カテゴリー: 森の貯金箱復興住宅

19年ワールドカップラグビー釜石スタジアム工事途中


19年ワールドカップラグビー釜石スタジアムの遠方からの写真です。
私共のお手伝いは、事務方の木質諸室とトイレ棟の設計・監理をさせて頂いています。

事務方のエントランスブリッジの入口に位置するトイレ棟の状況で、下がその外壁の外側の二つのエントランスを繋ぐ廊下です。

木質諸室は、下の鉄骨のフレームの中にこれから作られます。

スタジアムの観客席で、座面も釜石産の木で出来ています。
釜石地方森林組合の方々が、釜石の木を使おうと、関係者に働きかけて、このような木質棟などの使用が実現できています。バークレー校の人材育成事業として林業用人材スクールを開講したり、火災で焼失した森林の再生や燃え残りの木々で、グッツを作って応援者に配ったりと、彼らは今、日本で一番頑張っているのではないかと思われます。


外装の色使い

いつも通勤で通っている道のそばのマンションの外階段です。改修時に階段を塗装し直し、鉄骨階段を濃い焦げ茶色に、柱の色をアクセントカラーの赤にしていて、なかなか大胆な色使いですが、決して軽薄ではなく、結構目を引きます。

東日本大震災の応急仮設住宅では予算が厳しく、素材感を前面に出すと安っぽい感じが露わになりがちですので、内壁は木造躯体の自然な木の素材を露わにし、外壁は角波鋼板程度しか使えなかったので、下の写真のような濃いブルーにして素材感が気にならないようにしてみました。

色の扱いは難しくいつも悩みます。たとえばよく使う木の下見板一つでも色によってだいぶ感じが違ってきます。岩手の復興住宅で最初使っていた色は素直に木の色を強調してこんな感じでした。

その後下のような濃いグレーの色も使うようになってきました。同じ濃いグレーでも、日が良く当たるところや、建物の規模が大きいとさほど濃く見えない場合もあります。

下の写真は上の写真よりかなり薄いグレーを使っていますが、光の当たり具合や面の大きさの影響で似た色に見えます。

下見板でなければ、同じ木ですが、下のような色使いもあります。

いずれにしても色の道は奥が深くて、なかなか手ごわいです。


ウッドデザイン賞2015を受賞しました

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第1回ウッドデザイン賞(新・木づかい顕彰)において、結設計が設計を担当している森の貯金箱プロジェクトの「森の貯金箱S移築プロジェクト」がウッドデザイン賞2015(ソーシャルデザイン部門)を受賞しました。

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ウッドデザイン賞とは、木の良さや価値を再発見させる製品や取組について特に優れたものを消費者目線で評価し表彰する新しい顕彰制度です。
ウッドデザイン賞は今年から始まった賞で、第1回の今年は397点が受賞作品に選ばれました。

>>ウッドデザイン賞のWEBサイト


関東でもFSB工法の部材供給するところができた。

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これまで工法の技術開発をしてきて、ようやく技術的にも費用的にも汎用性のある工法ができたと認識しています。(詳しくは―なぜFSB工法か―参照)これまでのFM工法やDEWS工法は、集成材とその加工の価格が高騰してきて、以前の価格を知っている者としては割高感が拭えず、去年頃からお奨めするのに躊躇していました。

それでそれらに代るものとして、上の写真のような柱角材連結パネル壁のFSB工法を開発してきました。これで真に環境負荷の削減に貢献させようとするのであれば、数多く建築されなければ意味がなく、他の建築設計者にも活用されるよう、リーズナブルな価格での部材供給が必要と思っていました。岩手県では可能ですが、関東にはありませんでした。それで理解ある協力者を得て(有)グル―ラムウォールという会社が、関東で「FSB工法」の部材供給をしていただけることになりました。私どもと同様小さな会社ですので、しばらくは二人三脚で協力していきたいと考えております。

そこでは「森の貯金箱の家」という(半)規格型住宅の供給もしていて、それへも協力いたしました。フリープランのコースでは、しばらくは結設計もお手伝いしていきます。規格型の場合、工事費は割安ですが、間取り等の変更できる範囲が狭いので、その間取りと仕様でよいという方に向いているようです。但し、自分なりの家が欲しいという方には、私どもと普通に設計して、計画する中で、FSB工法も検討し、最善の方法で建てられた方が選択肢も広がり、よいと思われます。費用的にも、そこのフリープランコースの場合とは何ら変わりません。普通の設計ですと、下の写真のようにFSB工法の柱の連結壁に直に和紙を貼った部屋もできます。

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森の貯金箱事業 NHK「TOMORROW」 「明日へ」 

釜石森林組合事務所
東日本大震災の復興で、私たちなりにも協力してきた、釜石地方森林組合の活動がNHKテレビで放送されます。設計協力した被災者の再建住宅の映像もでます。私もいくつか取材を受け、映像提供も協力させて頂きました。放送予定は下記の通りです。
NHK-BS1、NHK総合、NHK-Worldでそれぞれ放送されます。

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NHK-BS1
【番組名】
TOMORROW 復興は森から~ “地元木材”住宅プロジェクト ~
※番組ウェブサイト:http://www.nhk.or.jp/ashita/tomorrow/

【放送日】
NHK-BS1
前編:平成26年10月29日(水) / 後編:11月5日(水)11月12日(水)に変更になりました。
午後2時00分~2時28分

再放送
前篇:平成26年11月1日(土) / 後編:11月15日(土)
午前10時00分~10時30分
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NHK総合
【番組名】
明日へ ~森が支える東北の復興(仮)~
※番組ウェブサイト:http://www.nhk.or.jp/ashita/

【放送日】
NHK総合
前編:平成26年11月16日(日) 午前10時05分~10時53分

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海外向け国際放送のNHK-Worldでも放送があります。
【番組名】
TOMORROW 復興は森から~ “地元木材”住宅プロジェクト ~
【放送日】
NHK-World
前編:平成26年10月27日(月) / 後編:11月3日(月)
午前10時30分~10時58分(以降、6時間ごと4回放送)

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岩手県の仮設住宅提案募集で提案し、採用された仮設住宅の工法を、岩手県森林組合連合会の方が、森林組合向きの工法だと見出して頂き、釜石地方森林組合の参事に紹介されました。その後、遠野市のリンデンバウム遠野という施工者と私たち設計者の4者で、震災で家を流された方を始め、被災地で求められる限り、建築に限らず、この工法で支援をしていこうと始めた事業が、森の貯金箱事業です。
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建築だけでなく、KDDIさんの支援を受けて、ベンチやバス停の屋根等も提供してきました。

4者の中で私たちの役割は、この工法(FSB工法)をより確かなものにし、依頼者に沿った間取りで、かつ施工費用のかからない設計をすることです。関東での通常の設計では、私たちなりのこだわりや工夫が評価されて仕事として成立します。そのためどうしても多少の費用増を生じさせてしまいます。ところが被災地での仕事は、余計なお世話やこだわりで工事費を増にしないことが仕事になります。それと工法が構造的に新しいため、構造計算と建築確認申請の認可を得ることです。関東での仕事と違って、悩ましい想いは残りますが、別の意味で勉強になります。

私たちはともかく、被災地で頑張っている人たちがいることを知って頂くためにもご覧なってみてはいかがでしょうか。時間帯が働いている時間帯ですので、ビデオに撮る必要がありそうですが。


被災地再建住宅第一号

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岩手県三陸沿岸に、職人不足で工事が遅れに遅れ、一年がかりでようやく完成した、30坪1000万円の、森の貯金箱プロジェクト、復興再建住宅1号の工事途中写真です。
この住宅は、柱を連結した無垢のパネル壁で構成され、パネル壁は土台や梁と金物や金属パイプで接合され、金物と木はピンで固定する、FSB工法で建てられています。
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この固定ピンを抜くと、パネルと梁等の横架材とは無傷で分離出来ます。そのため、分離されたパネルは異なる間取りの建物にも再使用可能です。
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壁パネルの外側には岩手の地域に合った厚みの断熱材を貼り、通気層を設けて防湿シートを貼り、本来は杉の下見板を貼るんですが、今回は建てぬしさんの希望で金属のガルスパンというサイディングを貼っています。
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内部は、杉の柱材をそのまま現しにして、工事費を節約しています。木材の持つ湿度調整機能をフルに活用しています。
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上の写真は、蓄熱暖房の給湯バルブのヘッダーです。1000万円には暖房工事費は含まれていませんので、80万円程増額になりますが、加算していただきました。暖房はエアコンの室外機と同じ構造のヒートポンプで、深夜電力でお湯をつくり、それをパイプで床下に送り、土間コンクリートを温め、蓄熱させます。この住宅は通常の在来工法の住宅より、3~4倍の木材が使用されているため、建物全体として熱容量が大きく、一度温めると冷めにくい構造になっています。深夜電力で1/3の電気代で、ヒートポンプ方式でさらに1/2の電力使用効率でお湯を作るため、灯油より割安のランニングコストですみます。
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対面式のキッチンから見た、居間食堂玄関方向を見た写真です。
この住宅一軒の木材で釜石地方の森林整備が1ヘクタール進むことになります。


長野県で見た杭らしき基礎

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長野県の現場に行く途中、気になる基礎を見てしまいました。
コンクリートの束石を基礎にした住宅です。

なぜこんな基礎が気になったかというと、今、被災地の復興再建住宅作りで、釜石に通っていますが、そこで問題になっているのは、コンクリートと基礎屋さん不足で、基礎工事ができないことです。それでコンクリートの布基礎ではなく、杭を基礎にできないか、個人的にいろいろな方面で暗中模索だったからです。
理想としては、鋼管杭を基礎とし、それに土台を乗せただけで建築できればすぐに工事が進められます。

被災地の沿岸地域はもともと生コンプラントが小規模で数も少なく、復興事業が始まり、防潮堤などの土木工事でとてつもない量のコンクリートの需要が生じて、住宅の基礎などは、たまたま土木の需要がなかった時にまわしてもらえるる状況です。しかもその時に基礎屋さんが都合つかないと、またいつコンクリートをもらえるかわからないのです。次回アップ予定の森の貯金箱事業で始めた被災地の30坪1000万円の復興再建注文住宅の第一号がようやく完成しましたが、本来1年以上も前に完成していておかしくない工期でした。

職人不足は基礎屋さんだけでなく当然大工さんはじめ、各職方すべてに言えて、それぞれの都合のあった時に作業が進むという塩梅なのです。当然ながら物不足、職人不足で工事費は際限なく高騰し続けています。

釜石は、本来住宅を建てられる土地は少なく、建てられるところも、津波の恐れがあるということで、高台を造成することでしか住宅地は生み出せない地域です。その造成も、候補地がようやく決まり、森林組合に山林の伐採の打診が来たとのことです。しかもその伐採予定地は、虫喰い状態で、残りはまだ売却が決まってないようです。ですから、造成地ができるのはあと数年かかるのではといわれています。今建てることのできる方は、たまたま知り合いが土地を持っていたような方です。こんな状況ですでに、工事費や工期がこんな状況です。

そんなこともあり、何とか杭で基礎を作れないかと思案していて、このような杭らしき基礎の住宅が目に付いたわけです。


山田町の家 建方

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先週、岩手県山田町に建設中の再建住宅の建方の確認に行ってきました。
杉の角材をボルトで緊結して作った壁パネルを柱と柱の間に建込んでいきます。

この住宅は、釜石地方森林組合、岩手県森林組合連合会、リンデンバウム遠野と結設計が協力して、[森の貯金箱「再建住宅」プロジェクト]として被災された方に向けて木をふんだんに使いつつ、割安な住宅を提供しようというプロジェクトの第1号です。


森の貯金箱事業ー2

前回のブログの森の貯金箱事業で、森林整備で産出される木材の半分は合板工場に4m又は2m材として、建築市場より割安に、安定した価格で引き取ってもらっている話をしました。岩手ではその合板工場の一つは流されて廃業し、丸太材の引き取り手がなく困っています。というので、森の貯金箱事業の一環として、被災地の通常高さの再建住宅とは別に、関東で、FSB工法で4m材を歩留りよく活用すべく、考え抜かれた、小さくて豊な住宅を規格化し、その提供事業も進めています。
通常の二階建て住宅は2.8mの階高で、二層構成で、軒高を5.5m程度になるのが普通です。それを、4mの一層構成ながら、内部の床面積の半分にロフトを設け、残り半分は吹き抜けとした、とっても豊かで、自由度が高く、多様な展開が可能な空間の家です。ニ階ロフトの天井は1.9m程度で、歩ける天井高です。
仕様等、興味ある方は、私どもの事務所(結設計)にメールいただければ、ご紹介いたします。


建築先導技術開発助成事業


上の写真が、前回の森の貯金箱に関するブログ記事で書いた、釜石の森林組合の事務所モデル棟のFSB工法パネルの外壁の実物説明模型です。角材連結パネルの外部側に、白い防水透湿シート、青い断熱材のスタイロホーム、通気用押さえ縁、カラマツの下見板(雨がかりの一部は金属鋼板)の仕上げ材です。これまで、当事務所が続けてきた、このFSB工法の技術研究開発が、平成12年9月、国交省の建築先導技術開発助成事業に、岩手県森連との共同開発研究事業として採択されました。9月以降13年の2月までに行われる技術開発と、構造耐力壁の構造性能と耐火性能について、公的機関で行われた試験で、その性能を確認する作業にかかった費用の半分を助成するというものです。
前回ブログで話した、森の貯金箱事業を進めていく中で、FSB工法で釜石地方の被災地の再建住宅を建てようとすると、この杉の角材連結パネルでの工法で建てるには、在来木造軸組み構造の耐力壁として認定されていない壁なので、下記の写真のような構造実験の上、確認申請時に試験データを添えて、安全を確認した構造の許容応力度計算書を添えて提出する必要があります。

また、殆どの市街地の敷地では、建物の外壁が必要耐火性能を有している必要があります。そのため、この工法の杉の柱の角材パネル表しのままで使用しても、必要な耐火性能を満たしていることを、下記の写真のような1000度の耐火燃焼試験の炉で、データを取りながら、試験をを行い、証明しないといけません。それでないと市街地で建てるには、外部にサイディング等の余計な外壁仕上げを施し、内部に石膏ボードを貼る必要が出て来ます。表しのままでその性能を満たせば、耐火性能を劣化させない材である限り、パネルの上に自由な仕上げができ、内部もパネル木材を表しにもできます。



被災地での再建住宅は、建築を予定していた人でありませんから、建築費に向けらる費用はとても少ない方が多く、そのような方に対応できる建て方をしなければなりません。
これまで開発してきたFSB工法は、二酸化炭素の吸収固定とその延長を図ることのできる建築にすることで、環境の負荷を削減しようと開発してきた建築工法です。自分としては、さらに木材の持つ熱容量の高さと、調湿機能による自然で快適な居住性能の高さから、ある意味理想的な住宅の工法になる予感を持って開発していました。それがたまたま仕上げに新建材等を望まず、杉材表しで良ければ、かなり建築費を削減できる効果があることを、応急仮設住宅で証明され、再建住宅に最適だと、森林組合の方に認められて、森の貯金箱事業が始まりました。この事業を続けていくためには、どうしても構造耐力と耐火性能の公的確認が避けて通れないのです。次回はこの開発事業で行われた内容の話をします。