住宅を設計していく中で、プライバシーの確保が日差しと同じぐらい重要な要件になります。そのための手法として中庭が極めて有効になります。そこでこれまでの設計事例から特徴の際立った事例を集めて、ギャラリーとして紹介してみました。紹介した中庭のリンク先に設計事例も紹介していますが、ホームページの設計事例にない場合、私共著作の「美しく住まいを整えるデザインのルール85」には掲載せていますのでそちらを参照ください。

(空庭舎)


(鎌倉の家)


(三鷹の家)



(三ッ沢上町の家)





(坦懐居)


(五枚屋根の家)






(清浄居)




(深沢の家)

(碑文谷の家・著作書)


(文京区の家・著作書参照)


(市川の家)

(飯能の家)


(菊名の家)

(真間川の家)


(つくばの家)


(佐倉の家・著作書参照)

道路からの外観は四角の建物で敷地進入路幅3mです。

(空環居)





(方円汎居)






中庭は住まいづくりのコンセプトにもなることがある、計画の有効な手法です。本格的庭園となるとプロの造園設計者に依頼することもありますが(伊豆高原の家、落葉舎、飯能の家、空庭舎)、建築のついでに作る簡易な中庭は、設計段階である程度のことを考えて、私どもから提案することが多いです。
中庭というと、敷地が狭い場合に設けるかのように考えがちです。いま改めて設計事例を見返してみますと、皆、敷地そのものは広く、むしろ庭のプライバシーを確保するために設けていることが多いといえます。
その理由は、庭として成立させるには最低の広さとして3間角(5.4m四方)を必要とし、その周囲に部屋を配するとなると、むしろある程度広い敷地でないと成立しにくいからです。
また敷地が広く、平屋建てが可能な場合、各部屋を連ねていくと、居間食堂用の主になる庭にも、道路や外部空間にも接しない部屋が生じて、法的有効採光や通風が確保できないことがあります。その場合、光と通風確保のために坪庭(清浄居)やコの字型の小さな庭を設ける場合もあります。
三方建物や塀等で囲まれたコの字型の庭は、敷地に十分な庭を設ける余裕がなく、その中で何とか緑や光や通風を確保したくて設ける場合が多いです。この場合、方位によって、陽ざしを取り入れたい部屋が1階にある場合、その対面の部屋は平屋にして陽ざしを遮らないようにしています(鎌倉の家)。敷地が広いのに、コの字型の庭を設けた事例に、庭そのものを計画のメインコンセプトにした「空環居」や「方円汎居」等があります。
建築計画の参考になれば幸いです。