シェア別荘・峠の我が家物語2-暮らしてみたい土地

海が身近にある風景

悲しくなったときは 海をみに行く

古本屋の帰りも 海をみにいく

貴方が病気なら 海をみにいく

心貧しい朝も 海をみにいく 

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という書き出しの寺山修司の詩のように、海辺など、どこかに住んでみようと思わせるきっかけのようなものはたくさんあります。特に山に囲まれて育った人には、最初に海にあこがれを抱き、逆に目立った山のないところで育った人はアルプス山脈の見える土地に憧れるのかもしれません。

町のどこからでも見える山のある風景

山に囲まれた盆地の盛岡市は、最近のニューヨークタイムズ紙で、ぜひ行くべき都市の世界ランクで、ロンドンの次の二番目にランクされたそうです。そんなところで育った自分でも、海への憧れがありました。高校受験勉強の真最中の中学三年の夏休みに、生徒5,6人だったかと思いますが、美術の先生に誘われて、三陸の宮古海岸の崖上に、二泊三日のキャンプに連れて行ってもらったことがあります。先生は片腕がないけど、軟式テニスのコーチもしていて、私の描いた足裏の鉛筆デッサンを評価してくれるような、世俗的常識や倫理観に囚われない方でした。何より印象深かったのは、寝泊りはテントではなく、四隅の木に吊るした、大きな蚊帳だったことです。今日、アウトドアキャンプが大流行ですが、あれ以来、蚊帳だけのテントは見たことがありません。

崖上の森から見た三陸海岸

三日間ほどの住まいでしたが、雨にも降られず、蚊さえ防げれば、寝袋にくるまり、星空を見ながら眠る、楽しく気持ちのいい居住空間でした。雨に降られたら、近くの民宿にでも駆け込むつもりだったのでしょうが、受験勉強中、何よりのリフレッシュになる、別荘の初体験でした。その時の印象もあり、海辺に住んでみたいという憧れが生まれたかもしれません。

このように誰にも他に住んでみたいと思う瞬間や場所、あるいは風景があり、それが移住や別荘の潜在的欲求の核になっているのかもしれません。


峠の我が家記事
1.峠の我が家物語 はじめに
2.峠の我が家物語 暮らしてみたい土地
3.峠の我が家物語 別荘づくりのいい加減な動機
4.峠の我が家物語4 島流し的移住