投稿者: 藤原昭夫

鎌倉の土地探しからの家づくりで 何を支援したか

鎌倉借景の家 コーナー窓
二階居間のコーナー窓からの借景

注文住宅には多様な創られ方があります。メーカー住宅、自由設計という名の建売住宅、パワービルダー、工務店、建築家(専業設計者)、等々多様な作り手がいます。
先日、他物件の引渡しに、建て主さんに、どんな家づくりの仕方があり、どんな特性があり、何をしてくれるのか、最初は殆ど分からない。特に専業設計事務所が分かりにくく、色々あるけど、具体的な違いが分かりにくく、引渡し受けて初めて他との違いが分かった、と言われました。確かに各段階で生じる障害(難所)があり、”しかたがない゛、と諦めることの多い家づくりの中で、諦めるのではなく、活路を探し出そうとするか、あるいは自分に合った選択を見出そうとしないかぎり、理解できないかもしれません。私たちが提供する価値は、その活路の可能性があるかぎり、それを見出そうすることへの支援で、その諦めのなさにあり、それを当然の作業と捉えています。その事例を「難所越えサポート」と称してどんなことか説明してみます。

葉山での土地探し難所(新たな土地情報提供は無理でも土地の可能性と限界を説明します)

自宅を建てる若い夫婦が、土地を探していて、自分らだけでは決めかねるので、一緒に見てくれないかと相談がありました。逗子、葉山、鎌倉あたりで、予算が少ないので多少難があっても安い土地を探したいとのことで、同道しながら目ぼしい候補地の長所と難点、コストパフォーマンス等アドバイスをしながら見て歩きました。その一つが下の写真で、葉山の土地です。

西側道路より敷地を見た写真
北側道路より敷地を見た写真
敷地内から北側道路方向を見通すことのできる

その土地に建てるとして考えられる計画案を二案提示し、満足できるか検討しました。この土地は北と西の二面の道路に接していて、駐車や出入りには有利に働き、その方向への開放性は、北と西と限定的ながら、ありました。問題は、住まいを建てたい場所が敷地の東南の角部分になり、その真南と真東に総二階建てが近接して建っています。そのため一階部分はもちろん、二階部分にも冬の陽ざしは期待でません。建て主も日差しは諦め、北側の道路向こうへの眺望に期待していました。

その他この土地で設計者が気づいたのは、北西隣の隣家の敷地が1m程低くなっていることで、そのためこちらの二階の北西方向の窓からは、隣家の屋根越しの見晴らしが期待できるのではないかということです。二案ともその辺りを考慮して間取りを提示し、検討しましたが、今一つ踏み切れずにいました。

鎌倉の難所だらけの土地(問題と可能性の見極め)

そんな時、鎌倉で、魅力的な土地があるということで見に行ったのが下の写真で最終的に決めた、廃屋の建っている土地です。

建てる前の敷地は道路レベルに1台分の地下車庫があり、そこから2.5m高い地盤に外階段で上り、そこに二階建ての廃屋が建っている土地でした。高い地盤のためか価格も相場よりだいぶ安く、うまく建てられれば眺めの良い住宅ができると思われました。問題は、前面道路が私道で幅4mなく80㎝程セットバックが必要で、その部分に外階段があり、かつ私道が公道より1m弱上り坂になっていて、建物の建つ地盤はさらにそこより2.5m上がっています。鎌倉の地区条例のある風致地区にあり、市の開発課の指導や基準法の構造と高さ規制及び県の崖地条例等が難所となる厳しい土地でした。

右の上り坂が私道、地下車庫と外階段上に廃屋
屋根から雨漏りしている廃屋内部
廃屋二階からの眺め

設計者としては、解体工事や擁壁工事等で予算的にかなり難があり、もっと容易な土地を探したいところです。建て主としては、難については設計者が何とかするだろうということで、場所と価格と眺望からして、掘り出し物の土地なので購入したいとのことです。

計画案確定の難所(土地の課題克服と要望の調整) 

計画的に二台分の駐車場が必要で、そのレベルは道路と同じレベルになり、予算が許せば、二台分の地下車庫と地下玄関及び内部階段を設け、できれば将来用のエレベータースペースを設けて、その上に住居部分を載せる計画にしたいのですが、予算オーバーです。最初に提案したのが、野天の二台駐車場の奥に、地下入り玄関と仕事室を設け、将来用エレベータースペースの収納のある案です。

それに対して建て主はエレベーターが必要になったら転売して引っ越すとのことで、将来用エレベーターも地下の玄関や仕事部屋も地下でなくなりました。

採用案は、地下入り玄関も諦め、屋根無しの駐車場とし、そこから外階段で上った地盤に建てることにしました。そのため、既存の地下車庫を解体し、かつ土を欠き出す必要があります。その残りの土地に建てると、東西に狭く、南北に長い家になり、各室が東向きになります。それは望ましくないので、欠き出した跡の土地が崩れないよう、敷地内に段差を維持する擁壁を南北方向に設けました。その擁壁で住宅の基礎も兼ねることとし、さらに駐車場の上に1m程せり出した基礎にし、東側に広げました。これにより東西に長い家になり、居室すべてが南向きにできました。また、建築費が少なくてすむよう単純な形態の総二階建て風の家としました。

二階リビングは、経験のない方には問題になりがちですが、建て主さんはこの土地の魅力をよく理解していて、今回はすんなり決まりました。また一部玄関と仕事部屋がその段差吸収の擁壁を兼ねた基礎から東にはみ出るので、その下の一部に隣家に崩落の影響を及ぼさない範囲で地下倉庫を設けました。上には二階のリビングと連続する見晴らしの良い、食事もできるルーフデッキとしました。

二階デッキからの南側の眺め

鎌倉価格が存在する地域での工事契約の難所(要望実現にとった手段)

決定された間取りで、要望する仕様内容の実施設計をあげ、工事見積を数社に依頼しました。ウッドショックの直前でもあり、案の定付き合いのある工事屋さんは、千五百万円以上予算オーバーするからと辞退され、近場では予算内で見積もるところがありませんでした。擁壁や外階段等の工事があり、平坦な土地の場合より工事費が膨らむとはいえ、35坪の住宅で通常相場より千万円以上も余計にかかる鎌倉価格で工事契約をさせるわけにはいきません。依頼者が諦めず通常相場での契約を求める限り、私たちの支援のしどころです。施工の可能性のあるエリアを広げ、やってくれそうな工務店をくまなく打診し、探しました。その中に、昔気質で手作りを売りにする大工さん上りの社長が、私共の設計の考え方に興味を示し、協力してもいいと、言ってくれました。敷地から1時間ほど遠い距離の、昔聞いたこともある名前の、長く続けてきた工務店でした。外壁をサイディングにとか、床材の指定等いくつか条件を付けながらも、見積調整にのって請けてくれるとのことでした。現代風の管理体制が整ってなそうで、設計監理での意思疎通は苦労することは承知の上で、何とか許容できる予算内での工事契約という難所を越えました。

外壁サイディングは杉板型枠風の表情のもの選択

解体工事という難所(敷地状況に合う解体工事者探しと直接発注)

当然解体工事費もできるだけ少なくする必要があり、これも数社に見積もりを依頼しました。高い敷地にあり、重機が使えず、手解体になり、既存地下車庫やセットバックする私道内にある鉄筋コンクリート造の外階段が、工事で隣地を崩落させる危険性もあり、予想以上の見積もりでした。本体工事の工務店にも相談し、なんとか費用を抑えて解体してくれるところを探し出し、本体工事に含むと、その経費がかかるので、建て主が直接に工事依頼をすることにしました。

地盤調査で地盤改良必用と診断の難所(地盤に合った調査方法を選択)

地盤は十分地耐力のあるところでしたが、既存建物の解体工事で地盤を荒らしたため、単純な地耐力の調査をすると、二社とも部分的弱点があり不同沈下の恐れがあるという理由で、全体の地盤改良工事が必要、と診断されました。安全性いう御旗を掲げられたら従わざる得ないところです。予算が潤沢ならそのまま行くところですが、地盤改良だけで百万円以上かかるので、再度違った調査方法の機関に相談しました。基礎形状に即した個所と地下レベルの地盤の地耐力を再調査し、擁壁の裏込め工事や弱点箇所だけの部分改良の条件で、地盤保証する機関も紹介いただき、全体の地盤改良工事をなくすことができ、基礎工事に入ることが出来ました。

建築基準法上の難所(建て主の利益保護のための法的論争)

基準法の建蔽率容積率及び北側と道路斜線、さらに壁面後退等が法的許容範囲ぎりぎりで、緩和処置までも活用しているので、設計上の納まりで一部変えると、もぐら叩きのように他の問題として噴出する有様でした。例えば壁と基礎を兼ねると庭の土圧と建物荷重は構造計算上どう配分されるかを明示する必要があります。それは複雑になるので、擁壁と基礎とは縁を切ることで単純化しました。

擁壁と基礎の鉄筋が中央部で切れています

また、駐車場と地下倉庫の開口部が地下レベルにあるので、平均地盤面が上の地盤面より下がります。そのため北側斜線や道路斜線が厳しくなり、通常の屋根の納まりだと、高さ制限を超えるので、北側の桁を下げ、軒の出を出さなくてもよい雨仕舞を考えました。あるいは建蔽率いっぱいの床面積が欲しいところですが、それだと軒の出が1mだけしか出せず、貧弱なデザインになりそうだったので、納戸分の面積を縮小し、その分地下倉庫を設け、南と東の軒の出のみ1.2m出すなど、あの手この手を駆使しました。基準法上の難所越えの設計者の苦労は当然のようにその素振りも見せず、建て主には納得できる計画のための難所越えの軒の出の詳細については、了解していただきました。

行政指導の難所(隣家擁壁に触れる敷地後退で隣家を納得させる説明)

地区条例のある風致地区で、壁面後退が隣地境界から1m、道路境界から1.5m離す必要があります。また前面道路の私道の幅員が4m未満で、不足分の80㎝を道路境界をからセットバックする必要がありました。それだけなら当然のことと受け入れられますが、問題はその部分が写真で分かるように、高い敷地を支える2.5m程の擁壁階段にもなっていて、それを撤去しないと接道する前面道路として認めてもらえず、市の開発課の許可が下りないことでした。建前として理解はできますが、それをすべて撤去すると北側隣家の玉石の擁壁が崩れてきて、トラブルになります。崩れないようにこちらの擁壁一部残してあげたい、というと、開発課がやはり許してくれません。そこでこちらですべて撤去し、完成後に隣家の玉石擁壁を崩れないように修復するということで、隣家の方の了解を頂き、進めることが出来ました。

隣家の塀が倒れない証明という難所(既存地下室以上の耐力証明)

開発課からはさらに既存の地下車庫を撤去しても、南隣家の進入路の塀を兼ねた擁壁が崩れないことの証明を求められました。40年前の隣の塀で、こちらのものでない以上、基礎形状や鉄筋がどうなっているかデータもなく計算も証明もしようがありません。隣の問題ではないかと食い下がっても聞き入れてもらえませんでした。

南隣家所有の擁壁兼ねた塀

このような指導に対して、隣家の塀が倒れてくる力に対し、既存地下車庫が存在した時の土圧以上に、塀に対して直角に設けるこちらの擁壁の耐える力の方が大きくなることを計算し、より安全に働くことを証明し、なんとか許可を得ました。

隣家の塀兼ねた擁壁と倒壊を防ぐこちらの擁壁

基礎工事での難所(複雑な工事内容の確認と発生する問題の丁寧な解決提案)

市の厳しい許可条件と工事見積をなんとかクリアして工事が始まりました。基礎屋さんは工務店が地元の基礎屋さんを探して頼みました。そのためかいくつか行き違いが生じ、難しい基礎形状もあっり、困難を極めましたが、一つ一つ丁寧に解決していきました。

擁壁と高基礎となる地下階の壁の鉄筋と型枠
その後のべた基礎下の断熱材と配筋及び蓄熱ヒーター用配管

上棟以降の難所(初めて付き合う施工者との密なコミュニケーション)

基礎工事が大変苦労しましたが、木工事に入ってからは、担当してくれた大工さんは経験豊富な方でしたが、私たちの納め方に慣れてないので、図面の不備や気になることには確認や提案もしてくれ、処理もうまく助かりました。ただ太陽光発電を、建て主さんが載せたいということで申し込みをしていましたが、しばらく生活し、どんなやり方がいいかゆっくり検討してから決めることになりました。

上棟時の隅木と垂木
仕上がり後の垂木

三者の好意と話し合いで越えた難所(建て主、施工者、設計者の意思疎通も和やかに)

壁面後退緩和措置を目一ぱい活用した二階デッキと社長直々施工の床

追加工事として請求されそうな変更工事も、外注作業でなく、社長の手作業で済む内容ならと割安でしてくれました。外階段は本来基礎屋さんにやっていただくはずでしたが、基礎屋に任せられないと社長自らが指揮を執って型枠大工として施工しました。私たちも現場を再計測し、段形状やポーチ廻りの図面修正で協力しながら、立て直しを図りました。階段の手すり壁の天端も、通常通りの設計でしたが、折角なら、天端に埃がたまり、雨で壁に流され、数年後にコンクリート打ち放しの壁面を汚してしまうので、天端の角にアルミアングルを被せ、雨が壁面を伝わらず落ちるようにしました。見積もりには含んでない処理ですので、設計者が寸法を測って加工した材料を購入し、建て主に接着剤と共に渡して、貼り付け処理をお願いしました。

階段手摺壁角に載せた壁面汚れ対策のアルミアングル

工務店とのデザインセンスの違いは、いくつかありましたが、その都度話し合い、建て主さんも重箱の隅を突っつくようなことはせず、多少のことは許容し、大きな問題にはなりませんでした。工務店の体質が、現代のビルダー風のドライでなくウエットだったせいか、電気工事の職人さんも色々無理を聞いてくれました。給湯設備の納品が全国的にも遅れた時期で、竣工に間に合わない不幸も、その間代替品で凌ぎ、何とか事なきを得て引き渡しとなりました。近々に設計事例として、「鎌倉借景の家」をアップする予定ですので一緒に参照ください。

設計事例に「鎌倉借景の家」として掲載しましたので、そちらも是非ご覧ください。


盛岡「クローズアップ現代」で放映を見て

市役所と県庁とテレビ局の向こうにそびえる岩手山

昨日、「クローズアップ現代」の放映をみました。思っていたより盛岡は取り上げられていました。

前回のブログ記事:盛岡市「クローズアップ現代」尋ねたい街で放映? 

鉈屋町の道路拡幅計画も留まらせた活動も取り上げられていました。その活動にも景観調査に協力してくれた、建築士会の先輩達が関わっている話は聞いていました。
あの鉈屋町の通りは古い格子窓の店が多い通りで、高校時代の45分の自転車通学の通り道でした。運動部クラブの活動終えて帰る時、鉈屋町から北上川沿いの堤防の上の道までの坂道を上る必要があり、朝ご飯を三杯食べてきた日は一気に登れるのですが、二杯の時は坂の途中にあるパン屋さんに寄って、コッペパンを買って食べながら上ったものでした。

昔から続いている街を練り歩くチャグチャグ馬っこの風景

番組でニューヨークタイムズの記者が盛岡の特徴を上げていましたが、確かに盛岡には昔から時代の潮流におもねない人材がちらほらいたことを思い出しました。それが所々に特徴のある店を点在させ、安易に欧米や他所の成功の物まねをせず、自分らに合ったいい景観を残し、魅力ある街を育んで来たのかもしれません。今よく言われるコンパクトシティーの先駆けを結果として成し遂げていたのでしょうか。
神宮外苑の樹木の伐採のような問題も、40年前にすでに市民は取り上げていて、経済成長を競って追い続ける、今日の資本主義では、カウントされることのない価値を、盛岡の先達は見出し、守ってきてくれていて、その価値がこれからの時代を考える際、大きな示唆を与えてくれるように思いました。


盛岡市「クローズアップ現代」尋ねたい街で放映?

盛岡市駅前の開運橋から見える象徴的岩手山と北上川

最近ニューヨークタイムズに盛岡市が世界で二番目、ロンドンの次に「行ってみるべき街」として取り上げられました。そのこともあって9月26日火曜日の夕方7時半、NHKの番組クローズアップ現代で、盛岡市がなぜ海外の記者に取り上げられるほどの街になったのかが放送されるということです。

20年ほど前に新宿区の四谷から伊豆高原(伊豆の家)に移住した、釜石市出身の私共の建て主さんが、昨年盛岡市に再度移住しました。
理由を聞いたら、元気で活発に動けるときは伊豆高原も悪くないが、腰の調子も悪くなって、静かに暮らしたくなったからとのこと。10分も車で走れば、自然の真っただ中に入ることができ、生活圏が広くもなく狭くもなく、必要なお店や主だった公共機関も歩いて行ける距離にあり、象徴的な岩手山を始め、山々に囲まれ、北上川や中津川がゆったり流れ、やっぱり盛岡は気持ちよく暮らしやすい、と言うことでした。
(伊豆の家 | (株)結設計|東京・建築家|住宅・建築設計事務所 (yui-sekkei.co.jp))

実は、盛岡市では四十年以上前に、まだ京都と奈良以外、景観が問題視されてないときに、盛岡城址公園から岩手山が新たに建つビルで見えなくなるということで、何とかできないかと市民から問題視され、市が独自に景観調査をするということになりました。
その時、市の建築指導課で主事をしていた兄から、どこかいいコンサルを知らないかと聞かれ、友人が主催する「かいアソシエイツ」という都市計画事務所を紹介し、自分の紹介であることを秘したまま、市の他の職員たちに、数多くいたコンサルと同様に面接等で審査をしたら、友人の事務所が一緒に調査するに適切となり、極めて少ない予算で請けることになりました。私も出身地なんだから手伝えと駆り出され、景観調査の手法が確立されてない時期に、環境アセスメント等の手法を駆使したり、市民から好きな町の風景写真を募集するなどして、未だ一般的ではなかったワークショップなど試行錯誤しながら、そのお手伝いをしました。
その頃の街を上げての活動が、訪れたい街を形成する一端になったのではと思うとうれしい気持ちにさせてくれます。その後も彼は二次三次と調査をつづけ、景観条例に至る道筋を主導していきました。彼は盛岡市の調査の後、他の自治体からの依頼が増え、その方面の第一人者になっていきました。でも景観調査を最初に手伝った私を含めた仲間への気の利いた報酬は、大沢温泉への一泊招待でしたが、夜の宴会の翌朝入った川沿いの、雪の中の露天風呂が極めて印象的であったことを覚えています。
今も彼とは付き合いは続き、数年前には『暮らしの保健室』の創設者の方が手掛けられた「坂町ミモザの家」という訪問看護テーションの施設を創る際に、彼の設計のお手伝いもさせて頂きました。
坂町ミモザの家 | 株式会社ケアーズ(白十字訪問看護ステーション)公式ページ ❘ 訪問看護・在宅医療・福祉 (cares-hakujuji.com)

景観調査をした友人から今回のNHKの番組の予定を聞き、その時に「盛岡市がこのような評価に至ったのは、その頃の地道な関り方が実を結んだのかね」と聞いたところ、「いや、盛岡の市民性に依拠していると思う」とのことでした。
郷土愛というか、岩手山が見えなくなる、ということを問題視する市民及び関係者の何とかしようとする熱意や、本来抵抗しそうな建築士会等の共感や協力を含め、他所の地域とは違う何かが盛岡市の市民感情にはあったように思われるとのことです。
確かに、景観条例が未だ施行される前に、中高層建物の建築確認申請で提出された書類を、菓子折りと一緒に風呂敷に包んで、建築指導課の課長が、もう少し高さを抑えた建物にしてもらえないでしょうか、と法とは違う文化観に訴えて尋ね回り、それを考慮するオーナーもいたという、冗談のような話も聞きました。そのような市民意識が、又訪れたい街と評価されるまでにしたのでは、とのことです。でも彼が言うには、その当時、熱心に関わってくれた面々は殆どが鬼籍に入っていることが分かり、寂しいというということでした。確かに当時兄の下で献身的に条例づくりに働いてくれていた、私の高校同期の者も早逝し、今はいません。
やはり街は一朝一夕に出来上がるものではなく、自然の大地を基本に、人を育み育てる風土と、日々の市民の行いの積み重ねが、その町のあり様を創っていくんだなあと感じさせられる話でした。

岩手山と北上川は郊外から通う際も方向感覚の目印になります。

クローズアップ現代「世界が絶賛!日本人が知らない名所▽外国人観光客が意外な場所へ」
NHK総合:9月26日(火) 午後7:30 〜 午後7:57
NHKBS1:9月27日(水) 午前5:30 〜 午前5:59


炉壇 炉と大炉

前回「 馬込の家 」のブログ記事「馬込の家 もうすぐ完成 和室(茶室)」の掲載後に馬込の家は無事完成し、引き渡しとなりました。引き渡し時にはまだ残っていた襖や障子、炉壇等も少しして入り、茶室も完成です。今回は、茶室にある「 炉壇 」のお話しです。

「 馬込の家 」では、茶室としての八帖の広間と六帖の寄付が続き間となっています。畳は京間畳なので、関東間よりかなり広く感じます。
茶室として使われるので、炉が切られています。

「馬込の家」の茶室(広間)
奥が広間、手前が寄付。襖・障子が入り、腰張りの白紙貼も完成しました。

炉壇 と 本炉壇 と 炉壇師

広間に炉。寄付には大炉があります。どちらも土でつくった炉壇で、最近では「本炉壇」といわれるものです

炉壇 本炉壇
広間の炉(炉縁がまだ入っていない状態です)

「本炉壇」と呼ぶのは、土製の塗り直しが必要な炉壇のことです。
現在は、金属製の炉壇が多くなっていて(少なくても関東ではほとんど金属製になっているようです)、その金属製と区別するために「炉壇」とだけ呼ばれていた土製のものを「本炉壇」と呼ぶようになったようです。

美しい京都の稲荷山黄土仕上

この本炉壇は、土を塗っていますので、使っていくなかで炉壇の壁面が炭の熱で焼けて色が変わってきます。(茶席ではその色の変化の風情を楽しむそうです)
そして、その色が変化した炉壇の壁面の塗り替えを毎年行うそうです。
炉を塞いだ5月~10月までの夏、風炉を使う時期に塗り替えて、11月には塗り替えが終わった状態で炉開きをします。

土の炉壇は、焼けて色が変化すること以外でも、釜などがぶつかって欠ける場合もあり、使用すれば汚れても来るので、どうしても塗り直しが必要になります。
その点、金属製のものは丈夫で、手入れもそれほど必要としない、安価でもあるので、金属製が多くなったのもうなずけます。石製の炉壇も昔からあったようですが、大きな石をくりぬいて炉壇の形にするのでつくるのも大変ということであまり見ないようです。
また、現在ではビルの中に茶室があることも多く、消防法等の規制で炭を使う炉壇を入れることが大変難しいということも聞きます。

そういったメンテナンスの手間や消防法等の規制で、東京など京都以外の地域では金属製の炉壇が主流になっていて、土の炉壇「本炉壇」すでにあまり見ないものになっているそうです。
結設計でも茶室として使える和室を今までも設計してきていますが、ほとんどが金属製の炉壇で炉を切ったか、風炉や置炉のみで炉を切らない、という形でした。

本炉壇を、左官でつくっているのは知っていたので、左官屋さんがつくっているという認識しかありませんでした。左官屋の中でも、特に炉壇の製作や塗り替えをされる職人を炉壇師というのですが、恥ずかしながら馬込の家の施主様の先生の京都にある御茶室で炉壇の塗り替えの様子を見学させていただくまで、炉壇師という言葉は知りませんでした。
その炉壇の塗り替えをしていた方が、炉壇師の片田儀斎さんでした。今回馬込の家では、施主様の京都の先生から炉壇製作の話を通していただいたことで、片田さんに炉壇と大炉を製作していただきました。

大炉

裏千家ということで、寄付きの六帖間には大炉が入りました。(写真は、まだ炉縁はない状態です)
大炉は、裏千家11代お家元玄々斎(げんげんさい)が北国の囲炉裏から考えられたもので、裏千家独特のものです。
囲炉裏を模してつくられ、寒い時期の暖房器具の役割も考えてつくられた炉ということです。
そのため、大炉は寒い2月にしか使われません。

本炉壇 大炉 は、ねずみ色(ほんのり青みがかっています)
大炉はねずみ色(ほんのり青みがかっています)
大炉 美しい仕上がり
美しい仕上りの大炉

寄付の大炉の大きさは、一尺八寸角。広間の普通の炉が一尺四寸角ですから、たてよこ四寸ずつ大きく、その分暖かい。

馬込の家の玄関

炉壇や畳、襖などの製作だけでなく、その後のメンテナンスが長い歴史のなかで続いていることが文化になって、その文化がその技をもつ職人を必要とする仕事を残している。そうやって技術面としてのバックボーンがあることで建築という行為が維持していけるのだと、今回の馬込の家を設計監理していく中で改めて感じさせられました。
(加藤)


家づくり個別相談

家づくりに悩んだら ご相談ください。

家づくりは、ほとんどの方がはじめてのことで、何から始めたら良いのか、設計事務所に依頼すると何が違うのかなど、わからないことが多いのではないでしょうか。

まだ依頼をする段階では無いけど…」とこんな方でも些細な質問や疑問を相談できるように結設計のスタッフによる「 家づくり個別相談 」(無料)を予約制で設けています。

相談したからといって、依頼をしなければいけないと言う事ではありませんので、お気軽にお申し込みください。
新築だけでなく、増築やリノベーション・リフォームなどのご相談もお受けしています。

(※日時が合わないなどは、適宜対応致します。特に土日祝や、平日夕方以降、スタッフの指名等々・・お問合せください。)

こんな人におすすめです

・家づくりに漠然とした「 不安 」をお持ちの方
・「 何から手を付けてよいか 」悩んでいる方
・「 自分の考え・要望 」を整理したい方
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参加方法

家づくり個別相談への参加は、相談者様の状況やご都合に合わせて、「対面相談」と、「オンライン相談」の2種類がお選びいただけます。

対面相談
・じっくりと話をしたい人
・図面などの資料を見ながら話をしたい人

オンライン相談
・事務所に来るのが難しい人
・遠方にお住まいの人

※日程・スタッフによっては、オンライン相談のみになる場合もあります。
※オンライン相談は、「Zoom」を使用しますが、他の方法をご希望の場合はご相談ください。

■9月の予定

※まだ決定していない日程もありますので、順次決まり次第掲載していきます。

・8 日(金)対面・オンライン ※終了しました
  10:00~12:00 担当:加藤 
  14:00~16:00 担当:加藤 
  16:00~18:00 担当:加藤 
  18:00~20:00 担当:加藤 

・11日(月) 対面・オンライン ※終了しました
  14:00~15:30 担当:岡坂
  16:00~17:30 担当:岡坂

・13日(水)対面・オンライン ※終了しました
  14:00~16:00 担当:加藤 
  16:00~18:00 担当:加藤 
  18:00~20:00 担当:加藤 

・24日(日)オンラインのみ  ※終了しました
  14:00~16:00 担当:藁科 
  16:00~18:00 担当:藁科
  18:00~20:00 担当:藁科

・26日(火)対面・オンライン ※終了しました
  10:00~11:30 担当:岡坂
  13:00~14:30 担当:岡坂

・28日(木)オンラインのみ   ※終了しました
  10:00~12:00 担当:藁科 
  13:00~15:00 担当:藁科
  19:00~21:00 担当:藁科

※これまでご好評いただいておりました個別相談ですが、人員不足につき一時休止させていただきます。
 ご相談につきましては、引き続き受け付けております。
 お問合せフォームまたはLINEからのご連絡をお願い致します。

 

■ご予約はこちら

参加ご希望の方は、以下の申し込みフォームより必要事項をご記入のうえ送信ください。
後日担当者よりご返信いたします。

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    よくあるご質問

     

    Q.家づくり個別相談の参加にあたって事前に用意するものはありますか?

    A.ご相談の場合は、特にご用意していただくものはありませんが、計画地がすでに決まっている場合は、土地の場所・図面などをお持ちいただけるとより詳しくお話しできます。

    オンライン相談の場合は、通信環境の準備のため以下をご用意ください。

    [オンライン相談に必要なもの]
    ・インターネットにつながるパソコンまたはタブレット
    ・マイク(もしくはマイク付きパソコン)・イヤホン推奨

    ※オンライン相談の前にZoomの招待メールをお送りします。
    その招待メールにかかれているURLをクリックして参加してください。

    スマホ・タブレットでは、アプリを事前にインストールする必要があります。
    パソコンからの参加の場合は、Webブラウザから参加できますので、アプリなしで問題ありません。


    Q.家づくり個別相談の予定日時以外でも相談可能ですか?

    A.はい、予定日時以外の平日、休日ともに受け付けております。
    お仕事終わりの19時以降や週末・祝日も可能です。
    ただし、予定日時以外は、すでに他の予定が入っている場合もありますので、ご相談ください。


    Q.計画地が遠方ですが相談できますか?

    A.遠方でも大丈夫です。
    過去の実績としては、岩手県から広島県まで設計事例があります。

     


    「相模湾が見える家」設計事例掲載

    伊豆高原で大室山が見える

    設計事例に「相模湾が見える家」を追加しました。

    お子さんも独立されて、夫婦二人で都心から海と山の調和の取れた伊豆高原に 移住 をして建てられた住宅です。 移住 した後もリモートで働き、趣味のスキンダイビングを楽しみながら、自然に囲まれて快適に過ごされている住宅です。

    是非ご覧ください。

    リビングから見たキッチン


    LINE公式アカウントのお知らせ

    ■公式アカウント作りました

    連絡手段としてLINEを使っている方が多い昨今、設計事務所にいきなり電話やメールでの問い合わせをすることは敷居が高いのではないか?と考え、気軽にやり取りできるよう公式アカウントをつくりました。

    今すぐ家づくりの相談をしたい方でなくても、

      • 「ブログの内容について詳しく聞きたい」
      • 「設計事例にある家について仕様を聞いてみたい」
      • 「住宅設計をしている人に意見を聞いてみたい」

    など些細なことでも質問してください。その後こちらから営業でご連絡することもありませんし、気に入らなければブロックもできますので、お気軽にご利用ください。

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    ※土日祝に問い合わせ頂いた内容については、できる限りお返事するつもりですが、調べが必要な内容な場合、翌営業日に回答させていただきます。ご了承ください。


    釜石の家  トップライト設置

     目下建設中の「 釜石の家 」はFSU工法過去の設計事例はこちら)で杉の木をふんだんに使用した一人暮らしの建て主のための平屋の住宅です。建て主は現在名古屋に住んでおり、リタイヤ後の生活を、自然豊かで生まれ育った故郷に近い街で過ごしたいという考えで結設計と一緒に土地探しからお付き合いさせていただき、この地に計画することになりました。

     建て主さんは住まい方には具体的なイメージを持っており、災害に備えられる強い住宅、自然エネルギーを使って電気代やガス代など維持費を抑えることが希望でしたので、太陽光発電、太陽熱給湯のソーラーパネルを南に向いた切り妻屋根に載せる計画としています。

    梅雨の合間の6月に上棟し(←前回ブログ参照)、ガルバリウム鋼板の屋根が葺かれ、開口部にはサッシが入り、だんだんと家の体をなしてきました。

    工事中、敷地の南側から見た写真

     ご覧のとおり居室は陽当たりのいい南側に配置されていますが、一部、奥まっていて光が届かない箇所があり、北側の屋根にトップライトを設置しています。雪の多い地域ではトップライトの上部に通称「ジャンプ台」と呼ばれる積雪対策を施工します。あたかもジャンプ台のような急勾配を付けてトップライトの上部や周辺部に降り積もった雪が溜まらないようにするのです。(参考:日本ベルックス 積雪用鋼板横葺き施工参考例) 

    施工中のお手製ジャンプ台を頂部から見下ろしたもの

     今回は、施工者の方の経験から両脇に雪が流れるような形状に板金を製作していただきました。岩手の中でも特に雪深い遠野市の施工者ならではの配慮です。雪対策だけでなく頂部から流れてきた雨水もトップライトにかからずに流れやすくなっています。

    トップライトを中から見た様子

     トップライト直下はキッチン、水回りスペースに続く通路になります。北側からの光は直射日光のように強烈ではなく明るく安定していますので、日中は照明だけに頼らない明るさをもたらし、省エネにも寄与してくれそうです。

     今回の現場では電気、設備の施工者の方たちとも打ち合わせをしました。FSU工法の配線や配管工事は、同じ木造の在来工法と違って内装が構造材が現しになるこの工法ならでは難しさがあります。それらを計画的にうまく隠す必要があるのですが、そこをよく理解していただけて施工されていました。

     また、設計段階で分電盤の位置などから ここが最適だろう と指定していた電気の引き込み位置では、道路上で電線が横断するため規定の高さが取れず、位置を変更することにしました。(参考:東京電力 引込線地上高および離隔について

     私たちの事務所から「 釜石の家 」までは遠く、現場まで片道6時間かけて工事監理に行きますが、そのたびに得るものや気づきがあります。待ち遠しい完成までは、あと2か月程度です。


    太陽光発電 設置相談と基礎蓄冷熱設備との相性 ~十年前の建主さんからのお便り2

    前回紹介した「無垢厚板壁の家の熱帯夜での睡眠 ~十年前の建主さんからのお便り1」のブログの続きです。

    建て主さんから、最近の高騰する電気代、 太陽光発電 の設置、エコキュート、基礎蓄冷熱設備、建物の蓄熱性、等々、寝室のエアコンや熱帯夜の睡眠に関連して、まさにタイムリーな相談メールを頂き、私からの返信メールで始まるやりとりを紹介させていただきます。 前回のブログはこちら


    「 太陽光発電 」相談への返信

    A・N 様
    大変ご無沙汰しております。返信が遅くなりすみません。返信できずにいたのは、自分の怠惰もありますが、ソーラー発電をどうするかという課題は、ソーラー発電をすべきではあるが、どのメーカーでどう工事をするべきか、蓄電池も設置するか、ゼロ円で設置しますと言うところもあったり、海外メーカーの特に中国メーカーが安いということで設置し、遠い将来廃棄する場合についてはどうするかなど、どこも確かなことを謳っておらず、補助金も各県色々流動的で、結論出せずにいたからでもあります。太陽光発電設備の設置助成事業|東京都 こちら(tokyo.lg.jp)

    A・Nさんの家は、南向き切妻屋根、基礎蓄冷熱設備、エコキュート、木の無垢材を使った工法(FSU工法・FM・DEWS工法)と、確かにソーラー発電向きです。
    今、売電価格が買電価格の半分以下でもあり、設置するなら、できれば蓄電池も一緒に設置すべきと思います。蓄電池を設置しないなら、照明以外のすべての機器を夜間ではなく、昼間に稼働させたいところです。設置工事は、工事者や設計者に頼まなくても、A・Nさん(の調査と整理能力)なら自分で直に依頼した方が安上がりです。
    どの程度のKWのパネルと蓄電池を置けばよいかも(代理店が)アドバイスしてくれるかと思います。

    将来のEV自動車についてもどうしたいか、予算はどう考えているか、等も話して、見積もって頂くといいです。代理店を紹介しますので、一度来ていただいて、状況を話して見積もって頂くのがいいかと思います。
    屋根の図面や年間の電気使用量と予算含めて書面化してメールし、最初に凡その見積もりを頂いてから会うのもありかと思います。ここ一年分の電気料金の領収書を用意しておくと、どの程度のワットのパネルと蓄電池があればいいかもアドバイスしてくれると思います。
    なにか懸念があれば連絡ください。手伝えることはします。最終的に完成したら、経過も含めて教えていただけると、私たちの参考にもなり、ありがたいです。よろしくお願いします。
    結設計 藤原

    「太陽光発電」EV自動車への蓄電 職場の事例

    結設計 藤原様
    お世話になっております。ご返信ありがとうございました。アドバイスのとおり、ひとまずご担当者様にメールをしてみました。お話を聞いてプランを詰めていきたいと思います。
    電気代はけっこう節約している方だと思うのですが、年間で37万ほどでした。これで深夜電力が1.5倍になるとなかなかのインパクトになりそうです。

    蛇足の話ですが、静岡の会社の3階建ての事務所ビルには自家消費用の太陽光パネルを設置して、V2Hの設備を導入しております。
    最初は蓄電池として三菱の軽EVを購入したのですが、電池容量が少ないのと、たまに車として使うときに航続距離の短さがネックになりすぐに売ってしまったのですが、この夏再チャレンジということで、日産のリーフ(電池容量:40kwh)中古を150万ほどで購入しました。新車は電池価格が上がっているためどんどん値段が上がっていますが、程度のいい中古EVは電池容量から考えると相当コスパがいいと思っています。事業用だと太陽光パネルは特別償却ができ、中古のEVは単年一括償却ができるので、個人よりも決断が早く進められますので、導入検討が楽でいいです。
    日中の太陽光を電気やエネルギーに変えて貯めておく、というのはいいソリューションだと思っているので、家でも会社でも積極的に導入していきたいと思います。また経過報告させていただきます。
    S市 A・N

    A・N様
    色々職場での事例状況等含め、ご教授ありがとうございました。
    そうなんです。ソーラーはどうすべきかは、なかなか簡単には判断をしにくいところがあります。
    日産リーフ40KWの蓄電池ですか、確かにそれが一番コスパよさそうですね。当然V2Hを設置してパワーコンディショナーもそれに対応したものにしてあるということですね。さすがですね。よろしくお願いします。
    結設計 藤原昭夫 

    パネルの遮熱効果やリース活用

    結設計 藤原様
    お世話になっております。藤原さんの仰っていることもよくわかります。
    廃棄まで考えたソーラーパネルのライフタイムマネジメントはまだ道半ばとも言えますが、これだけ灼熱の太陽光線が注ぐようになった昨今、太陽光発電でその光を電気に変え、かつ屋根材の一部としての遮熱効果もある太陽光パネルはそれなりに有用なものだと思います。要は見積次第ですが、リースを活用しようと考えています。
    これだけ電気代が上がってくると、リースの手数料を考慮してもすぐに入れるべきかな、と思っています。

    10年前はFITで稼ぐのだ、という流れがあったので、パネル価格も高く、また技術的にも発展途上でちょっと歪んだ構造でしたが、売電価格が下がり、稼ごうという欲も削がれ、技術的にもこなれ、価格も安価になった今は導入時期としては適しています。
    S市 A・N


    以上が現在までのメールのやり取りの凡その文章です。他にも見積もりやシミユレーショングラフ等も頂いていますが、いくらか割愛させて頂いています。

    蓄電・蓄冷熱と家づくり

    東日本大震災での計画停電当時以降、売電利益を期待してソーラー発電を設置する建て主さんが一気に増えました。

    昨今では売電利益もそれほど見込めず、電気代の高騰により売電するより自家消費の目的で設置される方が増えている流れになっています。
    今回の十年前の建て主さんのメールで仰っているように、発電は昼間に限られるので、以前にお薦めした、(1年前に太陽光発電についてまとめたブログです→)電気の使用効率が約1/3ですむヒートポンプ室外機でつくった冷水・温水を昼間のうちに基礎の中に配管で回してコンクリートを蓄冷熱させ、日暮れからゆっくり放出させて家全体を蓄冷熱する基礎蓄冷熱設備の家が極めて有効な時代になってきたと言えます。

    尚、無垢の木材を使用した工法(FSU工法)だとより蓄冷熱が効果的ですが、通常の在来木造工法でも十分効果的であることは数多くの事例で実証済みです。
    (在来木造設計事例の建主さん夏の熱帯夜の睡眠にお薦め石神井公園の家  (yui-sekkei.co.jp)

    記事に関するご質問は、「お問い合わせページ」から、または「LINE」でどうぞ。

    最近のFSU工法の厚壁建て込み中で、これだけの無垢厚壁に蓄冷熱するのでより効果的です。
    最近のFSU工法の厚壁建て込み中で、これだけの無垢厚壁に蓄冷熱するのでより効果的です。

    無垢厚板壁の家の熱帯夜での睡眠 ~十年前の建主さんからのお便り1

    関東都市部に住宅を建てられた建て主さんから、最近の高騰する電気代、太陽光発電の設置、エコキュート、基礎蓄冷熱設備、建物の蓄熱性、等々のご相談から始まり、最近の寝室のエアコンや熱帯夜の睡眠に関連して、まさにタイムリーな相談メールを頂きました。

    木の無垢厚板壁(120㎜)で作られたFSU工法の蓄熱性と、基礎蓄冷熱設備との相性は設計者としては抜群と思って設計していますが、10年住まわれた建て主さんからの生の声が届きましたので、私がくどくど説明するより的確な思考をされているので、ここで紹介させていただきます。

    (基礎蓄冷熱設備とは、基礎にパイプを配管しておき、夏は冷水、冬は温水を流して基礎に蓄冷熱させる方法です。末尾写真参照)


    「結設計様、ご無沙汰しております。S市のA・Nです。

    さて、7月より東電の電気代プランが変更となり、とうとう深夜電力が日中の電力とほぼ同じになります。時代が変わったと感慨深く思います。

    当家が設計・建設された2011年当時は東日本大震災の直後ということもあり、まだ深夜電力プラン+エコキュートは有効でしたが、10年以上経過し、原発停止・化石燃料高、CO2削減の潮流には逆行した状態となり、化石燃料を使った発電で深夜にお湯を貯めるという行為が、ある意味時代に逆行している事になってしまいました。
    (特に冬は一番お湯を使う夕方のお風呂の時間に温度が下がってしまっている)

    元々2011年当時でも太陽光発電は話題になっていたので、当時も導入の検討はしましたが、結設計様がブログであげているとおり、太陽光発電パネルの技術革新のスピードや設置手法における屋根へのダメージなどを考えると前向きにはなれないという、藤原さんの話もあり、屋根自体は太陽光発電に最適な形状ですが、実際には載せなかった、というところです。
    またエコキュートも12年ほどが経過し、近隣の家でもだいたい15年位でどこか壊れる、というのを見ていると、設備更新の時期とも言えます。

    話は長くなりましたが、結設計様でのノウハウも蓄積され、ころあいかなと思いますので、太陽光発電設備増設+エコキュート更新を計画したいです。こちら結設計様に依頼すれば、業者の手配等お願いできるものでしょうか?それとも工務店さんに依頼するものですか?教えて下さい。
    当家は基礎の蓄冷熱暖房を建築時に導入しているため、自家消費で電気が惜しげもなくフルに使えるとなると、様々な最適化ができそうな気がしています。急ぎませんので、お時間あるときにアドバイスいただけたらと思います。

    話は少しズレますが、暑さが厳しいこの頃ですが、木の無垢材の調湿力には改めて感心しています。
    一階は基礎蓄冷熱設備の効果がモロに出ますので、基礎蓄冷熱設備と除湿機を稼働させると、真夏でも非常に快適な状態になりそうです。
    というのも、今までは昼間は電気代のことも頭にあり、基礎蓄冷熱設備はタイマー稼働にして昼間は稼働させていませんでしたが、7月からほぼ電気料金の時間差がなくなったこともあり、24時間稼働させたところ、一気に快適になりました。

    深夜時間のみ除湿機を稼働させていますが、毎日タンクは満タンになります。
    2日ほど除湿機が稼働すると、空間は更に心地よくなった気がします。木の無垢材が貯めていた水分をだいぶ吸い取ってあげて保湿の余力をもたせられたかな?と思っています。
    1階はまだエアコンなしでやれていますし、エアコンをつけないで寝られるのはなにより快適です。1階で布団を引いて寝ている次女が、明らかに涼しくなって快適になったとびっくりしていたので、その通りなのでしょう。
    S市という、標高が低い土地の家としては、湿度のコントロールによる空間の快適さはなかなか得られないものだと感じています。

    奥が子供室で、窓のある外壁が無垢の厚み120㎜の板壁です。

    2階は、どうしても屋根材がガルバリウム鋼板で、現しになっていることから、屋根に断熱材をだいぶ入れているとはいえ、夏の日光が当たると2階全体に熱気がこもっていました。
    なので2階の子供部屋やリビングはエアコンを稼働せざるを得なかったのですが、これも太陽光パネルが座れば、ガルバリウムを覆う遮熱材としての役割も持ちつつ、電気を生み出し日中の消費電力を気にしないでエアコンを稼働させることができ、さらに1階の基礎蓄冷熱設備&除湿機の連続稼働+エコキュートが太陽光発電で実現できれば、システムとしてはほぼ完璧になるのでは、と思っています。

    まだ想像の域ですが、木の無垢材の特徴を最大限発揮できるようなサポート機器が、電力の心配なくフル稼働したらどうなるのか。建築から10年が経ち、また楽しみができています。A・N 」

    私共は意匠設計の事務所ですが、デザインがすべてとは考えてなく、居住性能の調湿機能や木の無垢材を使ったFSU工法やFM・DEWS工法(集成材工法)など、構法の躯体の持つ蓄熱性能等まで、フル活用して、住生活をいかに豊かにするかを、建て主さんの希望に触媒的に働きかけながら実現できればと考えており、それにぴったりなメールの内容でしたので紹介させて頂きました。

    続く 熱帯夜 にどうぞ快適な睡眠を!

    べた基礎底盤の鉄筋に架橋ポリ管を配管し、そこに温(冷)水を通して蓄(冷)熱します。
    熱源は手前二台のエアコン室外機と同様のヒートポンプの大きめの室外機から分岐して配管します。(写真は他の家)

    次回は、ソーラー発電設置の相談内容について、私の返信を含めたメールのやりとりを紹介したいと思います。