共へメール問い合わせください。

建て主さんは造園の設計施工者で、奥様も華道を極められた、室礼(設え)の達人の御夫婦でした。ご主人に先立たれ、奥様一人で維持管理していくことが難しくなり、手放す決意をされたとのことです。これまでの長いお付き合いの中で、ご主人には庭の設計だけでなく、手品等の多趣味の方で、その発表会に度々招待頂きました。またお茶の達人でもあって、茶室等の勉強で、夕さりの茶事など、作法の手ほどきを受ける時、正客になって頂きスタッフ含め手本にさせて頂くなど、教えていただくことの多い方でした。奥様にも、尋ねていく度に、設えを始め、数多く教えて頂きました。単なる6畳間でしかなかった寝室の、入った向い壁に、床から30㎝ほど上に、杉の横板一枚を煤竹で吊ることで簡易床の間に設え、そこにさりげなく一輪挿しの花を置かれていたり、ただの下足入れの天板の上に、どこかの解体現場で見つけた古い板切れを少し浮かせて置き、その上にしだれ桜を垂れ下げるだけで別空間のように変身させたり、玄関を上がった床の隅に、水鉢を置き、そこに活けた花々を浮かべて吊り蝋燭で幻想的に照らすなどされて、尋ねるたびにいつもはっとさせられ、いたらない設計の家でもこんなに上手に使いこなせるのかと、今でも強く印象に残っているお住まいです。




当時は若かったせいもあり、ダイニングから連続する茶の間なのに、敢えて天井を高くするなど、変化を付けていました。断面図を見れば分かるように、そのため二階寝室を階段4段分ほど床を上げるなどし、全体的にスキップフロアを多用した住まいになっています。
ポーチの鉄骨の階段から車庫上の事務所に直接入ることができ、住まいからも行けるようになっています。事務所は打ち合わせスペースを有し、作業机は飛行機のコックピットのように、道路を見渡せるようになっています。その他、家中の空きスペースは殆ど収納に活用するなど、随所に工夫がしてあり、ある意味、人によっては使いにくいかもしれませんが、それを引き受けて、上手に空間活用する、懐の深い建て主さんでした。






絵画や書画、陶芸や古美術を趣味にされ多くを集められていて、いたるところに飾っていて、気に入っていただける方にはあげてもいい、とおっしゃっています。私も欲しいと思っている絵が何点かあります。奥様もスキップ床がさすがにきつくなってきて、娘さん家族のマンションの隣に住むことにされたようです。





今回、私達設計者が、なぜ古い住宅の売却の応援をするかというと、いい住宅だからや世話になった方の家だからはもちろんですが、それ以上に建築の市場での評価に、疑問を感じているからです。建物の本質的価値ではなく、流動性が評価基準になっている流通業界の経済構造が建築現場の望ましい技術の育成を損なう方向に導いていると思えるからです。その辺の話は以前のブログ(住宅のビンテージ化)を参照ください。今日、家の古さは、仲介事業者の査定(建物評価)では減価償却の観点から、マイナスになり、売主さんが注文を付けない限り、20年ぐらいでゼロ評価されがちです。そのため市場では古い価値ある家も、土地価格だけで売りに出されることが多くなっています。それで土地価格で一旦、建築事業者に売却され、建売もしくはリフォームをした上でリノベ物件として、新築の相場よりわずかに安い価格で、再度売りに出されます。現場の建築関係者はその指示下に置かれ、いい建築より安く売れるために動くしかなく、優秀な職人が去っていく傾向があります。

この家の規模の場合、他の仲介者でしたら、クロスを貼り替えた程度で土地付きでかなりの価格でリノベ市場に出された可能性があります。たまたま関係者や建て主さんの住まいへの愛着がそうさせなかったと言えます。この家の場合はむしろ、築年数の長さは、数度の大きな地震に耐えた耐震性と、リフォームで性能を次世代省エネ基準で快適に暮せた証明になります。4人家族の住まい+事務所と車庫のある、同じ面積の家を、今作ろうとしたら、工事費が上がった今日、土地代除いた建築費だけみると、倍でも、難しくなっています。万人向きではないかもしれませんが、好みが合って、使い続けてくれる方なら、と建て主さんの好意で決められた価格で、その上絵画や骨とう品共に譲って頂けることになった、極めて価値ある買い物と言うことができます。実物を見てみたい方は、私共にご連絡ください。ご案内いたします。
以下、今飾られている絵の数点を掲載しておきます。




土地建物売却価格:3950万円(価格交渉には応じるとのことです。)
建物住所:千葉県千葉市花見川区作新台6丁目
敷地面積:133.47㎡(40.37坪)
1階床面積:54.24㎡(16.44坪) 2階床面積:69.66㎡(21.11坪)
延べ床面積:住居部分 123.90㎡(37.55坪) 車庫部分14.91㎡(4.5坪)
総合計床面積 138.81㎡(42.06坪)
実際の建物を見てみたい方は、メールでご連絡ください。ご案内いたします。
最近の、
史上最高が毎日のように続く暑さ、
最大級の台風の頻発、
しかものろのろ台風、
全国どこでも構わず頻発する線状降水帯や道路の冠水と、
今年だけとは思えない気候変動に、
設計は地震だけでなく、この気候変動にも備えた見直しが必要な気がしてきました。
皆さんもどうかお気を付けてお過ごしください。

尚、最近現場に出て事務所が留守がちになりますが、その際はメールにてご連絡ください。
よろしくお願いいたします。

「鎌倉山のN邸」が、上棟しました。
木造2階建てで、海が見えるリビングや、海と富士山が見えるルーフデッキを設けます。
鎌倉市の風致地区に指定された地域なので色々な制約があり、その上長期優良住宅の申請もあり、既存擁壁もありなど、それぞれの許可申請で色々苦労しましたが、何とか上棟まで来ることができました。

2階の鎌倉の海が見えるリビングです。
南側に建つ隣家が1階分下がった土地なので、2階からは隣家の屋根上を見渡せます。右側の方に海が見えます。

山の尾根になっている周りからは高いところに敷地があるので、ルーフデッキからは、海がきれいに見えます。西の方向は雲がかかっていたので、しっかりとは確認できませんでしたが、富士山も見ることができる予定です。

上棟式の後、建主さまのたってのご希望で餅まきを行いました。最近ではあまり見られなくなった光景ですね。結設計で加藤が担当した設計した物件では、餅まきは20年程前の住宅以来です。
餅まきは上棟が無事に終わったことを祝って餅をまく行事です。災いを払い、福をおすそ分けするという意味があるそうです。
子供たちが餅やお菓子を一生懸命受け止めている様子は、良いものですね。

餅まきを始めるとすぐ、餅を狙ってか数羽のトビが上空を旋回していました。
餅まきに気が付くのが早いですね。(加藤)