気付き提案 ピロティー建築 

 「水害の度に繰り返す、床上浸水に対応できる「ピロティー建築」の提案

 写真は、集中豪雨で北側隣地から雨水が流れてきても、そのまま住まいの下を抵抗なく南側の小川に流れていくよう配慮した軽井沢の山荘です。(事例参照)

 最近集中豪雨や大型の雨台風のたびに洪水が発生し、被害に遭われているニュースが放映され、その翌日は床上浸水の後始末で途方に暮れる映像が流れます。自分も昔、借りていた一階の事務所の前の暗渠の小川が氾濫して、50センチ程度でしたが、床上浸水になり、その後始末に「もう嫌だ!」と思って、引っ越した経験があります。

下の写真が山荘の南側の形状で、抵抗なく流れて来るだろうことが分かります。

 今日、異常気象による集中豪雨や水害でこれまでの堤防等では対応しきれないところが多くなってきているようです。各地のハザードマップには、洪水が予測される地域がかなりの面積で示されています。しかしその土地から簡単には離れられない方も多いでしょうから、せめて洪水が起こってから後始末を考えるのではなく、洪水が起こることを前提とした家づくりを考えませんか、という提案です。下の写真は川の傍の裏手が傾斜した道路になっている敷地で、洪水になっても大丈夫なように、一階を駐車場や外物置等にした住宅です。

ピロティ―建築として共通して配慮すべきこと

  1. 住宅の基礎部分を鉄筋コンクリート造の橋脚のように、一階程度の安全な高さまで持ち上げ、できれば津波でも2m以上の漂流物でも流れてこない限り、水だけならそのまま通過して流れ去るようにします。
  2. 持ち上げる高さは1階分を持ち上げることでその下を車庫や作業スペース等として多面的な活用ができるようにします。
  3. 傾斜した敷地形状の場合は、道路レベルの階を地下扱できれば、その上に二層階乗っても三階建にならず、有利になる場合もあります。
  4. 居住階の高さまで階段やスロープ等で登りますが、足が不自由になった時のことが心配な方は、最初にホームエレベーターを設置できる間取りと構造計画をしておくと安心で、設置までそこは収納として活用できます。
  5. 居住階のレベルには、事例の山荘のように鉢物植栽を置けて、食事等ができる4.5畳以上のまとまった外部スペースを設け、防犯に配慮しつつ直接地面に降りられる階段を設けておくと生活が豊かで楽しく活用できます。

上の写真は設計事例にもある、一不異二亭という山荘です。敷地は傾斜していましたが、居住階は道路レベルにあり、敷地は造成せず、基礎を橋脚のようにコンクリートで持ち上げて、薪置き場や作業場にした山荘です。

 原則は建物敷地を安全な高さまで高くしておくことですが、そのために擁壁を設けて盛り土で造成するとなると、多額の費用を要する割に、他にメリットがなく、鉄筋コンクリート造の基礎を持ち上げた方が費用も少なくメリットがあります。老いてくると、階段の上り下りが辛くなるのでは、と心配されますが、これまでの経験では普段から日常的に階段の上り下りをしている方の方が、足腰が鍛えられ丈夫で過ごされていることが多い傾向にあります。心配な方はゆっくりしたスロープか、ホームエレベーターを設置できるようにしておくと、いざとなったら200万円ほどの費用で容易な乗降ができる、という安心感があります。ホームエレベーターは最初に計画だけはしておかないと、後からの計画では思った以上の費用増と法的に困難を伴うことがあります。

ピロティー建築の実現を検討してみたい方に

 ピロティー建築の提案はどんな用途のどんな間取りの建築でも可能です。そのため仕様や価格を設定した規格型の建築としては用意していません。状況によっては致命的ともなる、考慮すべきことが多くあり、あくまでオーダー建築として、建てたい方の意向を伺って、敷地状況に合わせて設計をする必要があります。考えてみたい方はお問い合わせフォームからご連絡をください。ちなみに一不異二亭の工事費は2200万円でした。

その他の事例

原則から少し外れますが、敷地が道路より1メートルほど低かったので、集中豪雨での雨水の流れ込みを警戒して、一階を駐車場や倉庫にした住宅です。